俺ですか!!俺はまだです!!(血の涙)
アイドル蒼井さんなら出てくれたんですよね!!可愛い!!!
「お前…何言ってんだ…?」
未だ敵対心を燃やす一護に対し、蔵が提案してきたのは”自分たちと組まないか”。そういう言葉だった。
予想外の方向から殴られた感覚の一護が絶句する。だが蔵はそんな事お構い無しに言葉を連ねる。
「別にそこまで考えることでもないだろう?、アンタだって茅森達を危険から遠ざけたいはずさね。あたいも護りたい、そこのハッカーのユッキーもそう――悪い話じゃないと思うけどね」
「……」
実際、黒崎一護が抜ければ今の31Aは戦力不足になるだろう。参謀役に近い和泉も抜けた今では、いくらセラフ部隊最強である月城最中がいたとて劣るはずだ。
そうなれば自然とイージスタワーを諦める流れとなり最初のように和泉が危惧していた命の危険から少しでも遠ざけることが出来るのかもしれない。
だが……そんな事、黒崎一護が納得する訳がなかった。
「……俺はお前にはつかねぇよ」
「おや…アンタなら茅森達を危険から遠ざけたいって考えてると思ったんだけれどねぇ」
「ああ、危険から遠ざけてやりたいのは事実だ。だが今回はさっきも言った通り……アイツらが決めて進もうとしてんだよ、それを邪魔する権利なんてねぇよ」
「……それが軍規違反だとしても、かい?」
「……ああ」
それがどういう”意味”を指すのか、その場にいる一護、和泉、蔵――全員が分からない訳が無かった。
もし仮に今回の作戦の最中で抜けてしまい、それが上にバレてしまえば重大な軍規違反になりかねない。
「……軍規違反なんて、するもんじゃあ無いよ」
「それでも進むって決めてんだよ」
「はぁ……これじゃ言葉で話してもわかんないみたいだねぇ」
「……」
蔵がやれやれと首を振り、懐から電子軍事手帳を取り出す。
「言葉じゃダメなら力……か」
その意味を何となく察した一護も、懐から代行証を取りだした。和泉がゴクリ…と唾を飲む。
「――やっぱやめたよ、今のアンタ怪我してるじゃあないか……」
「……え?」
張り詰めた空気が暴発――――の前に、蔵がはぁ…とため息を吐き力を抜いた。それにつられ間抜けな声を漏らした一護。
「そんな状態の後輩と手合わせする程、あたいも大人気ないって訳じゃないからね」
「……ひとまずお預け、ってことでいいのか?」
「そうだね、でもどこかでいずれやり合おうじゃないか……お互い譲れないものがあるってんなら」
「べつにそれならわざわざやらなくても、お前らがたまにやってる討伐数とかで競えば――」
「アンタ1人じゃキャンサーすら倒せないじゃないか」
「ぐっ…」
「それに、あたいも気になったのさ――刃に籠る想いの熱ってのが」
「アンタ………」
「あ、そういうことさね――それじゃ」
そう言って蔵がその場から去っていく、しばらく警戒した一護だが相手の気配が完璧に消えると警戒心を解いた。
「――あー、なんか悪ぃな」
「なんでおめぇが謝んだよ…」
申し訳なさそうに頭に手を回す和泉に、一護が首を傾げる。
「なんか、めんどくさい事に巻き込んじまったみたいでよ」
「別にいいさ、面倒事はよく押し付けられてたしな」
それに最後に蔵が言っていた刃に籠る想いの熱…、その言葉を聞いた瞬間一護は心中で思った。
決して蔵里見は悪意があってああしようという結論に至った訳では無いと。
「ひとまずテメェと蔵が繋がってたのは驚きだったな、いつからだ?」
「あいつと喧嘩して……月城最中が協力するってなった時だよ」
「……そうか」
それ以上は敢えて聞かないでおく一護。誰にだって探っていい部分と探ってはいけない部分というものがある。一護も様々な相手との出会いでそれを学んでいた。
「なぁ和泉」
「…なんだ?」
「アイツにはお前がいてやらねぇとダメみてぇだぞ……何せあんなヤツだからな、誰かが傍で支えてやらねぇと」
「……」
一護の問いに、返事が返ってくることはなかった。図星か――あるいは全く違う理由か、だが一護は何故か後者では無いという確信があった
「作戦迄には、あいつと話しておけよ。たとえそれで喧嘩することになっても……本心で語り合わねぇと後悔することになるからな」
「……わかった」
_________________
「……」
和泉と別れ暫くアテもなくほっつき歩く一護。別に部屋で大人しくしているのもありだがそれだとなんだか落ち着かなかった。
基地内も大型作戦に伴い、物資搬入などで様々な人が出入りしており――それにあてられたせいか…
それともどこか心の中で、焦っているのか
(……クソッ、何焦ってんだよ俺は)
思い返せばオペレーション・プレアデス以降様々な問題が一護を襲っていた。
何やら不信感の募る手塚司令官の言動。
白哉が言った今回の騒動の発端、その正体がフラットハンドの可能性があるということも
そして時々感じるこの霊圧のざわつき。コンが言っていた何故死神の姿が茅森達に平然と見えているのかという違和感…
――そして極めつけはもしフラットハンドを利用し、元の世界に帰れたとしてもこの世界に未練があること。
だが討伐してしまえば恐らく、一護達は永久的に元の世界へと帰るすべを無くしてしまうこと。
「あークソっ…」
悩めば悩む程混乱していく脳内に一護が悪態をつく。相談すると言ってもこんな事を誰かに相談してしまえば少しばかりパニックになるだろうし、第一手塚司令官の事なんて相談してしまえば危ないことに巻き込みかねない。
「…あ?」
直後だった、思考していた一護の頭に布のような物語ふぁさ…と降ってきた。
「カー!」
「カラス…?」
一護の頭上付近を飛ぶカラスに目線をやりながら、頭に降ってきた布切れを取り出す。
「んでこんな所にカラスがいんだよ、オマケにイタズラまでしてくる畜生カラ………………ス」
1人愚痴りながら布切れを見る一護。可愛らしいヒラヒラがついたピンク色のものを見た瞬間に一気に顔が青ざめ言葉が詰まる。
一護の手のひらにあったのは
――――女性用下着だった。
「んで、テメェんとこのカラスが俺にこんなもんぶつけてきやがって……それを俺が盗んだみてぇな扱いを受けたんだが説明は?」
「本当に申し訳ございませんでした」
元からボサボサの髪の毛がさらにボサボサになり、全身にチラホラと傷が増えた一護、その目の前で誠心誠意を込めた土下座を見せていた少女がいた。
彼女の名前はアイリーン・レドメイン、第31X部隊に所属しているセラフ部隊隊員らしいが……
「ったく散々な目にあってんだよこっちは…!!」
「おっしゃる通りです、誠に申し訳ないです…」
女性用下着が降ってきた直後、混乱して固まる一護の前に……恐らくその下着達の持ち主であろうセラフ部隊の人間からこっぴどくボコられた。
精神的にも肉体的にもだ……
最低だのやっぱり男は獣などと言われようのない暴力をぶつけられている最中に、アイリーンが一護とその女性達に割って入って助けてくれたのだ。だが……
『あたしのジェイミーが本当にごめんなさいっ!!』
助けてくれたのでは無い、まさかの帳本人だったのだ。
その後攻撃対象が彼女へと変わりこっぴどく叱られたあと下着を隠してふたたびどこかへ行くセラフ部隊の女性達。
何となくその場を離れようと思ったが、なんだかんだ見捨てられずに今に至る。
ちなみに今は額に青筋を浮かべる一護を必死になだめようとアイリーンが土下座をしている最中だった。
「ってか、カラス買ってる奴がセラフ部隊にいるとはな……」
「はい、あの子はジェイミーといって私がロンドンにいた頃から一緒に過ごしてきたんです!」
そう言いながら肩に乗るジェイミーというカラス。
「カラスは頭が良いって聞くけど、テメェのカラスはなんかちげぇ方向に進化してねぇか?」
「そうですね…この子は賢いんですけど、なんでか下着泥棒を繰り返すんですよ……はぁ」
「名探偵みてぇな見た目の割に下着泥棒解決できねぇのかよ……」
「ムムッ…!?失礼なっ……!あたしだって色々してるんですから!!」
「……例えば?」
この場所にきてからというもの、大体色々しているという奴ほど、なぜか信用できなくなっていた
「あたしの下着を差し出したりとか!!――全くもって反応してくれませんけどね!ハーッハッハッハ!」
そう言って胸を張るアイリーンの目からはハイライトが見事に消えていた。一護もその理由は何となくわかった、さっきの下着といい比較的大きいサイズだった気がする。
つまり……そういうことだ。目の前のアイリーンという少女には――うん。
「なんですかその同情の眼差し!?」
「あーうん、なんか悪ぃな…」
「それやめてください!!余計に傷つくんですけど!?」
「……おう」
「さっきみたいに悪態ついてくださいよ!」
「なんだ……その、まぁ……がんばれよ」
「ああああああああああ!!」
完全に同情のスイッチが入った一護に、アイリーンが頭を抱えて絶叫した。
「――それにしても、あなたがあの黒崎一護さんだとは……」
場所を移し、カフェテリアへと足を運んだ二人、一護も何だか可哀そうだなと同情スイッチ全開のため飲み物を奢っていた。
「いつも思うけどよ、俺の名前ってそんなに広まってんだな」
ショップなどでも遠巻きに珍しいという扱いをされる一護、いつもそれを不思議に感じていた。
「当たり前じゃないですか!」
「……そうなのか」
「セラフ部隊は本来女性のみで構成された軍隊です、それに男性が入りしかも素性は一切不明となれば好奇心の目は向きますよ」
「わかんねえもんだな、お前らの好奇心の目ってやつは」
「あたしも名探偵として探りを入れてはいますけど……」
「……さらっと怖えこと言いやがったぞこいつ」
頭をひねりながら呟くアイリーンに一護が内心ぞっとする、それと同時に名探偵なのはその見た目だけではないんだなと思った。
「尸魂界とかなんだとか……あたしには果て何のことやらです」
「っ!?」
「おや、驚かれたみたいですね。それじゃああながち尸魂界という情報は間違いではないと……」
尸魂界という単語がアイリーンの口から出てきたことにビクッと体を震わせた一護。
だがアイリーンはそれを見逃すことはなかった、それどころかその反応で確信に至ったと――そんな反応を示した
「……随分物知りじゃねえか」
「名探偵ですから!えっへん!」
案外侮れないなとおもう一護に対し、無い胸を張るアイリーン。
「まあ別に知られて困ることでもねえけどよ、あんま踏み込みすぎるもんじゃねえぞ」
「それを決めるのはあたしですよ、まあここであなたから色々聞くのもありですけどね」
「悪いが今は話す気にはならねぇな」
「そうですか、それは残念です」
「随分素直じゃねえか」
「あいにくあたしも今は別のことを追ってる身なので、ひとまず危害がない貴方達は後回しというわけです」
「……そうか」
「はい、一護さんもくれぐれお気を付けてくださいね」
「……?」
突如神妙な顔つきになるアイリーンに、一護が頭に?を浮かべた。アイリーンは一護の耳元まで口をちかづけ耳打ちする。
「松本拠点付近にあるイージスタワー、あそこにはセラフ部隊の根幹にかかわる何やら大きな謎が秘めてあるようなので」
「おま…それどこで――」
反射的に叫びそうになる一護だったが、アイリーンが口を抑え事なきを得る。
「一護さん、さては嘘とか隠し事へたくそですよね」
ひとまず黙った一護に対し、アイリーンがジト目のような目を向ける。
「わ、悪かった…」
「まあ、そういうことなので……飲み物代だと思ってください」
「あ、ああ……だがなんでそれを俺に?」
「それは貴方と31A、月城さんにでも聞いてみては?」
いたずら気味にほほ笑むアイリーン、正直一護は生きてる心地がしなかった。一挙手一投足が何かしらの情報となる気がしたからだ
「……どこまで知ってやがんだよ」
「さて、どこまでですかね」
「……まあ、ありがとよ」
「はい、また会いましょう」
「……」
そういうとアイリーンはどこかへ行ってしまった。一人になった一護は天を見上げる。
東城つかさの母親がセラフ研究所にいたということを聞いた時点で何やら大きな事柄に巻き込まれている感覚があった。
だがアイリーンはセラフ部隊の根幹にかかわると言っていた。
(イージスタワーには、なにがあるっていうんだよ)
さらに悩みの種を渡してきたアイリーンへと、一護は心の中でそう思うのだった。
次の話からようやくヒユさん視点に多分戻ります、色々設定的なのを固めててなかなか戻れなかったんですよね…