死神の幻想   作:エヌラス

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気がついたらこの作品も80話だそう…
話数にしては中々ハイテンポなのではと思いつつ書いていきます!!

んでんでUA61000突破です!ありがとうございます!!
これからも半ば俺の妄想垂れ流しのこの作品、よろしくお願いいたします!

いつか書く技術が上達する日をお待ちくださいね!(血の涙)


80.フェーズ3___覚醒

 

 

「…」

 

一護は自分の部屋に戻り少しばかりの仮眠を取ろうとしていた。

 

「おい一護…」

「んだよコン…」

 

一護が寝転がっているベッドの下から、コンが久しぶりの登場を果たした。一護は最近コイツ忘れてたなと思いつつコンの方を向く。

 

「放置は悪ぃと思ってるけどよ、お前がいたら色々めんどくせぇんだよ…」

 

「それについては何にも言わねぇよ!」

 

「んだよ、やけに上機嫌じゃねぇか」

 

唯一姿を見せているのは31Aのみ、もしかして稀にアイツらが遊んでやってるのかと予想する。

 

「最近蒼井えりかって奴と遊んでるんだぜ俺!」

 

「は!?――――はぁぁああああっ!?」

 

まさかの名前がコンの口から出てきた、驚きのあまり一護がベッドから転がり壁に頭をぶつける。

 

「なんだ聞いてねぇのか〜?」

 

「おまっ…聞いてるも何も初めてだぞ…!?いつから…!?」

 

「アレは数週間前くらいの事だな、お前が相変わらず俺をどっかに置いて行った時に俺も散歩しに出てたんだよ――もちろん正体バレしないようにコソコソと」

 

「…」

 

「でも人間から隠れられても動物からは逃げられなかったんだ、あの白い虎が俺に気づいて頭口で挟んで蒼井の元に持っていきやがった…」

 

白い虎、その時点で31Bのビャッコに結びついた。アイツは本当に賢いんだなと改めて思わされる。

 

「ぬいぐるみのフリしてその場を凌ごうと思ったけどよ、ソイツがやけに元気無かったから思わず声をかけちまったんだよ」

 

「あー…そうか」

 

命は助かったが自身のセラフが壊れた蒼井は、自信こそついたもののやはり仲間の力になれないことを心のどこかで悔しがっているように見えていた。

 

『蒼井はもうへっちゃらです!』

 

そう言って茅森達に微笑む彼女の顔には、どこか寂しさが募っていた。

 

『あたしらも今まで以上に強くなる…』

 

『蒼井ばかりに戦わせないにゃ』

 

オペレーション・プレアデス以降今まで以上に結束が深まった31Bはシミュレーションなどを使い凄まじい量の特訓を重ねていると聞いており、それぞれが蒼井のことを思っていた。

 

樋口も一見興味無さそうにしていたが、樋口なりに蒼井の力になろうとしているのかセラフの修復に乗り出している。一護もその件を受け少しばかり斬魄刀などを貸し出した、樋口を信用したかと言われれば首を横に振るが腕は確実だろう

 

第一セラフを理解しているのは上層部を除き彼女だけだろうし、これこそ背に腹はかえられぬというものだ

 

それに、何かをしたい時に何も出来ないと言う無力感は一番辛いことを一護は知っている。そして自分の力が少しでも役に立てるならとも願っている。

 

再び蒼井えりかが戦場に立ち、一護達と肩を並べて戦う日を夢見て…

 

「最初はすげぇ反応されたけどな、ぽかーんって口に出しながら突っ立ってて俺も笑っちまったよ。まあ出会いはそんな感じだ!」

 

「…お前なぁ」

 

「…なんだよ、何見てんだよ。怒るんじゃねぇのか??」

 

直ぐに怒髪天を衝く勢いで怒られると身構えていたのだが、一向にぬいぐるみボディを振り回したり頭を鷲掴みにしようとしない一護にコンが不思議がる。

 

「いや…別に怒んねぇよ、ずっとお前のこと忘れてた俺も悪ぃし…」

 

「忘れてたのかよ…!?!?」

 

まさかの忘れてた発言に今度はコンが転げ落ちる、だが一護の言葉はまだ終わっていなかった

 

「それによ…なんだ、その…」

 

「…?」

 

「――――――ありがとな」

 

予想外の言葉が一護の口から飛び出し、コンが一瞬目を見開いて固まる。だがその言葉の意味を理解したのかは分からないが、コンは自慢げに鼻を触りながら…

 

「…へへっ、それくらいお安いもんよ」

 

とだけ、返したのだった

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

〜アリーナ〜

 

 

「フェーズ3は天狗岳付近で囮になって、フラットハンドをひきつけてあげて………聞いているのかしら黒崎さん」

 

「あっ…!?__あぁ…」

 

「そう…、ならいいけど。フェーズ2に引き続き貴方にも頼ることになるわ。しっかりして頂戴ね」

 

「…」

 

あの後仮眠を取ろうとした黒崎一護だったが、大号泣し鼻水と涙まみれのコンが一護へと抱きつこうとしていた為、それを追い払っていたら気がついたら朝になっていた。

 

その結果一護の睡眠時間は凄まじく削られていた。それに加えて白哉やつかさの事もあり、今の一護は心身共に疲弊しているようなものだった。

 

「えっと、ルートはと…」

 

「稜線が円環上になってるから、この中でひきつけて移動させないようにすればいいのか?」

 

「言われなくても分かってるよ!」

 

茅森月歌と和泉ユキは相変わらず。31Aを代表する2人がこんな状態ではダメなのは分かっているのだが…

 

(蒼井とも最近会えねぇからな…、いい感じの作戦立てるにも立てられねぇし…それに前にも増して2人の野郎怪訝になってねぇか…?)

 

「地形のせいで戦いにくいけど、視界は前より確保しやすそう…」

 

「それは当日の天候次第ですね、甲斐駒ヶ岳の時みたいに霧が出ると大変でしょう!」

 

「珍しく頭使ってんなお前…」

 

一護の中ではあまり頭が良くない判定の中に入っていた國見タマだが、最近ちょくちょくと”確かに”と頷ける発言をする為少しばかり評価が上がりつつある。尚本人にこれを話すことは未来永劫ないだろう

 

「元艦長ですから!!」

 

「…おう」

 

胸を張るタマになんとも言えぬ返事を返す一護。それを横目に七海が口を開く

 

「山の天候は変わりやすいので、様々な気象条件が設定できます。周辺の敵も様々なパターンを用意していますので安心して訓練に取り組んでください」

 

「相変わらずの用意周到さだな…」

 

逆に言えばそれ程までに今回の作戦はセラフ部隊の今後に関わってくることなのだろう。

その後も様々な説明が続き、訓練プログラムが始まろうとしていた。

 

「…」

 

一護は代行証を取り出し、いつものように死神の姿へと変わる。

 

 

 

 

『__ちゃん!!_ヒユちゃん!!』

 

「っ…!?」

 

 

 

 

だが死神の姿になった次の瞬間、懐へとしまいこもうしとしていた代行証から聞き馴染みのある声が聞こえ、耳元へと持っていく。

 

『ダメだ…!』『そんな…』

 

「この声…!?チャド!?井上なのか…!?」

 

一瞬だけだったが茶渡泰虎、井上織姫の声が代行証から聞こえ、一護が代行証目掛け声を出す。だが次の瞬間には声は聞こえなくなっており…代行証はいつも通りに戻っていた

 

(なんだよ…、一体何が起こってんだよ…)

 

突如代行証へと声を荒らげた一護、その行動に31Aのメンバーが驚く

 

「一護さん…!どうしたんですか…!?」

 

タマが傍へと歩み寄り声をかける。様々な感情が入り乱れている一護…その顔を見たのかタマの顔にも緊張が走った

 

「おい一護…?」

 

「声が聞こえたんだよ…、代行証から、仲間の声が…っ!」

 

「「っ…!?」」

 

既に訓練は始まり、景色も変わっている中全員が驚きに包まれる。一護は代行証へと必死に声を出し2人を呼びかける。

 

「2人共何があったんだよ…っ!!」

 

それに最初に聞こえたヒユという名前、一護はその名前を知っている。だがしかしなぜ茶渡や井上がその名前を知っているのか、一気に情報が頭の中で飛び交う

 

「落ち着け一護…!」

 

「んな事言われたって…!」

 

一護を落ち着かせようとする和泉だが、久しぶりに仲間の声…しかもただならぬ状況と想像される2人の声を聴いた一護は、そう簡単に落ち着かせることは出来なかった

 

「ごちゃごちゃ言うとる暇ない!!敵や!!」

 

いつもは訓練開始とほぼ同時にキャンサーが現れることはなかったはずだがと困惑するが今はそう言ってる暇はないらしい。

 

 

「クソッ…!!」

 

混乱の中、一護は斬魄刀を抜き月歌達へ続いた

 

――――そしてそのままフェーズ3の訓練が始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しっかし今回の作戦、うちらから攻められへん展開ばっかでストレス溜まるわ…」

 

「ほんとだよなー、あたしら逃げてばっかなのに一護とユッキーだけは攻撃できてさ…」

 

戦闘を終えしばらく目的地まで歩く31A、途中茅森と逢川が退屈そうに声を出していた。

 

基本的な陣形は遠距離攻撃が出来る和泉ユキを中心に配備しフラットハンドを引き付け、残りのメンバーが和泉を囲み周辺警戒をするというものになっていた

 

フラットハンド以外との戦闘は茅森が回避するかしないかを選び、戦うとなれば最小限の排除に留める。難易度は相変わらずハードなものだ

 

「…悪かったな」

 

「……」

 

和泉がそう言い返すと、月歌が少しばかりバツの悪そうに顔を逸らす。もはやこの空気感にも慣れつつあった。

 

「…」

 

「つかささん…大丈夫??」

 

ふと後ろの方を歩いていた東城だが、いつもより元気がないように見えた可憐が声をかけた。

 

「え?ああ…もちろん食べるわ」

 

「何をだよ…、そんな話は1ミリもしてないぞ?」

 

「一護さんも大丈夫ですか?」

 

「ああ、さっきよりはだいぶマシだ。すまねぇな」

 

「いえいえ、それよりもお仲間さんと早く会えるといいですね!」

 

「…ああ」

 

様々な可能性が浮かぶが今はそれに集中しても仕方がない、今は前だけ見て進むしかない。そう考えた一護はひとまず落ち着きを取り戻していた。

 

「それにしても…一護さんもつかささんも、31Aは大丈夫なんでしょうか…」

 

和泉と茅森以外に、黒崎一護も東城つかさも少しばかり不調になっていたこの状況にタマが不安そうな声を漏らす。

 

「おいタマァ!!」

 

「は、はいぃ!?」

 

「その分、ウチらがしっかりせなあかんのや」

 

「ぐぬぬ…確かに…」

 

そのような会話の中、デンチョを見ている茅森が喋る。

 

「次はこっちだな…、ルートに沿って付かず離れず…」

 

そう言い前に出ようとする月歌だったが、後ろから和泉に声をかけられ足を止める。

 

「ちょっと早いぞ…、後ろの方が遅れ気味だ」

 

「時間的にはこんなもんだろ?」

 

「お前なぁ…もっと周りを見ろっての…」

 

「なんだよその言い方…!」

 

「言い合いしてる場合か…!!フラットハンドがもう来てるぞ!!」

 

再び言い合いになりそうな中、背中から斬魄刀を抜き放った一護が2人に声をかける。

 

「目の前にはキャンサーもや!」

 

「コイツら…っ!!」

 

そう言い全員がセラフを取り出し、目の前のキャンサーの群れと戦闘を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『フラットハンドの引きつけには成功したけどほとんど瀕死ね、実践だったら死人も出てるわよ』

 

その後も幾度か戦闘があり、なんとかくぐりぬけてきたのだが最終的に司令官からの評価は最悪だった。

 

後ろのフラットハンドもそうだが、やはり辺りのキャンサーも強くなっており、そこにプラス天候や地形などが現れさらに難易度を引き上げていた。

 

「このフェーズ難しすぎるよー!」

 

『レベル4相当だもの、簡単な訓練で済むわけないでしょう?』

 

「これがレベル4か…もしひとりで戦ってたら…」

 

『明らかに死んでいたでしょうね、まさに無駄死によ』

 

「…」

 

流石の月歌も司令官に何も言い返せないようで、無言でその場に立っていた。

 

「31A全員で相手しても生き残れる気ぃせぇへんわ」

 

「うぅ…無敵艦隊と言われたこの私が…!!」

 

『ちなみにこれはフラットハンドの70%』

 

「まだ強くなるの…?」

 

『ええ、最終的には120%をクリアしてもらうわ。あなた達にはもう少し反応速度と瞬発性を鍛えてもらわないとね』

 

「〇ァック!!!」

 

「おい今なんつった」

 

カレンが凄まじい罵詈雑言を司令官へと飛ばした、耳に受けた和泉がため息を吐く。

 

「〇ァックてなんですか一護さん」

 

「…オメェにはまだ早ぇよ」

突如投げかけられたが華麗なスルーで対応する、タマがそんな言葉使ったら多分普通にぶっ倒れる自信がある。

 

「ちょっと試したいことがあるの、いい?」

 

「〇ァックをか…!?」

 

信じられないと言わんばかりの顔で東城を見る和泉、だが東城は頭にハテナを浮かべながら…

 

「違うわよ、なんで??」

 

と言い放った、その一言に和泉が嘲笑を含めて笑う。もはや自虐だ。

 

「今卑猥な言葉が2箇所で聞こえて感覚麻痺してたよ、なんだよ…!!」

 

「今からキャラが変わるかもしれないけど、気にしないで欲しいの」

 

「既にそんなキャラが1人いるから今更なんとも思わねーけど??」

 

そう言う和泉の目線の先では可憐――――カレンが笑っていた。

 

「なんでもありですね!」

 

 

(性格が変わる…?)

 

その言葉に一護が少しばかり首を傾げる。やはり今朝の東城つかさは本人の意思だったのだろうかという疑問が浮かぶ。

 

「っ…」

 

次の瞬間、東城が少しよろめく。

 

「おい、大丈夫かよつかさっ……」

 

「いいわよ…来なさい」

 

心配した月歌が声をかけようとした瞬間、ヒヤリと冷たい声が東城つかさの口から放たれた。

 

「「っ…!?」」

 

一護も含めた全員がそれに驚く。いつもの東城とは全くもって違う雰囲気…それに立ち方でさえ変わっているように見えた。

 

 

『次は100%の想定よ、覚悟しなさい』

 

 

だが司令部は容赦なくレベルをあげ、目の前にキャンサーが現れる。さすがにいまやろうとするのは危ないのでは無いかと思ったが、

 

「ええで、受けてたったろうやないか」

 

「やってやりましょう!」

 

――――――意気込むタマと逢川、他の31Aのメンバーも取り掛かろうとしているのを見て一護も斬魄刀を構える。

 

「先手は一護かな」

 

一護の月牙天衝、それでダメージはなくともひるませることができる。先手を取ろうと始解の斬月を振るおうとした瞬間だった

 

「何そののろさ、先手を取らせてもらうわ」

 

「なっ…危ね…っ!?」

 

月牙天衝が当たるエリアに立った東城つかさ、驚いた一護が斬魄刀を振るうのを辞める。そうしている間にも

東城つかさは自らのセラフから放たれているエネルギー弾をいつもとは比にならない身のこなしで戦闘を始め――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間には目の前のキャンサー2体を単独撃破していた。




Q.何故井上達の声が聞こえたのか…

A.死神代行消失編で明かされたとある秘密、それを自分なりに拡大解釈してやってみました。霊圧があるならそれを感じ取ることは可能…そしてそれを通じて元々の持ち主へと繋ぐ……的な?


そして書いてて思いました、前回とは違い1話での情報量の濁流。ゴメンねコン…お前のこと忘れて…
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