ポケットモンスター Re:Champion Road   作:1.96

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5秒で考えたようなタイトルを変更しました


16話 芸術とは破壊也

 

 

 

 芸術家とは、品格があって物静かなもの。ボクには、そんなイメージがあった。

 

「そこのトレーナー、そのニャローテ……。実にアヴァンギャルド!!その突き刺すような鋭い瞳に、きめ細やかな毛並み。質の高いポケモンである証!キサマら、ワタシの作品のモデルとならんか!?」

 

 訳のわからないことを言われて、気づけばジムの受付に通されて、今ボクはバトルフィールドに立っています。ドラパルトもびっくりの超速っぷり。断る隙すら与えられなかった。

 

 ボウルタウンのジムリーダー、芸術家のコルサさん。彼が訳の分からん口上でボクに勝負を持ちかけたその張本人。

 この人はくさポケモンの専門家。無論、ボクも存じている。何を隠そう、ボウルタウンにきたのはジム戦が目的だからだ。こうなるとは思っていなかったけど。

 

 で、最近作品が詰まっているらしく、ボクのニャローテを見てビビビッと来たとかなんとか。褒められてはいるんだろうけど、言っていることがわからなくて喜ぶに喜べないんだよね。

 ニャローテも困ってたし、なんなら少し怯えてたまである。大丈夫かな。

 

「対戦の受け入れ、感謝するぞ」

「まぁ、ボクもそのつもりで来ましたから……」

「それは尚良い!さぁ、ワタシたち二人の合作アートを作るとするか!」

 

 

ジムリーダーの コルサが

勝負を しかけてきた!

 

 

「ゆけぇい!ミニーブ!」

「頼んだよ、ニャローテ!」

 

 コルサさんの一匹目はミニーブか。パルデア特有のポケモンだけど、ある程度下調べ済み。足は遅いけど、とくこうはそこそこあるポケモンだ。

 

「ほぅ……!あのニャローテが先鋒か!良い、実にいいぞ!」

「ニャ、ニャル……」

「気にしないでニャローテ!つばめがえし!」

 

 トレーナーが相手のポケモンを脅すのは反則でしょうよ。

 いや、そのつもりはないんだろうけど。

 

 少し怯えていたニャローテだけど、すぐ切り替えて突撃。セルクルジムでも役に立ったけど、今回はそのままくさポケモン対策になり得る技だ。

 さぁ、コルサさんはどう出る?

 

「ロニャー!」

 

 ……指示を出さない?鞭をピシピシ叩いているだけだ。

 ニャローテのつばめがえしがミニーブを捉えた。効果抜群だけど一発は耐えたみたい。見た目の割にタフだな。

 

「ミニーブ、まだいけるな!?」

「手を出して来ないならそれまで!もう一度、つばめがえしだよ!」

 

 コルサさんは再び地面を鞭打つ。

 どういうつもりだ。流石に無策で攻撃を受けているとは思えない。でも、ミニーブが何かしているようにも見えなくて。

 カウンターをするようなポケモンではないし、くさタイプ特有の変化技は、同じくさタイプのニャローテには大半が効かないはずだし……。

 

 攻めているはずなのに、不安になる気持ちはなんだろう。ミニーブは何度つばめがえしを受けても立ち上がってくる。おかしい、ここまで耐久自慢だとは聞いていない。

 

「ニャローテ、一度引くんだ!タネばくだん!」

 

 少し距離を置いて、一息つこうとした。

 だけど、ニャローテが放ったタネは、あまりにも貧相で普段の何倍も小さなものだった。

 

「ニャ……!?」

「うそっ!?」

 

 当然ミニーブはこれも耐える。

 なんで……!?なんでニャローテの攻撃がこんなに弱くなって……。

 

「その瞳に違わぬ鋭い攻撃、さすが良いものを持っている。だが、あまりにも真っ直ぐ!あまりにも直情!それでは、ワタシたちの養分となるばかりだぞ!」

 

 コルサさんが持っていた鞭を叩く。……さっきも叩いてたな。もしかして。

 直後、ニャローテがぐにゃりと膝を落とした。力が入らないのか、足がプルプルと震えている。

 

「ちからをすいとる……!」

 

 コルサさんは、確かに指示を出していたんだ。口ではなく手にした鞭で。

 それはおそらく、その技の存在をボクに隠すため。鞭で指示することによって、ボクに悟られるまでの時間を稼いだんだ。

 

 ちからをすいとる。相手の力を養分とし、自らの体力を回復する恐ろしい技だ。習得者は数少ないものの、その凶悪な性能で有名。まさか、あのミニーブが使えるとは。

 ミニーブがつばめがえしの連発を楽々耐えたのも合点がいった。文字通り養分にされてしまったというわけだ。このまま戦うのは無理か。

 

「ニャローテ一旦引き―――」

「一気に完成まで導くぞ。おきみやげ!」

「おっ、おきみやげ!?」

 

 さらに攻撃を落とす気か!

 ミニーブはひんし。数的有利と引き換えに、ニャローテはもうヘロヘロだ。

 

「ニャローテ戻って!」

「続けウソッキー!まずはとおせんぼう!」

 

 二匹目のウソッキーが技を放った瞬間、ボールのリターンレーザーが途切れた。交代を封じられてしまったんだ。

 もう完全にコルサさんのペース。なんとかこの場を抜け出す方法は……。

 

「ニャローテ、とんぼがえりで戻ってきて!」

「無駄だ。もうそのニャローテに動く力はない」

「そんな……」

 

 ニャローテは膝をついて苦しそうにしている。たとえ交代を封じられても脱出できるのがとんぼがえりの強みなのに、その技を出すことすらできないなんて……。

 

「さぁ、ゆくぞ!くさわけだ!」

 

 ウソッキーが機敏な動きでニャローテに接近し、その腕で殴り飛ばす。

 くさわけはくさタイプ版のニトロチャージ。使えば使うほど使用者のすばやさが上がる。鈍足なウソッキーにはピッタリの技ってことか。

 

 ニャローテは大きく後退。自陣エリアの半分ほどまで吹き飛ばされた。相変わらず足取りは覚束ないけど……体力そのものには余裕があるはず。

 大丈夫、まだ彼は戦える。こんな状態の彼にも、果たしてもらう役割がある。

 

「ニャローテ、立てる!?」

「ニャ、ニャァ……」

「よし。まずは攻撃を凌ごう!もっと下がって、|ボクの近くまで来るんだ!」

 

 攻撃力の低下は、引っ込めさえすればリカバリーできる。普通の交代ができない以上、なんとしてもとんぼがえりを当てる必要がある。

 

「逃すな!もう一度くさわけ!」

タネばくだん!」

 

 迫ってくるウソッキーに、タネばくだんを打ち込む。効果は抜群……なんだけど、ここまで攻撃を下げられては意味がなくて。ウソッキーは避けようともしない。

 

「まだまだ撃ち込んで!タネばくだん!」

 

 それでも構わず、ニャローテはさらにタネばくだんを撃ち出す。足を止めて、固定砲台のように。スピードで勝負する彼とは、まるで真逆の戦い方だ。

 

「なんだその攻撃は?そんな闇雲な戦い方で勝てると思ってるとは片腹痛いわ!」

「急所に当たれば儲けもんですからね!腐っても効果抜群なので!」

 

 ポケモンバトルには急所という要素がある。急所に攻撃を当てれば、与えるダメージは増加するというのは常識だ。

 たとえ攻撃力が下がっていても、急所に当たれば倒せるかもしれない。それだけ急所の効果は大きいんだ。

 

「ではひとつ、細工を加えよう。その細い勝ち筋も潰せるようにな!」

 

 流石に急所による負けは怖かったか。コルサさんはテラスタルオーブを起動。ウソッキーがテラスタルする。

 そのタイプはくさ。くさわけの火力を上げ、タネばくだんの受けるダメージを減らす最高の一手だ。

 

 でも……。

 うん。これでいい。ニャローテは最高の仕事をしてくれた。

 

「フルパワーでくさわけ!」

 

 さらにウソッキーはくさわけを発動。もうウソッキーとは思えないスピードで動き回る。

 

 コルサさんの戦法は大体把握できた。ミニーブで相手の攻撃を下げて起点にし、ウソッキーで素早さを上げまくる。

 ウソッキーの弱点である鈍足をカバーできるし、テラスタルを使えば苦手なみずやじめんタイプにも対応できる。恐ろしく理に適った戦い方だ。

 

 ミニーブにまんまと嵌められた以上、この牙城を崩すのは難しい。数の有利はとっていても、実を言うとこちらが不利だ。

 だから、少々の賭けに出よう。

 

「ニャローテ、足元に向かってタネばくだん!あとはキミの底力に賭ける!」

「奇怪なことを……。構わん、位置は既にわかっている。そのまま突っ込めぇい!」

 

 地面で爆ぜたタネばくだんは、ニャローテの周囲に煙幕を張る。

 だけどもう手遅れ。煙幕を張る以前にウソッキーに接近されすぎてて、もはや姿を隠しても意味は為さない。

 

 二匹が煙幕に包まれる中、ドカッという打撃音だけがフィールドに響く。

 

 それでも、きっとニャローテは……。

 ボクの右手に触れた小さな手。感触は弱々しくも、誰のものなのかボクにはすぐにわかった。

 さぁ、反撃といこうじゃないか。それを合図に、ボクは二つ目のボールを投擲した。

 

 




ミニーブじゃあまりに弱いし、オリーニョ使おうかな
→レベル25で進化

遅くない?ビックリしました。
そのせいではないけど、結局ミニーブのまま使ったって話。
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