【メガテン三次】転生したら、サンカクヘッドだった件 作:白鮭
素質を認められて
――あ、これあかん奴や、と。
その場は平穏を装って周りに合わせながらクリスマスミサを乗り切った後、興奮している狂信者を横目にそそくさと外に出るとミサ中に雪が降ったのか、うっすらと雪化粧が施されているメシア教会は、色々思い出した俺の目から見ても奇麗だった。
「そりゃあ、前世ではニートのゲーオタとか言う最悪の人間だったけどさ、ここまで悪い事したのか? ……したな。両親には申し訳ない事をした」
そのせいなのか絶対に転生したくない三大ゲーム*1の内の一つに転生して、挙句の果てに親ガチャに失敗してメシア教会系の孤児院で生まれ育つという、強烈な神罰を神から食らったのかもしれない。まあ、メガテンには悪魔はいても神なんて存在しないんだけど。
それに育てられてはいたが、覚醒して記憶が戻った以上はこれ以上ここにはいられなかった。
三月に中学を卒業したら、ネオファイト*2に昇格して専門の訓練を受けろって言われてたし。
「とにかく逃げるか。
「……どこに逃げるのですか? どうやら良くない記憶が戻ったようですが安心しなさい。すぐに神への愛を取り戻せますよ」
「いえ、記憶が戻って真の信仰ってやつを取り戻したんで要らないです。
育ててもらった恩があるのにこう言うのもなんですが、テロ屋と一緒にいるって噂されたら恥ずかしいんですよ。エンジェル様もそう思うでしょ?」
そう軽口を叩き、雰囲気が変わって行くエンジェルの動きを見ながらスキル【転生Lv4】の転生神装備の一つであるアームターミナルを引き出すと、左前腕部がポリゴンを模した黒い光と赤い光に包まれ、それがホログラフィックキーボードとモニターに変化したのを驚愕と共に眺めるが、それでも指は繰り返した動作を正確になぞり、空中に浮いたキーボードを連続でタッチしてソフトウェアを起動。
立ち上げるソフトはデュアルウィンドウ*3を使ってDAS*4を二回とDDS*5。この状況で最適な仲魔を召喚して相手の情報を探る。
「転生装備ってソルハカ2仕様なのか? まあいい――来い、造魔ロデム、コウテイ」
召喚完了までの間、百太郎を組み込んだエネミーソナーの表示を一瞥。
GP11で異界突入中と言う赤い警告文と出現値C、Lv21エンジェルと後ろにぞろぞろと集まってきていた出現値B、Lv14のネオファイトか。
初陣から出現値CのボスとBの軍団は酷いし、GP11なのにエネミーソナーの表示が赤なのに戸惑いを覚えるが、それは戦闘が終わった後で気にすればいい。
メガテンは面白いが、やっぱり転生してまでやるもんじゃないな。
そう思いながら、弱点は衝撃と呪殺に弱いとバッドステータスに弱いと言う表示を目に入れる。
……このデーターだと、覚醒編じゃなくてメガテンXの方か。
「貴様、いったい何に覚醒した!? ……残念ですが、あなたは悪魔に魅入られいますね」
「まあね。仲魔になるなら見逃してやるけど?」
「戯言を! 捕まえなさい、何なら殺しても構いません!!」
「仮にも神様に仕える天使が言う事じゃないだろ? 後ろの奴らは無関係だし。
それでもそう言うなら、俺もこう言うしかないけどな。――二人共、殺れ」
メシアンが上からの命令を拒否する事などありえない。それは、育って来た環境から分かり切っている。
だから、生き残るにはこうするしかない。
空中に光で出来た召喚円が展開するのと指示を出すために一瞬意識が逸れたのを見たのか、召喚直後にコウテイが縮*6で間合いを詰めてエンジェルに背穿*7を使って金色の直剣で切り掛かると、それを待っていたロデムが敵全体にシャッフラー*8を掛けたのを見て、俺も転生神装備の剣を抜く。
「それで、これも2仕様か」
直線を多用した一体型に見える素材の分からない黒っぽい全体に、刃の部分や柄の部分が赤く光るゲーミングPCみたいな作りの剣を見ながら、体術*9でカード化したネオファイトの集団に飛び込み、刃から炎が噴き出したところで振り回す。
ストーム・エッジ*10
コウテイの攻撃を辛うじて受け流していたエンジェルも、命令を受けて俺たちに攻撃を掛けようとしたネオファイトも纏めて灰に帰す。
――シャッフラーでカード化して火相性に対して弱体化した敵を、マハ・ラギオンで焼き尽くす通称キョウジスペシャル。
それを再現する為に、セッションを何回繰り返したか。まさか現実で使う羽目になるとは思わなかったけど。
「で、だ。何でお前はそんなのにTSしてるんだ。それに、そいつはコウテイじゃないだろ」
俺と仲魔以外動くものがいなくなったのを確認した後で、エンジェルを一方的に蹂躙していた黄帝、いや蜀の皇帝だった恋姫†無双の劉備に俺はツッコみを入れる。
マジで何で寄りにもよってそうなるんだと聞きたいのだが、俺の話を聞いた劉備は大成功したと邪気の無い笑顔を見せていた。
「しょうがないよ、サマナーが弱体化しすぎたから仕方なくこうしたんだから。
黄帝から国を滅ぼされた皇帝へ。しかも非現実キャラで、不人気で評判悪くて評価の低いキャラ。ここまで存在を劣化させれば、今のサマナーにもどうにか運用できるしね。
お陰で、種族が英雄から怪異に近くなっちゃったけど」
「それは……悪かった、非難するような事を言って。
それにしてもGP11で出現値Cって事は、もしかして二週目スタートでLv1とかか? ストーム・エッジが当たったのも、スキルのレベル補正で命中値が上がってたからだとして……え、それだと仲魔は維持出来ない?」
「うん、そうだよ。だから私は劉備になったんだ。それに、他のみんなはこんなに簡単に存在を劣化できないから、それまでサマナーを独り占めに出来るし」
「苦労を掛けて、すまない劉備。それと、最後の方聞こえなかったけど、何か言ったか?」
「んーん、なんでもなーい」
「まあ、劉備の理屈は分かったよ。それで元のレベルが劉備より高かった、あそこで元気に暴れてるロデムは大丈夫なのか?」
バイツァ・ダスト*11とファイアブレスを派手にバラまいて、戦えなかった腹いせなのか教会を焼き尽くしているロデムを俺と劉備は並んで見ていたが、それに気づいたロデムは、何か棒のような物を咥えて俺たちの方に駆け寄って来た。
「サマナー、コレヤル!」
「お、ありがとよ。剣?」
「多分、無銘の剣かな? この異界の核だと思う。
……造魔って運用コストゼロじゃん。ゼロには何を掛けても増えないんだよ」
「あー……」
「ロデムは現行さいつよ。って言うか、同クラスの悪魔が出てきたら
「そうか、こんなに可愛いのにな」
知性もあるしレベルも高いのだが、獣型のせいなのかロデムは本能に任せると犬っぽく振舞う事が多い。お酒で威力が上昇するスキルは無いけど酒好きだし。
白い部分が真っ黒になって鬣と瞳と尻尾が赤い、色違いのケルベロスのような見た目のロデムが持ってきた剣を受け取った後で、それを置いて全力で撫でてやると嬉しそうに目を細めるのを見ると、このまま遊んでいたくなるが残念ながらやる事が多いので、適当な所で切り上げる。
「取り敢えず、核を抜いたならこの異界が崩壊するのも近いから、俺とロデムでマッカとドロップアイテムを探すから、劉備は念の為に奇門遁甲陣*12を使ってくれ。
物質と霊的両面から、俺たちがいた痕跡を徹底的に消す」
そうして瓦礫の山と化した異界からあらかた物資を回収して、外に出る手前で一枚のカードを拾った。
「エンジェルのカードか。
お前があの時素直に仲魔になってれば、こんな事にはならなかったかも知れないのにな。でも、こうなった以上は力を貸してもらうぞ」
そう言ってロデムを戻してアームターミナルの光度を最低限に落とした後、教会の瓦礫から見つけた大きな布で無銘の剣を隠しながら異界の外に出ていくが、護衛と称して俺の隣に引っ付いている劉備は嬉しそうだった。
「あ、そうだ。これから私の事は劉備じゃなくて桃香って呼んで」
「何で? 劉備の名前の方が有名だろ」
「恋姫†無双には真名って設定があったでしょ? 神聖な名前で呼ぶと殺されても仕方が無いって言ってる割には、人が沢山いる所で普通に使ってたやつ。その設定を呪術に応用して、私の存在を安定化させるから」
「分かった、これからもよろしくな桃香」
「うん。コンゴトモヨロシク、サマナー。じゃあ、せっかくの性夜だしラブホ行こうラブホ! 天使とメシア教徒ぶっ殺したお金でラブホ行くとか、これはとんでもない悪徳ですよ!」
「おま!? でかい声でそんな事を言うな!」
「誰もいないじゃん。私、お城みたいなのが良いな」
「……へいへい、仰せのままに。――ありがとな、色々気遣ってくれて」
クリスマスの日に色々なものを失った俺は、色々と思い出して色々なものを手に入れた。
そんな色々な俺がどうなるのかは、きっと神様にも悪魔にも分からない事だった。
それと普通だったら先の事を考えたり、人を殺した事を思い悩んだりしそうなのだけど、そんなの全部ぶっ飛ぶ勢いで初体験なのに限界まで搾り尽くされた。
俺が思うに、あの小玉スイカみたいな胸がいけないんだと思う。
カード状態になると火相性の攻撃は2倍になるが、それ以外の攻撃は効かなくなる。
又、別冊FSGI第6号(TRPGサプリ00)のスポットルール:装備編を使用し、装備品本来の性能である火相性の全体攻撃でスキルを使えるように、ルールを修正している。
初めは単体なのだが回避に失敗すると対象は瀕死になり、その後に全体攻撃魔法として作用する。
副効果が発生すると転倒のバッドステータスが付く。
つまりは?
色違いとは言え、ケルベロス(造魔)はさいつよ!