そらをとぶパトロール 作:メタモン
1月1日になんとか滑り込みできました
○○○
「オウレーン!!」
「はいはいチリちゃんといこかー」
「うわーん!顔が良いー!!」
「こればっかりはすみませんね…」
「ピカピカ」
「ピッ」
ナンジャモさんがチリさんに横抱きで運ばれていく。
俺は両肩にピカチュウたちを乗っけながらその様子を眺めていた。めちゃくちゃかわいいけど俺の両肩は小さいから降りてくれ。
ナンジャモさんには申し訳ないがパトロールができなくなる兼業は無理だ。付きっきりのお仕事だろうしな。でもマネージャーさんを雇うお手伝いくらいはできる。
何せ
実際数日すれば専業のマネージャーをあてがってくれると話がついた。急な電話だったのにしっかり対応してくれて助かるぜチリさん!
報酬は今度ピクニックしてくれれば良いとか細身に反して太っ腹すぎるぜ。
まあナンジャモさんはめちゃくちゃゴネたけど。
なぜそこまで俺に執着を…?確かに友達ではあるけど特別なことは何もしてないはず。
……初めて会った時はらぺこナンジャモさんにサンドイッチプレゼントしたけどまさかそれで…?
まさかな!
「しっかし四天王のお迎えとはなんとも豪華だなあ」
「とうぜんですの。オウレンはチリちゃんのトクベツみたいですから」
「ポピーちゃん?」
ヒョコっ、と生垣の影から飛び出して来たのはチリさんと同じはがね使い四天王のポピーちゃん。
ただこの子とはあまり喋ったことはない。
リーグ関係者とは一応挨拶してるからその時に知り合った程度の関係値だ。
知ってることといえば見た目に反してごっついポケモンを繰り出してくるパワーファイターであることくらい。
ちなみに身長は俺と同じくらい。
この辺では珍しい俺が顔を見上げなくて良い相手だ。
「チリちゃん。オウレンとおでんわしたあとずっとへやでゴロゴロころがって、ちょっぴりコワイですの…」
「そりゃまた…えぇ?」
何してんのチリさん…?
「あれ、でもなんでそれをポピーちゃんが知ってるの?」
「四天王はめんせつしつのカメラを見ることができるんですの。ポピーもたまーに、どんな方がきたのかをみるのです」
「ああ、あのカメラか…え。てことはチリさん面接室で転がってんの!?」
「それも、オウレンとお話ししたちょくご。なにかワケを知っているならおしえてほしいです。ポピー、チリちゃんが転がるトクベツが知りたいです」
「ん〜…?」
特別…特別…?
正直なところわからないとしか言いようがない。
チリさんが俺との電話のあと転がってるのだってはじめて聞いたし、面接室でそうなってるってことは定期報告の時ってことだよな。
基本的に数十秒で終わる上にほぼ異常なし。
……マジで心当たりないぞ!?
「ちょっとよくわかんないな。他になんか手がかりない?」
「そうですの?…あっ!チリちゃんは「かわいいボケ」がほにゃららとおっしゃってました!」
「……あれか!」
チリさんまさか…
チリさんの時はボケの側面が強かったから少し適当だっけど…ちょっと本気を出そう。
「んん"っ…まいど!チリちゃんやで!」
「わー!?そっくりですのー!?」
「へへっ。多分チリさんはこの物真似が気に入ってくれてたんだと思うぜ!」
「ほあー…そういうことだったんですの!」
お口に手を当て上品に驚くポピーちゃん。やっぱ育ちがいい。ともかくこれでチリさんのころがる謎は解けた!いやースッキリしたな!
「あのー……そのー……」
「なに?」
だが対照的にポピーちゃんはもじもじしている。なんでだ…?
…………。
あっ。
そういやチリさんの特別が知りたいって言ってたな?
もしかして…チリさんの気を引きたい?
おやー!かわいいところあるじゃんか!
ずっとかわいいけど。
「もしかして、物真似覚えたい?」
「え!どうしてわかったのですの!?」
「態度に出てたぜ」
「ポ、ポピーふかく!」
「どこで覚えたんかなその言葉」
とは言っても流石にそろそろ俺もパトロール再開しないとな…。
「じゃあ今度の休みに一緒に練習しよう!」
「ほ、ほんとですの?」
「もち!連絡先…は、交換してたか。じゃ、予定が合う日を後で決めよう!俺はもう行かなきゃ」
「やったー!ありがとうなのです!ポピーはその日を楽しみに待ってますね!」
「そんじゃお疲れ様でしたー!…チュウチュウ!《そらをとぶ》!スイチュウはボールに戻って」
「ピッカァ!」
「チュア〜」
ボールにスイチュウが戻ったのを確認した俺は空を見上げた。
空は快晴、飛行を遮るもの無し!
「チュウチュウたのむぞ!」
「ピィーカァー!」
肩から飛び降りたチュウチュウは地面を弾くように4の脚で真上に飛んだ。俺は乗り遅れないよう振り落とされないよう飛ぶ瞬間にチュウチュウの胴体をがっしり掴む。
「うっひょおおおおおおお!」
「ピッカァ!」
そして一度瞬きをしてしまえばそこはもう空の世界。チュウチュウに宙ぶらりん。さっきまで隣にいたポピーちゃんは随分と下になってしまった。
……ん?なんかポピーちゃんが両腕ぶんぶん振りながら叫んでる?
「すっっごいですのーーー!!!」
…………いやぁ〜……。
「照れるぜオイ!!!」
「ピカピカ!」
「な!純粋にすごいって言われんのめっちゃ嬉しいよな!」
二人揃ってポピーちゃんに手を振りかえしながらビュンと空を駆けていく。
パルデアの風がとても心地良い昼下がり。
○○○○○
四天王ポピー。
趣味は同僚と遊ぶこと。
彼女はポケモンリーグの人たちが大好きだ。忙しくなければ一緒にごはんを食べ、お話をし、時にポケモン勝負をする。そんな日々がとても好きだった。
自称ではあるが、彼女は四天王のことならなんでもわかると自負している。
だからこそ、チリが面接室で転がっている場面を見た時は驚き、そして自分の知らない一面をぽっと出の少年が引き出したことに嫉妬を覚えた。
だが同時に興味も湧いた。どんな人なのだろう、自分では引き出せないチリを引き出したすごい人。
調べるとどうやら一度会っていたらしい。
しかしその時は簡単な挨拶で終わっている。ポピーはもう一度話してみたいと思った。
「わぁぁ…!」
そして現在。はるか空へと跳び上がった2人を見上げて彼女は羨望する。
ポピーは少年と話した限り、とてもいい子のように感じていた。相談に乗ってくれたうえに自分にもできるよう物真似を教えてくれると約束してくれた優しい普通の少年。
そらをとぶタクシーは見たことがある、利用したことがある。しかしそれらは沢山のイキリンコ達に協力してもらった上で乗り物を浮き上がるものだった。もちろん落下防止のため必ずドアが閉められるため風を感じることもない。
それなのに少年はどうだろう。乗り物もなく己とポケモンのみで空を駆けるその姿。なんて羨ましいのだろう。なんて勇ましいのだろう。
なんて自由なのだろう。
ポピーはこれまで危ないからと手持ちのアーマーガアで空を飛ぶこともなかった。考えもしなかった。
「でも、さすがに今すぐのるのはなれてないからあぶないのです。ポピーはわかります」
ポピーは思う。
きっとチリも自分と似たようなことで固定概念を破壊された経験があったのだろうと。子供の自分とは違い大人だからこそ破られた強い何かがあったのだろうと。
「ふふっ。こんどきいてみようかしらっ」
きっと優しい少年では話してくれないだろう。だから本人に聞くことにする。
タイミングはいくらでもある。
例えばそう…転がっている時とか。
「たのしみですのー!」
ポピーはルンルン気分でハッコウシティを後にしたのだった。
正直ポピーの口調あやふやなので意見が欲しいです。なので感想ください(感想ヨクバリス)