夜中の河の上に掛かる橋の上を1人のトレーナーが歩いていた。
そのトレーナーはケースに入っていたポケモンの卵を抱えていた。
「ん?お!」
卵の異変に気付いたトレーナーはケースから卵を取出し、地面に置くと卵の表面にひび割れが走り、孵化が始まった。
パキン
「ナックラ!」
卵からナックラーが孵ると、トレーナーはポケモン図鑑をナックラーにかざし、ポケモン図鑑の能力スキャンを使ってナックラーの個体値を調べたされた。
「っチ!なんだよ大して強くねぇじゃねぇか」
孵化したナックラーはトレーナーが思う程の能力を有していなかったようで、トレーナーは不機嫌になった。
「今回はハズレか」
トレーナーはポケモン図鑑をしまうと、ナックラーを置いて立ち去ろうとした。
「ナック?」
ナックラーは親となるトレーナーが自身を置いて行こうとし、その後を着いて行こうとした。
「あ?着いてくんな。お前は要らないんだよ。何処へでも行っちまえ!」
着いてこようとするナックラーに対してトレーナーは怒鳴り散らし追い払おうとした。
「ナク!ナク!」
だが、ナックラーはなおも着いて来ようとし鳴いた。
「うるせぇな……さっさっとくたばっちまえよ!」
「ナクッ!」
「おら落ちろ!」
「ナックラー!」
トレーナーはナックラーを背中から踏み付けると橋から河に蹴り落とした。
トレーナーはナックラーを助けずに去って行った。
「ナック!ナック!」
ナックラーは水面に顔を出して呼吸しようとしたが、じめんタイプのナックラーは泳ぐ事が出来ず溺れて流されて行った。
「ナック……」
ナックラーはついに力尽き河に沈んで行った。
水中で意識が遠退くナックラーは、人間が河に飛び込み自身を掴んだ所で気を失った。
35分後
「はい、貴方のポケモンは皆元気になりましたよ」
ポケモンセンターではジョーイがトレーナーから預かり回復させたポケモンを返却した。
「ありがとうジョーイさん」
「今日はもう終わりかな」
ジョーイはトレーナーのポケモンを全て回復させた事を確認すると、カウンターを閉めようとした。
「え?何あの人?」
「何で濡れてんだ?」
「ん?え!?」
カウンターを閉めようとしたら、入口付近が騒がしくなり、入口の方を見ると全身ずぶ濡れのアスカがカウンターに向かって歩いて来た。
「ちょっと!貴方大丈夫なの!?」
「大丈夫です。それより」
アスカはジョーイに脇に抱えたナックラーを診せた。
「これは!大変衰弱してるわ!急いで治療しないと!ラッキー!この子を
ジョーイのアシスタントポケモンのラッキーはアスカからナックラーを受け取とるとナックラーをストレッチャーに乗せてICUに運んで行った。
「一体何があったの?」
「河で溺れてました」
「そう。治療が終わったら詳しい話を聞かせてもらいます。ひとまず貴女はシャワーでも浴びて、服も洗濯して来て」
ナックラーを渡したアスカはジョーイの勧めで濡れた衣類や下着を乾燥機能付き洗濯機に入れた。
シャワーを浴び終え、洗濯と乾燥を終えた服に着替えたアスカはICUの前で待っていた。
治療中のランプが消えると、ICUからジョーイが出てきた。
「何とか山は超えたわ。一先ず一晩様子をみましょう」
「そうですか」
「じゃあ、話し聞かせてくれる?」
アスカはジョーイにあのナックラーを連れて来るまでの経緯を話した。
「河に突き落とされたですって!?」
「えぇ、遠くからですが、あのナックラーは卵から孵ったのが見えました」
「成程。おそらくそのトレーナー、厳選をしてたのね」
「厳選?」
「えぇ、トレーナーの中には最初から強い個体のポケモンだけを手持ちにするトレーナーがいるの。それ事態は問題無いのよ。ちゃんとポケモンの預け先や面倒さえちゃんとしていれば」
「その言い方だと、そうではない人間も居ると?」
「えぇ、貴女の言う通り、中には個体値数が低いとその場に放置するトレーナーも居るの」
「ですが、モンスターボールには捕獲したポケモンを解放する機能もあるのでは?」
「確かに、でもそれは捕まえたポケモンが野生のポケモンで、捕まえて直ぐなら野生に戻れるけど、あのナックラーの様に卵から孵ったばかりの子はそうは行かないわ。野生の生活を一切した事ない状態で、エサのとり方や自分の身を守る方法を知らない状態で放置したら、あっと言う間に他のポケモンの餌食になってしまう。実際、それで大怪我して保護された子や、中には他のポケモンの縄張りに紛れ込んで一方的に殺された子を見た事があるわ」
「聞いた話だとSNSへの投稿目的でポケモンを飼って、禄に世話もしない人間も居るらしいですね」
「えぇ」
「………あのナックラーどうなります?」
「貴女の話からすると、親は居ないから保健所行きね」
「そうですか」
「話してくれありがとう。今日はここに泊まって行って」
「はい」
アスカはジョーイの勧めでポケモンセンターに一泊する事となった。