一つの作品としてきれいな終わりを迎えられるのかどうか。やるだけやって汚い終わり方をするのがなんだかいやだなという俺のわがままですけどね()
「霊子を…感じなかった…!?」
朽木白哉とともに富士山の偵察へと訪れていた黒崎一護、山頂まで特にキャンサー達が出ることもなく平和に進んだはずだった。だが山頂へ到着し帰還のヘリを待っている最中…朽木白哉の言葉に一護は反応した
霊子…現世で亡くなった魂というものは霊子となり魂魄となる。そしてそのまま尸魂界か地獄か…少なくとも一護の世界ではそういう仕組みなのである
「そりゃあこの世界に尸魂界とかがねぇからじゃ…」
「ならばヒユという少女はどう説明をつけるつもりだ黒崎一護」
「…!」
「少なくとも彼女がいた痕跡には霊子がわずかながら感じ取れた…兄の霊圧とともにな」
彼女も元セラフ部隊…キャンサーと戦い、そして死んでいる。彼女だけは唯一一護たちに出会う前から記憶をなくし霊体になっていた
今にも消えそうな彼女に霊子などを仕込んだ記憶はなかった
「でも俺は霊圧を渡してなんて…」
だがそこで一つの可能性に気が付いた
『しっくりくるなぁ…』
消える直前、一護は彼女に自身の斬魄刀斬月を手に持たせていた。だがたかが斬魄刀を握らせただけで霊圧の受け渡しができるなんて聞いたことも見たこと…
いや…一度だけ似たようなことをしたことがある。石田と出会い立てのころにメノス・グランデを討伐しようとした際に、当時霊圧などといった概念などを知らない一護に変わり石田が一護の斬魄刀を頭に装着して戦おうとしたことがあった
他人に影響を及ぼしやすい一護の膨大な霊圧、そして空っぽの状態から唯一死神にまでなったヒユ…
もし仮にヒユに元々霊体としての才能があれば…、そしてそこにこの世界に来てしまった不純物である黒崎一護が接触してしまったら……
____これは本当に、取り返しのつかない出来事へなっているという可能性がある
「でもそれとこれとは話が別だ!ヒユには偶々才能があった!それでいいだろ!?」
「…その可能性もある。だが黒崎一護…基地にいるあの得体の知れない生き物は知っているな」
「ナービィ…だろ?」
「ナービィについては誰に聞いたとて、そして調べたとしても何も無い。セラフ部隊は様々な情報を持っているがそこだけ白紙というのはあまりにもおかしいとは思わぬか?」
「 …」
その時点で既に白哉の中では結論がひとつ飛び出していた、そしてそこまで言われれば黒崎一護も理解を拒否しようとも受け入れなければならないひとつの結果となっていた。
「…迎えが来たようだ」
だがその続きが口から出ることは無かった、ちょうど視線の先にはヘリが1台こちらへと向かっておりそれが迎えのヘリだと分かるのに時間はかからなかった。
その会話は一護にとって忘れられない会話になるのに、そうそう時間はかからなかった
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セラフ部隊基地 31Aの部屋
「そういえばよー」
可憐に気に入られ、膝の上にずっと乗せられていたコンが口を開いた。
「コン、どうしたんだ?」
「お前らって31Aってグループなんだろ?」
「バンドみたいに言うなよ…」
パソコンで作業をしていたユキが突っ込む。
「いやユッキー、あたしらバンドやってるぜ」
「…確かに」
月歌に正論を叩き込まれてぐぬっ…と下を向く。まさかコイツに正論を言われる日がくるとは…
「31Aってんならお前らより前の部隊とかも存在してるってことだよな?」
コンの一言に月歌があー、と言い話す
「今の所は30Gが一番最古の部隊って聞いてる、個人で見ればもっと前の人もいるけどね」
31Bの蒼井えりかは元々29Aに所属していたって本人から話された。もしかすると蒼井のように元々前の部隊にいた隊員がいるのかもしれない
「29より前に所属していた人って今もいるのかな?」
「どうだろうな、大半は前線から降りてるか死んでるか…墓標の数を見てもわかる通りほぼ全滅してる部隊が多いからな…」
「ユイナ先輩に聞いてみれば分かるかも…!」
「30Gの白河隊長か…確かに悪くはないかもな」
「となれば早速連絡だー!」
「…コイツ、怖いもんとかないだろ」
「全くもってその通りだな…」
普通先輩とかに連絡する時は大概こう…なんか態度を謹んでやるはずなんだが…流石のコンでもそこら辺は理解しているらしく月歌の行動に驚いていた
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〜浦原商店〜
「だからァ〜…ヒユさんをお借りしたくて…」
『何回も言うけどウチの娘はかさんで!』
電話越しに響く関西弁に浦原は耳を貫かれそうになる。だがここで引く訳には行かないと何とか電話を切られないようにする。
「ヒユさんをちょっと調べるだけじゃないですか!?」
『それがあかん言うとんねん!アイツまだ義魂丸すら使いこなせへん位の死神やぞ!?__お前がこっちこんかい!』
「いやほら…尸魂界を追放された身ですから、世間体が…」
『何つまらんこと言うとんねん!もう切るからな!』
「あっちょ…」
そこで電話が途切れた。
「はぁ…ったくアイツぁ…」
「すごい声が響いてましたけど…誰と電話を?」
電話をぶち切り適当に携帯をしまい込む平子、その横に立っていたヒユが恐る恐る声を掛けた
「ヒユか…お前いつの間におってん」
「あ、えっと…瞬歩で!__なんだか瞬間移動みたいで楽しいなって」
「もう瞬歩まで出来るようにになったんか、早いやっちゃなぁ」
「お父さんみたいな感想やめてくださいよ…、後は今雛森さんに鬼道と縛道を教えて貰ってるんです!」
「えらいやっちゃ、そういやお前最近なんかあったか?」
「…?__いきなりどうしたんですか?」
ヒユをじっと見つめながら平子が言う。なんとなくだが最近のヒユは以前よりももっと心構えが前進しているような。なんとなくだがそう感じていた
「…夢で一護さんに会いました」
「!?___会ったんかお前…じゃあ記憶も…」
「まだ記憶は全部とはいきませんがちょっとばかり、わたしの斬魄刀…元はセラフが主になってると思うんです」
「セラフ…?」
「はい、わたしの世界での武器です。宇宙からきた生物に唯一有効な武器だったんです」
「それがお前の元いた世界いうわけか…」
「はい、そして今電話していた人って…きっと世界に関わることですよね?」
「…気づいとったんか」
「私…元の世界ではもう死んだ人間のはずなんです。それが黒崎さんのお陰で黒崎さんがいた世界に来れた…そして今黒崎さん達が元の世界にもどれるきっかけが出来ようとしている」
「私も力になりたい、黒崎さんを取り戻して”正しい世界と歴史”にもどしたいんです!」
「…はぁ」
ヒユを見下ろす平子の目が逸れる。
(俺ァこういう押され気味の目されると止められへんゆーねん…)
だがそれがヒユの意思、この世界に来て初めて自分から唱えた心からの言葉。
「…しゃーないなぁ、ちょっと待っとけ」
乱暴にしまい込んだ携帯を取り出し、電話を掛け直した
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〜セラフ部隊基地〜
「…」「…」
白哉と一護を乗せたヘリが基地に到着し、それぞれが降りていく。
「お疲れ様」
普段は居ないはずの手塚司令官が立っており、とりあえず頷いて通り過ぎようとした黒崎一護達。
だがすれ違った瞬間、氷よりも冷たい視線と言葉が2人を撫でた。
「これ以上、余計な事をしないでちょうだい」
「「…ッ!?」」