「………ん……」(何処だ……ここ)
カイトは目を覚ますと見覚えのない場所に居た。
「起きた?」
カイトは声が聴こえた方を見ると対面する形でアスカが椅子に座っていた。
「アスカ……あれ…?俺確か……エリーと……!エリーは!?」
カイトは記憶と意識がはっきりし、エリーの事を心配した。
「ご案内下さい。エカテリーナ様は無事です」
カイトの後ろから黒服のリーダーが声をかけた。
「お前!エリーは何処だ!?」
「落ち着いて。彼らはエリーを傷つけるような事はしないわ」
リーダーを見た途端カイトはモンスターボールを取り出しエリーの居場所を聞き出そうとし、アスカは感情的になったカイトを落ち着かせた。
「って!アスカは何でそんな冷静なんだよ!」
「暴れ回ったらどうにかなるの?」
「それは……」
「それに、何かあってここが壊れたらどうするの?私はパラシュートなしでのスカイダイビングなんてごめんよ」
「スカイダイビング?」
カイトがオウム返しをするとアスカは窓を指差し、カイトは窓から外を見た。
「えぇぇぇぇ!?」
窓の外を見たカイトは外の景色が空の上である事に驚愕した。
「ここ空の上!?」
「そう。ここはシュヴァルツ財団のプライベートジェットの中。目的地はカロス地方のエリーの実家ってとこかしら?」
「ご明察」
「エリー!」
アスカが飛行機の行き先を当てると、エリーが声をかけた。
「ごめん。少し席を外して」
「はい」
エリーがリーダーに命ずるとリーダーは部屋から出た。3人だけとなるとエリーはアスカ、カイトと向かい合うように椅子に座った。
「ごめん!私のせいで2人に迷惑かけちゃって」
エリーは頭を下げ、2人に謝罪した。
「そんな、エリーが謝る必要ないだろ。と言うか、ここまでして娘を連れ戻そうとする親父とかどんな奴だよ」
「……独善的な人間よ。何でもかんでも自分の思い通りになると思っているの。家族でさえ例外じゃない。私も家に居た時はあの人の人形だった。勉強も学校も、進路もあの人の決めた物しかさせてくれなかった」
「トレーナーになったのはその父親の意思?」
「いいえ、私の意思よ……私ね、小さい時からポケモンが好きでね。いつかポケモンと一緒に旅をしたいと思ってた....でも、あの人はそれも許してくれなかった……だから家出したの」
「成る程ね」
「でも、わざわざ探してたって事は、親父さんエリーの事心配してたんじゃないか?」
「あの人はそんな人間じゃないわ。多分、何か理由があって連れ戻そうとしてるのよ」
「失礼します」
アスカ達が話していると、リーダーが入って来た。
「間もなくミアレシティに着陸します」
プライベートジェットはミアレシティの空港に着陸し、アスカ達はリムジンに乗り換え、エリーの実家に向かった。
「デカ!ここ本当にエリーの家かよ……」
到着したエリー実家であるシュヴァルツ財団の屋敷はかなりの広さがあり、一般的な家庭のカイトからして見ればあり得ない大きさであった。
「おかえりなさいませ、エカテリーナ様」
「ただいま。2人を客間へ案内して」
「かしこまりました」
使用人達が出迎えて、エリーはアスカとカイトを客間に案内するよう命じた。
「待ってて、私は父と話して来るわ」
「こちらどうぞ」
2人は使用人に案内で客間に通され、置いてあったソファーに腰掛けた。
「エリー大丈夫かな?」
「話からして、父親との関係は良くなさそうね」
「お久しぶりです。お父様」
エリーは書斎にて父親のグスタフ・シュヴァルツと対面していた。
「帰ったか」
「正確には帰らされたですが。では本題に入りましょう。私を連れて来た理由を教えてください」
「お前にはロックカンパニー社長の長男と婚約してもらう」
「婚約って……!」
グスタフはエリーに婚約をするよう命じた。
「先方との面会は明後日、発表は次の日のパーティーでだ。話は以上だ。下がれ」
「ちょっと待って!そんな急に!」
「既に決まった事だ。お前は私の言う通りにだけしていればいい」
「……!」
見ず知らずの人間との婚約を勝手に決められた上に強引に話を切られたエリーは拳を握り絞めた。