ポケットモンスター Re:Champion Road 作:1.96
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ハッコウシティでのエキシビションマッチ。ボクのテラスタルを皮切りに、両チームが一気に攻めへと転じる。
「いくよ!すいりゅうれんだ!」
「近づかせないで!パラボラチャージ!」
とにもかくにも接近だ。ウーラオスは典型的なインファイター。近づかなければ勝負にならない。
幸いパラボラチャージの火力は低い。その程度じゃあ、ボクのウーラオスは止まらんよ。
「ラスターカノン!」
だけど、ウーラオスの前進は別の攻撃によって阻まれた。キバナさんのジュラルドンだ。四つ足になり、さながら大砲のようにドッシリと構えている。
「俺様を忘れてもらっちゃあ困るなぁ?」
「簡単にはいかないか……。一旦引くよ!」
「逃すか!もういっちょラスターカ―――」
「させんよ!いちゃもん!」
おっと、助かった。
ジュラルドンが追撃を仕向けたところに、オーロンゲのいちゃもんが刺さる。おかげでジュラルドンはラスターカノンを出せない。その隙に、ウーラオスは一旦距離を置く。
「ありがとうマリィ」
「任せて。なんとかして近づきたいね」
「もっかいトライしてみようか。ウーラオス!」
ボクは再度ウーラオスを突っ込ませる。まだバトルは始まったばかり。これぐらい強引でも問題ないはず。
「リンドウ氏さー、ちょーっと芸がないんじゃない?あまごい!」
ん?雨?
それはむしろ、みずタイプが入っていたウーラオスに追い風じゃないのか?
……いや、天候を書き換えるこの戦法は。
「キバナ氏といえば天候だからね!一流のインフルエンサーはファンサービスも忘れないのだ!」
「粋なことすんじゃねえの!ジュラルドン、かみなりだ!」
重たい雨雲から雷鳴が轟き、ウーラオスに襲いかかる。天候が雨の時はかみなりは必中。
……みずタイプ消しててホントに良かった。
効果抜群じゃないとはいえ、高威力のかみなりは堪えるか。でも、まだウーラオスは踏みとどまる。
「次かみなりは撃てない!まだ行くよ!」
「そうはさせぬぞよ!マッドショット!」
悪質な。泥の塊がウーラオスの顔に命中して、彼の足が止められる。
いや、あれ前見えてるのか?
「今のうちだ!ラスターカノン!」
「みがわり!」
視界を塞がれたところを、オーロンゲが守ってくれた。体力を削って分身を生み出し、攻撃を受け止める。
やっぱり一筋縄じゃいかないか……。二匹の包囲網を掻い潜るのは難しいし、雨のせいで足元も不安定ときた。天候はパフォーマンスみたいに言ってたけど、ちゃんと戦術として成り立っている。
正面突破は難しいね。したらば趣向を変えようじゃないの。
「マリィ、オーロンゲに攻撃が集中するかもしれないけど大丈夫?」
「あたしらのことは気にせんでよかよ!」
「オッケー。ウーラオス、あなをほる!」
潜航。じめんタイプの技は二者に効果的だ。ゆえに、どちらを狙うかは分かりにくいはず。
「げげんちょ!?どうする?キバナ氏」
「オーロンゲを庇う気はねえってか。なら、そっちに集中砲火だ!かみなり!」
「しょうちのすけ!パラボラチャージ!」
やはりこうなるよね。オーロンゲが敵陣に辿り着く前に、まずこれを防がないと。
「つっこんで!DDラリアット!」
おおう、まさかの強行突破か。独楽のように横回転しながら突っ込んでいき、電撃を次々と打ち消していく。
―――そのまま狙うはハラバリー。
「まもるで受け止めて!」
だけど、その突進は阻まれる。オーロンゲも押し返そうとするが、苦労しているみたいだ。完全にその動きは止められている。
「よっしゃ、今のうちだ!ラスタ―――」
「今!出てきて!」
ジュラルドンが構えをとった瞬間。ここを狙っていた。ウーラオスが地中から飛び出してアッパーを喰らわせる。
このままいくよ!
「追撃!インファイト!」
「チッ。ジュラルドン!俺様たちも行くぜ!」
ウーラオスが突っ込むと同時に、ジュラルドンの体は結晶に包まれる。まさかキバナさんがテラスタル使うなんて。誰に貰ったんだそのオーブ。
このタイミングで切るということは、中身はドラゴンで間違い無い。それでもダメージは十分に与えられてると思うけど……。
「くっ、耐えるか……」
「お返しさせてもらうぜ!メタルバースト!」
ま ず い。
メタルバーストは、物理特殊に関わらず、受けたダメージを糧にして反撃する技。ヤバいな、これ致命傷じゃないか。
「チャーンス!ハラバリー、パラボラチャージだ!」
「させんよ。ソウルクラッシュ!」
ウーラオスを狙おうとするところを、オーロンゲが食い止めてくれた。鋭い突きでハラバリーを下がらせる。その隙に、ウーラオスはなんとかその場を離れた。
だけど、ハラバリーに効いているようには見えない。見た目通りタフな重戦車タイプなのか。
「受けた攻撃はでんきにかえる!反撃のパラボラチャージ!」
でんきにかえる?
もしかして、チェンジの変える?受けた攻撃で充電するってこと?
その予想通り、さっきよりも強烈な電気がオーロンゲに直撃した。ハラバリーの特性か。あまりに初見殺しすぎる……!
「オーロンゲ、引いて!」
「させるかよ!かみなりだ!」
「くっ……。みがわり!」
身代わりを盾に、オーロンゲはなんとか脱出できた。けど、みがわりを使うには自分の体力を代償にする。パラボラチャージのダメージも加味すると、あと一回ぐらいしか張れない。
ウーラオスも受けたダメージは大きい。ジュラルドンは押せば倒せそうだけど、加えてハラバリーを相手にするとなると……。
……雨はまだ続いてるか、よし。
「もう一回トライをかけよう」
「大丈夫?もうオーロンゲもウーラオスも残り体力は少ないけど」
「いける。ボクに考えがあるんだけどさ……」
鍵はナンジャモさんの技構成だ。ボクの作戦を伝えると、マリィも賛同してくれた。
「もうひと押しだぜ!ラスターカノン!」
「DDラリアット!」
オーロンゲが再度突進。ジュラルドンの攻撃を弾き返しながらガンガン距離を詰めていく。
「後ろにいるのは見逃さないぞ〜!ウーラオスごとパラボラチャージ!」
「もうバレたか……ウーラオス!」
オーロンゲを盾に、ウーラオスもひっそり突進させていた。けど、バレれば仕方ない。ボクはウーラオスに指示を出した。
全方位から襲ってくる電撃に、ラスターカノンと合わさってオーロンゲが限界を迎えた。
「くっ、オーロンゲの足が……」
「とどめだ!かみなり!」
「まだ踏ん張れる、みがわり!そして、ハラバリーにもいちゃもん!」
みがわりで攻撃を防ぎ、残った体力を振り絞って最後の仕掛けをしてくれた。直後にパラボラチャージが炸裂してオーロンゲが力尽きる。
オーロンゲ、ありがとう。あとは任せて!
「出てきてウーラオス!」
「何ッ……!?」
さっき出した指示はあなをほる。地中に身を隠していたウーラオスが、ジュラルドンを吹き飛ばした。DDラリアットによる派手な突進は囮。本命はこっちだった。
「パラボラチャージ……が使えない!?ええい、マッドショット!」
「それなら耐える!そのままインファイト!」
背中に泥の攻撃を受けるけど、所詮はタイプ不一致の低威力技。踏ん張ったウーラオスはそのまま突撃してジュラルドンを落とし切る。
さぁ、あと一匹―――!
「やるじゃんリンドウ氏……。パラボラチャージ!」
「あなをほる!」
「そう来ると思った!まもる!」
ハラバリーにはまもるがある。いちゃもんの効果で同じ技を二回連続で使えなくても、まもるがあれば気にならない。完全に攻撃を防いだ後、すぐにパラボラチャージが使えるわけだからね。
まもるで攻撃を防ぐと同時にいちゃもんの効果を消し、パラボラチャージで反撃する。これがナンジャモさんのシナリオのはずだ。
そうやって、ハラバリーの行動を縛らせることに意味があった。全てはナンジャモさんにまもるを使わせるため。最大の隙を生み出すため……!
「マズい!ナンジャモ、今すぐまもるを解け!」
「え?なじぇ?」
キバナさんが気づいたか。でも、もう遅い!
「ウーラオス!」
地中から飛び出してアッパーカット一閃。ハラバリーの顎が跳ね上がる。効果は抜群だ。
「………はい?あれ、ボクまもるって指示したような」
ナンジャモさんはお口あんぐり。これ今放送中だよね?その顔、生中継は放送事故じゃない?まぁいいか。
トレーナーの動揺が伝わったのか、ハラバリーも動きが硬直した。チェックメイトだ。
「すいりゅうれんだ!」
雨によって火力の上がった華麗な連撃。さすがのハラバリーも沈み、バトル終了となった。
やり過ぎたかもしれない。そう思ったけど、意外と動画の反応は良かったそうで。
……あ。ナンジャモさんに次回もゲストにと頼まれたけど、それは丁重に断っておいた。
◇ ◇ ◇
「あー、楽しかった。久々に肩の力抜いてバトルしたぜ」
バトルおよび生放送を終えて。ボクとマリィは、100万ボルトの夜景が見える丘上まで連れて来られた。キバナさん曰く、映えるらしい。
ナンジャモさん?動画の再生数とコメント見てウハウハしてたよ。編集で忙しいから来ないって言ってた。
「……なんて言えるか!この野郎、トレーナー辞めたって聞いた割に強くなりやがって!!」
「いででで!?だから痛いですってば!」
やたらテンションの高いキバナさんに、頭をワシワシされる。デジャヴ。髪もメガネもめっちゃくちゃ。
「でも、戦い方変わったよね。前はもっと力押しで戦ってた気がするけど」
「そうかな……?小さい子たちを育ててるから、自然とそうなったのかも」
あの頃はボクも若かったし、経験も浅かったし。技も、攻撃技四つ入れておけば強いでしょって認識だったかもしれない。
でも、未進化のポケモンを使う上でそれでは通用しない。それに、どっかの誰かさんのせいでジムリーダーが本気の戦略を練ってくるから、こっちも対抗する必要があるわけで。バトルスタイルの違いはそこかも。
「意地悪いぜ。そりゃあ、ナンジャモはウーラオスの特性なんか知らねーだろうし」
「まぁ、そこをつくのもバトルですから」
「いつから狙ってたん?」
「まもるを見てからかな。攻撃技二つしかないから、いちゃもん刺さりそうだなって」
バトルの決め手となったのは、ウーラオスの特性ふかしのこぶし。直接攻撃がまもるを貫通する強力な特性だ。生きる場面はないと思ってたけど、運が良かったね。
「かーっ。たく、早く帰ってきて、またジムチャレンジしろよな。最近は手応えのあるチャレンジャーが少なくて、ダンデの奴も頭抱えてんだ」
「去年はジム制覇した人おらんかったもんね」
なんとそりゃあ。
ボクやマリィの世代が、豊作と言われる理由が分かった気がした。
「……考えておきます」
「期待感のねえ返事だな。まぁ、お前の自由だけどよ。それより―――」
ボクとしては、パルデアでやるべきことをしてからだ。ひとまずはジム巡りしつつ、アオイを始めとする生徒たちの宝探しを見届けて……って感じで。
だから、もうしばらくガラルには―――
「お前の相棒、こないだからヨロイ島に居座ってるって話だぜ」
帰るつもりはないよって言おうとしたんだけど、たった今その決心が揺らいだかもしれない。
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いやぁ、安易にマルチバトルするもんじゃないっすね、結構書いてて難しかった。
ちなみに、オーロンゲはSVだとDDラリアット覚えません。まぁ、ガラルから来てるわけだし……ね?