ポケットモンスター Re:Champion Road   作:1.96

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ガラル編
27話 ただいま


 

 

 

「広ーい!青ーい!きれーい!!!」

「ほら、はしゃがないの」

 

 ガラル地方ヨロイ島。

 長時間列車に揺られ、さらに空飛ぶタクシーを経由してようやく着くことができる孤島だ。リゾート地と見紛うほどの綺麗な海に、アオイは大興奮。

 

 パルデアの自然も美しかったけど、やっぱりこっちの方が慣れてるからか安心する。目の前に広がる海原を見て、ボクもようやく帰ってきたんだという実感が湧いた。

 さて、まずは道場に行くとして……

 

「お〜い!リンドウー!!」

 

 はしゃぐアオイを引き留め、道場に進もうとすると現れたのは懐かしい声。その姿に、ボクの口角も自然と上がった。

 

「ホップ!」

「久しぶりだな!待ちきれなくて来ちゃったぞ!」

 

 ボクの親友にして最大のライバル。その白衣姿は大人びて見えるけど、元気いっぱいなところは相変わらずだ。

 スマホロトムで連絡はとっていたけど、会うのはしばらく振り。感極まって、思わずガッチリと握手を交わす。

 

「お、この子がリンドウの教え子だな」

「うん。ほら、自己紹介して」

「は、初めまして。アオイです」

「ホップだ!よろしくだぞ、アオイ」

 

 少し萎縮していたアオイに、ホップは人懐っこい笑顔を向ける。それで警戒心が解けたのか、アオイも表情が柔らかくなった。

 

「で、ボクたちこれから道場に向かうけど……」

「あー、待ってくれリンドウ。オレが待ちきれなくて来たってのは本当なんだけどさ」

 

 再度ホップに呼び止められる。

 

 そして、彼がボクに手渡したのは三つのモンスターボール。二つは中にポケモンが、そして一つは『今は』空のものだ。

 その行動が何を意味するのか、ボクはすぐに理解できた。

 

「お前が帰ってくるって分かった瞬間、早く連れてけってうるさかったんだぞ」

「もしかして、先生の手持ちポケモン!?」

「……そっか。わざわざありがとね」

 

 ボクは、六匹のポケモンでジムチャレンジを制覇した。エーフィ、ウーラオス、アーマーガアはすでにパルデアに連れてきている。

 このボールに入っているのは、ガラルでお留守番していた残りのポケモンだ。……うち一つは、今は手持ちにいない子だけど。

 

 それはさておき。

 アオイが期待の眼差しでボクを見つめる。言われずとも、この場でお披露目するさ。ボクだって、早くこの子達に会いたかったんだ―――!

 

「さぁ、出ておいで!」

 

 上空でボールが開き、かつての仲間たちが姿を現す。パルデアでは未確認であろうポケモンたちを前にして、アオイは興奮の声をあげた。

 

 それは置いといて一匹目。

 

 ダンデさんから貰った御三家の最終進化。エーフィに次いで付き合いの長い、エースバーン。

 勇敢な性格だけど、遊び盛りな元気っ子。だけどバトルの実力は確かだ。どんな相手にも立ち向かえるから、パーティーの切り込み隊長だったね。

 

「バニ〜ニ!!」

「よしよし。君はいつも元気だね」

 

 そのバトルの腕から、よく門下生のトレーニング相手を務めてもらってた。っていうか自主トレに明け暮れているウーラオスと、気分屋のエーフィの穴埋めをしてくれてたというか……。

 そんな不憫な役回りを嫌な顔せずにこなす彼の笑顔は、あまりにも眩しい。抱きついてくる彼の頭を優しく撫でて労をねぎらう。

 

 そして二匹目。

 キャンプでいつの間にか紛れ込んでいて、いつの間にか手持ちにいたポケモン。

 後にそれは、ボクの持っていたアメざいくに釣られてきたと分かった時の可愛さと来たら……。パーティーのアイドル枠、マホイップだ。

 

「はぁ、いい匂い……。もう少しこのままで……」

「マミュ〜?」

 

 身体から溢れ出るホイップの甘ったるい香り。あまりに心地よくて、ボクは彼女に顔を埋める。不思議に思う声をあげながらも、マホイップはよしよしとボクの頭を撫でてくれた。

 あれ、どっちがトレーナーだっけ。

 

 その後、すぐさまエーフィに引き剥がされたので気を取り直します。

 マホミルの時は甘えん坊だったけど、進化してからは小さいながらもしっかり者。素直な性格に全てを包み込む包容力は、捻くれ者のアーマーガアも気まぐれなエーフィも敵わない。一番小さい彼女だけれど、パーティーのお母さんだ。

 

「よし!じゃあ、気を取り直して道場に行くか!」

 

 ひとしきりポケモンを愛で倒したところで、ようやくマスター道場へ。ボクはエースバーンとマホイップをボールに戻し、腰に下げる。

 腰に九つのボールが並んでいる姿は圧巻だ。だけど、それでも一つ足りない。ボクは、ホップからもらった空の十個目のボールも腰に下げる。

 

 ボールの主は……ガラル六匹目の仲間はここにいる。彼を迎えに行くことが、この帰省の密かな目的なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

「ただいま戻りました」

「お、お邪魔します!」

 

 道場の戸を開くと、門下生の子たちの視線が一瞬にしてこちらに集中した。それに気圧されたのか、隣でアオイがピンと背筋を伸ばす。

 

「リンドウさん!お帰りなさい!」

「ご無沙汰してます!」

「あとで、お手合わせお願いできますか!」

 

 うん、今日も元気に修行に励んでいて何より。

 数ヶ月ぶりの道場は、いつも通りの熱気に包まれていた。門下生たちは、ボクたちの来訪にも集中力を切らさず、少しボクに声をかけてからすぐに鍛錬に戻る。

 

「ここで先生も修行したんだなぁ……」

「数週間だけどね。でもいい経験だよ」

 

 ジムチャレンジの途中、ここに立ち寄って修行をしたのはいい思い出だ。そういえばダクマ……今のウーラオスと出会ったのもこの道場だったっけ。

 

「リンドウちんと同じ試練、してみたいでしょ?」

「わっ!?」

 

 ボクたちが会話してると、音も立てずに背後に忍び寄る影。不意をつかれたアオイは驚き、跳ねる。その正体が誰なのか知ってるから、ボクはもう驚かない。

 

「声ぐらいかけてくださいよ」

「油断大敵だよん。おかえり、リンドウちん」

「もう……。ただいま帰りました」

 

 悪戯そうに笑うマスタードさんは、すぐに視線をアオイに向ける。マジマジと見ながらうんうんと頷き、一人だけ何かに納得しているようで。

 

「何してるんだ?」

「見定めてる……んだと思う。ボクにもわからない」

 

 そばで見ていたホップは怪しげな反応。

 真っ当だと思う。

 

「アオイちん、お部屋は空いてるところを使ってねん。荷物を置いたら、清涼湿原へおいで」

「はっ、はい!あの、一体何を……」

 

 アオイの質問には答えず、マスタードさんはモンスターボールを三つチラつかせる。……ボクらもついて行った方が良さそうだ。

 わざわざ道場の中ではなく、外に出る意味。そして、ボクと同じ試練をやるという言葉。

 

 今から行うのは三つの修行。

 一つ目の修行。それは超超超速いヤドンを三匹捕まえることだ。

 

 




今日からガラル編。10話を目処に考えています。
そして、ガラル組5匹目の仲間はマホイップ。追加アプデでパルデアの内定も決まってるので、今後は心置きなく連れて来れそうです。
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