【メガテン三次】転生したら、サンカクヘッドだった件 作:白鮭
「”H$F&A!」
気味の悪い鳴き声を上げながら、玉ネギのような頭と羽を毟られた黒い鶏の体を持った悪魔が襲い掛かってくるが、それを左手に持った銃で迎え撃つ。尤も、初見でこれが銃だと気が付けたらの話だが。
銃口には赤い光のワイヤーフレームで描かれた、厳めしい男の顔の付いた腕ほどの長さの黒いハンドガン。
更にバレルに添ってランダムにワイヤーフレームで描かれた複数の顔が、浮かんでは消えて行くと言う狂気を感じさせる作りになっているが、逆にフレームからグリップに至っては赤い光で、メシア教の教理を基にした緻密なエングレービングが描かれていた。
銃の名はメギドファイア。
四文字が世界を焼き尽くす為に作ったとされているが、メガテンXで威力が盛られて覚醒編では属性制限が無くなって、更にはソウルハッカーズで弾数制限も無くなってと色々と魔改造された結果、補給が今一つな俺の愛銃となっていた。
……尤も銃自体は魔改造されても、レベルも速能力も下がったせいで弾は盛大に外れ、周りの木々を盛大に薙ぎ払っているんだが。
「ダメだ、当たんねぇ――って事で、そこの鶏野郎。仲魔になんねえと、神の光でローストチキンにするぞ」
「#$=~&*! >?%マッカ.¥$&$」
「よし、契約成立だな」
オンモラキの言った通りに数枚のマッカを差し出すと契約が完了して、目の前に表示しているホログラフィックモニターにオンモラキの名が表示されるが、俺は直後にメギドファイアを戻してホログラフィックキーボードを空中に出して両手でタッチする。
ソフトウェアを戦闘用配置から悪魔合体用配置へ。
DDR*1、フライデー*2、アルバート*3、コペルニクス*4、スティーブン*5をインストールして、ダーク・マン*6を使って先ほど仲魔にしたオンモラキと、この異界で仲魔にしたガキを合体させる。
「よしっ! 来い!! ……ダメかぁ」
合体が完了して仲魔の名前が消えて、その代わりにマッカの欄の数値が数十枚増えるのを見てため息を吐くと、弱い悪魔と戦うのに飽きた桃香とロデムが文句を言い始める。
「もう帰ろうよ、つまんない」
「ソウダソウダ、ツラナイカラカエルゾ」
「ごめんごめん。まあ、ここの異界も枯れ始めてるし、俺も飽きて悪魔ガチャとかやってたしな……帰るか」
桃香とロデム以外の仲魔のステータスが、アップデート中から進まないのを確認し続けて約五ヶ月。首都圏を脱出して地方の異界を転々としながら、俺は自分の能力の確認とレベリングを続けていた。
異界は人気の無い山の中腹にあり、一応獣道らしきもので人が出入りしているのは確認出来るが、生憎と俺は見た事がなかった。
そのまま三人で山を下って道に出てから、アームターミナルを操作して車を出す。
……そう、COMPを操作して車が出せるのだ。車種はこの手の伝奇ものでは名脇役を務める、ト〇タのハイ〇ース。いい加減風評被害で、怪異として悪魔化しそうな車である。
もちろん最初に気が付いた時には目を疑ったが、覚醒編のルールブックには愛用の車を入手する為の方法が書かれている以上は車を入手出来るし、運転する為に必要な免許も持っている。
まあ、実年齢が15歳だったので、明らかに偽造免許の類だとは思うが。
ただ、戸籍上はおそらく死亡届が出されているであろう俺にとっては、この免許は生命線の一つでもあった。
「明らかにゲームジャンルが違う。シャドウランナー*7じゃねえんだぞ俺は」
「どうしたの? 免許なんて取り出して見つめたりして。覚醒した時に、背も伸びてカッコよくなって良かったじゃん。顔見られただけでメシア教の奴らにもバレないし」
「そりゃな。元の生まれと覚醒で洗脳が解けた*8のとを含めると、今回で生まれ変わったの三回目って言ってもいいから。
特に覚醒編の転生者覚醒で【転生3Lv】が付いたとなると、【転生神顕現】、【転生神武具獲得】、【転生神外見(性別等)】を獲得してるからな。
その辺は今更だし、それでメシアンの目を逸らせる事が出来るなら有り難いくらいだよ。
エンジェルにだって何に覚醒したって言われたくらいだから、正体が露見する事も無いだろうし。ただなぁ……」
免許の写真に写る姿は、最初の生まれのデブ男でも平凡な15歳のテンプルナイト候補生のものでも無く、鋭い目つきのアルビノに見える優男。
着飾ってホストクラブ勤めでもすれば、さぞや客が付いただろう。ただし、その方面の努力をするつもりがないから、固定客が付かなくてクビになるだろうが。
だが、今回の問題は写真に写った自分の顔の事ではなく、そこに書かれた名前だった。
(ヒノカグツチを使ってケルベロスっぽい仲魔を従えてるからって、この名前はないだろ)
免許に書かれた名前は、中島
この名前は始まりのCOMP使いにして、イザナギの転生体の中島
「……名前のふざけ具合から言って、黒い人*9案件じゃないと良いけど。俺は大十字九郎みたいに、上手くやる自信はないんだよな」
「?」
「ワフ?」
「いや、がんばんないとなーって思っただけ。店に寄って現金を補充して、買い物して帰ろう」
ボス扱いのエンジェルとネオファイトを倒してレベリングをやり続け、覚醒編とメガテンXの仕様を含めて考えれば、クラスに悪魔*10が混じっている状態でLv20。
他に分かった事と言えばデビルサマナー、ソウルハッカーズ、TRPG版の能力の良い所取りをした存在だという事だけだった。
シャドウランナーは、SINと言う戸籍のような物を抹消しているのがデフォであり、戸籍を残した場合は不利な特徴として追加の
転生先がメガテンで、しかもメシア教会系の孤児院で生まれ育っているのを認識した時点で、全ての抵抗を放棄した。――だが、俺は賭けに勝った。
本来のレベルは15である。