ポケットモンスター アスカ   作:AS365

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不信と信頼

翌朝

夜が明けてアスカは目を覚まして朝食を取ろうと食堂に向かった。

「あら、おはよう」

「おはようございます」

食堂に向う途中でジョーイと合ったアスカは挨拶をした。

「あのナックラーなんだけど、目を覚ましたわ。健康状態にも問題はないわ」

「そうですか」

「ただ……」

「?」

 

アスカはジョーイにナックラーの居る部屋の前まで連れて行かれ、窓からナックラーを見た。

ナックラーはラッキーからポケモンフーズを渡されたが、ナックラーは怯えて食べようとしなかった。

「あの子ずっと怯えていて、何も口にしようとしないの」

「無理もない。産まれて直ぐ殺されかけたんだから」

「えぇ、もう完全に周りの存在を敵としか見てないみたい」

「……ナク?」

ナックラーは窓の外に居るアスカに気づくと、アスカの方をじっと見た。

「?……あの子。ねぇちょっと部屋に入ってもらえる?」

「は?はい」

ジョーイは何かに気付いたのか、アスカに部屋に入るよう要望し承諾したアスカは部屋に入り、ナックラーの下に近づいた。

「ナク!ナク!」

ナックラーはまるで母親を見つけた子供の様にアスカの腕に擦り寄った。

「やっぱり、この子貴女には心を開いてるみたいね」

「……」

アスカはラッキーの用意したポケモンフーズを一掴み取ると、ナックラーの前に持って来た。

「食べる?」

ナックラーはアスカが持って来たポケモンフーズを食べ始め、アスカはナックラーの頭を撫でた。

「大丈夫。ここに敵は居ない」

アスカは優しくナックラーに言い聞かせた。

 

3時間後

アスカはポケモンセンターを早々に出る予定だったが、ナックラーが片時も離れようとしない為行くに行けなかった。

(どうしよう……全然離れない)

「そのナックラー君の?」

ナックラーと一緒に椅子に座って居ると、横から黄色のマウンテンパーカーを羽織ったトレーナーの少女が声を掛けて来た。

「いや、違うけど……」

「そうなの?凄い懐いてるからてっきり手持ちだと思ったんだけど」

トレーナーがナックラーを除き込むと、ナックラーはアスカの影に隠れた。

「あれ?嫌われてる?」

「トレーナーに虐待されたようでね、人間不信になってるんだ」

「え……そう……なんだ……」 

ナックラーの逸話を聞いたトレーナーはショックを受けた顔をした。

「どうしたの?」

「いや…酷い事する人も居るんだなって」

「何でそれであんたがショックを受けるの?」

「だって、悲しいじゃない?」

トレーナーはアスカからナックラーが虐待されていた事を聞き、悲しんだがアスカには何故そこまでトレーナーが悲しむのか理解が出来なかった。

実際、彼女からしてみればナックラーの虐待は完全に無関係であり、悲観する理由が見当たらないからだ。

「何で?自分がされた訳じゃないのに…」

「……ポケモントレーナーって世間的に扱いが酷いって知ってる?」

「……まぁ話しには。トレーナーとして成功しなかった場合、そのトレーナー脱落者への受け皿となる制度が出来てなくて、将来かなり苦労する人間は多いっていうね」

「うん、それに年配の人からすれば、私達みたいなトレーナーはいつまでも遊び呆けてるってイメージみたいで」

「確かにね。実際私も道端でいきなり知らない人からトレーナーだと思われて殴りかかられた事あったな」

「そんな……大丈夫だったの?」

「反撃して一撃で失神させた」

「け、結構過激なんだ……まぁ、兎に角ポケモンを虐待する人が居るって知られたらトレーナー全体の評判が悪くなるし。それに……ポケモンも人間を信用してくれなくのが、とても悲しくて」

「………」

「あ、ごめんね。急に話しかけて」

「いや……」

「……そのナックラー、貴女から離れようとしないね」

「懐かれて」

「だったら、貴女がそのナックラー連れて行けば?」

「え?」

トレーナーからナックラーを手持ちする事を提案されたアスカはナックラーを見ると、ナックラーは連れて行かれる事を希望している顔をしていた。

「………結構危険だぞ?もしかしたらわたしが死んで居なくなる可能性だってある。いつまで甘やかすつもりもないし、最低限自衛出来るようにはなってもらうけど……構わない?」

ナック!

アスカからの忠告を聞いたナックラーは強く頷いた。

「じゃ、行こうか」

アスカはハイパーボールを取り出すとナックラーの前に出した。

ナックラーは自分からボールの開閉ボタンを押すと、ハイパーボールに入った。

「………これからよろしく」

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