毎週ワクワクするんですよね
原作通りにしてくれないから…!!(歓喜)
「……」
「………」
カフェテリアのバルコニー、いつもなら客で賑わっているはずのその場所は白河ユイナと朽木白哉が対面で座った瞬間から貸切になった。
あの白河部隊長が異性とお茶をする、その信じられない光景に全員がここは邪魔をしてはならないという謎の団結感を示し屋内へと避難。
だがバルコニーに繋がる窓などを見れば、一面に人がおり2人を見守っていた。
(誘う所までは上手くいった…だが天啓よ…!!ここから先は私はどうすればいいのだ…!?)
一見するといつも通りにみえる白河ユイナだったが心の中を覗けばあら不思議。今にも汗でびしょびしょになりかねないほど緊張していた
そもそもセラフ部隊は女性だけということもあり、異性との関わりなどあるはずもなく――あまりにもユイナは経験不足だったのだ
昨夜も一護と話し終えた後、ひとまず部屋へと戻り電子軍事手帳を取りだし白哉へとRINNEを送ろうとした。だがただ相手を誘うだけの文章にかなり頭を使い気がつけば寝不足になっていた
(この私が寝不足とは……)
内心で言眉を下げるユイナだが、ひとまずはお誘いが上手くいったことを喜ぶことにする。
だがそこから先はどうすればいいのだろう、様々において経験不足のユイナはとりあえず紅茶を飲むしかなかったのだ
「…」「…」
お互い座り始めてから既に5分、白哉は何故か湯呑みに注がれたお茶、ユイナはティーカップに注がれた紅茶をお互いに口に運びながら過ごしていた。
周りの見物客のじれったさが最高潮に達した瞬間、ユイナよりも先に白哉が口を開いた。
「――それで、今日は我に一体何の用だ?」
周りの人物も、白河ユイナ自身も。まさか最初に口を開いたのは白哉だとは思わずに固まる。だがユイナもすぐに気持ちを切り替え応じる。
「近く大規模な作戦が展開されるのは知っているな?」
「ああ、話は聞いている。兄らもそれに参戦するのだろう?」
「その通りだ。と言っても主役は31Aと黒崎一護になってしまうがな」
「――30Gは30Gの成すべき事を成せばよい」
「そうだな、だがその前に一つだけ言いたいことがある」
このままではただの世間話で終わってしまうと何となく感じたユイナが一足踏み込む。
「…?」
「単刀直入に言わせて貰おう。我々30Gは――君と親睦を深めたい。その為に少し親睦会をしようと、そう考えている――今の君は私達を避けているように見えるからな…」
その言葉に周りの見物人が少しざわつく、まさかこんな所で大胆な告白――!?と言わんばかりの空気だった
先程のじれったさなど消え去り、今にも黄色い歓声を挙げそうになっている。だがまだそのときでは無い――白哉自身の返事がまだであるからだ
「親睦…か、何故深めようなどと考える」
一息ついた後、白哉がユイナの目を見つめて口を開く。
「君は30Gの仲間だ、仲間のことを知ろうとしているのは悪いことではないと思うが…」
「私はただ一時的に力を貸しているだけの身…、いずれ再びこの世界から消える存在だ」
「そうだとしても、我々…少なくとも私は君と仲良くなりたいんだ」
どこか冷たく突き放そうとする白哉に、1歩も譲ろうとはしないユイナ。2人の距離感は見物客に再びじれったさを与える。
中にはそろそろ「じれったいな…!私ちょっとやらしい雰囲気にしてきます!」と駆け出そうとしている人物もいるくらいだ――周りの人間が全力で押さえつけているが…
「何故そこまでこだわる…」
「拘るも何も最初から言っているではないか――我々は仲間だと、確かに君も一護もいずれ元の場所へと帰るのかもしれない。だが今はこうして我々に力を貸してくれている」
この絶望的な世界の中で、手を貸してくれている。それだけでとても心強くありがたいことは無い。
それに白河ユイナは黒崎一護と1度刃を交え彼の強さを知っている。刃を交えるまでは疑いの気持ちしかなかった自分が恥ずかしいくらいには彼の刀には護りたいという真っ直ぐな気持ちがあった。
だから白哉とは刃を交えることなく、言葉だけで語り合えたらいいと考えていた。同じ部隊なら尚更である。
「いずれ消え、私達の前から無くなってしまうのだとしても――たとえ刹那の時間だとしても共に戦った仲間のことを何も知らないというのはあまりにも寂しいものだ」
そうやって喋るユイナの顔は、少しばかり哀愁が漂っていた。その表情をみた白哉の目の中で少しだけ様々な感情が渦巻く
「兄は部隊の中でも冷静だと思っていたのだが…」
「生憎、私はそこまで冷静な人間じゃないと思っている…怒りもすれば悲しみもする――だがそれを後輩の前では見せないだけだ」
30Gはこのセラフ部隊のなかでもかなりの古株。あとから入ってくる新人の手本になるため――そして士気を下げぬ為に常に前を見続けなければならない。
「そうか……」
その時だった、ふっ――と一瞬だけ目の前の白哉が笑みを漏らしたように見えた。決して人を馬鹿にしている笑みでは無いことはユイナにはすぐに分かった。
「何故君が私達を避けようとしているのかは分からない。その理由だけでも教えてはくれないか?」
「……」
教えてくれ――というユイナに白哉は黙ったままだった。
「理由が教えられないなら、せめて一緒にいる間は私たちを頼って欲しいんだ」
「私が…、兄らを頼る?」
「そうだ」
少し困惑気味に答える白哉に、間髪入れずユイナが返事をする。その目は一切の迷いが伺えず、ある日の誰かを思い出す――そんな気迫があった
「頼る…か」
朽木家の当主として、護廷十三隊六番隊隊長として――誰かを頼るということはあまりしてこなかった。
四大貴族の一として”全死神の規範であるべき”という強固な信念を持ち、朽木家の誇りを守るために戦い続けてきた。
そんな彼はとうの昔に、誰かを頼るという選択肢を捨てていたのかもしれない。
「…考えておく」
様々な思考の後、白哉の口から出たのはその一言だった。ユイナは一瞬だけ目を見開き――そして微笑んだ
「そうか、わかった」
白河ユイナから帰ってきた返事はそれだけ、だがその言葉には出会った頃よりも確かに距離が近づいた――そんなものを感じた
「君が元の世界で凄く責任のある立場に着いているのは一護からも聞いている」
ふと、ユイナがそう言う。
(黒崎一護…余計なことを)
内心オレンジ髪のトゲトゲ頭の少年を思い出しながら目を閉じる白哉。
「だが今はそんな肩書きはいらない、1セラフ部隊の人間として我らと共に戦おう。君の悩みは我らが共に背負おう――それが例えどのような結末になろうとも、私は君を信じて戦うとするよ」
ユイナがそう言いながら立ち上がり、白哉に手を差し伸べる。
白哉は立ち上がり、そのままユイナへと歩み寄る。
――だが手を取ることはなく、そのままユイナの横に立ち
「済まなかった」
「…!!」
横でそういった白哉は、ユイナが何かを言う前に目の前から消えた。
「ひとまずは上手くいった…のだろうか」
白哉の気配が消え、そう呟いたユイナは顔を両手で抑えながら椅子に再び座り込んだ。
(正直何を言われるだろうと思った、もしかしたら拒絶されるのではとも思った…)
だが返ってきたのは恐らく友好的な返事の…はず
ひとまずは安堵する、30Gの部隊長だった
――――――――――
「ふっ…はぁっ!!」
「っ…!!」
同時刻、アリーナでは刃と刃のぶつかる音が響き渡っていた。音の正体は黒崎一護の天鎖斬月と茅森月歌の二刀流のセラフが剣戟を繰り広げている音だった。
(茅森は何となく察してたが…本能的に捌いてやがるな…)
自分に似たような荒々しさのある我流。礼儀もクソもない――ただ目の前の敵を倒すためだけの剣。
それに関しては一護も似たような物なので咎めると言ったこともする気は無いが……
「ひひゃあっ!!」
「どらぁっ!!!」
厄介なのはむしろ、先程よりも速度も上がってきた他の31Aのメンバーだった。
「っ…!」
カレンとめぐみの2人の挟み撃ちを瞬歩を使って退避する。だが次の瞬間にはタマと月歌が一護へと襲い掛かり一息つく暇すら与えてくれない。
(こいつら…この短時間でかなり反応速度を上げてきやがった…!!その証拠に和泉と東城の野郎も速度と連携…慣れてきてやがるな)
この短時間で凄まじい飲み込みの速さだと一護も驚かされる。
特に和泉と東城の2人――あの二人は頭がキレる。和泉は普段からそうだが東城のここ数日の謎の状態。気になることは山済みだが――
「どうよ!あたしの二刀は!」
「ちょっとずりぃとは思うぜ…!!」
二人の剣が軋み火花を散らす。
「そこに!」
そう声を上げた月歌、気づけば周りに逢川、カレン、タマの3人が飛びかかっていた
「殺人鬼と!!」
「サイキッカーと!!!」
「元艦長を添えます!!!!」
「なんだよそれ!!!!」
ツッコミながら一護がその場から消え去り回避。行き場を失ったカレン達が続々と地面に突っ込んでいき土煙を立てる。
「相変わらずそれズルい!!!」
「うるせぇ!!」
一足先に土煙から抜け出し、再び二刀流を振りかざす月歌に一護が応じる。
「てかそろそろよくねぇか…!?」
左手の一刀を避け、右手の一刀を天鎖斬月で迎え撃った一護が月歌に問いかける。
「確かに…アタシもそろそろ疲れてきたんだけど…!」
「もうお前らは充分反応出来てるからよ…!!――司令官、そろそろいいんじゃねぇの!?」
恐らく声も聞こえているであろう小型カメラに向けて一護が叫ぶ。
――――
「…と言っていますが、どうします司令官」
モニター越しの一護の声を聞いて七瀬が司令官へと問いかける。
「そうね、もうデータは大半集まったし彼女達の反応速度も基準以上に成長している――七瀬、キリのいい所で辞めさせなさい」
タブレット型の端末を見ていた司令官がそう言い、七瀬もそれに従う
「了解しました」
――――――
『31Aの皆さん、そろそろ訓練は切り上げと致します』
「やっとか…!」
電子軍事手帳越しに聞こえた七瀬の声でそれぞれが戦闘態勢を解く。
「チッ…」
カレンだけは唯一それでもやり合おうとしていたが、少しの葛藤の後セラフを納めた。
「はぁ……いって」
「思い切り撃たれてたね一護」
血が出ている額を抑えながら文句をこぼす一護、横に立っていた月歌がくすくすと笑いながら言う。
コイツら俺なら何してもいいと思ってねぇか…?と思いつつその撃ち抜いた当の本人に視線を移す。
「東城の野郎、今回は和泉に抱えられてるな…」
視線の先にいる東城は、あの時と同じように頭を抱えて今にも倒れそうになっている。横にいた和泉が心配しながら抱えていた。
「あちゃー、この後もなにゃん呼んで訓練しようと思ってたのに…」
頭を抱える月歌に意外だなと思った一護。時間は大丈夫なのかと思いつつ電子軍事手帳を見ると――まだ数時間しか経っておらず昼頃だった。
(あんだけやってまだ昼かよ…)
内心頭を抱えながら歩く一護、月歌はまっすぐ前を見ながら答えた。
「うん、色々あるからね」
「俺も……ってて…」
その訓練に参加すると言おうとした一護だが、結構ボロボロであり今も尚血が流れていた。
「その調子じゃひとまずは安静だね」
「誰のせいだよ…」
「あははっ…まさかあそこまでやるとは思わないじゃん…」
「わかった、ひとまずは傷を手当してからにするわ」
そう言った一護がアリーナから出ようと1人31Aと違う方向に歩き出す。
(結局この訓練はなんだったんだ…、司令部の奴らは何を考えてやがる…)
代行証を取り出し人の姿に戻った一護、騒ぎになならないようにそそくさと傷を隠しながら医療室へと足を運ぶ。
その間もずっと、引っかかった司令部の行動に疑問を感じていた。
書きたい描写はたっぷりあるんですけどそれ全部詰め込んだら3章長くなりすぎてる気がして横転してます
もう少しお付き合い下さい…!!