(何処だ?何処に居る?確かにあの時私の脚は明らかに背後から撃たれた、でも直後に前方からも銃撃された。やっぱり複数人?でもライフルを隠し持ってそうな人物はあの男しかいなかった。でも銃は持っていなかった)
「いったい何処から……」
「撒いたかな?”みずでっぽう”を撃って来ないし」
「……”みずでっぽう”……?…カイト、さっき何であの男がモンスターボールを持ってないって言った?」
「さっき…?」
カイトはアスカの質問の意味を考え、先程の男を狙撃手と間違えた時だと気付いた。
「あぁ、あの時か。だってショッピングモールに入った時に撃たれただろ?あの時水が跳ね返って来たたから、相手はみずタイプの技を使えるポケモンで俺たちを撃ってると思って」
「……!」
アスカはカイトの質問の答えを聞くと、ある可能性に気付き、周りを見ると周囲にはスマホを持った客が大勢おり、更に壁にはフリーWi-Fiのステッカーが貼ってあった。
「……しまった。そういう事か!」
アスカは狙撃手の正体と自分が相手の術中にはまっている事に気付いた。
「あいつか……スズメ!」
(おや?私だと気付きましたか?)
スズメは映像を見てアスカが自分に気付いたと確信した。
「スズメ?」
「私と同じトレーナー兵士。彼女は射撃の名手で人混みの中でも完璧な狙撃が出来るスナイパーよ。カイトが言ってた水はインテレオンの”ねらいうち”の物。インテレオンは透明になれるから姿を消して狙撃して来てたんだ」
アスカは移動しながらカイトに狙撃手の正体がスズメであり、彼女の兵法を教えていた。
「それに」
「それに?」
「スズメは、ポリゴンを持ってる」
「ポリゴン。アスカを探して」
スズメはインカムに話しかけた。
『ポリ』
インカムからポリゴンの返答の声が聞こえると、スズメのスマートコンタクトレンズにアスカの位置情報が表情された。
「そこね」
スズメは自分に支給された暗殺用拳銃にリロードした。
スズメが使用する拳銃はMk49と呼ばれるスパルタンが工作員や特殊部隊が使用する事を前提に開発した暗殺用拳銃。弾の射撃には通常の銃器とは違い火薬ではなく炭酸ガスを使用している為発射音が小さく、更に弾も消音効果と殺傷能力が高い小口径の専用弾を使用し銃身も消音器内蔵となっている為人混みで撃っても気付かれ難い物だった。
「ポリゴン?ポリゴンってポケモンの?」
カイトはアスカが言ったポリゴンがバーチャルポケモンのポリゴンの事か聞き返した。
「そう。スズメはポリゴンをフリーWi-Fiとかを経由してネットワークに潜り込ませて、通行人のスマホのカメラレンズから、私達を視て位置情報を把握し、ポリゴンの”ロックオン”で照準を合わせてサイトを使わずに腰だめ撃ちでも正確な狙撃を実行した」
アスカが狙撃手の正体とその戦法をカイトに説明した。
「という事は、スマホがいっぱいあるここは…」
「そう。スズメの目が至る所にあると言うこと」
「カメラ越しに視てるって隠れる場所がないってことじゃ?」
「そうね。でも、相手がスズメと分かったならば反撃出来る」
「どうするんだ?」
「……カイト。手伝ってくれる?」
スズメはポリゴンから送られて来た情報を元にアスカ達の居るフロアへと向かって居た。
「?」(フレンドリィショップ?)
スズメはスマートコンタクトにアスカが1人でいくつかの店に入って行くのが見えた。
(何かするつもりですか……!?)
スズメのスマートコンタクトから突然映像が消えた。
(ブラックアウト!?いったい何が!?……そう言えば、一緒に居た男は?)
スズメは突然回線が切断されたことに一瞬狼狽えたが、直ぐに冷静になりカイトが居ないことに気付いた。
「あれ?Wi-Fi切れてる?」
「げ!Wi-Fi切れてるじゃん!いつからだ?」
「ヤバ!データ容量大丈夫かな?」
スズメの周りからフリーWi-Fiが切断している声が聞こえて来た。
(まさか…!)
サーバールーム
カイトはサーバールームにレアコイルを放ち、レアコイルの磁気でフリーWi-Fiのルーターに異常をきたさせていた。
(あの男か!おそらく、あの男にはコイル系の磁気を発生させるポケモンが居て、ネットワーク回線に異常をきたさせているのか!)
スズメもポリゴンからの通信が遮断されたのはカイトの仕業だと気付いた。
「アスカ。お前の言う通りにしたけど…大丈夫かな?」
「何かあっても野生のポケモンがイタズラしたと認識されると思うよ」
「それもそうだけど……良いのか?ここトイレだぞ?」
アスカとカイトは合流し、カイトはアスカに頼まれてレアコイルをサーバールームに放したのもそうだが、男女である自分達が同じトイレの個室に入ってることに不安を感じていた。そして不安がるカイトを横にアスカは購入したマルチベストにキズぐすり等の薬品をポケットに入れる作業をしており、右手が上手く使えないアスカをカイトはサポートしていた。
「多目的トイレだから、性別関係なく入れるよ」
「いやそうじゃなくて……もし一緒に出る所を見られたら……」
「盛ったカップルがやるために入ってと思われるだけだから大丈夫でしょ」
「いや、ある意味大丈夫じゃねぇよ……」
「カイト。スマホある?」
「え?あるけど?」
「貸して」
アスカはカイトからスマホを受け取るとポケットから伸びたケーブルに繋いでベストに括り付けたポケットに入れた。
「これ着て」
アスカはカイトにベストを渡した。
「これでどうするんだ?」
「スズメを狩り出す」