ポケットモンスター Re:Champion Road   作:1.96

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23話 ミツを求めて三番勝負

 

 

 

 きのみ買うのをすっかり忘れてた。

 せっかく畑を耕したのに、植える用のきのみを忘れるなんてボクのおバカ。

 

 というわけで来たのはマリナードタウン。何故か砂漠の先にありました。徒歩で乗り越えるのはもう懲り懲りだよ。

 まぁ、普通の食材も買えたし結果オーライかな。海産物が売りの港町なだけあって、ずいぶんと賑やかだ。気が大きくなって余分に買っちゃった。

 ……しばらくは節約生活かな。

 

「ザロクのみ、十個で三千円からだよー!」

「フレンドボール十万!!」

 

 ここでは競りも有名らしい。

 レアなボールやきのみとか進化石とか。普通のショップでは中々見られないものばかり。その分高いけど。

 いくら珍しいガンテツボールとはいえ、ボール一個が十万からって。そんな出す人なんて……あ、二十万で落札した。金持ちこっわ。

 

 ま、一般庶民のボクには縁のない話かな。

 

「さて、用事も済んだし帰ろっか」

「エフィ」

 

 市場に背を向けようとする足を、エーフィが止めた。ズボンの裾を咥え、珍しく力任せに何かを要求する。

 視線の先、きらきらミツ。それも箱でまとめられての競り。パルデアじゃ中々見かけない品だ。

 

「……行けって?」

「フィア」

 

 彼女は甘いもの好きだ。きまぐれな性格って、本来は味の好みないはずなのに。

 まぁ、出せない額ではないけど……。もう今日の予算だいぶ超えてる。給料日で懐あったかいとはいえ、これ以上の出費は遠慮したいんだけどなぁ。そんなこと知ったこっちゃないんだろうなぁ。

 

「はいはい。ダメでも文句は無しだよ」

「……エフ」

 

 肯定か否定かわからない返事しないで。ダメだったからって八つ当たりは受け付けないよ。

 とりあえず、やるだけやろうか。たまには、手持ちの子にサービスしてあげようじゃないの。入札額は三千円からね。ボク含めて三人か、オーケーいいでしょう。

 

「三千五百」

「四千!」

「なら五千!」

「むぅ……、六千五百!」

「まだまだ!八千でどうだい!」

「ぐえっ、俺はもう無理……」

「よし、あと一人。一万でどう?これなら……」

「一万二千だい!」

 

 いや、無理だよ。

 値段四倍に跳ね上がってるもん。ボクがギブアップしたところで競りは終了した。

 あれだけ意気込んだのに諸行無常。これ以上出したら、そらとぶタクシー呼べなくなっちゃうから仕方ないね。

 

「ごめんね、エーフィ。ダメだったよ」

「フー……」

「ちょっ。ごめんってば。頭コツコツしないで」

「エフ、エフっ」

 

 文句は無しって言ったばっかなのに。痛くはないけど、足元で頭突きというささやかな抗議をされる。可愛い。

 でも、しばらくはご機嫌斜めだろうなぁ。帰り道にセルクルタウンに寄って、カエデさんとこでケーキでも買おうか。

 

「お前さんたち、そんなにこれを落としたかったんかい?」

「え」

「フィ?」

 

 ボクらにそう話しかけたのは、さっきの競りできらきらミツを勝ち取った恰幅のいい男性だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 場所は変わってカラフシティのバトルコート。そこにボクと、先ほどの男性は相対していた。

 

「いいんですか?せっかく競り落としたのに、ボクが勝ったら半分くれるなんて」

「いいんだい、いいんだい!あんなべっぴんさんに物欲しそうな目で見られたら、オイラも悪い気がしてなあ!」

 

 全くそんなことはないのに。しかも、タダで持って行っていいだなんて。

 この気前の良い人はハイダイさんといった。ここカラフシティのジムリーダーだ。駄々をこねてたエーフィに心惹かれたらしい。見た目だけはいいのが役立ったね、あのワガママっ子め。

 

 でも、せっかくの厚意を断るのも失礼だし、ジムリーダーと戦えるのはボクにとってもプラス。きらきらミツを手に入れるセカンドチャンスだ。

 

「お前さんのことは、トップからも聞いてたんだい。一度手合わせしてみたくってなぁ。三対三でどうだい?」

「……恐縮です。いいですよ、お願いします」

「約束は本当だが、どっこい勝負では手は抜かんからなあ。全力でやろうかい!」

「望むところですよ!」

 

ジムリーダーの ハイダイが

勝負を しかけてきた!

 

「よろしくニャローテ!タネばくだん!」

「行くんだい、ペリッパー!エアスラッシュ!」

 

 互いにポケモンを展開。すぐに技を撃ち合った。技は相殺され、オープニングヒットは無し。

 ハイダイさんはみずのエキスパート。でも、出てきたのはひこう複合のペリッパーだった。ニャローテで押すという単純な作戦は無理そうだね。

 

 そして、ペリッパーが場に出た瞬間に降り出す雨。特性あめふらしか。みずタイプに有利な展開を一瞬で作られてしまった。

 

「ニャローテ、前進!」

ちょうおんぱで止めるんだい!」

 

 ぬぅ、厄介な。

 勢いよく飛び出したニャローテの足が止まってしまった。妙な音波で混乱させられる。

 

「今が攻め時だい!エアスラッシュ!」

「抜群技は受けられない!ふいうち!」

 

 お願い、ここ動いて!

 そんな願いが伝わったのか、ニャローテは苦しそうにしながらも、ツタを伸ばしてペリッパーに食らわせた。

 

 出鼻を挫いたおかげで攻撃を防げた。本当によく頑張った。

 ボクは直ちにニャローテをボールに戻す。ちょっと不安だけど・・・デビュー戦いっておいで!

 

「交代際狙わせてもらおうかい!エアスラッシュ!」

「耐えて、ナカヌチャン!」

 

 交代の隙をついた攻撃だが、半減ならナカヌチャンは当然耐える。ここ、みず技じゃないのは運が良かったな。

 

「だったらひやみず!」

「回転で振り払って!ぶんまわす攻撃!」

 

 飛んでくる攻撃に対して、ナカヌチャンはハンマーを振り回しながら前進。ひやみずを打ち払いながらどんどん突き進んでいく。

 小さい体に見合わぬパワーファイター。ナカヌチャンの戦い方は、細かいことを考えない力押しだ。おかげで、こちらも指示しやすい。

 

「もう一度止めるんだい!ちょうおん―――」

「そのままぶん投げて!」

 

 二度も同じ手を食らってたまるか。

 ナカヌチャンは勢いよくハンマーから手を放し、ペリッパーに向けてぶん投げた。遠心力のたっぷりついたハンマーは、回転しながら飛んでいきペリッパーにヒット。ちょうおんぱを封じることに成功する。

 

 自ら武器を手放したって?身の丈ほどのハンマーを振り回す力があるんだから、彼女自身も凶器みたいなもんだよ。

 ナカヌチャンは、ボクの合図なしにペリッパーにまで迫る。

 

「ウオッ!?」

じゃれつく攻撃!」

 

 相手にすり寄るようにしてナカヌチャンが突撃。ボコスカに殴ってもみくちゃにする。

 ペリッパーは……まだ耐えるか。ナカヌチャンは、さっきぶん投げたハンマーを拾ってジャンプ。さらに追撃を図る。

 

 ……いや、攻めすぎじゃない?マズいな。ああも攻めっ気が強いと、こっちがブレーキをかけてあげないとダメみたい。

  

ひやみず!」

 

 ハンマーを振りかざしたところに攻撃がヒット。簡単に撃ち落されてしまった。

 まだ無事そうなところ見ると、攻撃力は高くない。それよりも、こっちの攻撃を落とされる方がキツイな。

 

 でも、ハンマーはぶん殴るだけが能じゃない。

 またもボクの指示無しに、ナカヌチャンは再びペリッパーに突っ込む。

 

「もう一度ひやみず!」

「来るのが分かってれば耐えられる!踏ん張って、頭を狙うんだ!」

「チャヌ!!」

 

 至近距離で攻撃を受けてはしまったが、ハンマーを構える姿勢は崩れていない。顔を顰めつつも堪えると、ペリッパーの脳天にハンマーをぶち込んだ。

 

 人間は脳を揺らされると、ふらつき、めまいといった症状を起こすことがある。ポケモンでも同じようなことが起こるかは分からなかったけど、上手くいったみたい。ペリッパーの動きが止まり、めまいを起こしたのかフラフラとしている。

 ボクが欲しかったのは交代のタイミング。それをどうにか作り出せた。

 

「よし、ナカヌチャン戻って!ニャローテ、タネばくだん!」

「苦しいが気張ってくれ!おいかぜ!」

 

 攻撃を下げられた状態では、ペリッパーにとどめを刺せない。素早く入れ替えて再度ニャローテを展開。混乱が解けて全快した彼に隙はなく、ペリッパーを一撃で落とし切って見せた。

 

「ほォ、やるもんだい。手も足も出んかったなあ」

「このまま残り二匹いかせてもらいますよ」

 

 くさ対策であろうペリッパーを、ほぼ無償で倒せたのは大きい。これで戦況は大きく有利だ。

 

 気になるのは、ペリッパーが倒れる間際に放ったおいかぜかな。ニャローテに当たるかは別として、エアスラッシュを撃ち込む隙はあっただろうに。

 ひやみずによる攻撃ダウン、雨やおいかぜによる場作り。さしずめ、あのペリッパーは起点作り要因とみて良さそう。

 

「ペリッパーの犠牲は無駄にせんぞ!ウミトリオ、ずつきだい!」

ふいうちで止めて!」

 

 知らないポケモンだけど、調べる時間なんてくれやしない。出てきたダグドリオもどきが突っ込んでくるのに合わせて、ニャローテはツタを取り出そうとする。

 

 ……けど、それよりももっと早い動きでウミトリオはニャローテに頭突きをかました。

 そうか。おいかぜのせいか。ダグドリオに似てるってこと考えたら、元の素早さもかなり速いかもしれない。

 

 怯まされている間に二、三の首がさらに頭突きをしようと迫る。

 

「ツタで突き放して!」

「避けてずつき!」

 

 マズい。全然当たらない。というか、どうやって動いてるんだそれ。

 

 さらに頭突きを受けて、ニャローテは頭を押さえてうずくまる。

 でも、頭がぶつかるということは手の届く距離にいるということ。ニャローテはめげずにツタを伸ばした。今度は顔ではなく、当てやすい胴体めがけて。

 

まきつくで防ぐんだい!」

「ニャル……!?」

 

 うげっ。

 三つあるうちの二つの頭がニャローテの両手を封じた。ツタを取りこぼし、無防備な姿で締め上げられる。

 

 そして、残った頭でひたすら頭突き。

 どうしよう。この状態だと、ボールによる交代はできない。ニャローテは口から吐くタイプの技は持たないから、反撃も難しいし……。

 

 向こうもそれ以外の手段がないのか、頭突きを繰り返すだけなのが幸い。でも、このままだと体力を削られる一方で……そうだ。

 

「もう一度ずつき!」

「ニャローテ、頭を相手に向けて!いくよ、テラスタル!」

 

 ニャローテがボクの指示通りに動いた瞬間、彼の体が結晶に包まれた。ここで使う予定はなかったけど、くさテラスタル。ニャローテの頭に、花の冠を模した結晶がつけられる。

 さぁ、あの複雑怪奇な形に頭突きしてみろ!

 

「キュ~!?」

「よし、拘束が解けた!そのままタネばくだん

 

 これがホントの石頭ってね。

 テラスタルで硬質化した頭に頭突きしたウミトリオはたまらずまきつくを解除。すかさず叩き込んだタネばくだんによって、そのままダウンに追い込んだ。

 

 テラスタルを使わされたけど、ウミトリオを一撃で落としたのは大きい。

 これで三対一だ。しかもまだエース、かつ相性抜群のニャローテが残っている。このまま三タテも夢じゃないかも。

 

「まったく、見事なもんだい!流れがずーっとお前さんのところにいっておる!」

「このまま流れに乗りたいですけど」

「どっこい潮は引いて満ちるもの。ここから怒涛の追い込み漁よ。流れを変えろいケケンカニ!」

 

 こ お り タ イ プ。

 前言撤回。だからズルいってばそれ。

 

 




ジム戦は二対二って言った気がするけど忘れてください。
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