甘いかも…?
そして前回の司令官の、偉く攻撃的な構えなのに危害は加えたくない…えらく矛盾してる感じがしたと言われたので補足的なものを…
軍の人間としてはこれ以上懐に潜り込まれたくないという種の威嚇行為。そして1セラフ部隊隊員としてこれ以上真実に近づけば元より余所者の2人を始末しなければならない…彼女也の葛藤というやつです。ややこしくて申し訳ないです
「オペレーションプレアデス終了を祝って…」
「「かんぱーい!!!」」
基地の中のフレーバー通りにある店を貸し切り行われている31Aと31Bの打ち上げ。最初は一護と月歌、そして蒼井の3人だけのはずだったのだがどうやらほかのメンバーにも漏れていたらしく、結局2部隊での開催となった
「なんで私まで参加しなきゃならないんだ…研究で忙しいと言ってるだろう…」
「まだ言うか樋口!参加してくれるならアイツの刀調べていいつったろ!?」
樋口の肩を持ちながらいちごが言い、樋口がそれならば仕方ないとため息を吐き飲み物を口に含む。逆に一護は口に含んでいた飲み物を盛大に吹き出した___しかもその先にはタマがいた。
「うぇあ!?!?__きちゃない!!」
「げっほ…!!おいまて初めて聞いたぞ!?」
次の瞬間、凄まじい速度で一護の眼前に迫ったいちごが耳打ちをしてくる
「黙って都合あわせろよ…!!」
「ふざけんなあんな奴に渡したらまともに返ってくるわけがねぇ…!」
どうからどう考えても、涅マユリに似た空気を纏う少女。最初に会った時から言われてはいたがなんとか躱してきていた____だがそれも今回で終わりそうになっていた
「今日は皆揃っての約束だろうよ…、樋口は半ば無理矢理私とすももで連れてきたんだよ…!」
「んでそれに俺が関わるんだよ…」
「リハビリ中の蒼井の車椅子作ってくれたんもアイツだし恩返しするにはお前の刀しかないんだ…!頼む…!」
そう言われ、蒼井に視線を落とす。月歌達とワイワイ話す蒼井にかつてのような暗い雰囲気はもう残っていなかった…今日は無理矢理許可を貰い抜け出してきた…そのために特殊な車椅子を開発したのも樋口…
「そう言われると見せても…いいのか?」
「だろ?___」
もしかしたら樋口に渡せば何かしら世界の解明に繋がるかもしれない、向こうももしかしたら涅マユリ…そして浦原さんが動いてくれているかもしれない…
浦原さんと樋口が会えば何が起こるんだろな…、そんなことを不意に考える。
もうかなりの期間会えていない仲間の顔も過ぎっていく。元に戻りたいという気持ちもまだ胸の奥にある…だがそれと同じくらいに膨れつつあるのがここで彼女達を守って戦うという選択だった。
__戻れるまでは彼女達を護る。だがもし今自分が戻ってしまえば…?撃破出来ているとはいえキャンサーも次第に強くなっていく、もし今後更にもっと強いキャンサーが出現した際彼女達は勝てるのだろうか…
彼女達をまた庇護対象として見ている訳では無い、今までの戦いや会話で彼女達は自分達で道を切り開けるという所を見せ付けられ納得したはずだ。だがそれでもチラつく彼女達の敗北____
1度見てしまい、関わってしまえば世界が離れたとしても関係の無い話だとは言えない
見知った顔が死ぬのはどれだけ離れていても辛く、苦しいことだ。
「…さん」
それを俺は今まで様々な戦いで知ってきた。だからこそ________
「一護さん?」
「…蒼井?」
「はい、一護さんのよく知る蒼井です」
焦点が定まった目で蒼井の方を向く。まだリハビリ中の蒼井だったが痩せている様子もなく変わらぬ姿だった
「悪ぃ、ボーッとしてた」
「一護さんはよくボーッとするのが悪い所ですね」
「ははっ、まったくだ」
「それにしてもここまで皆さんが盛り上がるとは思いませんでした…」
視線を向けた先ではいつの間にか離れていた一護が可憐___もといいカレンと腕相撲を展開していた。
「だな、これも全員生き残ったからだ」
「蒼井も生きれて良かったです。もしあのままだったら死んじゃうなぁって」
「俺も必死だったからな」
駆けつけた時、正直自分がどうしたかなんてほぼ記憶にはなかった。ただ司令官から渡された薬を飲ませペラペラと……
___待てよ
同時にブワッと冷や汗が滝のように流れ出す。
「一護さん!?汗凄いですよ!?」
横で心配する蒼井を手で制し、もう反対の手で凄まじい速度で思考を回転させる
あの時の蒼井は意識を保つのに精一杯。確か貰った薬は液体____どう飲ませた俺は…
「いや、なんでもねぇ…!皆んとこ行こうぜ!」
これ以上はまずいと考え思考をシャットダウン。蒼井を押していちご達の元へと向かった
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〜数時間後〜
「なぁ蒼井」
パーティが始まり数時間、様々な話が絶えず続けられるこの場所で月歌が蒼井に問いかけた。
「蒼井は元々29Aの隊長だったんだろ?」
「はい、そうですよ?」
突然の質問に頭にハテナを浮かべる蒼井、月歌はそのまま言葉を連ねる
「蒼井よりも前のセラフ部隊隊員っていたのか?」
「うーん…」
月歌からの問いに蒼井が首を傾げる。
「当時の蒼井は全然余裕がなくてそれどころじゃなかったので…もしかしたら30Gの白河隊長なら分かるかもしれません!___力になれなくてごめんなさい」
「いやいいさ!それだけでも進展ありだからな、蒼井も早く治して復帰しようぜ」
「はい!月歌さん!」
__少しづつ、歯車が回り出す。古豪との出会いが彼女達の運命を大きく替え____
そして黒崎一護達の運命をも大きく狂わせていく…今はまだ小さくとも…やがてその狂い、言わば歪みは大きくなっていく。
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〜現世〜
「ここが黒崎サンのお家ですよ」
「へぇ〜…!」
クロサキ医院と大きく書かれた看板をまじまじと見つめながら中をのぞこうとするヒユ、だがそれを浦原が止める
「今はまだ接触しない方がいいかもしれませんねェ」
「うーん…そうなんでしょうか…?」
浦原喜助の機械の数々がヒユを隅々まで解析している最中、とりあえずの暇潰しとして義骸を使い外を出歩いていたヒユ達。
『義魂丸も渡しておきますから大丈夫ですよぉ』
そう言われて渡されたのはなんとなく知っているウサギの義魂丸だった。噂によれば女性死神の中でもトップで人気の品であり特に十三番隊副隊長はこれを過剰なくらい愛用しているとの噂…
最初は中々扱いに慣れなかったものの、流石は浦原クオリティ。すぐに馴染めた、ファッションセンスはヒユのおまかせとなった
変な服の数々を進められたのはまた別の話__
「鉄斎さんが解析を見守っててくれていますので、私達は気ままにパーッとね」
「はい、ありがとうございます!」
平子隊長が言ってたイメージとは全く違う印象があるが特に嘘をついていたりするわけでもなさそうなのでひとまずは安堵する。
それにこうやってまともにオシャレをするのも久しぶりのような気がする。セラフ部隊に入ってからなんてそうそう出来るものじゃなかったし_______
(あれ…)
自身の違和感に気づくヒユ。
(あれ、私セラフ部隊に来る前…何してたっけ)
親がいる、それは覚えている。だが顔が浮かばない…
どこに住んでたか、だれといたか、何をしていたか、
(なんで思い出せないんだろ…)
「ヒユさん?」
「え、あ…!ボーッとしてました!すいません!」
「いえいえ、まだ義骸にも慣れきっていないんでしょう…もう少し慣らしましょう」
頭を下げるヒユに対し柔らかく答える浦原、だか内心正直かなり考え込んでいた。
(彼女の身体から感じる霊圧…黒崎サンはほぼ無いに等しいですが、それに変わって感じたことの無いエネルギーを纏い始めている?)
涅隊長が言っていたこの世界に存在していないエネルギーと言われるもの…最初は彼女の身体の中からしか確認できないと聞いていたはずのエネルギーが、今では身近にいるだけで感じるようになってきていた
(これがなにかのキーになるか、それとも災いの種となるか)
災いの種になるなら、尸魂界も放ってはおかない。だがそうなれば確実に彼女は殺されるであろう
(そうなる前になんとしてでも解析、そして事を上手く運ばないと…黒崎サン達の為にも)