RedCrimsonは眼前に迫る敵が突如変異を起こし自分の前に立っている、その事に生まれて初めて恐怖を感じていた
先程の女達の集団はまだ雑魚として扱えるレベル__盾の女を除いてだが…まだ勝てた
『…』
目の前に立つ男だって遂さっきまではボロボロの身で良く戦ったと言えるレベルだった
だが其れが一転、奴の姿が変わった途端この焦りが生まれていく…
排除せねば…目の前の男ごと此処ら一体を消し飛ばさなければ……
『________!!!!!!』
先程までとは比べ物にならないレベルの咆哮を上げるRedCrimson、其れを見る一護の目は変わらずに敵を見据えていた
『_____!!』
口の部分のクールタイムが終わっていない為、RedCrimsonは背中から先程の2倍とも言える量の赤い針を放出し其れを全て一護を含めた広範囲に飛ばし尽くした
まるで後ろに居る月歌達を守りながら自らを守れるか___そう試すかの様に
「一護!こっちは何とかするから、気にせずやってくれ!」
後ろに居た月歌達がそう一護に叫ぶ、だが次の瞬間一護は斬魄刀”天鎖斬月”を左から右へと薙ぎ払った
『月牙天衝』
直後、月歌達までも覆い尽くしていた筈の赤い針は全て消え去り変わりに月牙天衝を余波がチラチラと月歌達に降っていた
「なっ……滅茶苦茶じゃねぇか」
驚きを隠せないいちご達、だが同時に自分達は散々そんな人間に喧嘩を売ってたりしたのかと言う恐怖心も存在した
「あれ、もしアイツが短気な奴だったらすもも達はとっくに消し飛んでたにゃ…」
「ああ…なんかまた後で謝りたくなってきた…」
『___!?』
攻撃を全て相殺され、相手が視界から消えた事に隙が生まれたRedCrimson。その隙を逃す事無く一護は極限まで接近____月歌達は愚かRedCrimsonでさえ捉える事の出来ないスピードで全身を月牙で斬り裂いていく
『_____!!!』
再び対象が目の前に現れた瞬間、クールタイムが終了しRedCrimsonが再び自らの口を閉じる
そして再び____今度は周りの地面が揺れRedCrimson付近の地面が割れる程の力を秘めたエネルギーを溜め込んでいく
「おいおいなんだよあれ…!?」
「こっちまで揺れてる…一護さん!」
ユキ達も震える空気に身体がビクっと反応する、だが反応は出来ても手足が動かせなくなっていた。其れは恐怖と言う物だった
「一護!!其れはいくら何でも…」
月歌が震える手足で一護に大声を出す、だが出た声でさえ一護に届いているかどうかは分からなかった
『安心しろ、俺が護る』
「っ…!!」
だがはっきりと、一護の声で返事が帰ってきた。周りのメンバーにも聞こえた様で耳を疑ったりしている者もいた
『はっ…!』
直後、一護の片方しか無い角からRedCrimsonに引けを取らない大きさのエネルギーが溜まっていく
『ウオオォォォォォッ!!!』
一護の今の状態はほぼ虚と言う存在に近かった、そしてその虚だからこそ扱える技____それが虚閃
『______!!!!』
『ハァァッ!!!』
次の瞬間、先程とは比べ物にならないエネルギー同士がぶつかり爆発を起こす。お互いに引かず…ぶつかるエネルギーは周りへと広がり爆風へと変わる
「くっ…!!」
「にゃ…!?」
すもも達も吹き飛ばされまいと耐える、中にはセラフを突き立て耐えようとする者がいた。だが決して目だけは誰も離そうとはしなかった…この戦いの行く末を見守らなければならない…そんな気がしたからだ
「…あんなデタラメな事するのは、あの子くらいだろうねぇ」
「ああ…」
黒崎一護とRedCrimsonのお互い最後の一撃は、本来見えない程遠方にいる筈の30Gにも見えていた。蔵がやれやれと言わんばかりに呟き其れにユイナが短く相槌を打つ
「この霊圧…黒崎一護、兄は一体何を…」
(この輝き、黒崎一護…)
あれだけ黒に塗れた激突など生まれて初めてだった。だが白河ユイナにはあの禍々しいエネルギーの中には黒崎一護と言う男の全身全霊が乗っている様にも見えていた
(やはり面白い男だ…)
『________!?』
拮抗状態から少しずつ、少しずつ…RedCrimsonの方が押されていく。RedCrimson自身のエネルギーは永久的に放出出来る物では無かった
『っ…!』
だが其れは黒崎一護も同じだった、角に少しづつヒビが入っていく。
(負ける訳にはいかねぇんだ…、絶対に…!!)
「また爆発…!?」
「もう勘弁してくれ…!」
次の瞬間、先程よりも1段階大きな爆発が月歌達を襲い、それぞれが最早愚痴とも言える事を口から吐き出す
『おおおっ!!!』
その爆発で出来た数秒の隙、此が恐らく最後の隙となるだろう…次は確実に防げはしない
天鎖斬月を両手で握りしめ、RedCrimsonの頭部へと食い込ませる。まだ固い…デフレクタが無いとは言えやはり斬れにくい物がある
『_____!!』
RedCrimsonが抵抗する、だが捉えた切っ先はそのままRedCrimsonを抉っていく
『月牙……』
一護が握る天鎖斬月に霊圧を注ぎ込む。斬撃を行うその瞬間に持ち主の霊力を喰らい、刃先から高密度の霊圧を放出する事で斬撃その物を巨大化して飛ばす…
『天衝ッ!!』
次の瞬間、RedCrimsonを月牙天衝が穿ちそのまま真っ二つにしていった
『はぁ……はぁ……』
そしてRedCrimsonは大きな音を立てて消え去り、そこには討伐の証ともいえる白い巨塔が立った
「やった…倒した…!!」
一瞬の静寂、其れを打ち破ったのは月歌だった
「ユッキー…皆、蒼井…!やった…!!」
「月歌……!」
「やったぁ…」
膝を着く者、倒れ込む者、手を上に突き出すもの、がっつく者。其処での喜び様は凄まじかった
『…』
赤い空がだんだんと消えていくのを見ながら、一護は仮面を外そうとする。正直今にも意識が飛びそうなくらいには追い込まれていたが何とか着地まで意識を保とうと________
『…!?』
だが外そうとした仮面が流れないのに一護が気付く。無理矢理に剥がそうとしても全くビクともしなかった
”バカがよォ…あんなもん使ってタダで済むと思ってんのかよ。相変わらず脳みそが緩い野郎だ”
頭の中に声が響き渡る。そして次の瞬間…一護から凄まじい量の霊圧が吹き出る
『あっ…がっ……クソ………ああああああァァァァァァァァ!!!!!』
其処で一護の意識は暗い暗い暗闇へと消えていった
「一護…!!」
空中にいた筈の一護から突如霊圧が吹き出し暴れ始める、そしてそのまま月歌達の近くへと落下した
「おいおい大丈夫かよ…」
「まぁあれだけの戦いをした後だしね…」
心配の顔を向けるユキと其れを見て微笑む可憐。月歌がそのまま一護に近づいて行き担ぎ上げようとする_________
「だめにゃ!!茅森!!ソイツから離れるのにゃ!!!」
「え_______」
一瞬だがすももの肌がピリっとなった。殺し屋としての尋常では無い本能が一護に近付くなと……そう問い掛けていた
何事だとすももの方を振り向いたその瞬間_________月歌の背中を斬り裂かんと一護が刃を向けていた
「ダメです…一護さん」
「蒼井…!!」
だがその斬撃を防いだのは、先程まで倒れていた蒼井だった。セラフのスキルを使い…月歌と一護の間に盾を滑らせ間一髪防ぐ
「茅森さんは…大切な仲間ですよ…、一護さん!!」