死神の幻想   作:エヌラス

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5章中編のワッキーがイケメンすぎて惚れる。

そして令和にAquaTimezが限定復帰してBLEACHの新曲出してくれるとは神か??

このまま次のシーズンのopもしくはedを担当してくれ…!!


97.月歌の想い、一護の想い

 

 

「…っらァ!!」

 

目の前でよろける中型キャンサーに斬魄刀を突き刺し上へと斬りあげ撃破、そのままの勢いで後ろの小型キャンサーへと攻撃を叩き込む。周りのキャンサーは既にデフレクタを割られており一護の攻撃を防ぐ術を既に失っていた。

 

「はぁ…はぁ…」

 

戦闘終了後、一護も含めた31A全員は肩で息をしていた。

 

 

『撤退までの掃討戦だから、難易度は低いはずよ』

 

フェーズ6の訓練が始まる前に司令官が伝えられた言葉を一護は思い出す。

 

(確かに難易度は低い、一体一体は大した強さじゃねぇ――――だが)

 

数が多すぎる。それだと例え大した強さではなくともいつかは体力を削られ致命傷になる可能性だってあった。

 

(これをあいつらにフラットハンドを倒した後にさせる気なのかよ……!)

 

作戦通りに全てが運ばれることが出来れば、このフェーズ6の時に既に一護は居ない。それを考慮してあまり手を出さないようにしていたのだが戦闘に戦闘が重なりやむを得ず参加せざるおえなくなってしまった。というか司令官には伝えていない為余り変な動きをしてしまえばかえって怪しまれる。

 

(そうじゃなくても俺と白哉は監視されてるってのによ…)

 

「……予想外にハードだった」

 

「ええ、和泉さんの砲撃が無ければもっと苦戦したかも」

 

「……東城も砲撃担当だろ」

 

口々に戦闘に対する不満?が漏れる中和泉だけは未だ平然と冷静を保っていた。息は乱れているものの戦闘続き特有の精神的な焦りは無かった。

 

「……よし、進もう。早くポイントに向かって終わらせようぜ。みんな」

 

それは月歌も同じようで、数秒までセラフを地面へと突き刺していたはずなのに今は汗が滲む顔を手で拭い仲間へと声をかけていた。

 

「うん」「おう」「はい!」「ええ!」「……」

 

それに一瞬で全然の纏う雰囲気が払拭される。それには一護も驚いた。

 

(ほんと、アイツはカリスマ性ってやつがすげーんだな)

 

「……ん?一護、どうかした?」

 

「いや、なんでもねぇよ」

 

顔を見つめすぎたのか、流石に気付かれ彼女と目が合ってしまう。

 

「そっか、一護ももう大丈夫だよね」

 

「おう、いつでもいいぜ」

 

「うん」

 

一護を気にかける言葉に本人は大丈夫だと伝える。すると月歌は少しだけ目を伏せて再び前を向いた。

 

――――目の前には再び、キャンサーの群れが見受けられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、全隊員。デフレクタ残量は安全数値内で撤退完了ね。お疲れ様、これで訓練は終了よ」

 

あれから何時間が経っただろうか、幾度となく失敗や司令官からのダメ出しをくらい様々なフォーメーションや立ち回りを試した気がする。

 

そんな中訓練の終了は突然告げられた。気づけば全員五体満足、デフレクタも安全数値内でフェーズ6を終わることが出来た。

 

「やった!」「やりました!」「やっとか…!」「ふぅ…」「大変だったわね…」「……」

 

元のアリーナの景色へと戻った瞬間にセラフを収め様々な言葉を口にする。月歌は床に大の字で寝転んでいた。

 

「明日は休養日とし、明後日9時より作戦開始とします。装備一式を準備した上で7時にヘリポートへと集合してください」

 

(いよいよ明後日……か)

 

一護にとっても月城にとっても明後日は今まで以上に重要になる作戦だ。

 

今考えても今回のイージスタワー潜入作戦は厳しいものとなるだろう。ただでさえ軍の作戦は過去に類を見ない激しい戦いになる、それを抜け出し凄まじいセキュリティとキャンサーを超えて月城の望む情報を手に入れる。

 

(和泉は今の所作戦には関わらない、イージスタワー付近まで接近する秘密特訓も未だ実らずって話だ…)

 

聞けば聞くほど明後日になるまで何とかなるのか…?と言いたくなるが――自然とアイツらならなんとかなるんだろうなと考えてしまう。

 

「月歌、今日もやるんか?」

 

「うん、そのつもり――でもその前に少しだけ時間ちょーだい」

 

いつもの居残り訓練というものだろう、一護も今日は参加しようと考えていたが――ふと月歌がそう言った。もちろん全員休憩もしたかった為承諾を出した。

 

「あんがと――じゃちょっといい?一護」

 

「おう」

 

なんとその用事というのは一護だった。だが一護自身なんとなく予想がついてたのかは知らないがそのままスタスタと着いていく。

 

「……」

 

それを見届けた和泉は、言葉ひとつもなくアリーナを立ち去る。

 

「修羅場ね…!!」

 

茅森月歌を巡り、和泉ユキと黒崎一護が大激突!?というテロップが流れそうな空気を醸し出していた31Aがいたのはまた別の話……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、ここら辺ならいいか」

 

「……」

 

アリーナから離れ少し歩いた名前もない場所で月歌は立ち止まった。よくもまぁ人気のない場所を知っているなと感心しながら一護は月歌を見つめる。

 

「白哉から聞いたんだ、一護達がこれからしようとしてること」

 

「あンの野郎…」

 

何勝手に話してんだよ……と眉をピクピクさせる一護。作戦までに伝えようとしていた人の覚悟を返しやがれとここにいない朽木白哉に内心で悪態をつく。

 

「心配すんな、今回の作戦には参加する。月城がずっと追い求めていたものを掴む。東城の母親の真相も掴む。だがそれ以降……フェーズ6の時には俺も白哉もいねぇだろうから、てめぇらには迷惑掛けちまうかもな」

 

「そんな……、いきなりすぎるよ一護」

 

「悪ぃな、俺もずっと迷ってたんだ。この世界から離れてお前らは傷付くのは見過ごせねぇ……でも勝手に消えちまった俺を探してる仲間をほっとく訳にもいかねぇ。もう決めた事なんだ。お前らにはほんとに悪いと思ってる」

 

「あたしは、一護はこのままここにいてもいいと思ってる。戦力としてじゃなくて……1人のセラフ部隊隊員として」

 

 

自らの覚悟を話す一護に対し月歌の顔は至って真面目だった、真面目に自分を引き留めようとしている彼女に……一護は申し訳なくなってしまう

 

いつもの元気で背中を叩いて押してくれれば、何の未練もなく戻れるというのに……

 

「…………」

 

押し黙る一護に月歌が言葉を連ねる。その言葉はきっと一護を引き止めたいと――月歌が想ってくれていることだろう

 

「……正直あたしはさ、一護が居てくれたお陰で今まで進めたとおもってる。デススラッグを討伐できたのも、蒼井を助けられたのも」

 

「……茅森」

 

グッと、まるで思いを堪えるようにスカートの裾を掴む月歌の反応に、一護も思わずたじろぐ。忘れていた、目の前の月歌は31Aの部隊長である前に……年相応の女性だということを

 

 

 

「一護にも一護の世界があるし、仲間がいるのも知ってる。でも正直、あたしは一護にはこれからもずっと31Aでいて欲しいんだ」

 

もはやプロポーズにも聞こえるその言葉、その言葉に甘えてここに居続けるのも正直悪い気はしない。寧ろここに居ていいんだという言葉に安堵さえ感じてしまう。

 

「その言葉はありがてぇけど、それは出来ねぇな」

 

だが一護は優しく首を横に振った――それは出来ないと。

 

「……やっぱり?」

 

どこかわかってたような顔をする月歌に一護の心が少し痛む。

 

「お前も言ってる通り俺にも護るべき仲間が居る、今は何も言わずに置いてきちまったからな……これ以上心配かける訳にもいかねぇんだ。それにお前らにも随分迷惑かけちまった」

 

1度暴走した時、蒼井や月歌達が命を張って止めてくれたお陰で今一護はこうして立っている。逃げ出したって誰も恨まないのに。

 

そしてこれは言えることでは無いが、一護達がいることによりこの世界に少しずつ歪みが生まれている――あの日白哉にそう言われてから一護はずっと気にかけていた。

 

既に31Bの柊木は一護と触れて霊体が見えている。彼女は生まれつきだとかなんだとか言っていたが少なからずとも一護の霊圧まで知覚出来ているのは自分達が来てからだろう。

 

そもそもセラフ部隊全員に死神の姿が見えている事事態がおかしい事なのだ。本来なら知覚すら出来ないはずだった、きっとそれは一護達があの日干渉したからだろう……

 

それからの日々も、本来なら彼女達だけで切り開くはずの未来を一護は手助けしてしまった。

 

そこで起こり得るはずの事象の改変は色々と良くない事を引き起こすと、昔見た映画やドラマでも言われていた事だ。

 

「迷惑なんて……あたし達はそんなこと思ってないよ!」

 

「そう言ってくれるだけまだマシだな」

 

「そんなこと気にしてたの?一護はまだまだだなぁ」

 

「……ありがとな」

 

一護が感謝の言葉を出すと、月歌は一護から目を逸らして一面に広がる快晴の空へと視線を移した。

 

「どういたしまして――――でもあたしフラれちゃったなー」

 

「フッてねぇよ…!なんでそうなんだ!?」

 

いきなりの展開に一護が堪らずずっこける。その反応に月歌が笑い始める

 

「冗談だよ、じょーだん!」

 

「ったく…」

 

変なこと言ってんじゃねぇよ、と頭をかきながら一護が言う。月歌も笑いながら謝っていた

 

「でも良かった、もう迷ってなさそうでさ」

 

「……否定はできねぇし、気づいてたのかよ」

 

「あたし、部隊長だよ?」

 

「そことそこは関係ねぇだろ?」

 

「ナーイス観察眼!」

 

「んだよそれ…」

 

ドヤ顔を披露する月歌に一護が和泉がしそうな顔をする。

 

本気でこういう時のコイツは鋭いなと、そう思う一護だった

 

 

 

 

――――――――

 

 

「失敗したらどんな顔すればいい?」

 

「縁起でもねぇこと言うな…!!」

 

アリーナへと歩いて戻る途中、突如不吉な事を言う月歌に堪らず一護がツッコむ。

 

「だって、フラットハンドを使って霊圧?を探してその痕跡から抜け出すって無茶苦茶じゃんか。一護達を連れてった奴が今回のやつとは限らないし色々と心配……」

 

「あんなでけぇやつがぽんぽんとでる可能性は限りなく低いって俺は思ってんだ。お前らだって勘弁して欲しいだろ?」

 

「まぁそれはそうだね、初めてみた時はあれがマザーキャンサーってやつかと思うくらいでかかったもん」

 

「そのデカさなのに移動跡が一切無かったんだ、まるでその場所に飛んできた。そういう雰囲気だった」

 

「確かに、あの時見た映像やドローンの写真に移動跡は見てない……まさかアイツの力で?」

 

「さぁな、俺も白哉も飛ばされた時は必死で何が何だか分かんなかった。だけどあのデカさ……今のところアイツ以外に有り得ねぇ」

 

「つかさっちの母親の真相を知るのも大変になるけど、一護達も大変だな」

 

「ああ、でも諦める訳にはいかねぇんだ」

 

「あたし達、フラットハンドは全力で倒すよ。それ迄に解決するの?」

 

「戦場のどさくさに紛れて何とかするつもりだ。遠慮はいらねぇ……全力で戦え」

 

「うん、分かった」

 

「ありがとな、茅森」

 

「どういたしまして――――あとはユッキーだけか……」

 

言葉の最後で少し力が弱まる月歌。一護もまだ反対する和泉の考えを案じながらもやはり仲間として――そんな二律背反な思いを募らせていた。何度も言うがお互い間違っていない、だからこそどちらにも着くことが出来ないのだ

 

「ユッキーと喧嘩してから、色々も上手くいかないことだらけで嫌になっちゃうよ」

 

「お前はお前なりに頑張ってんじゃねぇか、そこら自信もってろよ」

 

「もなにゃんとの居残り訓練の時も全然ダメでさ……やっぱ凄いよユッキーは」

 

「じゃあ、アイツとも話さないとな」

 

「うん」

 

「おっ、やっと戻って来よったわ。おーい月歌ー!」

 

気が付けばアリーナ前まで戻ってきており、仲間へと声を掛けるとこちらに気がついたのかめぐみやタマ、可憐やつかさ……そして月城がこちらへと反応する。

 

「そういえば月城もいるんだったな……」

 

作戦に参加することは分かっていたが、まさかこうして特訓の時も参加するとは思わなかった――意外そうに一護が言う

 

「うん、もなにゃんは最強だけどやっぱりそれでも厳しいところはあるみたい。でも一護が来てくれれば怖いもの無しってやつだ 」

 

「あんまり期待すんなよ、デフレクタ割れねぇんだから……」

 

「期待してますよ、一護さん!応援はこの私、國見タマにお任せあれ!」

 

「テメェも戦うんだよ!」

 

「なんと……!?」

 

「いや、テメェらも討伐しろよ……!?」

 

気が付けばまるでデフレクタを割れば一護が何とかしてくれる、そんな雰囲気を感じ取った本人が叫ぶ。その言葉に全員が笑った

 

「ええー…」

 

すっかり元のテンションに戻った月歌が悪態を着いている。それを見た一護はコイツは相変わらずだなと思いつつも元通りの月歌に安堵する。

 

話せば分かり合える。それは世界を超えようが通用する……そういうことだ

 

(俺はコイツらを頼っていいんだ、心配する必要なんてねぇ……セラフ部隊だからな)

 

そうして合流し、そのままの流れでアリーナへと入っていく。

 

 

「……」

 

それを和泉が離れた場所から見ている事は、その場の誰にも分からなかった

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