繋がってしまった世界の整合性は取れるのか   作:干山 静玖

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 そんなこんなで情報整理と情報共有も終わったところで、本日は解散(とはいっても護衛を兼ねているため、同じフロアの向かいの部屋に今日泊まる守護者の個室はとってある)してそれぞれの部屋に戻ってもらった。綱吉はワンフロア貸し切りかつ、このフロアは基本的に自分たち以外立ち入り禁止としているため、この最上階フロアから3フロア下までは人が絶対に立ち入れないようになっている。

 もちろんホテルの従業員でも限られた人物(ボンゴレファミリーかつ守護者の部下である誰か)しか入れないように厳重なセキュリティシステムが組んであるため、もはやオーバーテクノロジーの厳戒態勢が敷かれている。そのため事情を知っている人間しか出入りできないフロアが続くため、従業員専用エレベーターでしか入ることはできないようになっている。

 

 緊急時に屋上を使って移動できるように、一応ホテルの利用客が乗れるエレベーター6台(南北にそれぞれ3台づつついている)にも屋上直通のボタンはあるが、非常時のみホテルのスタッフが持つ社員証(死ぬ気の炎をごくわずかに吸収し放出できる仕組みがあるらしい)とカメラへの虹彩認証で、スタッフ本人が使用しないと(波動が違えば)使えない仕様になっているらしい。なのでたとえ盗まれていたカードだとしても、本人が使用しない限り絶対に屋上まではいけない仕組みになっている。

 

 虹彩認証や指紋認証、声紋認証だとこの探偵世界と融合してしまった世界では、簡単に突破されてしまうことになるため、ボンゴレ技術部が研究中だった新たなセキュリティを構築&改良しまくり設置されたのがこのシステムだった。そのため、綱吉たちは融合前のマフィア界(自分たちのいた世界)なんかよりもよっぽど治安の悪いこの世界の表世界(融合後の表世界)にドン引きした。しかもその筆頭が、探偵世界の柱の一人かつ高校生で怪盗なのだ。もはや治安も何もあったもんじゃないと頭を抱える羽目になっていた。

 

 

 

――そして翌朝

 

 ノックの音と獄寺の「失礼します、十代目。起きていらっしゃいますか?」という声で、ぱちり、と眼を覚まして扉向こうへ「うん、入っていいいよ」と伝えた。すぐに「失礼します」と言ってロックを解除した獄寺が室内に入って来た。

 

 綱吉はこの5年間で随分と危険と隣り合わせな世界で過ごすことで鍛えられたため、どんなに深く眠っていても超直感で危険を知った時や、守護者の声掛け等にはすぐに反応して目が覚めるようになっていた。

 

 入って来た獄寺は、すぐに慣れた様子でハーブティーを淹れるためにケトルのあるキッチンへ歩いて行った。朝の目覚めの一杯はハーブティーじゃないと、日中も夜間も眠らないためだったりカフェインでしゃっきりするためにコーヒーや緑茶を飲むため、カフェインの取り過ぎに注意してこのようにすることにしていた。

 

 

 

「どうぞ」

 

「ありがとう、相変わらずいい腕だね。このブレンドやっぱり好きだな」

 

「お気に召して頂けて感無量です…!しかしこのバランスに落ち着くまでは、少々風味お口に召さない日もあったでしょうに…。素直に残してくださればいいんですよ」

 

 

 獄寺の言葉に綱吉は苦笑して、「そんな勿体ない事しないよ」と言った。

 確かに口に合わないかもな、なんて思ったこともあったけど、それでも次の日にはこのブレンドみたいに自分の口に合うハーブの組み合わせにして持ってくるもので、ひそかに実験に付き合わされていたであろう山本のお腹を心配する羽目になったりした。そのせいか山本は、獄寺の差し出すハーブティーに少し苦手意識を持っているのか、最近では綱吉が朝の一杯を飲み終わるころに訪ねてくるようになった。

 

 ……そのため、朝一番の綱吉を独り占めできると、ひそかに獄寺が悦んでいたのは言うまでもない。

 

 そんなこんなで朝の一杯を飲み終わるころになっても、山本もクロームも部屋に来る気配がない。いつもなら既に来ている時間は過ぎているだろうに一向に来ない。心配になった綱吉が時計を見た後、ちらりと獄寺を見上げたところ、爽やかな笑みを浮かべた獄寺が「今、2人は階下で対応中です」とだけ言った。

 

 

 

「え?対応中って何を?大分静かだけど。誰を?」

 

警察(サツ)です。何か事件があったようです」

 

「――……ゑ?」

 

 

 バッと時計を確認すると、獄寺が来てから優に30分は経っている。

 そして綱吉は布団から出て、シャワー後に着替えたばかりだった。そんな折に伝えられる異常事態に、思わず返事が出来ずに固まってしまったのは言うまでもない。

 

 綱吉は「なんで言わないの!?非常時じゃん!」と言いながら速足で玄関へ向かうが、獄寺はその長い脚を優雅に動かしながらうっとりとした目で綱吉を見ながら言う。

 

 

 

「少しでも十代目を独り占めしたかったので」

 

「そんなのは明日でもできるでしょ!!で!?どういう状況で起こしに来たの!!」

 

「明日もおそばに置いてくださるんですか!ありがとうございます、十代目!!」

 

「ああもう埒が明かないよ…!なんでウチの人間は報・連・相がこんなにもできないんだよ…ッ!」

 

 

 

 綱吉は頭を抱えたくなりながらもエレベーターで事情聴取がされているという階へ向かう。

 事情聴取されるのであれば、シャワーなんて浴びるんじゃなかった、証拠を消そうとしてるだなんて面倒な疑いをかけられたらどうするの!なんてぶつぶつと獄寺に小声で説教をしながら歩く。

 

 その言葉に、「いえ、十代目ほど潔白・潔癖な方が疑われる訳はありませんから」なんてキリッとした顔で言われてしまった綱吉は、再度深くため息をついてから扉の前で立ち止まった。

 獄寺が「では、御前失礼します」と言ってから扉を開ける。

 

 

 そこに居たのは、クロームと山本の間で所在なさげに立つ警察と、堂々と刀を腰に下げて警察を威圧する山本、それから警察を無視してスタッフに指示を出して現場と人を整理しているクロームがいて、思わず「警察がすること奪っちゃ駄目でしょう!」と守護者を叱りながら綱吉が頭を抱えたのは言うまでもない。

 山本もクロームも、綱吉が部屋に着いたことは気が付いていただろう、頭を一度下げて挨拶してからは再び山本は警察を警戒、クロームは現場と人の整理を続けだした。そこに獄寺が合流し、「これだから警察(サツ)は頼りにならねえんだ」と吐き捨てるように言って、山本と状況確認をし始めた。

 

 

 

「おい、進展あったかよ」

 

「いや、依然ボスが容疑者のままなのな。無理だし、そもそもあり得ねえって言ってんのに全然納得しねえの」

 

「はああああ???十代目がわざわざ招待客の荷物(ブツ)盗んで何になるってんだよ!むしろ十代目が手に入れようとなさるなら、この世の物なら大体ご自身で手に入れられるのに!わざわざ他人の手垢がついたモンを、あ・の・十!代!目!が!!わざわざ!!盗むだなんて!!汚ねぇマネする訳ねーだろが!!」

 

「い、いや、ですが「あ゛あ゛???」……スミマセン!」

 

「こ、こらこらこらこら!!警察の方を脅さない!!殺気向けない!!無視しない!!やめなさい!!下がりなさい!!」

 

 

 

 綱吉の言葉に山本とクロームま顔を顰めて無言で綱吉の側に帰って来たが、獄寺はその眉間のしわをさらに深くし「ッチィ!!」なんて大きな舌うちをしてから綱吉の右側に控えた。

 綱吉は一度深くため息を深呼吸をしてから、警察へ苦笑を浮かべたまま「おはようございます、状況を説明して頂けますか?」と尋ねた。

 

 警察はホッとしているのがありありと分かる顔になり、でも傍らの守護者たちの厳しい目つきに息を飲みながらも、精一杯の虚勢のようなキリッとした顔つきで警察手帳を開いて見せた。

 

 

 

「ツナヨシ・マルコッティさん、ですね?」

 

「はい、そうです」

 

「貴方に、窃盗の疑いがかかっています。任意同行と事情聴取にご協力頂けますか?」

 

 

 

 警察手帳に書かれていたのは、捜査三課。通称:盗犯と呼ばれる窃盗犯を捕まえるための部署だ。

 そしてその横にいた人物も同じ三課の人間だったが、さらにその横に居た二人組はなぜか捜査一課の人間だった。

 

 思わず「一課の方も、御一緒に捜査なんですか?」と聞けば、「いえ、我々は関連あるものの別でして…」と言われた上、詳しくは署で、と言われてしまった。

 

 今日の予定はとりあえずキャンセルかなぁなんて思いながら、右腕の顔を見上げてスケジュールの確認をする。

 

 

 

「では本日の午前の予定を一部キャンセルし、明日以降に持ち越します。午後からの予定は、()()()()()()()()と今後の事業についての()()()()()することになっておりますが」

 

「そう。ありがとう。――……で?午前中だけで事情聴取は終わりますか?これでも国外とはいえ()()()()()()ですし、こちらの国の財閥とも会談等控えておりますので。すでにブランドイメージの損失は大いに出ておりますが、午後まで持ち越されると()()困るのですが?」

 

「ヒッ…!は、はい、全力を尽くして捜査に当たらせていただきます!!」

 

 

 

 思わず綱吉も威圧してしまったが、このくらいは許されるとは思いたい。すでに守護者たちが色々やってるだろうけど、それもこれも、今の綱吉の身分が身分なので強気に出ても赦される。

 むしろ大使館に行ってくれと言ってもよかったのだが、少なくとも探偵世界の人間と強い軋轢を産んだり、疑惑の目で見られて痛くもない腹を探られたり探られたら不味いところにも気が付かれたら困るのはこちらだ。素直に警察に向かうことにする。

 

 勿論護衛は必須なので、特例で山本にもついて来てもらった(クロームは念のため、姿を隠してついてきている)し、獄寺は朝のお仕置きとして午前の仕事を片付けることを頼んで、綱吉は獄寺を置いていくことにしたのだった。

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