死神の幻想   作:エヌラス

88 / 117
11月13日までは3章のネタバレ画像などは投稿しないで下さい的な感じの呼び掛けが公式からされてて、この小説も現在3章辿ってるので一応自粛してました(もう遅い気がするが)

後々、UA66000ありがとうございます!!まさかここまで進めるとは思ってもおらず本気で嬉しいです!!

これからもこの作品をよろしくお願いします!!

ちなみに私は新規蒼井まだ当てられてません!!!!!!!!!!!!!!


88.提案

 

 

「よう…いきなり呼び出して悪いな一護」

 

「俺は別に大丈夫だぜ、テメーらと任務にでてねぇ時は大体暇だからな」

 

セラフ部隊基地の割と隅の方にある時計塔、時計と言いながら本来は終末時計的な役割をしており――そこには残りの人類の数が記されていた。

 

一護自体この場所に来ることはあまり無いが、少し前に来た時よりも更に記されている人類の数が減っているような気がして顔を逸らした。

 

そしてその時計塔はもうひとつの役割がある、少し階段を登ればその先に少し景色を見渡せるようなスペースがあった。

 

茅森達のいる寮の屋上のバルコニーのような豪華さはなくともここから見る景色はまたひとつ違う綺麗さがある――そこの隅の方に和泉が立っていた

 

 

「頭の傷…思ってたより重症みてぇだな…」

 

 

「油断してた俺がわりぃから、気にすんな」

 

 

一護に気付き――続いて頭に巻いてある包帯へと視線を移す。

 

心配の声を漏らす和泉に一護が手で制す。

 

実際正直あそこまでやってくるとは思わなかった一護自身の油断と、少しばかりの傲りが招いた結果だ。ある意味彼女達を舐めていた自分への戒めにピッタリなのかもしれない

 

「んで……話ってのは?」

 

「ああ…あのな」

 

そんなことを言いに来たんじゃないだろう?という雰囲気を出す一護に和泉が空気を読んだのか態度を改めて口を開く。

 

「お前はさ……」

 

顔を少しだけ一護から逸らして気まずそうに――

 

 

 

 

 

 

 

「お前はさ、命よりも大切なことがあるって……そう思うか?」

 

 

 

 

 

 

と言った。

 

 

「和泉……」

 

 

 

「私は命よりも大切なことはねぇって思ってる、しかも仲間の命まで背負う立場になったら余計だ…」

 

「…………」

 

「それなのにアイツは、仲間の命も…自分の命も危険に晒してまで進もうとしてる。それが私には許せねぇんだよ…」

 

和泉の指す”アイツ”が茅森月歌のことだというのはすぐに分かった。現実問題あの喧嘩から数日が経っているが2人が仲直りする気配は未だ訪れる兆しすらない

 

だがまさかそのことで和泉ユキから呼ばれるとは、正直一護は驚いていた

 

「命はさ、当たり前だけど1個だけだ――しかも簡単に失うし他人から奪うヤツだっている」

 

「……」

 

「しかも今の世の中はこんなんだ、命が軽く扱われることがあるかもしれねぇんだぞ。あたしはそんなの絶対に許せねぇ…許しちゃいけねぇんだ――それなのにアイツは……」

 

そう言って少し悔しそうに顔を歪めた和泉が自身の頭に手を置く。掻きむしりたいだろう衝動を必死に抑えて…手が迷子になりかけていた

 

「アイツは……命は大切って言ったんだ」

 

「ああ、俺も聞いてた」

 

「だけどよ、自分の命なら……危険を冒してもあそこに行くって…」

 

「……」

 

「あたしらの気もしれないでひとりで先走ろうとして……他の奴らもそうだ。自分が危険な目に合うかもしれねぇのにアイツについて行くっていって…!」

 

いつからか、悔しそうな顔に涙が溜まっているのを一護は見た。

 

「あたしは…命を軽く扱う奴が許せない…、ましてやアイツは仲間なんだ。どうにかして止めて…!今からでも引き返せるって……」

 

「――和泉」

 

「……?」

 

珍しく取り乱しそうになる和泉を、一護が名前を呼んでとりあえず落ち着かせる。

 

「――お前の言ってることは正しいよ」

 

「…黒崎」

 

「でも俺は月歌の気持ちも理解出来る」

 

「…っ」

 

肯定され、少し気が楽になりかけた和泉。だが一護が次に発した言葉に少し息を詰める。

 

「確かに命は1個だけだしよ、周りの気持ちも気にせずに危険を冒そうとするアイツは許せねぇよな」

 

「…そうだな」

 

「しかも周りの奴らも結局着いてっちまったし、そうなりゃなんか自分が正しくねー事してるみてぇで嫌になるよな」

 

「…ああ」

 

「――――でもよ」

 

一護はそう言って和泉から目線を上げ、時計塔からの景色を眺める。

 

和泉もそれにつられて景色を見る。この状況に似つかわしくないほどの快晴の空に――少しだけ和泉の心が揺らいだ

 

「俺も昔、仲間に命を粗末にするなって怒られた立場の人間だからよ――どうしても両方の気持ちが分かっちまう」

 

「お前…」

 

「だからどっちの肩を持つとか、そういうことは出来ねぇな」

 

 

黒崎一護も決して和泉ユキの言葉に全賛同できる訳では無かった。というか和泉に怒られる側の立場の人間である

 

決して命を軽んじている訳では無い、だが目的の為なら自分の命ならどれだけ危険に晒されようがお構い無しだった一護には――どちらかと言えば月歌寄りなってしまう

 

死神になったばかりの頃、自分に力を分け与えてくれたヤツを救う為に13人の隊長がいる場所へ殴り込みに行った時も

 

大切な仲間が攫われた時に、他の奴らの力を借りれないとしても――自分一人でも乗り込もうとした時の事を。

 

そしてそれを見透かされて、着いてきてくれた仲間のことを今でも鮮明に覚えている。

 

 

 

『俺達を信じろ…その為の仲間だ』

 

 

一刻も早くという焦りの中で視野が狭くなっていた一護自身に拳で語りかけてくれた友の声

 

 

『私は、貴様に護られる為にここに来た訳では無い…!』

 

 

一護の中で庇護対象になっていた彼女が、実は自分よりも強かったということを

 

 

言葉を交わし――時には拳を交わして一護は今まで戦ってきた。

 

 

 

「なぁ、和泉…」

 

「…なんだよ」

 

そんな男が送る、まぁなんとも不器用なアドバイス。彼女ならとっくの昔に思いついていてもなんの違和感もない――そんな言葉

 

 

「こんなことしか言えねぇけど――アイツともう一度2人きりで話してみたらどうだ?」

 

その言葉に和泉の肩が少し震える。

 

「……」

 

「お前俺より頭いいからよ、とっくの昔にもう分かってることかもしれねぇし……今はただそれを行動に起こせてねぇだけもしれねぇ」

 

そのままズルズルと引きずれば必ずどこかで後悔が生まれてしまう。そうなってしまえば取り返しがつかない。

 

そんな思い、彼女には残酷すぎる。

 

「あいつらはオペレーション・ベガの最中に事を運ぼうとしてやがるぜ……それまでに話してお互いの本当の気持ちってやつを語り合わねぇと――後悔しちまうぞ」

 

「……分かってた事だよな」

 

黙っていた和泉が漸く口を開いた。どこか納得したような表情した和泉の顔を見た一護が静かに

 

「…おう」

 

とだけ答える。

 

 

 

 

 

 

「ちょっと……!困るじゃないか、あたいのハッカーのユッキーを誑かしてもらっちゃ」

 

 

 

 

 

 

 

2人の間に少し、絆が育まれた瞬間――突如として現れた第三者により場の空気はぶち壊されてしまった

 

 

「アンタ…!!」

 

「あんたは…」

 

その声の主を目で見た瞬間、一護は驚きに包まれ和泉は少し分かっていたかのような反応をする。

 

そんなふたりの顔を往復で見て少し笑った――蔵里見

 

「……盗み聞きとは感心しねぇな」

 

突然の登場に一護の空気が少しばかりピリつく。個人的に彼女が関わるとどうもめんどくさい事に巻き込まれた経験から一護は無意識に警戒していた。

 

「別に、たまたまここに来たら2人の話を聞いちまった……それだけさ」

 

白々しい態度を貫き通す蔵に一護は問いを投げる。

 

「…アンタ、どこまで知ってんだ?」

 

「ほぼ全てって訳じゃあないけど――そこのハッカーさんと月城ちゃんさ」

 

「なん……だと?」

 

まさかの人物……和泉ユキと月城最中の登場に一護が再び驚愕に見舞われる。直ぐに和泉の方に目線をやるが

 

「悪い…」

 

とだけ言って顔を逸らした。その反応に蔵の言葉が嘘ではないと知らされる。

 

「とは言っても月城ちゃんは嘘が下手だからねぇ、ココ最近ちょこっと様子がおかしかったもんだから……」

 

「………」

 

内心(何やってんだよ…)と思いつつひとまずは大方の情報を把握した一護。イージスタワーの存在はおそらく簡単に知ることが出来る。

 

だが司令部からは奪還は命じられていても内部に立入ることは禁止と念を押されている……と月歌から聞かされていた。

 

(どうする…?ここでコイツをそのままにして上にでもチクられてみろ、俺も31Aもどうなるかはわかんねぇぞ…!)

 

富士山の事もある、あの司令部なら記憶の抹消など簡単にやってきそうだ。

 

「そんな警戒することはないだろ?」

 

「そこまで知られてて、どうやって警戒を解けってんだよ…」

 

「別にあたいはあんた達が何やろうが知ったこっちゃないよ――でも月城ちゃんを巻き込むなら話は別だってだけさ」

 

「月城…あいつは別に茅森に利用されてついてる訳じゃねぇぞ。アイツは自分の意思で茅森に着いてってるんだ」

 

 

 

 

「知ってるさ…ずっと月城ちゃんは――――――探ってたからね」

 

 

 

 

「……」

 

少しだけ哀愁漂う表情をした蔵、探っているのは恐らく軍のことだろうと内心思う。

 

なら何故蔵はそれを止めようとする…?

 

「それはともかくだ、あたいもそこのハッカーのユッキーも利害の一致で組んでるってわけさ」

 

「あいつらはもう腹括ってんだ…、今更手出しは――」

 

「だからアンタに提案があるって話だよ」

 

「――提案だと?」

 

衝撃の事実を叩きつけられ、更に警戒を高める一護。だが蔵はそんな一護を見ても特に何も思ってはいないのか――提案まで押付けてきた。

 

こういう時の提案というのは大方こちらが得することは無い。だが一応耳は傾けておくのが一護の甘さだった。

 

 

 

 

「アンタもあたい達につこうって気は無いかい?」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。