「フラ!」
「ドラーー!!」
フライゴンの“ドラゴンダイブ”はドラピオンにクリティカルヒットし、ドラピオンは倒れた。
「ドラピオン戦闘不能!アスカ選手の勝ち!」
主審は判定を下し、アスカが勝利すると観客たちは歓声を上げた。その歓声は激闘の末アスカが勝利を収めたことと、悪評高いマルキーを倒したこともあった。
控え室
「「やったー!」」
控え室のカイトとエリーもアスカの勝利を喜んだ。
「何だよそれ……ふざけるなよ!!あのタイミングで進化とか卑怯だろ!!」
マルキーは勝敗に納得がいかず、反発した。
「あれは偶然、私が指示で進化した訳じゃない。それにバトル中にポケモンが進化した前例は過去何回かあるが、ルール違反になった事は無かったはず」
「その通りです。マルキー選手、言い掛かりは止めなさい」
マルキーの言い掛かりをアスカは一蹴し、更に主審からも注意勧告をされた。
アスカはフィールドを去ろうとした。
「………ざけんな」
マルキーは足早で背後からアスカに迫った。
「ざけんじゃねぇクソアマ!!」
マルキーはアスカに殴りかかろうとした。
ガッ
「うぁ!?」
アスカはマルキーの腹部を蹴り、マルキーは悶絶ししゃがみ込んだ。
「くそ…!がっ!?」
マルキーは再びアスカに襲いかかろうとしたが、フライゴンに背中から踏みつけたられた。
「くそ!おい!このフライゴン退かせ!」
「……」
「聞いてるのか!」
「4ヶ月前」
「は!?」
「4ヶ月前。お前はタマゴから産まれたばかりのポケモンを捨てようとしただろ?……そのポケモンはお前を着いて行こうとしたが、お前はそれを拒絶して暴力を振るった。あぁそうそう、ちょうどそうやって背中から踏みつけて」
「テメェ何言って……」
マルキーはアスカの言うことは最初こそ理解出来なかったが、途中で思い出した。
「まさか……」
マルキーは悟った。アスカはその時のことを見ていたこと、そしてその時のポケモンはナックラーであり、そのナックラーの最終進化系が何かを。
「そのフライゴンはタマゴから孵って直ぐ、お前に河に突き落とされたナックラーだ」
「……」
アスカからの衝撃の真実にマルキーだけではなく、観客席の観客達も驚愕した。
マルキーは自身を踏みつけているフライゴンを見ると、フライゴンの目にはマルキーに対する明らかな殺意があった。
「おい!退かせ!こいつ退かせよ!」
マルキーは身の危険を感じ、アスカにフライゴンを離れさせるよう要求したが、アスカは無視した。
「私はお前に怨みは無いが、フライゴンはそうとうお前に怨みが有るみたい、私としてはこのままフライゴンにやり場のない怒りを持たせるのも酷だなって思ってる」
「おい…頼む…」
「目には目を歯には歯って言葉あるでしょ?あれって復讐の度合を示しているんだってさ。目を抉った者は目を抉られ、歯を抜いた者は歯を抜かれる。でもそれ以上の復讐はしてはいけないって法律から来てるらしい。よく出来てるよな?さて、溺死させかけたお前は何の位がベストかな?」
アスカはマルキーをそのままにし歩いて行った。マルキーは再びフライゴンを見るとフライゴンは今にもマルキーを殺す気だった。
「やめろやめろやめろ…やめてくれ…お、俺が悪かった…」
マルキーは命乞いをしたが、フライゴンは“ドラゴンクロー”を撃つ用意をした。
「あ……、あぁ!」
「フラー!!」
「やめろーー!!」
ガン!!
フライゴンは“ドラゴンクロー”をマルキーの顔の直ぐ横に突き刺した。
「ぁぁ……」
マルキーは失禁しそのまま失神した。
フライゴンはアスカの下に飛んで行った。
「良かったの?」
「フラ」
アスカはフライゴンの顔を見るとフライゴンはやり切った、という顔をしていた。
「フライゴンが満足なら、それで良い」
アスカはフライゴンをボールに入れた。
今回の一件でマルキーの素行不良とナックラーに対する虐待が問題視され、トレーナー資格の管理を管轄する連邦文化省傘下のポケモン監察委員会はマルキーの素行調査を開始。その結果過去の問題行為が次々と明らかになり、中にはポケモン虐待やトレーナーへの恫喝、恐喝、障害、セクハラなどの悪質な物も多数あり、ポケモン監察委員会はマルキーのトレーナー資格を永久剥奪処分を下し、マルキーはトレーナーとしての道を完全に閉ざされた。
アスカとマルキーのバトルから1時間後、決勝戦のアスカとカイトの試合が始まろうとしており、カイトは既にバトルフィールドにスタンバイしていた。
「よし!いよいよアスカとのバトルだ」
カイトはアスカとバトル出来ると意気込んでいた。
『決勝戦はカイト選手とアスカ選手の試合です!』
アナウンスも入り、会場の観客達も盛り上がっていたが、アスカはまだ来ていなかった。
「アスカ遅いな」
「はい……わかりました。今実行委員会にアスカ選手から、決勝戦は棄権すると連絡があったようです。よって、決勝戦はカイト選手の不戦勝とします!」
「え!?」
アスカの棄権という予想外の結末にカイトのならず、会場に居た全員がどよめいた。
「あいつ、本当にマルキーを倒すためだけに出たのかよ」
カイトとエリーは急いでポケモンセンターに向かったが、アスカは既にポケモンセンターは疎かソリックシティを出た後だった。
とあるバーではかつてタゴツの長男アツキのボディガードをしていたウォンがバーで酒を飲んでいると、バーに初老の男と彼が引き連れた男達がウォンの周りに立った。
「キミがウォン君だね?」
「……借金取りじゃなさそうだな」
「私はスパルタンと言う者だ。科学者をしている」
「ふーん。で?その科学者様が何の用だ?」
スパルタンはバーカウンターに一枚の写真を置き、ウォンは視線を写真に向けた。
「この娘を知ってるな?」
「…………」
「おい答えろ」
スパルタンの質問を無視したウォンの肩をスパルタンが連れて来た傭兵の一人が掴んだ。
肩を掴まれたウォンは肩を掴んだ傭兵の腕を捻じ曲げて倒し、更に加勢しようとした傭兵を片っ端から倒した。
残った傭兵達はウォンに拳銃を突きつけた。
「待て」
スパルタンが傭兵を止めると、傭兵達は銃を下ろした。
「ウォン君、君の経歴を調べた。軍特殊部隊に所属、格闘戦、銃撃戦に精通。除隊後はフリーの傭兵として活動。そして借金漬けの生活をしている」
「だったら何だ?」
「君を雇いたい」
「契約か?」
「あぁ」
スパルタンは更に別の写真をウォンに見せた。その写真に写っていたのは数名の死体だった。
「それはその娘がやった」
「こいつらよっぽど素人だな」
「いや、彼らは軍人だ」
「兵隊を高々10代の女が?まさか」
「出来るのだよ。その娘は私の元で戦闘訓練を受けていた」
「お前科学者だろ?何で戦闘訓練をさせてるんだ?」
「それを知りたくば、私と契約しろ」
「……報酬は?」
「1000ポケドル」
「話になんないな」
「一日1000ポケドルだ。年間で36万5千ポケドルだ」
「……マジかよ…よっぽどヤバい仕事か?」
「やらないか?」
「いや、やる。そんだけありゃ借金も返せる。それに、こいつにも興味が湧いた」
「では契約成立だな。主な仕事内容は彼女の捕縛だ。生きていれば、怪我の程度は目を瞑ろう」
「あぁ……さてはて、お前はナニモンなんだ?」
ウォンはスパルタンが最初に見せた、アスカの写真を見ながら疑問を募らせた。