反響によっては削除させていただきますので、ご安心ください…!
ということで序章はここまでです。
次話から本編へと入っていきます。
疲れ切った顔の守護者が1名除き全員集まった部屋は、いつになく活気がない。どころか、全員ぐったりとして顔色悪く席に座っている。
いつもなら既にこの部屋のどこかが壊れるか、既に何事かが起きているはずなのに、もはやそんな気力すら持ちたくない、とばかりに沈黙が部屋の中を満たす。そしてテレビ通話として繋がっているはずの画面の向こうも、いつにもまして凶悪な表情を浮かべる人物と、蒼白な顔色で電話をしているその腹心がいる。
ようやく彼の通話が終わったのか「大変お待たせ致しました」とだけ告げて、その後はスッと後ろに控えるその人は、まだまだ顔色は悪い。
重々しく彼は口を開く。
「えー…みんな、少しだけでも頭の整理はついた、かな…?」
「…ええ」「まあ、なんとか」「「はい…」」「「おう…」」『『…』』
「それではこれより、いきなり増えた国と地名と世界情勢の知識のすり合わせを行います…!!」
「「「「「「『Si ,Boss』」」」」」」
議論は進められた。その結果、『誰一人として』新たに増えた知識の欠けは存在せず、かつ『今まで正しかったはずの記憶』を思い出すことが出来なくなったことが分かった。
再び沈黙が場を支配し、彼らのボスが上げた呻き声を境にして、思い思いに呟きが溢れ出て行った。
「おかしいだろ…!なんで俺と
「それな~…。俺も了平さんも、覚えてられるはずねーのになぁ」
「極限に謎だな…。しかし便利であるのも確かだ。覚えていたはずのことを忘れてしまったのだから、何が正解だったかも忘れたのだ」
「だな~。問題は、元の世界に戻った時に、どうなるかってのだけど…まあ、何とかなる、よな!」
いつもならば、その笑顔は見る者の疲労感を増減させるほど爽やかであろうに、今の彼――雨の守護者:山本武の笑顔はひきつった笑みだ。
その対面で片手で頭を抱えて反対の手でバカ共と言い切った彼らを、ピースサインのようにした指で器用に指さす、嵐の守護者:獄寺隼人。それを怒るでもなく腕を組み、難しい顔をしている、晴の守護者:笹川了平。
そんな彼の横でため息をつき、
紅一点の正面に座り、最年少にして10歳になった弟で、沢田の姓に変わった半泣きの、雷の守護者:ランボ。
さらにその横…部屋の入口の左手にある壁に設置してあるスクリーンの向こうで、ため息をつきながら苛立っている、風紀財団委員長兼雲の守護者:雲雀恭弥。その後ろで胃を抑えるのは、風紀財団副委員長:草壁哲矢。
「でさぁ、俺はこのリングが『俺たちの世界』と繋がってるからか、『今まで正しかったはずの記憶』を思い出せるし、それをみんなに思い出してもらっても、
「まさにChaos…だな」
そしてこの部屋どころか、この部屋がある城を現在所有している、
その斜め後ろで壁にもたれて、目を閉じてため息をつく、彼の元家庭教師にして、現在は彼お抱えのヒットマンとなったご意見番、元晴のアルコバレーノ:リボーン。
それがこの部屋の中()にいる全員。
ファミリー傘下の組織でも、覚えていられた時間は変わらず。しかし教えても数分程度でその記憶を欠落してしまい、かつそのことに違和感すら持てなくなる。このことから日常生活を送っていた限りでこのことに気付くことは出来ないことは、一番初めの状態で分かっていた。
また、記憶が変化したことに気が付いてしまえば、その『今までの記憶』と『なかったはずの記憶』があることに気が付けたが、『今までの記憶』は世界が交わってから1時間で全員漏れなく『忘れた記憶』となり、思い出すには『今までの記憶』を持った『
そしてさらに悪いことは、今現在、
「世界線を元に戻す研究が、めっちゃくっちゃ進みにくくなってんじゃんんんんん……!!!!!」
「最悪…!!世界だかなんだか知らないけど、勝手に人の頭の中を弄った挙句、自分はそのことを忘れるだなんて…ふざけてるの?」
「ヴェルデの馬鹿ぁぁぁぁぁ!!!!!うわぁああああん!!!」
本気の泣きが入った沢田綱吉の声が部屋に響くが、誰もそのことに対して口を挟まず沈黙する。
――雲雀恭弥の愛する故郷にして、この場の日本人の故郷:並盛町。その真横にできてしまった、『日本の
必然的に若干悪化した並盛の治安に、彼の機嫌は最低最悪に落ち込んだのは必然だった。そしてもちろん風紀財団(この交わった世界線でも財団法人として名前があったとハッキングした部下から報告があった)によって悪化した治安は
とはいえ自分たちの常識では考えられないほど、『探偵』という職業が捜査線を搔き乱し、下手な『探偵』を探ろうとすれば逆探知からのハッキングされ返そうになるなど、出るわ出るわの異世界ギャップ。
さらに今までこの2年でようやくボンゴレ内部を纏め、傘下のファミリーを纏め終わりそう、というこの時期にこの緊急事態だ。探れば探るほど、この交わった先の世界線の裏社会とのギャップに、十世ファミリーが白目を剥いたのは言うまでもないだろう。
調査資料として提出された山という山を突き崩し、切り分けた先にできた山をなぎ倒し、ようやく落ち着いたとしても解決策が出てこない。
「俺、一回日本に帰ってお祓いに行って来るよ…。そうしたら、この呪いの指輪も外れるかもしれない。そうだ、そうしよう!!」
「いいよ、今なら僕が案内してあげる。縁切りでも祓い屋にでも行ってくればいい。そんでもって案内料に一回ヤろう」
「今なら恭弥さんとの戦闘も、全力で楽しめる気がする」
そんな大空と雲の現実逃避に対し、舌打ちと共に飛んだ弾丸を、綱吉は首を少し動かして避ける。
調査資料がぶわっと舞い上がり、ひらひらと空中を舞う。
そのうちの一枚を直感で掴んだあと、その資料を見てまた深くため息を吐く。
「この
「おや、そんな害獣ごとき、僕一人で何とかなりますよ。ええ、僕に任せて頂ければすぐにでも」
「骸、てめぇ一人でなんとかできるわけねーだろ。幻術士なてめえだけじゃなく、各捜査機関と連携取ってNOCとか呼ばれてる奴ら全員叩き出さねえと潰せねえだろ」
「クフフフ、獄寺隼人。別に僕たちの世界線ではない人間が何人死のうが、僕たちに直接関係ないじゃないですか。効率重視ですよ」
「おいおい骸、世界線戻った時にどうなるかわっかんねえだろ?戻った時に、こっちのパティシエとかが死んだらどうすんだよ」
「ちょっと!なぜそこでパティシエ一択なんです?山本武。…まあ言いたいことはわかりますが。仮に向こうの人間がこっちの人間を殺しても、あっちの人間が死ぬとは限らず、また逆もしかり。ですが確実にあの烏は、こっちに嘴を突っ込んできますよねえ…?」
手元に配られた最低限の情報を纏めた紙を捲りながら、骸は呟く。
綱吉はもはや何度吐いたかわからないため息を再度こぼし、一度大きく息を吸ってから、朗々と声を出す。
「――今から俺たちが目指すのは、害獣駆除と日常を取り戻す事。ただし手を出し過ぎないようにすること。俺たちの行動次第であっちの世界が崩壊しようものなら、こっちの世界まで崩れる可能性も出てくる。だからこそ慎重に、かつ迅速にいくぞ」
「「「「「『Si ,Boss』」」」」」」