惡の華道に砂の花が咲く   作:はちみー

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大事な話の前に別の話をぶち込まれるのはよくある話
幼児クロコダイル〜少年期までのお話



追憶 クロコダイル(偽)のオリジン

 

「ああああああ!!」

 

「砂田さん!産まれましたよ!元気な男の子です!!」

 

某県某病院にて、新たな生命が産声を上げた。

クロコダイルの誕生である。

田舎町にて多くの者に見守られながら、幼児期を過ごしていた。

しかしそんな平和の日々は突如として奪われた。

 

「がくと……鰐斗……!」

 

「……うぅ」

 

「悪いね、この子は貰っていくよ。実験用の子供が切れてしまってね」

 

「動くな…!」

 

「おや……君は確か、砂田鮫太だったかな?」

 

「テメェ、俺らの子供を離せ。じゃねぇと殺すぞ!」

 

「ふふふふ、たかがチンピラが僕を倒せるかい?」

 

「うおおおおおお!!!」

 

親の抵抗虚しく、謎の男に無惨にも子供は連れ去られた。

残った家にはもう、何も無い。

あるのは幸せな家庭を築く筈だった残骸と、二人の死体だけだった。

 

_______

 

数年後。

 

「……そろそろだな」

 

砂田鰐斗改めクロコダイルは、謎の男もといオールフォーワンの元で十年の時を過ごした。

四歳の頃、植え付けられた(・・・・・・・)個性の他に新たな個性が発現。

身体を砂に変えられる個性、その能力と共に前世の記憶を取り戻した。

現在の状況を把握したクロコダイルは、実験施設からの逃走を計画。先ずはここである程度の知識と力を身につける、この身体のお陰か下につく怒りより冷静さが勝っていた。

そして十年目になって現在従順にしていたからか、見張りが着くことなく更にオールフォーワンもマッドサイエンティストも居ない。

遂に計画を進める事が出来る。

身体を砂に変えて檻を離れ、とある檻の前の看守を無力化して中の男に声をかけた。

 

「……脱出するのに少々戦力がいる、着いてくるか?ダズ・ボーネス」

 

「……いいだろう、アンタになら。丁度退屈していた所だ」

 

「ちょっとぅ!アタシも連れてってよぅ!」

 

「お前は……」

 

「アタシはベンサム!アタシの個性なら此処を容易に抜けられるわ!」

 

こうして看守達を出し抜き、クロコダイルは二人の部下を加えて脱走に至った。

クロコダイル達は施設を出た後、様々なヴィランを狩りながら一つの拠点へ移った。

 

「ボス、これからどうするので?」

 

「アタシ達は何処までもついてくわよぅ!」

 

「先ずは力をつけるぞ、俺達はまだまだガキだ。いくら俺達が闘えるとはいえ、オールフォーワンみてぇな奴には勝てねぇ」

 

「その通りだよ、クロコダイル。だから仲間も守れない」

 

「がふっ……」

 

「おぐ…っ!」

 

「っがあああ!?」

 

何処からか響く謎の声、その声は悪を彷彿させる圧があった。

オールフォーワンの声だった。

振り返るとそこにはオールフォーワン、やけに簡単に抜け出せたと思ったらこれも計略の内という事なのか。

不意打ちの一撃にダズとベンサムは地に伏し、クロコダイルは左手を切り離された。

 

「従順な子供に育てられたと思っていたら、まさかまさか裏切るとはね。僕もまだ甘かったかな」

 

「テメェ……」

 

「ボス……」

 

「アタシ達の…事はいいから……!」

 

「黙っていろ」

 

「君がいくら強い個性を持っていたとしても、僕には到底敵わないよ。それでもやるのかい?」

 

「クハハハハ、手前の部下をぶちのめされて……頭にこねぇ奴はいねぇだろう」

 

「もう少し賢いと思っていたんだがね、下る気はないのかな?」

 

「ねぇな」

 

先制攻撃を仕掛けたのはクロコダイル、広い範囲攻撃可能な砂の刃を放ち、その隙に砂嵐で重体の二人を後方へ運ぶ。

当然の様にそれらを弾き、オールフォーワンは水を纏った拳でクロコダイルを穿つ。

 

「ぐぁ…っ!」

 

「言っただろう?僕には多くの個性がある、当然君の対処も可能なんだ」

 

「……はっ、よく喋るじゃねぇかオールフォーワン。もう勝った気でいるのか」

 

「無論だよ、たかが砂の個性だけで僕には届かない」

 

「俺ァな……オールフォーワン。気に入らねぇ野郎に見下されんのは"我慢ならねぇんだよ"」

 

乱れた長髪をかき上げるクロコダイル、その動作と言動に謎の違和感を感じたオールフォーワンは怪訝な表情を浮かべる。

 

「うん……?」

 

「テメェの余裕そうな態度も、"貸してやってる"俺の身体を弄り倒した事も……!」

 

「なんだ…誰だ君は…!?」

 

「その腐った脳に刻み込んでおけ、サー・クロコダイルの名を……!!」

 

砂嵐と砂の刃を大量に放つクロコダイル、この攻撃もオールフォーワンは容易く打ち砕き余裕の笑みを浮かべた。

だが、その笑みは長くは続かなかった。

 

「俺とお前とじゃあ格が違う、三日月形砂丘(バルハン)!!」

 

「いつの間に背後に……かっ……は……」

 

オールフォーワンは咄嗟に空気放出により逸らすも身体の殆ど水分を奪われ、地に落ちた。

トドメを刺そうとクロコダイルが近づこうとすると、オールフォーワンの仲間らしき者が数人近づいてきた気配を感じ取った。

 

「ここらが潮時か」

 

クロコダイルは避難させておいた二人を見やり、何処か嬉しそうな顔をした後担いでその場を後にした。

 

_______

 

『おい、起きろ』

 

(……ここは!そうだ、オールフォーワンは!?)

 

『俺が片付けた、仕留め損なったがな』

 

(貴方は……クロコダイルさん…)

 

『無様じゃねぇか、えぇ?ガキとはいえ、あの程度の奴にやられやがって』

 

(……面目ない、折角貴方の力を貸してもらっていながら)

 

『あぁ、全くだ』

 

(だが、これで終わりじゃあない。必ず強くなって奴をぶっ飛ばして、この世界の頂点まで登り詰めてやる)

 

『それは俺の為か?』

 

(……俺の夢の為、そして俺が成すべき事だからだ!)

 

『クハハハハ……そうだ、それでいい。なら見せてみやがれ、お前が頂点に立つ姿を』

 

(あぁ見ていてくれ、俺がこれから成す事を)

 

_______

 

「ボス……ボス!」

 

「クロちゃん!」

 

「う……ぐぅ…!」

 

「まだ動いてはダメだ、傷が開いてしまう」

 

「それと残念だけれど……左手はダメみたい」

 

目が覚めたクロコダイルはベッドに横になっていて、傍らにはダズとベンサムがいた。

どうやら何処かの家に匿われたらしい。

 

「ここは何処だ」

 

「俺達が目が覚めたらここに、家主はポイズントゥリーヌと名乗っています。闇医者だそうで」

 

「中々食えない男だったわよう」

 

「お、目ェ覚めたんか」

 

「アンタは…」

 

「オラはポイズントゥリーヌさ、元気かいガキ共!」

 

「あぁ…お陰様でな。金はねぇが……」

 

「ガキ共に期待はしねぇよ、将来にベッドしておくさ」

 

こうして闇医者と悪党の子供達は出逢い、バロックワークスの始まりでもある。

クロコダイルはその後、二度オールフォーワンと抗争。

そして神野区戦争へと繋がっていく。





所謂幼馴染枠のダズとボンちゃん。
同時期に攫われた二人と共に大人になる迄過ごしていきます。
ちなみにボンちゃんのアタシは誤字ではないです。
「アタシ」から「あちし」に変わった事はまたいずれ
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