ポケットモンスター Re:Champion Road   作:1.96

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20話 ドラ×ビリ☆コラボマッチ

 

 

 

 ハッコウシティでのエキシビションマッチ。ボクのテラスタルを皮切りに、両チームが一気に攻めへと転じる。

 

「いくよ!すいりゅうれんだ!」

「近づかせないで!パラボラチャージ!」

 

 とにもかくにも接近だ。ウーラオスは典型的なインファイター。近づかなければ勝負にならない。

 幸いパラボラチャージの火力は低い。その程度じゃあ、ボクのウーラオスは止まらんよ。

 

ラスターカノン!」

 

 だけど、ウーラオスの前進は別の攻撃によって阻まれた。キバナさんのジュラルドンだ。四つ足になり、さながら大砲のようにドッシリと構えている。

 

「俺様を忘れてもらっちゃあ困るなぁ?」

「簡単にはいかないか……。一旦引くよ!」

「逃すか!もういっちょラスターカ―――」

「させんよ!いちゃもん!」

 

 おっと、助かった。

 ジュラルドンが追撃を仕向けたところに、オーロンゲのいちゃもんが刺さる。おかげでジュラルドンはラスターカノンを出せない。その隙に、ウーラオスは一旦距離を置く。

 

「ありがとうマリィ」

「任せて。なんとかして近づきたいね」

「もっかいトライしてみようか。ウーラオス!」

 

 ボクは再度ウーラオスを突っ込ませる。まだバトルは始まったばかり。これぐらい強引でも問題ないはず。

 

「リンドウ氏さー、ちょーっと芸がないんじゃない?あまごい!」

 

 ん?雨?

 それはむしろ、みずタイプが入っていたウーラオスに追い風じゃないのか?

 

 ……いや、天候を書き換えるこの戦法は。

 

「キバナ氏といえば天候だからね!一流のインフルエンサーはファンサービスも忘れないのだ!」

「粋なことすんじゃねえの!ジュラルドン、かみなりだ!」

 

 重たい雨雲から雷鳴が轟き、ウーラオスに襲いかかる。天候が雨の時はかみなりは必中。

 ……みずタイプ消しててホントに良かった。

 効果抜群じゃないとはいえ、高威力のかみなりは堪えるか。でも、まだウーラオスは踏みとどまる。

 

「次かみなりは撃てない!まだ行くよ!」

「そうはさせぬぞよ!マッドショット!」

 

 悪質な。泥の塊がウーラオスの顔に命中して、彼の足が止められる。

 いや、あれ前見えてるのか?

 

「今のうちだ!ラスターカノン!」

みがわり!」

 

 視界を塞がれたところを、オーロンゲが守ってくれた。体力を削って分身を生み出し、攻撃を受け止める。

 やっぱり一筋縄じゃいかないか……。二匹の包囲網を掻い潜るのは難しいし、雨のせいで足元も不安定ときた。天候はパフォーマンスみたいに言ってたけど、ちゃんと戦術として成り立っている。

 

 正面突破は難しいね。したらば趣向を変えようじゃないの。

 

「マリィ、オーロンゲに攻撃が集中するかもしれないけど大丈夫?」

「あたしらのことは気にせんでよかよ!」

「オッケー。ウーラオス、あなをほる!」

 

 潜航。じめんタイプの技は二者に効果的だ。ゆえに、どちらを狙うかは分かりにくいはず。

 

「げげんちょ!?どうする?キバナ氏」

「オーロンゲを庇う気はねえってか。なら、そっちに集中砲火だ!かみなり!」

「しょうちのすけ!パラボラチャージ!」

 

 やはりこうなるよね。オーロンゲが敵陣に辿り着く前に、まずこれを防がないと。

 

「つっこんで!DDラリアット!」

 

 おおう、まさかの強行突破か。独楽のように横回転しながら突っ込んでいき、電撃を次々と打ち消していく。

 ―――そのまま狙うはハラバリー。

 

まもるで受け止めて!」

 

 だけど、その突進は阻まれる。オーロンゲも押し返そうとするが、苦労しているみたいだ。完全にその動きは止められている。

 

「よっしゃ、今のうちだ!ラスタ―――」

「今!出てきて!」

 

 ジュラルドンが構えをとった瞬間。ここを狙っていた。ウーラオスが地中から飛び出してアッパーを喰らわせる。

 このままいくよ!

 

「追撃!インファイト!」

「チッ。ジュラルドン!俺様たちも行くぜ!」

 

 ウーラオスが突っ込むと同時に、ジュラルドンの体は結晶に包まれる。まさかキバナさんがテラスタル使うなんて。誰に貰ったんだそのオーブ。

 このタイミングで切るということは、中身はドラゴンで間違い無い。それでもダメージは十分に与えられてると思うけど……。

 

「くっ、耐えるか……」

「お返しさせてもらうぜ!メタルバースト!」

 

 ま ず い。

 メタルバーストは、物理特殊に関わらず、受けたダメージを糧にして反撃する技。ヤバいな、これ致命傷じゃないか。

 

「チャーンス!ハラバリー、パラボラチャージだ!」

「させんよ。ソウルクラッシュ!」

 

 ウーラオスを狙おうとするところを、オーロンゲが食い止めてくれた。鋭い突きでハラバリーを下がらせる。その隙に、ウーラオスはなんとかその場を離れた。

 だけど、ハラバリーに効いているようには見えない。見た目通りタフな重戦車タイプなのか。

 

「受けた攻撃はでんきにかえる!反撃のパラボラチャージ!」

 

 でんきにかえる?

 もしかして、チェンジの変える?受けた攻撃で充電するってこと?

 その予想通り、さっきよりも強烈な電気がオーロンゲに直撃した。ハラバリーの特性か。あまりに初見殺しすぎる……!

 

「オーロンゲ、引いて!」

「させるかよ!かみなりだ!」

「くっ……。みがわり!」

 

 身代わりを盾に、オーロンゲはなんとか脱出できた。けど、みがわりを使うには自分の体力を代償にする。パラボラチャージのダメージも加味すると、あと一回ぐらいしか張れない。

 ウーラオスも受けたダメージは大きい。ジュラルドンは押せば倒せそうだけど、加えてハラバリーを相手にするとなると……。

 

 ……雨はまだ続いてるか、よし。

 

「もう一回トライをかけよう」

「大丈夫?もうオーロンゲもウーラオスも残り体力は少ないけど」

「いける。ボクに考えがあるんだけどさ……」

 

 鍵はナンジャモさんの技構成だ。ボクの作戦を伝えると、マリィも賛同してくれた。

 

「もうひと押しだぜ!ラスターカノン!」

DDラリアット!」

 

 オーロンゲが再度突進。ジュラルドンの攻撃を弾き返しながらガンガン距離を詰めていく。

 

「後ろにいるのは見逃さないぞ〜!ウーラオスごとパラボラチャージ!」

「もうバレたか……ウーラオス!」

 

 オーロンゲを盾に、ウーラオスもひっそり突進させていた。けど、バレれば仕方ない。ボクはウーラオスに指示を出した。

 全方位から襲ってくる電撃に、ラスターカノンと合わさってオーロンゲが限界を迎えた。

 

「くっ、オーロンゲの足が……」

「とどめだ!かみなり!」

「まだ踏ん張れる、みがわり!そして、ハラバリーにもいちゃもん!」

 

 みがわりで攻撃を防ぎ、残った体力を振り絞って最後の仕掛けをしてくれた。直後にパラボラチャージが炸裂してオーロンゲが力尽きる。

 オーロンゲ、ありがとう。あとは任せて!

 

「出てきてウーラオス!」

「何ッ……!?」

 

 さっき出した指示はあなをほる。地中に身を隠していたウーラオスが、ジュラルドンを吹き飛ばした。DDラリアットによる派手な突進は囮。本命はこっちだった。

 

「パラボラチャージ……が使えない!?ええい、マッドショット!」

「それなら耐える!そのままインファイト!」

 

 背中に泥の攻撃を受けるけど、所詮はタイプ不一致の低威力技。踏ん張ったウーラオスはそのまま突撃してジュラルドンを落とし切る。

 さぁ、あと一匹―――!

 

「やるじゃんリンドウ氏……。パラボラチャージ!」

あなをほる!」

「そう来ると思った!まもる!」

 

 ハラバリーにはまもるがある。いちゃもんの効果で同じ技を二回連続で使えなくても、まもるがあれば気にならない。完全に攻撃を防いだ後、すぐにパラボラチャージが使えるわけだからね。

 まもるで攻撃を防ぐと同時にいちゃもんの効果を消し、パラボラチャージで反撃する。これがナンジャモさんのシナリオのはずだ。

 

 そうやって、ハラバリーの行動を縛らせることに意味があった。全てはナンジャモさんにまもるを使わせるため。最大の隙を生み出すため……!

 

「マズい!ナンジャモ、今すぐまもるを解け!」

「え?なじぇ?」

 

 キバナさんが気づいたか。でも、もう遅い!

 

「ウーラオス!」

 

 地中から飛び出してアッパーカット一閃。ハラバリーの顎が跳ね上がる。効果は抜群だ。

 

「………はい?あれ、ボクまもるって指示したような」

 

 ナンジャモさんはお口あんぐり。これ今放送中だよね?その顔、生中継は放送事故じゃない?まぁいいか。

 トレーナーの動揺が伝わったのか、ハラバリーも動きが硬直した。チェックメイトだ。

 

すいりゅうれんだ!」

 

 雨によって火力の上がった華麗な連撃。さすがのハラバリーも沈み、バトル終了となった。

 

 やり過ぎたかもしれない。そう思ったけど、意外と動画の反応は良かったそうで。

 ……あ。ナンジャモさんに次回もゲストにと頼まれたけど、それは丁重に断っておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

「あー、楽しかった。久々に肩の力抜いてバトルしたぜ」

 

 バトルおよび生放送を終えて。ボクとマリィは、100万ボルトの夜景が見える丘上まで連れて来られた。キバナさん曰く、映えるらしい。

 ナンジャモさん?動画の再生数とコメント見てウハウハしてたよ。編集で忙しいから来ないって言ってた。

 

「……なんて言えるか!この野郎、トレーナー辞めたって聞いた割に強くなりやがって!!」

「いででで!?だから痛いですってば!」

 

 やたらテンションの高いキバナさんに、頭をワシワシされる。デジャヴ。髪もメガネもめっちゃくちゃ。

 

「でも、戦い方変わったよね。前はもっと力押しで戦ってた気がするけど」

「そうかな……?小さい子たちを育ててるから、自然とそうなったのかも」

 

 あの頃はボクも若かったし、経験も浅かったし。技も、攻撃技四つ入れておけば強いでしょって認識だったかもしれない。

 でも、未進化のポケモンを使う上でそれでは通用しない。それに、どっかの誰かさんのせいでジムリーダーが本気の戦略を練ってくるから、こっちも対抗する必要があるわけで。バトルスタイルの違いはそこかも。

 

「意地悪いぜ。そりゃあ、ナンジャモはウーラオスの特性なんか知らねーだろうし」

「まぁ、そこをつくのもバトルですから」

「いつから狙ってたん?」

「まもるを見てからかな。攻撃技二つしかないから、いちゃもん刺さりそうだなって」

 

 バトルの決め手となったのは、ウーラオスの特性ふかしのこぶし。直接攻撃がまもるを貫通する強力な特性だ。生きる場面はないと思ってたけど、運が良かったね。

 

「かーっ。たく、早く帰ってきて、またジムチャレンジしろよな。最近は手応えのあるチャレンジャーが少なくて、ダンデの奴も頭抱えてんだ」

「去年はジム制覇した人おらんかったもんね」

 

 なんとそりゃあ。

 ボクやマリィの世代が、豊作と言われる理由が分かった気がした。

 

「……考えておきます」

「期待感のねえ返事だな。まぁ、お前の自由だけどよ。それより―――」

 

 ボクとしては、パルデアでやるべきことをしてからだ。ひとまずはジム巡りしつつ、アオイを始めとする生徒たちの宝探しを見届けて……って感じで。

 だから、もうしばらくガラルには―――

 

「お前の相棒、こないだからヨロイ島に居座ってるって話だぜ」

 

 帰るつもりはないよって言おうとしたんだけど、たった今その決心が揺らいだかもしれない。

 

 




いやぁ、安易にマルチバトルするもんじゃないっすね、結構書いてて難しかった。
ちなみに、オーロンゲはSVだとDDラリアット覚えません。まぁ、ガラルから来てるわけだし……ね?
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