OVER×OVER ~H×H原作の最新DMMO始めました~   作:砂漠谷

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オバロは本編は全巻持ってますが、ややうろおぼえですので指摘は歓迎です。特典小説は持ってないので、オーバーロードwiki先生にかなり頼っています。よろしくお願いします。


H³ ギルメンたずねて三千里
一通のメールは、希望。


 2135年。DMMOゲーム、ユグドラシル<Yggdrasil>内。プレイヤー・鈴木悟ことモモンガは、ギルド拠点であるナザリック大墳墓内、第9層の円卓の周りを、考え事をするようにうろうろと回っていた。

 ここ一年半ほどはログインするギルドメンバーも稀で、ユグドラシル内での殆どの時間は一人でギルド拠点の維持費用を稼ぐためのモブ狩りに勤しんでいたモモンガだったが、そのルーチンワークを辞める目途がついたのだ。

 転職?その程度でこの男がユグドラシルを辞めるわけがない。結婚?この男にそんな相手がいるわけがない。金欠?この男は仮にリアルマネーが足りなくなれば、臓器を売ってでも過去のギルドメンバーたちと作り上げた遺産を維持するだろう。

 そうではなく。すでにゲームを引退した昔のギルドメンバーの一人から彼に、一通のメールが来たのだ。

 

「お久しぶりです。たっち・みーです。お元気ですか? 今どうしていますか? 私は色々ありつつ、家族三人とも特段の不幸はなくやっていけています。

「娘があまり手が掛からない年頃になったので、数か月前に新しいDMMOを始めてみました。これが意外と面白くてハマってしまいました。

「さて、本題ですが、自分がやっているDMMOをモモンガさんも始めませんか? ゲーム内で、偶然にもアインズ・ウール・ゴウンの旧メンバーが3人ほど集まり、昔の話で盛り上がって、そこでモモンガさんのことも話題に出ました。

「半年ほど前にかなり話題になったDMMOなので、モモンガさんもご存じだと思います。そちらのご事情もあると思いますが、私たちはいつでもモモンガさんを歓迎しますよ P.S.同様のメールを連絡の取れる他の元ギルメンにも送っています」

 

(どうしようか、しかし、どうしようか……たっちさんにもう一度会いたいか?といえば絶対に会いたい。だけど、新しいゲームを始めるということはこのナザリック大墳墓を捨てるということに等しい。俺がいなくなれば維持費は払えず、ナザリック大墳墓は侵入し放題の中立地帯に戻るだろう。41人のギルメンたちの遺産と、3人の今のギルメン。常識的に言えば絶対に後者を取るべきだ。だけど、41人全員で作り上げてきたこのナザリックを捨てるのは皆への裏切りじゃないのか? 先に裏切ったのはあいつらの方だろ? 今更どの口で……考えちゃいけない。そんなこと考えてはいけない。その思考こそが皆への裏切りだ。俺の過去への裏切りだ。裏切り……裏切り? そういえば、ニュースで最近裏切りという言葉をよく聞いたような……)

 

 集〇社、〇談社、小〇館、K∀D〇K∀W∀、〇映……多くのコンテンツ企業が反教育法制の副作用で衰退していった。

 娯楽コンテンツでも、物語である小説や漫画、ドラマやアニメは不必要に思考能力を身につけさせられると危険視されていたのだ。そのような潮流に対抗するように、コンテンツ企業は合併を繰り返し、ついには零細出版社を除けば世界に一つしかない大娯楽コンテンツ企業となった。それがHOPEFULLY社である。

 一つ一つは衰退すれども束ねれば鋼よりも強し。ホープフリー社はロビイストと化し、やせ細った自分に栄養を取り戻すかのように自分に不利な法律をいくつか撤廃していった。

 最初のうちは穏健な法改正に留まっていたが、1年程前に現最高会長の馬寺氏に代替わりすると、他のメガコーポによる市民搾取に必要不可欠な法律すら改正していく。これがメガコーポ同士の協定に対する"裏切り""契約違反"であるとして多くのマスコミが大々的に非難していたのをモモンガは思い出したのだ。

 改正された法律の一つが、電脳法。痛覚の上限設定を除き、味覚、触覚、嗅覚の再現を許可し、仮想時間加速を許可し、一定レベルまで高度なAIの利用を許可し、表情の再現を許可した。そして、モモンガにとって最も重要なのが、「DMMO内の外装データおよびAIのダウンロード許可」である。内部数値やゲームバランスに関わるデータはDLできないが、アイテムやNPCの見た目、地形、挙動、会話AI、エフェクトなどに関してはゲーム内所有者と運営が許可すればDL可能になったのだ。

 つまりどういうことか。

 

(皆の遺産をゲーム外に持ち出して維持できる……! ゲームアイテムとしての希少価値はなくなるが、それでも……! これでたっちさん達に会える!)

 

 早速ログアウト、今年最初で最後になる有給を取って運営にダウンロードを申請し、各種手続きを終わらせて許可をもらい、大規模外部記録媒体を十年ローンで購入し、エトセトラエトセトラ。

 鈴木悟は、ナザリック大墳墓のデータをそっくりそのままプライベートサーバーに落とし込むことに成功した。

 

(プライベートサーバーにはモモンガとしてダイブすることは出来ないが、脳裏の画面に映して眺めることは出来る。これで皆と会う準備はできた!メールに添付されていたリンクにアクセスして、ログインするぞ!)

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 HUNTER×HOPE×HUNTER

 

 HUNTER×HOPE×HUNTER、通称H³は、HOPEFULLY社がリリースした新タイトルのDMMOです。平成~令和に掛けて連載された人気長編漫画の世界観をベースとした、まったく新しいゲーム体験を存分にお楽しみください。

 

 ゲームのプレイにはお客様の内部データが必要です。読み取ってよろしいですか?

 

 お客様の内部データを読み取っています……お客様の内部データを読み取っています……完了しました。

 それではこれよりゲームシステムの解説とチュートリアルです。いってらっしゃいませ。Have a good departure!

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 気が付くと、幾何学模様が床、壁、天井に記された奇妙な場所に立っていた。

 

「空気が肺に流れてくる感覚がある……これが、H³……」

 

 背後から、女性の声が聞こえてくる。合成音声と声優の合いの子のような声だ。

 

「HUNTER×HOPE×HUNTERへようこそ!これから外見の作成と初期タレントの設定を行います」

 

 振り返ると、二世代前のDMMO用ヘッドギアのようなもの――しかしどこか民族的な趣もある――を頭部に被せた少女が佇んでいた。

 その佇まいはあまりにも自然で、中に人がいるのかと怪しんでしまう。

 

「あの、NPCの方ですか? それとも運営?」

「はい!私は改正電脳法により許可された高度対人AIです。初期キャラクターメイクの案内をさせて頂きます」

 

 相手がAIだと分かった鈴木悟は、躊躇せずいくつかの疑問をぶつける。

 

「初期キャラクターメイクとは何ですか?」

 

「初期キャラクターメイクとは、その名の通り最初のキャラクターメイクです。チュートリアル前に行う外見、名前の設定と、タレント、つまり先天的才能の設定を行います。タレントは幾つかの質問に対する反応を見て、こちらがお客様に最も見合ったものをご用意させて頂きます」

 

「つまりその他のステータスやスキルは……」

 

「はい! ハンタースキルはチュートリアルの途中に行う中期キャラクターメイク、念能力は終盤にある終期キャラクターメイクで行わせていただきます」

 

(ハンタースキルと念能力というワードも気になるが……)

 

「じゃあ、外見の設定をお願いします。ちなみになんですけど、人間以外の種族にできますか? 骸骨とか」

 

「申し訳ありません。H³では人間型以外のアバターは現在利用できません。キャラクターメイク画面はこちらです。現在、ジャ〇プ作品コラボをやっており、ジャ〇プキャラクターの外見をベースにしたキャラクターメイクが無料で利用可能です」

 

 と言われても、100年前の作品などほとんど知らない小卒の鈴木悟である。とりあえずコンソールを操作し、ユグドラシルでのプレイヤー名である「モモンガ」で検索して、一番上に出てきたキャラクターを表示してみる。

 すると、半透明の、自分より4頭身は高いだろう長身のひげ面のおっさんが出てきた。

 

「うーん、まあベースはこれでいいか。さすがに背が高すぎるから2mくらいにして、首が太いな……筋肉を減らして痩せ型にして、ちょっと顔色を悪くしよう。服装も分かりやすいように黒いフード付きコートにして……髷や髭は、そのままでいいか、始めてから変えられるだろうし。あ、課金してあとで見た目を変えられることってできますか?」

 

「有償ガチャのコモンアイテムに、老い、毛生えなどの効能がある薬があります。また、ガチャのレアアイテムには若返りや性別の永続変更アイテムもあり、それらを利用して外見の変更は可能です」

 

「ならこれでいいかな。良し、完成です」

 

「それでは次にタレント、すなわちその人特有の才能について設定します。私の質問に答えてください。まず、あなたに恋人がいたことはありますか?」

 

「いきなりソレかぁ……無いですね」

 

「それでは次の質問です……

 

 

 

□□□

 

 

 

 自由回答形式をいくつか含む五十ほどの質問が終わり、鈴木悟は一息ついた。

 

「……あなたのタレントの設定が終わりました。あなたのタレントは『死を思へ(メメント・モリ)』、死人や人間の死体に関する念能力の使用容量(メモリ)が3/4になります。再度質問に挑戦することも可能ですが、どうしますか?」

 

(メメント・モリか。似たような意味の特殊技能をユグドラシルでも持っていた)

 

「それでいいです。いや、それがいいです。次はプレイヤー名でしたよね? モモンガ……いや、『モモンガ=ナザリック』でお願いします」

 

「了解しました。これで初期キャラクターメイクは終了です。アバターを実装します」

 

 その瞬間、冴えない小卒サラリーマン鈴木悟、否、DMMOプレイヤーモモンガの視界が光に包まれ、次の瞬間には、設定した外見のアバターになっていた。

 

「おお、髷と口髭の感覚が奇妙だ……」

 

「次に、チュートリアルへの行き方について説明します。チュートリアルのゲーム内名称は「ハンター試験」です。この世界でハンターとして活動するのがこのゲームの特徴であり、その資格を得るための試験、という設定です。0次試験から5次試験、そして裏試験の7つの試験があります。プレイヤーとNPCが入り乱れて競い合い、ハンター試験を勝ち抜きます。詳細は試験会場で説明致します。では、最後にこれを」

 

 ナビゲーターがヘッドギアの側面から取り出したのは、白いカブトムシ型のロボット。どこか現実世界の旧型の携帯電話を思い起こさせるサイズだ。

 

「これは?」

 

「これはビートルX(テン)。GMコール機能や自動翻訳機能、ヘルプ機能や一般常識集、紛失時用の自動帰還機能がついた通信機器型デバイスです。現実世界の環境に起因する警告とログアウト操作を除き、基本的にシステム通知や操作はこちらから行います。それでは、良い旅路を。行ってらっしゃいませ」

 

 




モモンガの見た目はワンピースのモモンガ中将を顔色悪くして筋肉量減らして身長を2mくらいにした感じです
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