ポケットモンスター Re:Champion Road   作:1.96

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25話 忘れ物を取りに

 

 

 

 レッツクッキングタイム。

 というわけで、とある日の放課後。家庭科室をお借りしています。

 

「じゃあ、早速やりますか」

 

 今日作るのは、もりのヨウカン。そう、シンオウ地方名物のもりのヨウカンだ。今でこそ特産品として根付いているけど意外や意外。作れちゃうんだなこれが。

 

 用意するのはころころマメを煮詰めた餡子、ケムリイモよせだまのもと、そして、先日ハイダイさんからいただいたきらきらミツ

 まずケムリイモの粉末ときらきらミツを、水と一緒に煮溶かす。ケムリイモは、餡を練り固めるために必要だ。

 

「あとは焦がさないように弱火で……」

 

 そしてよせだまのもとと餡子も一緒に煮て、滑らかになったら冷やして固める……と。手順は結構簡単。昨日から作り始めて、もう三本目だから手慣れたもの。

 

「ほう、甘くて良い匂いだ」

 

 そうこうしていると、家庭科室の主こと、サワロ先生が釣られてやってくる。そういえば、この人は大の甘党だった。

 

「疲れた時には甘いものですから」

「うむ……。先生方も山場であるからな」

 

 アカデミーは現在テスト期間真っ盛り。生徒が大変なのに比例して、先生の負担も増加する。

 テスト期間は課外授業は一旦中止になる。野外活動はテストがない分、ボクは結構手持ち無沙汰なんだよね。

 

「サワロ先生は結構平気そうですね?」

「まぁ、ワガハイも長いからな。まだ若いキハダ先生やジニア先生は、慣れてない分もあって忙しそうにしていたが」

「……早く差し入れを持って行ってあげましょう」

 

 そういえば、ジニア先生が怪しげなサプリやら栄養ドリンクやらで昼食を摂っていた気がする。公務員こわ。

 ボクにやれることと言えば、その他雑務を引き受けるとか、こんな感じの間食を作って差し入れるぐらい。そういった背景からのもりのヨウカン作りというわけで。

 

「昨日作った分があるんですけど、おひとついかがですか?」

「どれ、それではお言葉に甘えて……おお、これは……!滑らかで、しっとり濃厚な甘み。手作りでもこの味が出せるものなのか」

 

 おお、サワロ先生が生徒には見せられない表情をしてらっしゃる……。

 それはそうと、評判が良さそうで何よりだ。家庭科担当のお墨付きなら安心だね。今のが固まったら職員室に持っていくとしよう。

 

「エフィ」

「こーら、キミの分は昨日あげたでしょ」

「エフ……」

 

 ボールの中から嗅ぎつけたのか、エーフィが勝手に出てくる。これは先生たちのだからダメです。可愛く訴えてもダメ。ボクには通用しないよ。

 とはいえ、お預けしっぱなしだと何されるか分からない……じゃなくて可哀想なので代用品を用意してあります。

 

「む、それはなんだ?オレンジ色で、丸っこい団子のような……」

ミツよせだまです。平たく言うなら、ポケモンの餌でしょうか」

 

 まぁ人間が食べても支障はないけど。よせだまのもと、きらきらミツの二つを組み合わせて作るのが、このミツよせだま。

 本来はむしポケモンが好むものだけど、なんでかエーフィも好きらしい。

 

「なるほど……。これだけのサイズなら、携行食には持ってこいだな。子どもたちが旅をするうえにも最適じゃないか」

「嵩張らないのは嬉しいですよね。材料を集めにくいのがネックですけど」

「まぁ確かに、パルデアではあまり流通していない食材だな」

 

 携行食ってより、野生ポケモンに使う用に作ってたなんて言えない。オレンのみよりも、ポケモンを惹きつける効果が強いみたいなんだよね。でも、安定した供給が難しいという最大の欠点があるから、普及させるのは厳しいかも。

 

「うーん、今度の授業で使ってもらおうと思ったんだけどなぁ」

「今度?」

「ええ。テスト期間が終わった後にでも」

「テスト期間の後は、すぐに連休に入る予定だが……」

「え」

 

 マジですか。

 

 ……いやでも、校長がそんなことを言ってたような気がする。アカデミーが休暇となれば、宝探しはおろか授業もできない。

 予定が狂った。こんなことなら、ちゃんと校長の話を聞いておくんだった。

 

「その様子だと、連休のことは何も考えてなかったようだな……」

「連休って一週間ぐらいでしたよね?うーん……」

 

 考えてみれば、仕事以外でやることが思い浮かばない。

 ジム戦も考えたけど、あんまり短期間で挑むものでもないしなあ。そもそも、今から五つ目のところに行っても勝てるとは思えない。ついこの前、カラフジムをなんとか制覇したばかりだし。

 

「そういえば、リンドウ先生はガラル出身だったな。いい機会だし、里帰りというのはどうかね?」

「里帰り……ですか」

 

 確かに一週間ぐらいあれば、帰省するのも可能だけど……。マスタードさんが許してくれるかな。

 

『お前の相棒、こないだからヨロイ島に居座ってるって話だぜ』

 

 いや、関係ないか。キバナさんの言っていたことが本当なら、ボクはヨロイ島に帰らなきゃいけない。

 あの時の忘れ物を取り戻すために。

 

「そうですね。機会があれば、クラベル校長に頼んでみますよ」

 

 口ではそう言ったけど、もうボクは九割型行く気持ちが固まっていた。

 それでもこんな風に濁しているのは、きっとまだどこか会いに行く決心に揺らぎがあるんだと思う。ボクが彼に会う資格があるのか。そんな答えが出るわけのない問いが、ずっと頭の片隅にこびりついていたんだ。

 

 




時期的にちょうどGWということで。
課外授業ってどれくらいの期間でやるんでしょうね。私的には学期間ぐらいで時間をかけて行うイメージなんですけど、ネモは一年生でなおかつ既に前回の課外授業を履修済みだし……。
それを言ったら、1年で生徒会長とかいう訳のわからんことになってるんで期間とか考えたら負けな気もしますが。
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