ポケットモンスター Re:Champion Road   作:1.96

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あまりにも新作のポケモンが好きでした。
のんびり書きます。


プロローグ
1話 飛ばされてパルデア


 

 

 

 ポケットモンスター。縮めてポケモン。

 空に、海に、森に、街に、その不思議な生物は世界中の至る所に住んでいる。

 

 人はポケモンと共に暮らし、笑い、時には喧嘩して、その後仲直りもして……

 

 ―――時に、共に戦うこともある。

 

 

 

 

 

「コジョンド、アクロバット!動き回って翻弄して!」

 

 バトルコートをコジョンドが駆け回る。縦横無尽に動き回ることにより、スピードで撹乱。ボクのエースバーンは、その残像を目で追い続けていた。

 

「見なくていいよ。柱を使って上に跳んで!」

「すぐに追うんだ!」

 

 コジョンドに翻弄されかけていたエースバーンだったが、ボクを信じてすぐに動いてくれた。柱を駆け上がり、高く跳び上がる。

 慌てて追いかけたコジョンドよりも高く。そうなると相手は、下から攻撃せざるを得ない。そこを迎え撃つ!

 

「真下だよ。とびひざげり!!」

 

 折り曲げた膝が、コジョンドの顔面に突き刺さった。まるで車同士がぶつかった時のような、えげつない衝突音が炸裂し、コジョンドは床に叩き付けられる。

 落下した勢いも相まって威力絶大。耐えるはずもなく、コジョンドは大の字で目を回していた。

 

「コジョンド戦闘不能。エースバーンの勝利!」

「っし。頑張ったね、エースバーン」

 

 レフェリーのジャッジを合図に、ボクとエースバーンはハイタッチ。戦ってくれた労を称えながら、彼をモンスターボールに戻す。

 

「お疲れ様です、リンドウさん!」

 

 すると、先ほどの対戦相手がボクに声をかけてきた。彼は、ここの門下生だ。

 

 ガラル地方――ヨロイ島――マスター道場。日々、ポケモンと己の研鑽(けんさん)に励む修行の場だ。今のバトルもその一環だった。

 最も、ボクは門下生ではなく指南役。

 

「お疲れ様。いいバトルだったよ」

「いえ!あれだけ撹乱したのに、あっさり返されるとは……」

「柱のおかげで上手く回避できただけだよ。あとはただ速く動くんじゃなくて、相手の逃げ道を防ぐように動くといいかもね」

 

 とはいえ障害物のない外だったら、こうはいかなかった。同じ対抗策は通用しないだろうし、次やるときは手強くなってると思う。

 

「そうは言いつつ、いつも勝てませんから。さすが、リンドウさんはお強い!三年前のトーナメント覇者は伊達じゃないっす!」

「……それほどでも」

 

 その言葉に、少し返事が行き詰まった。

 

「じゃ、午前の部は終わりだから。ボクはこれで」

 

 背後から聞こえる『お疲れ様でした!』という元気な声をよそに、ボクはその場を離れる。

 目を背けていた、胸に渦巻くモヤモヤとした感情。それが嫌で、拳をグッと握りしめた。

 こんなものは汗と一緒に流そう。部屋に戻ろうとすると、リビングの方のテレビが目に入った。いつもはテレビゲームの画面しか映らないのに、今日は珍しくお昼のニュースが流れている。

 

 

『無敵のチャンピオンダンデ!〇年連続のチャンピオン防衛に成功!』

 

 

 デカデカと表示されているテロップには、つい先日のチャンピオンカップの結果が書かれていた。

 ガラル地方チャンピオン、人呼んで『無敵のダンデ』。彼が、またもや王座を守り抜いたというニュースだった。

 

「およ、リンドウちん。お疲れ〜」

 

 テレビの前に座っていた人物が振り返り、ボクのことを妙な呼び方で呼ぶ。

 この人こそが、この道場の主にして師範のマスタードさん。ボクの師でもある人物だ。

 

「お疲れ様です。珍しいですね、テレビなんて」

「ダンデちんはここの門下生だったからね〜。教え子の試合は今でも見てるよん」

 

 そう言うと、マスタードさんはテレビのチャンネルを変えてゲームの画面に切り替える。ちょうどダンデさんの試合映像が終わったタイミングだった。

 

「リンドウちんも、もう一年頑張ればダンデちんを倒せたかもしれないね〜」

「そんな。持ち上げすぎですよ」

 

 コントローラーを操作しながら、マスタードさんはそんなことを言う。

 

 

 三年前。ボクも参加したジムチャレンジは、ここ数年で一番の盛り上がりを見せた。

 ジムリーダーの妹、リーグ委員長の推薦者。そしてチャンピオンダンデの弟。肩書きに名前負けしない、確かな実力を持った若者が多かった。

 

 今や黄金世代と呼ばれるそんな同期の中で、頂点に立ったのがボクだった。ファイナルトーナメントを制し、ダンデさんへの挑戦権を得て――そこで敗北した。

 接戦だった。そう称えてくれた人は多かったし、メディアもファンも盛り上げてくれた。労いや励ましの言葉も多かった。でも、それだけ。

 

 そういった声はいつか薄れる。結局そのバトルを終えて、ボクに残ったものは何もなかった。

 他の同期はジムリーダーになったり、ポケモン博士を志したりと、ジムチャレンジを通して大きく変化、成長しているのに……。

 

 

「もうジムチャレンジはしないのん?」

「ブランクありますし。それに、門下生の稽古見てるのもけっこう楽しいですよ。逆に、この道場からダンデさんを倒すようなトレーナーを育ててみたいものですね」

「……そっかあ」

 

 そんな落ちこぼれたボクを見かねたマスタードさんに誘われて、今の指南役としての生活を送っている。

 道場での生活に不満はない。ただ同期と比較すると、自分が何もないように感じるだけで。

 

「じゃ、午後もあるんでボクはこれで」

「あ、ちょっと。リンドウちん、いい?」

 

 今度こそ自室に戻ろうとするボクを、マスタードさんは呼び止める。

 

「はい、これあーげる」

「……紙切れ?」

 

 説明もなしに一枚の紙を手渡される。

 なんだこれ、航空チケット?

 

「なんですか、これ」

「大事に持っててねーん」

 

 ボクの質問は無視。そしてニコニコとした表情で、次の瞬間とんでもないことを言い放った。

 

「リンドウちん、しばらく道場クビね〜」

「………………え?」

「あ、手持ちのポケモンは護身用の一匹以外は置いていってね〜」

「は???」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 唐突なクビ宣言。

 渡された航空チケット片手に道場を追い出されたボクは今……

 

 

 

 パルデア地方にいます。いや、なんで?

 

 




主人公がダンデに負けたこと以外はほぼ原作準拠。

主人公の情報
名前:リンドウ
年齢:16歳
容姿: 赤色のセミロングパーマに、やや吊った碧色の瞳。
   黒縁のメガネをかけている。
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