OVER×OVER ~H×H原作の最新DMMO始めました~ 作:砂漠谷
次回はまあ一ヶ月後程度を見ておいてください。
1月4日 10時 ハーメルンの日間ランキング88位に乗りました。読者の皆様のおかげです。今後とも精進しますので、よろしくお願いします。
1月4日 12時 お気に入り100件を超えました。皆様のおかげです。
大通りに着くと、モモンガの場所に向かっていたキングゥとフロアマスターと出会った。
「モモン!良かったわネ!」
「チッ、自力で脱出できたのかよ」
キングゥは純粋に脱出を喜び、フロアマスターは悪態をつきつつもどこかほっとした表情を取る。
「ああ、二人ともありがとう。フロアマスター、フレンド登録した時の名前は『ニコリーグ9』だったけど、ニコリーグナインと呼んでいいですかね」
フロアマスター改めニコリーグは首を縦に振った。
「それでいい、んで、追手がいるんだろ?」
「なぜか追っては来ませんでした。犯人は十人足らずの狂信者共のNPC。多分全員念能力者ですね。一人を除いてプロハンターには遠く及ばないだろうけど」
「そノ、『一人』というのハどんな見た目なノ?」
「中年の哀愁漂うおっさんですね。神父服を着ている。他は若者ばかりだ」
キングゥは空に視線をやる。もう真夜中で、星空が見える。
「そウ。いったん戻って宿をチェックアウトしまショ。宿に迷惑かけちゃいけないワ」
「あ、じゃあ俺は離脱していいか?」
「申し訳ないですが、後半日ほど拘束されてくれませんか?報酬はもちろん払います」
「しゃあねえな。お友達価格で、五千万ジェニーで良い」
先ほど渡した金の半額ほどを要求するニコリーグに頷いて、いったん3人で宿に言ってチェックアウト。真夜中のチェックアウトでも文句ひとつ言われずに応対していた、さすがは高級宿である。
金庫から五千万ジェニーをニコリーグに支払い、少し離れた、人気のない夜の公園で、ビートルXに表示されたクエスト【カルト教団が行う儀式の阻止または儀式の産物の破壊】の情報を元に、相手の対策を練る。
「相手は像の神性を強化するタイプの強化系能力者で、熟練の元プロハンター。格闘の実力はわかりませんが、おそらくステゴロではニコリーグ氏に勝ち目があるかどうかというところです」
「ああ、そうだな。そいつは俺が相手をするとしよう。だが他の有象無象に集られて、殺さずに伸すほど武の道極めちゃいねーぞ。それに俺は放出系だから、近接に持ち込まれたらプレイヤーとしてのハンデがあっても互角ってとこだろ。持ち込ませねぇがな」
「そこで、私に一つ策があります。師匠、
「仕方ないわネ。対策されたらおじゃんの能力だかラ、他の人には秘密ヨ。【まるまるうまうま】で……」
そこからキングゥの念能力の解説が小声で数分ほど行われ、質疑応答なども為された。
「ふむ、なるほどな。『スタンドしか殴れないスタンドを相手に発現させる能力』ってところか。それで、この能力をどう使うんだ?」
「ええ。神父は私が逃げる直前に『儀式をする』と言っていました。おそらく儀式の内容は、彼が言う"神"に関係すること。現世に"神"かその一部、もしくはその眷属を呼び寄せることだと思われます」
「おいおいおい、そりゃヤベェじゃねぇか。さっさと儀式を止めねぇと。喋っている場合じゃねぇぞ」
「少しだけ語らせて下さい。儀式の手段はおそらくジョイント型念能力。それも中心に神父がおり、神父さえ気絶させればおそらく問題ないでしょうが、殺すと死後強まる念と化す可能性があります。逆に言えば、一般信徒は殺しても問題ないだろうということです。出来るだけ避けてほしいですが」
「都合よく気絶させて殺さないなんて、フィジカルを鍛え上げた強化系能力者に対しては不可……いや、そこであのスタンド発現能力が出てくるのか。スタンドバトルならフィジカルの強さは関係ない。想像力と妄執力だけが勝負を決定する」
「そして、その勝負で相手を倒せば、気絶だけをさせられる。自分で言うことではないですが、私は少々、妄執に自信がありまして」
「気絶というカ、正確には精神的に強烈な衝撃を与えテ、副次作用として気絶が起こるという仕組みヨ」
「という訳で。ニコリーグさんはモブ信徒を叩き潰し、私とキングゥさんで神父を倒します」
『ほう、誰を倒すって?』
公園に現れたのは、神父服の男……狂信者を取りまとめる"神父"であった。
モモンガは苦虫を噛み潰したような顔を。キングゥとニコリーグは驚愕の表情を浮かべる。
キングゥとニコリーグの表情の訳は何か。神父の背後には、等身大、二足歩行の海棲を思わせる怪物がいたからだ。
『我が神はすでに降臨した。だが君たちの行いは無駄ではなかった。簡易版の儀式を行ったからね。手に入れた念貨も使って、本来は三日かけてこの町の人間全員を生贄にするつもりだったのだが、我が信徒9人しか生贄に捧げることが出来なかった。おお神よ。不完全な肉体による御復活をお許しください』
『תפסיק לא להרוג לא להקריב』
『……我が神はずいぶんお怒りになっているようだ。貴様の、貴様らのせいだよ。貴様らを喰らうことでしか、神の怒りは収まらない。儂が早贄を作ろう』
モモンガは、キングゥとニコリーグの様子を見る。二人は神と呼ばれた怪物に若干の恐怖を感じているようだ。これがゲームだということを理解してなお、である。
「師匠!アレを!ニコリーグさん、やっぱ神父をお願いします!私は怪物を!」
「りょ、了解!一人と一匹に”
怪物の瞳と視線を合わせ、繋げ、怪物の精神性を具体化させる。
さらにモモンガは、ユグドラシル時代のアバターを幻像として顕現させる。
怪物の幻像は、緑色の体表をした、入道雲のように巨大な蛸であった。それも瞳だけ、人間の幼児のように無垢な感情を向けてくるのが、逆に悍ましく思える。
そしてその幻像はかなり掠れ、消えかかっているように見える。
「ふぅん、HPミリ残し状態のワールドエネミー、ってとこか。だが、俺はモモンガだ。アインズ・ウール・ゴウンのギルドマスターなんだよ。仲間と会うのを邪魔する障害は、何であろうと撃ち滅ぼす」
"〈The goal of all life is death〉……〈
オーバーロードの姿のモモンガの幻像は、当然と言うべきか、慣れ親しんだ魔法を使うことが出来る。718の魔法全てである。あくまで幻像に対してのみ効力を及ぼす事実は変わりないが。
モモンガの幻像の掌には、右手に二つ、左手に一つ心臓が現れ、それを握りつぶす。その直後、蛸の幻像は掠れて消えた。
『תודה』
幻像が消えた瞬間、怪物も石像に戻る。ビートルXから、クエスト達成の通知音が流れる。
生きた怪物が石像に戻るのを見た神父は、ニコリーグから放たれたバットで打たれた野球ボールのような念弾を回避するのも忘れて発狂する。
『ああああああ!我が神!我らが希望!神聖にして不可侵のあなたが、滅びるなんて!ただ、あるべき姿に戻って欲しかった!それだけなのに!』
ニコリーグは発狂した神父の胸倉をつかみ、バットを構える。
「ごちゃごちゃうるせぇよ。さっさと」
「待ってください。ここは私とキングゥさんに任せてくれませんか?」
モモンガは神父を殺すのを制止し、ニコリーグはそれに従う。
「チ、まあ雇い主様に任せるか」
と言って、ニコリーグはその場を後にした。
「キングゥさん、こいつにも
「はいはイ。よっト!」
呆然としている神父と目を合わせたキングゥは、神父の幻像を作り出す。
神父の幻像は、体長3メートルほどの、魚要素の強い半魚人のような見た目をしていた。
そして、モモンガの幻像、不死者の王たるオーバーロードの姿を目にする。
『ああ……死だ。そこに死がいる。なんだこれは。走馬灯か?』
モモンガは、自分では喋らず、幻像に喋らせる。
"否。私は死そのものではなく、死の支配者。貴様に、生まれ変わる機会を与えに来た。自分を慕う信徒を蛸に貪らせる今のお前はもうすぐ死ぬ。だが、その後、私に仕え、死の支配者の隷属となるならば、生きる許可を与えよう"
『いや、しかし……我が神は、死んだのか?』
"ああ、そうだ。私が精神の心臓を握りつぶし、殺した"
『そうか、我が神は精神生命体。その方法なら確実に殺せるだろう……それなら……我が神の仇を討つのみ!』
半魚人の幻像と共に、神父はモモンガの幻像に対して拳を構えて駆ける。
"そうか、残念だ……〈
半魚人の幻像は風船のように膨れて内部から爆発し、神父は精神的衝撃を受けて体を弓なりに反らせ、気絶した。
半日後。天空闘技場、237階生活区、プール横。
「戦闘は終わったってのに、まだ俺を使うのかよ」
「本当にすみませんニコリーグさん。部屋をお借りするだけです。部屋の使用料は別料金でお支払いします」
「金で貸すのはお前だけだぞ?」
「それは……ありがとうございます」
ここにいるのは、モモンガ、キングゥ、ニコリーグ。そして手足を拘束した神父である。
モモンガは神父の顔に冷水をぶっかけ、意識を覚醒させる。
『ヒャッ!!! ああ……死よ、我が甘美なる死の支配者よ……』
「私がその死の支配者だ、分かるか?……キングゥさん、もう一発頼めますか?」
「はいはい、師匠使いが荒いんだから、と。”
モモンガ、キングゥ、そして神父にだけ見えるオーバーロードのモモンガが幻像として現れる。同時に、神父の幻像も。
神父の幻像は、半魚人の骨格を持つスケルトンになっていた。既に古き精神の形は死に、それを引き継いだ新しい心の形に生まれ変わった、ということなのだろうか。
"聞こえるか、神父よ……貴様の名前はなんだ"
『儂に名前は、ありません……名を捧げた相手はもう、死にました……』
"捧げた名前を、思い出せ。名は貴様の元に戻っているはずだ"
『名前、名前……確か、儂は昔『アリーカ・パリーカ』と名乗っていた気が……』
"では、それが貴様の新しい名だ。私に仕えるか?"
『かつての我が神は死にました。貴方が儂の……私の神になってくれるなら、私は全てを捧げましょう』
幻像の声に重ねて肉体のあるモモンガも喋る。
"「私の名前はモモンガ。死の支配者にして、ナザリック大墳墓の管理者にして、ギルド・アインズ・ウール・ゴウンのギルドマスターである」"
『モモンガ、様……私の全てを、あなたに捧げます』
"「ここに契約は為された。これからは、私の命令に絶対服従することだ」"
神父、アリーカはそれで疲れ果てたのか、倒れ込んで眠ってしまった。
モモンガが神父の顔を拭いて、客室のベッドにまで抱えていく途中で、ニコリーグが話しかける。
「お前、アインズ・ウール・ゴウンのギルマスってマジかよ。あのユグドラシルのだろ?1500人の侵入プレイヤー撃退事件の。俺もあの1500人の一人だったんだよ。6層でキルされたけど。いや、アレはすごいダンジョンだったな」
「ふふ、フフフ、そうだろう! そうでしょう! ダンジョンは侵入されてナンボ、撃退してナンボですから! ギルメンと作ったダンジョン、楽しんで貰えましたか?」
「あ、ああ。外観もギミックも、確かに素晴らしかったよ。秘密にしておいた方がいいか?」
「ええ、そうですね。出来れば他言無用をお願いしたいところです」
そんなやりとりの後、神父をベッドに放り投げる。
アリーカが目を覚ますまで、キングゥはさらにハントに励み、モモンガも賞金首ハンターの真似事をして強盗や傷害犯などを捕まえていた。ニコリーグは自分のフロアで贅沢をしていた。
そして三日後、アリーカは目覚めた。
『おお、新たなる我が神よ。これまでの無礼をお許しください。そしてあなたに仕えることをお許しください』
「許そう。私のため、疑われないようにいままでの神父業は続けつつ、全力でオーラの籠った像を作るがいい」
『承知しました。像の内容は如何しましょうか』
「粉々に砕くからな。シンプルなもので良い」
『粉々に……仰せのままに』
その後、アリーカの身の上話を聞く。
彼は昔、フィッシュハンターだった。だが、ある日、とある本を釣ってしまう。その本は、かなりオカルティックで、魂がどうたらという本だったが、念能力の向上に繋がるかもしれないと読んでいたら、毎晩、あの怪物を夢に見たらしい。
その怪物を再現せんと彫像を作る日々。ハンター稼業もやめ、金の力で近所の教会の神父になって、時折ミサをやるのと生活に必要な時間以外はひたすら彫像作り。
怪物の像を造れば作るほど夢は鮮烈になり、ある日、夢で聞こえたのだ。
"助けて"と。
その怪物を救うために、本の内容を読み直し、"発"を新たに作り、ジョイント型の念能力の"部品"として子供を攫って顔を変えさせ、修行と信仰をさせる。
十年以上捕まっていないA級犯罪者『ハーメルン』とはアリーカのことだったのだ。
そして足りないオーラを念貨で補い、怪物降臨の儀式をしようとして今に至る。
その後、ログアウトやマクロを適宜活用しつつ、ゲーム内時間で約3か月、ゲーム外時間で約一週間ほどかけて、モモンガはアリーカの作ったオーラ込みの像を
「サ、さっさとゲームクリアして『神隠しの祠』を手に入れちゃいまショ!」
「さあ、行こうぜ。三人だったら、報酬の三つのカードを一つずつ手に入れられるしな」
「キングゥさん、ニコリーグさん。ご協力ありがとうございます。では……行きましょうか」
ジョイステーションを持って"練"を行い、三人はゲーム内ゲーム、グリードアイランドβへと消えた。
「怪物,a-little-little」のモデルはクトゥルフ……というより、SCP-2662さんです。あくまでモデルです。ク・リトル・リトルと、とても小さい(魂のみの存在)というダブルミーニングです。
怪物を彫像に降ろした念能力
「
"儀式"の正体。特質系以外の全ての系統を含む。
ジョイント型。
儀式参加者の余剰メモリ、余剰オーラを強制的に全て消費し、封印中の「怪物」の魂を像に転移させる能力。さらに、像を強大な念獣に変化させるという変則型「
念獣と化した像は、触れた知的生命体を吸収し念以外の基礎スペックを増やす。この能力は念獣自身も止めることが出来ない。
https://syosetu.org/novel/306137/
新作投稿しました。中編予定です。この作品を書く傍らに執筆したいと思います。