「はい、ポケモン達はみんな元気になりましたよ」
「ありがとうございます」
カイトはポケモンセンターで手持ちのポケモンを回復させてもらい、返却されたモンスターボールを受け取っていた。
「そういえば、このポケモンセンター人が多いですね」
カイトはふと、センターの中に居るトレーナーがやけに多いことに気づいた。
「宿泊希望のトレーナー達よ」
「大分多いですね。何かあるんですか?」
「テレビじゃないかしら?今夜放送のドラマ結構評判が良いから、みんなそれが観たいんじゃないかしら?かくいう私も観てるんだけど」
「どんなドラマなんですか?」
「恋愛物ね。前回のラストでヒロインが病気で余命幾ばくもないって展開になって」
カチャカチャ
ジョーイからドラマの内容を聞いたカイトは手に持っていたモンスターボールを全て地面に落とした。
「え?どうしたの?」
「あ、すみません。ちょっと手が滑って……あ、今日泊まれますか?」
カイトはポケモンセンターの宿泊部屋に行き、ベッドに座るとアスカの事を思い返した。
3日前
「2年後には、私は間違いなく死ぬわ」
アスカはカイトに自分の余命を告げた。
「いや、正確には1年半後かな」
「死ぬって……お前、病気なのか?」
「いいえ、至って健康よ」
「じゃあ何で!?」
「……体質かな?」
「体質……?」
「細胞の問題でね。18歳頃になったら身体が生命活動を維持出来なくなって死ぬの」
アスカはカイトに自身の身体の事と、そして寿命のことを冷静に話した
「あいつもか?」
「あいつ?」
「カツジだよ」
『役割?兵士としての役割ってこと?じゃあ何?私も!お前も!あいつの言いなりのまま人殺しだけをして寿命を終えろってか!?』
カイトは以前、アスカがカツジに対して言い放った言葉を思い出した。当時は特に気に留めなかったが、今ならばその言葉の意味を理解出来た。
「何か、あのニュアンスだと、カツジも同じみたいに聞こえるけど」
「そう。兄妹揃って同じ身体って訳」
「何でそんな冷静なんだよ…?」
「5歳の時に知ったのよ?もう死を受け入れる覚悟なんてとっくに出来ているわ」
「そんなあっさりと……」
「……同情した?それとも哀れんでる?」
「え?」
「この子死んじゃうなんて可愛そ〜う。とでも思ってる?」
「いや、俺は」
「安い同情ならしないで。可哀想って考え私嫌いなの。相手を見下してるみたいで」
「……」
「……まぁ、生き物はいつか死ぬわ。私の寿命が18年だったってだけの話よ。カイトが気にする必要は無いよ」
「気にするなって……そんな」
「話しは終わり?……じゃあ行くね」
「おい!アスカ!」
アスカはカイトをその場に残し、行ってしまった。
現在
「アスカ………俺はどうすれば良いんだ……」
カイトはアスカの残りの命の事が頭から離れず、かと言って妙案がある訳でもなく、ただ頭を抱える事しか出来なかった。