繋がってしまった世界の整合性は取れるのか   作:干山 静玖

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今回から二話ほどは探偵sideで話を進めます…。


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 それはコナンがいつもの放課後、少年探偵団と一緒に下校後に、居候先の探偵事務所の一階にある喫茶店・ポアロで宿題を片付けてから、最近発売された推理小説を読んでいた時だった。

 

 周りの音に気が付かないこともあるほど、推理小説にのめり込んでいたコナンの耳に、「ええええ!!?!」という聞きなれた女性たちの大声が聞こえて思わず本から顔をあげた。居候先の一人娘・毛利蘭と、その友人の鈴木園子、そして俺の正体に気が付きそうな女子高生探偵・世良真純。その内の二人が同時に声を上げたのだ。

 

 彼女たちは、店員の梓さんにシー!っと指を口元に立てて怒られたためか、ハッと口を抑えて周囲に「すみません!」と小声で謝っていた。そこから先の会話は小声だったため、コナンは耳を傾けて、彼女たちの小声を拾うことにした。

 

 

 

「「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()」」

 

「どうしてなんだい!?園子くんはかの鈴木財閥のご令嬢だろう…?」

 

「分からないの。でも、父も母も私の名前は招待状に書かれてなかったから、連れていけないって。わざわざ両親だけを名指しで呼んでおいて、『同伴者のご来場は固くお断り致します』って書いてあったんだって」

 

「そんな…。どうして?」

 

 

 

 落ち込んだ様子の園子の言葉に確かに少し妙だな…とコナンは考え込んだ。様々な会社での資金援助を行い、世界各国から注目を浴びる日本を代表とする大財閥。その当主夫妻は招待するが、同伴者は認めない。どうにも堅苦しすぎる気がする。

 

 そのパーティーを開く大企業へ鈴木夫妻が、未成年者で娘の園子は連れていけないのか、と聞いたところその大企業は他国の大財閥の令嬢の参加を丁重にだが頑なに断ったらしい。

 

 

 

 

「そのパーティーはここ2・3年で大きくなってきた、イタリアの大企業が開くものなんだけどね?そこの社長が私たちとそう年の変わらない人だそうで。しかもその幹部になった人たちも!

 

 だから尚更気になっちゃって…。イケメンがいるかもしれないし、そんなに若い幹部だらけの会社で、ここ2・3年で十代も続く大企業をさらに発展させるだなんて、ヤリ手以外にないじゃない!」

 

「イケメンかどうかは分からないけど、確かにそうだね…。十代も続く大企業で、就任した若い社長に幹部たち…。案外真っ赤な血でも流れたのかな?」

 

「ちょっと!怖いこと言わないでよ、世良ちゃん!」

 

「そうよ!!それに先代はまだご存命よ!?流石にあり得ないわよ。それにあったとしてもせいぜい下剋上程度でしょ、上の世代の古臭さに苛立ったとかで」

 

 

 

 コナンとしてはその下剋上でも大概じゃねえの?とは思わなくもなかったが、それっきり話は変わって周りの大人の愚痴に変わっていったため、一人でレセプションパーティーの内容について考える。

 

 どうにも情報が足りない、と思ったコナンは本と勉強道具を片付けて蘭たちのいるテーブルまで行き、「博士んところに行って来るね!」と伝えた。

 

 あまり遅くならないように、と言われたけど今日は金曜日。なんなら泊めてもらおうかな、なんてことを思いながらも博士の家へ向かった。

 

 

 

 博士の家に着き、博士の家に居候している灰原哀に今回のことを相談する。

 

 彼女はちょっと考えた後、軽くため息をついてから呆れた顔で「そんなことを聞きに来たの?」と言ったため、コナンは思わずムッとして「どこが『そんなこと』なんだよ!」と軽く食って掛かった。彼女はさらにため息をついてから、渋々と言った体で口を開いた。

 

 

 

「あのねえ江戸川君。少し考えたら分かるでしょ。幹部も社長も年若い。しかも鈴木さんの言ってた通りなら、大学生か大学卒業して少しくらいの青年たち。

 

 そんなもの、結婚相手として他国の令息・令嬢を連れてこられたら対応が面倒だったのか、そんな縁戚を結んだところで商談は手を抜いたり、あるいは目をかけたりはしないっていう警告の可能性だってあるでしょう」

 

「いや、そうかもしれねえけどさ…」

 

「何よ。喜んだらどう?もし同年代の人間しか同伴者に許しません、なんて制約があったとしたら、鈴木さんや誘われた蘭さんまでパーティーに参加して恋人でもできるかもしれないのに」

 

「ング…!で、でも気になるんだよ!そんな年若くて敏腕な人間が、わざわざ日本に来てまでそんな堅苦しいパーティーを開くなんて!」

 

 

 

 あくまで譲らないコナンに対し、呆れたまま再度ため息をついて「それだけなら帰ってよね」と言い置いて、灰原は踵を返した。

 

 そのまま博士の家を出たところで、隣家からタイミングよく出て来た沖矢昴こと潜伏中のFBI捜査官・赤井秀一と作戦を練ることにした。

 

 

 

「しかしそれだけ厳しい条件だったら、情報を得るのは難しいだろう」

 

「そうなんだよなぁ~…。園子姉ちゃんですら参加できねえし…。赤井さんが潜り込むってのは無理だしなぁ…」

 

「しかし十代も続く大企業か…。調べてみれば、代替わりの度に幹部を総入れ替えするのだそうだ。それで今まで一切その企業が崩れたことがない、というのも凄いものだな」

 

「えっ、今回だけじゃなくて、今までずっとそうだったってこと!?」

 

「ああ、このページを見てくれ」

 

 

 

 そう言った赤井さんが示してくれたページは英語だったが、彼よりかはゆっくりとでもその記事を読んでいけば納得した。それと同時に、血縁者なのはトップのみでそれ以外の幹部は、歴代でもかなりバラバラな家柄出身だったことが分かる。

 

 更に言うなら、今代のトップはどう見ても日系人または親が親日派のイタリア人と言った名前だった。幹部の名前は載ってはいなかったが、それでもトップの秘書が明らかに日本名だったため、あのヨーロッパで日系人や白人以外との繋がりがある人物というのは、古い家程敬遠されるものだと赤井さんは言う。

 

 俺はホームページに記載された名前をじっと見つめる。

 

 

 

 ――ツナヨシ・S・マルコッティ。年齢も顔もホームページでは非公開。だが園子の話が正しければ、歳はそんなに離れていなさそうだ。次々と会社を大きくし、元々イタリアどころか、ヨーロッパを代表する大企業だったにも拘らず、ここ2・3年でさらに世界規模に名を広めた若き天才社長。

 

 その彼の秘書は、ハヤト・ゴクデラ。苗字としては獄寺が正しいのかもしれない。イカツイ名前だが、日本人か否かは迷うところだ。ただ、日系人なのは確かだろう。こちらも年齢と顔は非公開。随分と慎重な会社だ。けど今急成長している会社なら、ここまで慎重でもあり得るのかもしれない…。

 

 そんなことを考えながらも好奇心を刺激され続けた俺は、そのパーティーに参加した園子の両親から、園子が話を聞いてくれるのを待つしかないのか…と内心の焦りを誤魔化すことにした。

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