ポケットモンスター Re:Champion Road   作:1.96

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遅くなりましたm(_ _)m


6話 パルデアの未来

 

 

 

 ポケモンリーグ。

 それは、ポケモントレーナーが目指す高みの最終地点。ごく一部の認められたトレーナーしか行けない、非常に限られた場所だ。

 

 なぜ急にそんな話をするのか。

 ボクが、今まさにそこにいるからである。

 

「ようこそいらっしゃいました、リンドウ先生。待ち侘びましたよ」

「……校長先生に用があると言われて来たんですけど」

 

 クラベル校長に話があると呼び出され、場所を変えようと案内され、連れて来られたのがここ。もうその時点で、何かあると思うべきだった。

 閉鎖された部屋で待ち構えていたのは、理事長ことオモダカさん。嫌な予感しかしない。

 

 この人、ポケモンリーグの委員長にしてトップチャンピオンという地位にいる。ガラルでいうなら、かつてのローズさんとダンデさんの仕事を兼任しているようなもの。そのうえ、アカデミーの理事長ときた。なんだこの人、化け物か?

 

「ええ、問題ありません。私が呼ぶように頼みましたから」

 

 訝しむボクに対して、ニコニコのオモダカさん。その笑顔怖いのでやめてください。

 その背後で、クラベル校長が頭を下げる。嘘は言ってないらしい。

 

「では、なぜ私がここに……」

「単刀直入に言いましょう。貴方にポケモンリーグに所属していただきたい。その勧誘のため、呼び出した次第です。アカデミーでする話とも違いますからね」

「クラベル校長を使って呼びだす理由にはならないのでは……」

「余計でしたか?私が直接頼むより、よほど素直に来るかと思ったのですが」

 

 見透かされてら。否定できません。

 それはそうと、ポケモンリーグに所属?ボクが?

 話が飛躍しすぎてて現実味が湧かない。困惑するボクを無視して、オモダカさんは話を続ける。

 

「なぜ自分が、とでも言いたげですね」

「まぁ……。心当たりもありませんし」

「無敵のチャンピオンを寸前まで追い詰めた実力者。それだけで十分勧誘に至る理由だと思いませんか?」

「三年前の話ですよ」

 

 確かにボクは、ダンデさんのリザードンをあと一歩のところまで追い込んだ。でも結果は負け。どれだけ惜しかろうと、負けたのだ。

 

「さて、貴方には教職という垣根を超えたお願いがあります。チャンピオンネモのことはご存じですね?」

「……ええ、まあ」

「私は、彼女を現パルデアトップのトレーナーだと思っています。才に満ち、人一倍努力家で、それ以上にバトルへのあくなき向上心がある。彼女のようなトレーナーが増えれば、パルデアもガラルに負けないバトル大国になるでしょうね」

 

 そこまで話して、オモダカさんは『しかし』と言葉を翻す。

 

「彼女がトップになるには決定的に欠けているものがある。彼女に足りてない、といえば少々語弊がありますが」

「わかりかねます」

「まずライバル。次いで障壁。強者ゆえの孤独は常に彼女に付き纏います。彼女自身、己を高めるライバルの存在を欲していました」

 

 アカデミーの生徒で、現在チャンピオンランクはネモ以外いないと聞く。確かに、対等な関係はいないかも。バトル好きなのに強すぎるせいで避けられるとは、なんとも皮肉な話だ。

 

「もっとも、最近はそれに近しい人物を見つけたようです。ひとまず安心しました」

 

 アオイのことかな。

 ネモもかなり気にかけてたし。足りないのは経験ぐらいで。

 

「私の願いは、パルデア中のトレーナーのレベルの底上げ。チャンピオンネモにはその先頭に立つ才覚があります。そして、その彼女が可能性を見出しているアオイさんにも」

「……私にその手伝いをしろと?」

「もちろん彼女だけではありません。チャンピオンネモに追いつき、追い越そうとする者が増えることは非常に好ましい。若き才能を育むには、優秀な指導者と彼女らが目標とする人物――言い換えれば越えるべき壁が必要なのです」

 

 その役割をボクに担えと、そう言っているのかな。

 オモダカさんの言いたいことは理解できた。物腰柔らかに見えて、並々ならぬ情熱を隠せていない。ボクが断れば、どんな手を使ってでも言うことを聞かせそうだ。そんな圧を感じる。

 

「私は、そんな大層な人間ではありませんよ」

「指導者が完全である必要はありません。苦い経験があるならなお良い。それを教えに繋げられるのですから」

 

 一歩詰め寄り、オモダカさんは不敵に微笑む。

 

「ガラルでのお話はマスタード氏からお聞きしました。チャンピオンダンデを最も追い詰めたと言われる貴方が、なぜトレーナーを引退して小さな道場で燻っていたのかも」

「……やっぱり、あの人が一枚噛んでたか」

「無理にとは言いません。どうか引き受けていただけますか?」

 

 元々、課外授業に向けた授業をするのがボクの役割だ。それにかこつけて、最初から生徒たちのレベルアップに利用する腹だったのかな。

 自分が何をすれば良いのかはわからない。だが、彼女らの役に立てるならば、ボクの持てる知識と経験を授けるくらいは造作ない。

 

「できる範囲でしかやれませんし、期待に応えられるかはわかりませんが……」

「十分です。貴方には課外授業で生徒の動向を確認できるよう、業務内容を調整させます。貴方自身、存分にアカデミー外で活動していただいて構いません。課外授業を終え、私に挑む者が現れることを楽しみにしてますよ」

 

 あぁ、プレッシャー……。物腰穏やかそうなのに、この逃れられない感はなんだろう。

 

「貴方も含めて、ね」

 

 彼女が立ち去る際に漏らした言葉を、ボクは聞き逃さなかった。その短い言葉に込められた圧に、ボクは背筋が凍るのを感じた。

 ……やっぱ引き受けるんじゃなかったかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

「……てなわけで、前途多難だよ」

「なんだかパルデア地方も楽しそうだな!まだ出会ったことのないポケモンもたくさんいるんだろ!?」

 

 その日の夜。今日の出来事を話すと、通話先のホップからはなんともポジティブな声が返ってきた。

 

「ジニア先生って人にこっちのポケモン図鑑貰ったけど、見たことない子が百はいたかな」

「すっげ〜!!ガラル帰ってきた時には見せてくれよな、リンドウ!」

「そっちの入国規制に引っかからなければ良いけどね」

 

 ホップはボクの親友。そして、ジムチャレンジで互いに高め合ったライバルだ。彼はもうトレーナーを引退してるけど、その関係は変わらない。

 

「そっちにもジムはあるのか?」

「あるよ。ガラルほどの規模じゃないけどね」

「ふーん。チャレンジするのか?」

「どうしようかなぁ」

 

 オモダカさんの件は一応引き受けた。けど、ジムバッジを集めてリーグ……すなわち彼女に挑むかという話は保留だ。まだ自分の気持ちが決まりきってない。

 勝ち進む自信がないわけではない。ただ気がかりなのは……。

 

「アイツのこと、気にしてるのか?」

 

 ホップに図星をつかれた。

 ボクは言葉に詰まる。

 

「……そうだね。元気してるかな?」

「前にワイルドエリアで見かけた時は元気そうだったぞ。相変わらず野生のポケモン相手に稽古してたけど」

 

 ホップが話すのは、かつてボクの手持ちの中でも特に力を持った子だ。旅を終えてボクの元から離れ、今ではガラル各地を渡り歩いて自分を磨いている。その経緯は、話せば長くなるから今は置いておくとして。

 ……そっか、彼も頑張ってるんだ。

 

「ホップ、ボクやっぱりジム巡りするよ」

「おお、本当か!」

「みんな頑張ってるのに、ボクだけ置いてけぼりは嫌だしね。次そっちに帰る時、あの子を迎えに行けるようにボクも強くならないと」

 

 そしてあの子を迎えに行けた時はもう一度……。今ここで言うにはまだ早い、ボクの密かな野望。それを叶えるためにも、まずは自分自身のレベルアップだ。

 

「ところで、その生徒のレベルアップって何すればいいんだ?」

「うん。本当そこなんだよね」

 

 それよりもまずは、オモダカさんの依頼をクリアする方法を考えるのが先だね。

 曖昧過ぎて分からん。

 どうすりゃいいんだろう……?

 

 




オモダカの頼み(強制)。
この人の手持ちの貧相さどうにかしてゲーフリ。サーフゴーとか。

さて今後の投稿頻度なんですが、週1は出来るようにしたいですね。
仕事しながらなので不定期な時もありますが、暖かく見守ってください。
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