今更、ポケモン!剣盾転生物語   作:星宮 星雅

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 皆様、大変長らくお待たせしました。
サイトウちゃん初登場回が漸くやって来ましたよ。


ライバルとバトル

 7歳、俺にライバルが出来た。褐色肌に白い髪の女の子・・・未来のジムリーダー・サイトウだ。

原作ゲームにおけるラテラルジムのジムリーダーはバージョン別で異なり2人のジムリーダーが存在する。その片割れを担うことになるのがサイトウで、かくとうタイプの専門家だ。ガラル空手の申し子という肩書きも持っていたが・・・まさか鍛錬中に試合ふっかけてくるとは思わなかった。

その時の試合は性差による筋肉量の差が出たのか俺の心証。ポケモンバトルで行われた2戦目もかくとうタイプの技をすり抜けるゴーストタイプが二体も居たため俺の連勝。それからというもの、負けん気を発揮したサイトウちゃんに何かと勝負を仕掛けられることになった。

またサイトウちゃんの紹介で、もう1人の未来のラテラルジムリーダー・オニオンとも知り合った。

サイトウちゃんの新しいお母さんが連れていた弟らしい。中々、複雑なご家庭のようだ。

2人とも未来のジムリーダーというだけあってバトルが強く、気を抜けばアッと言う間に負けてしまうし、気を抜かなくても割と負けてしまう。少し、悔しい。

だが、俺はポケモントレーナーとして生計を立てる気は毛頭無い。バトルの練習は程々でいいだろう。

 

 とかなんとか思っていたら、サイトウちゃんに殴られた。めっちゃ痛い。

殴った理由は「どうして本気で強くなろうとしないのですか!!」とのことらしい。

実家がガラル空手の道場というだけあって強さには一家言あるのだろう。だが、俺の人生は程々でいいのだ。激しい喜びは要らない。その代わり深い絶望も無い。そんな人生がいいのだ。だから、ガラル空手もポケモンバトルも必要なだけ出来ればそれでいい。と言ったら、またサイトウパンチを食らいそうだ。

腹の激痛に耐えながら頭を悩ませていると、オニオンくんが心配してやって来てくれた。

「お腹・・・・・・大丈夫?」

「平気・・・とは口が裂けても言えないが、まぁ許容範囲だ。心配要らない。」

「よかった・・・」

 

オニオンくんが「ほっ」と胸を撫で下ろす。姉のパワーを知っているだけに心配だったようだ。

「それよりも問題なのはサイトウちゃんとのことだ。俺は強さに執着が無いが、彼女は本気で強くなりたいと願っている。落とし所はどの辺りか・・・。」

「お、お姉ちゃんは・・・ボクのために怒ったんだと思う。」

「オニオンのために?」

「うん。ボク、ポケモンバトルは出来るけど・・・事故の後遺症で身体は鍛えられないから。」

「強くなれないオニオンを見てたから、強くなろうとしない俺が気に入らなかったか・・・。」

「それにお姉ちゃん凄く負けん気が強いから、本気のヘレボルスさんと戦って負けを返したいのもあると思う。でも、1番は本気で強くなろうとしない人に負けた自分が気に入らないんだと思う。」

強くなるのは誰の為?か・・・。俺はトレーナーになる気も格闘家になる気も無い。

でも、このままサイトウちゃんと喧嘩別れするのは嫌だ。なら・・・・仕方が無いか。

 

 俺はオニオンくんと別れ、サイトウちゃんを探してサイトウちゃんの実家の道場にやって来た。

サイトウちゃんは何時ものように鍛錬に励んでは居るが、心はそこにあらずと言った雰囲気だ。

「それじゃあ、単に暴れてるだけだ。」

「・・・・・・・・・何を、しに来たのですか?」

サイトウちゃんは此方を向かず、空に向けて拳を振るっている。だが、チラチラと俺を見ている。

普段のサイトウちゃんであれば、鍛錬中に余所見など絶対にしないだろう。

「俺は程々の人生がいい。激しい喜びは無い。その代わり、深い絶望も無い人生を送りたい。」

俺がそう本心を告げると、サイトウちゃんの拳が更に激しくなった。最早、ただの力任せだ。

「でも、サイトウちゃんは本気の俺に勝ちたい。全身全霊で強くなった、俺たちに勝ちたい。」

「サイトウちゃんは俺の友だちでライバルで大切な人だ。バトルや格闘に生きる気は毛頭無いが、大切なサイトウちゃんと一緒に居るために必要なら、絆を守るのに強くなることが必要なら、俺は本気で強くなる。だって、俺はサイトウちゃんのことが好きだからな。」

「なっ!?何を言っているのですか!?は、破廉恥な!!」

「そういう意味の好きじゃねぇよ。俺たちまだ7歳だぞ。」

羞恥心で真っ赤に染まったサイトウちゃんは、しかし、やっと俺の方を向いてくれたのだった。

 

 俺はサイトウちゃんに向けて握り拳を突き出した。これは、決意の証明だ。

「約束する。俺はサイトウちゃんと戦うために本気で強くなる。強くなったらなったで、多分周りが放っておかないだろうから、程々の人生も諦める。それでサイトウちゃんと友だちで居続けられるなら惜しくない。・・・嘘だ、少し惜しい。でも、もういい。大事な誰かを諦めてまで望みを叶えようとは思わない。だから、頼む。まだ・・・俺の友だちで居てくれ。」

サイトウちゃんは更に赤くなった。何か間違えただろうか?怒っているのだろうか?

本心を知るのはサイトウちゃんだけ、俺はただ真摯に思いを伝えて答えを待つしか無い。

「・・・私も、悪かったです。身勝手が過ぎました。申し訳ありません。」

「許す。だから、答えを聞かせて欲しい。まだ友だちで居てくれるか?」

「はい。こちらこそ、これからもよろしくお願いします。」

こうして、俺とサイトウちゃんは本当の意味で友だち兼ライバルになった・・・・・・つづく。




 ヘレくんは本気で強くなることを決めました。
ポケモントレーナーとして本当の第一歩を歩み始めたのです。
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