ありゃ一体どういうことだってなってます!!(読解力ゼロ)
でもそら月歌に対してクソデカ感情抱くよなあの人ってなったのは確か…
「…だからアンタは月城を行かせたく無かったんだな」
「ああ、その通りさ」
全てを聞き終えた黒崎一護は、何かを察したように目の前の蔵へとその言葉を投げた。それを肯定するように頷いた蔵はそのまま視線を稲穂へと向けた。
「お前の大事なものだったんだろう…か」
改めてその言葉を口にする黒崎一護。
蔵から聞いた過去は、突っかかってくる蔵が一体何を考えているのか…それを指し示すのには充分な話だった。
目の前の田んぼを、自分が一番大事にしてきたものを守ってくれた___言わばヒーローのようなものだ。
月城は同じ仲間とはいえ他人の為に3日3晩、訓練の後にセラフを無断使用し、寝ずに土地を切り開いたという。そのお陰で無くなるはずだった田んぼは生き残り、その土地にジムや様々な物が建ち並んだという。
31Cの佐月マリのショップもまた、その恩恵を受けた1つの建物だった。
「そう、あたいはその無骨さの中にある優しさに触れた…それで胸を打たれたんだよ」
「それだけじゃねぇんだろ?」
「…そうさね、あたいは惚れ込んじまってる。月白ちゃんには大切な仲間もいることも知ってる…言わば片思いみたいなものさ」
「……」
「いつか振り返って欲しい、その一心で毎日新作グルメまで振舞ってさ…」
「でもそれを俺に言ったところで…」
黒崎一護の言う通りだった、自らの過去を明かし…だから月城を連れて行って欲しくないと言ったとしても今の一護にはどうにもできる状況では無かった。ただでさえ最近31Aと月城の内部での動きは活発になっている、一護自身そこに参加してはいないがチラホラとよく分からない隠れ方をしているところを見るからに動いているということが分かっていた。
本来なら参加したいのだが…生憎自分はそんなことに向いてるとは思ってもない、そして自分にも今は考えなければならないことが山のようにある。
だが目の前の蔵は、一護の思惑を見抜いたのか首を横に振った。
「んにゃ、茅森にも同じ事を近いうちに言おうと思ってる。アンタには…そうだね、一応ってやつさ。それに___あたいの裏工作も脆くも崩れ去りそうだしね」
「アイツらの結束はそう簡単には崩れねぇよ、茅森と和泉はな…アンタなら分かんだろ」
”裏工作”という言葉に一護も何となく察しが着いていた。少し前にそれでとんでもない雰囲気になっていたことは新しい。
「…そうだね、それにハッカーも言ってたよ。”茅森には死んで欲しくないって”」
「そうか…」
未だ2人は話し合った様子は無い。だがもし目の前の話が本当なら、きっと心配はいらないだろう
「2人が言い争ってる時、これは使えると思ったんだよ。上手く使えば…月城ちゃんを行かせずに済むって…」
「だがアイツらの絆はそれを上回った。アンタの計画は上手くいかなかった…そうだろう?」
「まだ2人は仲直りもしてないっていうのに…よっぽど信頼してるみたいだねぇ」
「当たり前だろ、俺もアイツらとはかなり歩んで来たんだよ」
その言葉にふふっと笑みを零す蔵。再び視線を一護へと移す。
「…こんな卑怯な工作をしてたあたいは1人稲穂に囲まれて余生を過ごすことを夢にしたのさ……だからさ」
「アンタもさっさと自分の悩みを解決させなよ」
「……っ!?」
何故___と言うよりも先に蔵が再び微笑む。
「そうやって悩んで抱え込む隊員は沢山見てきたからね、あたいの料理で心を解きほぐして悩みを色々聞いてやったもんだよ。だからわかる…黒崎、アンタも悩んでるんだろ」
「…ああ」
「アンタがそんな状態じゃあ月城ちゃんを任せてやれないよ、月城ちゃんの夢を叶えるのに…黒崎一護は必須なんだよ」
「アンタも、俺を買い被りすぎだ」
「何故そう思うんだい?」
蔵の問いに一護が拳を握り俯く。
「俺は強くなんてねぇよ、悩んで止まって…それに」
「それに…?」
「俺が……俺が居なくなったあと、アイツらはきっと苦戦する。”俺がいる31A”に慣れちまったら…、俺が居なくなっちまったら…それが俺は怖いんだ」
「……そうかい、今回の作戦…月城ちゃんの夢だけでもなく、アンタも朽木も何かを成し得ようとしてるんだね」
「…ああ」
「まぁ、大方予想はつくけど…それこそ心配いらないよ」
「…?」
「黒崎、アンタ前に言ったろ?__茅森達は弱くねぇって」
「……」
「そう言ってるアンタがそんな状態でどうするんだよ、アンタの力は確かに強い…あたい達をも凌ぐかもしれない。だけど31Aはそれ以上に強いんだよ、アンタなんか屁でもないくらいにね」
指をさして大きめの声でかなり辛辣な言葉を投げる蔵に、一護が力無く笑う。だが心の奥底では少しだけ心地よかった。
「……ボロカスじゃねぇかよ」
この世界に来てから今迄、こうやって説教を受けた事は無かったはずだからだ。皆優しいから
「アンタのそれは”思い上がり”って言うんだよ、あたいらセラフ部隊を馬鹿にしてるのかい?」
「……悪ぃ」
馬鹿にしてる訳ではなかったし、もちろん思い上がったつもりなんて無かった。でもそれはあくまでも自覚がないというだけ…もしかすれば自分は思い上がっていたのかもしれない。
死神の力を使って戦う自分は強いと、いつの間にか彼女達を自らの庇護対象にしていたのかもしれない。
「……ってな訳で、アンタなんか居なくてもあたいらは強いってことさ」
暫く凄まじい言葉の矢を受けた一護、蔵も何故かスッキリしておりもしや自らのストレス発散も兼ねていたのか…?と一護は疑う。
だが少しだけ、自分の悩みが晴れた気がする。自分がいなくなる事になんの未練も残す必要なんて無かったんだ。彼女達は強い、心配なんていらない…と
(後はそれをアイツらにどう伝えるかだ)
黙って居なくなるほど寂しいものは無い。だがもし居なくなると言ってそのまま帰れなかった場合のことを考えてしまう……
そうなるとそれから先どう彼女達と接していけばいいのか今の一護には想像すら出来なかった
__やはり黙っておいた方がいいのだろうか、最悪自分の部屋に書き物を1つ置いておけばまだアイツらなら理解してくれる……
『一護も31Aの仲間!だから困った時はあたし達を頼って、それが仲間っていうもんでしょ??』
『月歌…お前いいことは言うよな、いいことは…』
そうして思考を纏めようとした時だった、ふと…ある日の茅森月歌と和泉ユキの姿を思い出した。
珍しくいい事を言う月歌に横にいた和泉が少し驚きながら言葉を放つ。いつもの見慣れた光景。
その時の一護はそうだな、とだけ返事を返した記憶があった。だがどこか…壁を1枚置いていた。
苦難に立ち向かうアイツらを護るのはなんとも思わなかったし、それが一護にとっての当たり前だったはすだ
だが白哉に干渉しすぎるなと言われたあの日からその壁が分厚くなった気がした。怖かった……もし自分がいなくなりそれが彼女達の心の穴となり、その穴を突かれ生命を落とすことになるのが…
白哉が居なくても自分が残ればいい、そう考えてもいたがもしそうなれば……石田や茶渡、井上やルキアに二度と会えなくなる可能性があった。
「…」
だがこうして今、蔵と話をした一護の迷いは僅かながら晴れていた。
そうだ、彼女達は弱くなんてない。自分達が居なくても平気だと……元々俺達は居ないはずの存在だったから、少しだけその世界線が歪んだだけと思えばいい。
(……せめて、31Aの部隊長である茅森には話すべきだな。)
「考えが纏まったみたいだね」
自らの頬を叩き、深呼吸をした一護を見た蔵がまたまた心の中を見透かして微笑んだ。
「少し晴れたってだけさ。でも…そうだな、アンタのおかげだ」
「いいさ、あたいも色々と聞いて貰ったからねぇ…明日茅森とも話すつもりだけど、異性と話すよりももっと近い話をするかもしれないからね」
「……お、おう?」
「そんじゃ、悩みを聞いたってことで少しばかりあたいのワガママに付き合ってもらうよ」
「え…?」
そう言うと目の前で屈伸などをし始めた蔵、それを見ていた一護の顔がポカーンとなる。
「アリーナだよ、あたいの憂さ晴らしさ」
見つめていると、蔵がまるで当たり前のことを言うようにそう言葉を吐いた。
「明日もこのある意味失恋話を茅森に話す、その前に少し憂さ晴らしをしてスッキリしておきたいんだよ。あんたとぶつかってね」
「は…??今から!?ってかなんでそう…えぇ!?」
「付き合わないってならそれはそれでいいさ、キャンサー相手に憂さ晴らしするだけだからね」
「じゃあそれで良くねぇか…?」
「人とAIとじゃやってる気分が違うだろう??___それに、アンタが言うより先に31Aの部隊長に一足早く伝えたら、彼女どんな反応するだろうね」
「……やります」
まさかの脅し文句を言われ、その場でピシッとなる一護。それを見た蔵は再び吹き出して___
「素直でいいこだね」
とだけ伝えた。
______________
「………はぁ」
白哉が居なくなった後、1人になった月歌。暫くベンチに腰かけ…夜空を仰ぐ。それっぽく懐にあったシガレットチョコを取り出し、1つ口に咥える。
(一護が居なくなる…か)
口中にシガチョコの風味が広がる中、茅森月歌の心は甘くはなく、夜空のように澄み渡ってもいなかった。
分かってはいた事だ。だがいざこうして目の当たりにすると気分は良くない。
(一護には一護の場所があって、仲間がいて、やるべきことがあるんだろうなあ…だってあんなに傷ついてまであたし達を護るから、向こうでもきっと無茶やってきたのかな)
もし、一護が消えて、その思い出が消えるなんてことがあったら。それを考えると流石の月歌も恐怖がふつふつと滲む。
(ユッキーとも、一護とも離れちゃうのかな)
そうなったら、と考えると心が苦しくなった。
その同時刻、アリーナでは一進一退の攻防が繰り広げられていた。
あ、そういえば最近禁書目録にハマりました(今更)