OVER×OVER ~H×H原作の最新DMMO始めました~   作:砂漠谷

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元プレイヤーたちの名前は呼びやすいようにユグドラシル時代の名前で呼び合ってますし、それが地の文にも反映されてます。


蜘蛛と自殺点の遭遇

 明転、暗転。そして更に明転。

 

 世界の輪郭が、おぼろげに形作られる。

 

 モモンガたちの肉体は、ゴミ山の上にある、とある隔離コンテナの中で、脳を中心にして形作られていった。

 

 家屋の中には、脳を中心として増殖する9つの肉塊を除いて、十数人の念能力者がいた。

 

 そのうちの二人が、中心人物として指示を出している。

 

 一人は、童顔ではあるが、無精ひげを生やした作業着を着た青年。もう一人は、胡散臭いこと極まりない笑みを浮かべるスーツを着た若者である。

 

 ジン・フリークス、および、パリストン・ヒル。彼らが、現地協力者として異世界からの電波を受信し(正確には受信したのは別の人物で、彼らはその人から聞いただけである)、協力を決意した二人である。

 

「こいつらが異世界の人間らを救うために、この世界に来る9人ねぇ」

 

 ジン・フリークス。最近原作主人公たるゴン・フリークスをくじら島の祖母に預けてこの仕事にとりかかった男。父親失格の男である。

 

「救うなんてヤワなワードを使わないで下さい!異世界からの侵略と征服ですよ!なんて心躍る言葉!」

 

 パリストン・ヒル。好きなモノを壊すことを愛情表現とするコワレタ男。人間失格の男である。

 

「別に世界征服する気はないんだろ?こいつら。陸地をたった50万平方キロメートルぽっちやれば、異世界からの技術と文化の担い手がこの世界にやってくる。遺跡ハンターとしては、滅ぶ直前の異世界の文明は救いたい。物質的なモノは残らなくても、な。メビウス湖全体のたった0.1%、安いもんだよ。ま、俺のものじゃないがな。最悪俺の全資産と、全信用を使った借金で、破綻寸前の国の国債を買い漁れば要求面積の十分の一は買える。まあ飛び地になるし、その全てをマンションにするハメになるだろうが」

 

「彼らはきっとそれを望まない。そして我々メビウス湖人類もそれを望まない。闘争は避けられないでしょう」

 

「つってもたったの9人だぜ?それが全員俺やネテロ会長みたいに強かろうが、9人で50万平方キロメートルを征服支配しようなんざ無理がある。こいつらはソフトパワー重点の念能力者だろ、きっと」

 

「……そろそろですよ」

 

「ああ、そろそろだな。こいつらの肉体を作るためだけのジョイント型念能力『幼年期の終わり(オーバーロード)』の使い手のみんな、よくやってくれた。最後の一押し、気を抜くなよ?」

 

「「「はい!」」」

 

 二人が話している間も、肉塊は変質変形していた。

 肉は眼を生み、骨を生み、筋を生み、臓器を生み、皮膚を生んだ。それらが衣服に包まれる。そして。

 

「……全工程、終了しました。おそらく目覚めます」

 

 9人の異世界人。ここに降り立つ。

 

 

 

 

 

 

 モモンガたち9人は、眼を開く。そこには、十数人の現地協力者。おそらくリーダー格はあの二人だろうと見当をつけ、彼らに声を掛ける。

 

「#き$ど%べ……いやこっちか。お迎え頂きありがとうございます。私はモモンガ。9人のまとめ役をさせてもらっています」

 モモンガは日本語ではなくハンター世界の大陸共通語を使うべきことに気付き、即座に切り替える。共通語の使用は、ゲーム内での言語学習クエストをクリアした成果である。

「おう。俺はジン・フリークス。一応二つ星の遺跡ハンターだ。背が高い方のミイラがリーダーとは驚いたな」

 モモンガ(とタブラ)は、『闇のソナタ』をフルオーケストラで全楽章鑑賞した影響により、全身がミイラになっている。観賞に成功すれば、悪影響はゲームの中では外見のみであり、この世界でもどういう訳かそれは変わらないようだ。

「パリストン・ヒルと申します。トリプルハンターです」

 二人の応答に対して、魂にしみ込んだハンタースキルを用いて分析する。

 スキルアシストなどはないが、4年以上H³をプレイしたモモンガには、アシストが無くても、アシストがある場合の8割程度の分析力を発揮することが出来た。

 

 パリストン・ヒルには『狂気看破』が反応し、ジン・フリークスには『英雄心理』で読み取れた。二人ともそれぞれの隠れた意図こそあれ、自分たちを歓迎していることを読み取った。

 だが、モモンガは隠蔽系スキルを持たない。故に、海千山千の二人には()()()()()()()()()()()()()()()()。ミイラの表情を見抜くのは至難の業であるのにも関わらず、だ。

 

「ご歓迎、感謝します」

 

「おう、良くわかったな、歓迎してるぜ、お前ら九人を。残りの10億人については知らねーが」

「私は10億人の異世界移民だろうが100億人の異世界移民だろうが歓迎しますよ?人権意識の塊なので」

「よく言うぜ」

「フフフ」

「ハハハ!」

 

 下手な漫才かな?と隣のペロロンチーノは思う。パリストンに若干の恐怖を覚えつつも。

 

 だが、二人は急に笑いを止め、眼で会話をする。

 

 鉱山ハンターのスキルを持つるし☆ふぁーと、地形ハンターのスキルを持つペロロンチーノ。危険察知系統のスキルツリーを持つ二人も、虫の知らせに従ってメンバーに警告する。

「ものすごい敵意がこのコンテナに向かってる!オーラも一線級だ!距離300m、いや250m!」

「極まった強化系のオーラ。他にもその後ろに十人前後」

 ペロロンチーノが敵意を、るし☆ふぁーがオーラを察知する。

 

「マジ、直視せずに系統まで分かるのかよ!?ヤバいなお前ら」

「おそらく……幻影旅団のウボォーギンでしょう。あいつら、ここに来るなんて情報は無かったんだが……すぐ避難を」

「いや、間に合わねぇ、全員防御態勢!」

 パリストンが避難を提案するが、ジンの一声で黙らせられた。

 

 ぶくぶく茶釜の、変化系の黒いオーラがナインズ・オウン・ゴールの9人を覆う。ジン・フリークスとその部下の強化系二人は敵が来る方角に向けて全力の『硬』を行い、他の念能力者の盾になる。

 

「『超破壊拳(ビッグバン・インパクト)』」

 一発目でコンテナの壁が大きく凹み、壁の向こうから僅かな声が聞こえる。

 

「『超破壊拳(ビッグバン・インパクト)』ォ!!!!!!」

 

 二発目。コンテナの壁が完全に破れ、極大音量と共に拳がジン・フリークスの両腕に突き刺さる。

 

「ぐっ……ふぅ。コンテナ頑丈に作っておいて良かったぜ。威力が減衰したから無傷で済んだ」

「嘘だろ!?この俺の『超破壊拳』を喰らっておいて……」

 

「ウボォー、下がれ。俺が相手をする」

 

 ボサボサの長髪をした、野蛮人のような服装の巨漢、ウボォーキンを抑えるのは、サラサラの黒髪をした、額に十字のタトゥーがある男。クロロ・ルシルフル。右手には具現化した本を持っている。

 

「お前さんらは、幻影旅団で間違いないな?別にお前たちや流星街に喧嘩を売るつもりはない。引いてくれやしないか?」

 

 ジンは彼らに頼みかける。だが、鷹揚にクロロは首を横に振る。

 

「いいや。このコンテナの中から溢れた異様すぎるオーラに、この中の怪しげな機材。なぜわざわざこの流星街でやった?攻撃の意図しか感じられない」

「だから、喧嘩を売る意図はねぇって!」

 

「仮にそうであったとしても。()()()()()()()()()()からな」

 

 クロロが本を開く。

 

「『異星の使徒(オルターガイスト)』」

 

 本を開き、クロロは蒐集した念能力の一つを使う。

 

 本から現れるのは、浮遊する光の玉。しかしその光はすぐに消える。

 

 ジンとパリストン、そしてその他の念能力者は『凝』をして消えた光の玉を追う。

 

(不可視の爆弾か?それとも?)

 

「ともかく、やらせねぇよ」

 

 ジンは蹴りで消えた球体を叩き落そうとするが、その直前にウボォーギンに脚を掴まれる。

 

「下がれと言われてなかったか?」

 

「その前にな、団長に『不退転の意気込みで臨め』って言われてんだよ!」

 

 渾身の握力でジンの脚を折りにかかるウボォーギンと、それを『硬』で防ぐジン。その隙に、ぶくぶく茶釜が生み出した黒いオーラに不可視の球体が触れる。

 そして、不可視の球体は黒いオーラと同様に黒い球体状になって、クロロの元に戻ってくる。

 

 クロロはその黒い球体を触ったり擦ろうとしたり殴ったり、オーラを込めてナイフで切りつけたりする。だが、黒い球体は傷一つ付かない。

 

「ふむ。対切断・対衝撃能は高し。特筆すべきはその摩擦係数。多分10超えてるのかな?少しの力で強く握ったような摩擦力を感じる。ウボォー、アレは殴っても無駄。フェイタンに融かしてもらおう。それか呼吸穴探してマチの糸で一網打尽かな」

 

「え?でもフェイタンのあれ周り巻き込む……まあ良いか。俺なら耐えられる!」

 

 ぶくぶくは焦る。

 

「えぇ?絶対防御じゃなかったのかよ、『ぬばたまの怪拘束衣(グラップラバー鬼)』」

 弟のペロロンチーノにささやき声で責められるが、それどころではない。

「耐熱性はそこそこあるけど耐衝撃能力ほどじゃないわよ!強酸とかの薬品類には弱いし!それに集団防御用の念能力じゃなくて、元は私の四肢を覆うラバースーツ作成用の『発』よ?そこまで期待しないでよ愚弟!で、()()()()?」

 ペロロンチーノは、ウルベルトが具現化した仮面をペロロンチーノが付けている。ウルベルト本人がファッション用に付けている右側半分の仮面ではなく、眼の部分がサングラスのようになっているマスカレードマスクである。本来具現化系と放出系は正反対の系統であり、ウルベルトの手から離して具現化を続けられる理由はペロロンチーノの発にある。

「応!ウルベルトさんの『目の玉日記(Ten Gen Two)』でばっちし透視出来てるぜ!一分凝視!喰らえや!『見つめた鍵穴は風穴(Euphoria)』ァ!」

 

 (以前使っていた神字を刻んだ弓は持ち込めていないため)オーラで形作った弓を構えながら対象を凝視すればするほど、威力と速度が底上げされる念弾の矢。『見つめた鍵穴は風穴(Euphoria)』。昔のエロゲからフリガナを拝借したその念能力の隠を解除し、さらに『ぬばたまの怪拘束衣(グラップラバー鬼)』が解除されると同時にウボォーギンを貫く。

 

「なっ、あっ!?」

 

 ペロロンチーノが『隠』を解除した直後にその莫大な密度と量のオーラにウボォーギンは気付き、全身を『堅』で覆う。その隙にジンはウボォーギンの手を離れて退避する。

 

 念矢をウボォーキンが眼にした瞬間、『堅』では足りないと『硬』に移行する。どこに来るのか予測できないため、守るのは脳の前面である額と眼球部分。それ以外ならマチが念糸で修復してくれると願って。腕で額を守る時間を、ペロロンチーノは与えてくれなかった。

 

 幸運だったのか、不幸だったのか。『見つめた鍵穴は風穴(Euphoria)』の念矢は、ウボォーギンの額に衝突した。眼球が傷つかないように目を瞑り、120%の『硬』で防御する。

「ぐぅぅう、うぐぐがががァ!」

 だが、それでも額にひびが入る音と、耳と鼻の激痛を覚えた果てに、念矢は消滅した。

 

 余波だけで、ウボォーギンの鼻が削げ、両耳が千切れていた。額の皮膚は剥げ、罅の入った頭蓋骨が見えている。

 

「す、まんクロロ。後は頼む……」

 と言って、ウボォーキンは頭を抱えるようにして倒れ込んだ。気絶はしていないようで、うつ伏せにうずくまりながら、残り僅かなオーラを用いて全身を『堅』で覆っている。それでも凡百の念能力者には傷すら付けられないだろう。

 

「ウボォーさん!『少女初期衝動(SWEET 17 MONSTERS)』」

 秒速7kmで動く、17匹の小さな念獣。動物を傷つけられない制約を持つ彼らは、その制約の大きさ故に、非常に器用かつ高速に動く。ページをめくってクロロはそれを発動させ、ウボォーを回収する。17匹の力を結集してなんとか彼の巨体を持ち上げ、コンテナから遠くに移動させる。

 

「隙」「あり!」

 

 ウボォーギンの回収によって、攻撃用の念のページを使用できなくなった。それを理解する、原作『HUNTER×HUNTER』を読んでクロロの念能力を理解していた人間のうち、二人が飛び出した。

 ぶくぶく茶釜と、武人武御雷である。

 ピンク髪合法ロリと、人を殺していそうな眼付きをしている老爺。

 ロリの方は四肢のオーラを黒いラバー製のものに変化させてクロロに向けて駆ける。

 老爺の方は、空にオーラで神字を描き、その神字をクロロ目掛けて射出した。

 神字の速度は先ほどの念矢よりやや遅い程度で、ギリギリの回避を試みるクロロだが、神字は曲線を描いてクロロの脇腹に当たる。ダメージはない、と思いきや。

 老爺・武人武御雷の掌に刻まれている神字と、クロロの脇腹で光る神字が、『凝』で見れば分かる赤と青を捩った糸のようなもので繋がる。

「『経絡結ぶ赤と青(フロー・コンバータ)』……『破戒震・送葬(アバターズ・バッドトリップ)』!」

 

 クロロの身体が、一瞬だけ激しく震えた。それは他者から無理やり害となるオーラを叩き込まれた不快感。念能力者から初めて攻撃を受けて『目覚めた』頃のように、『纏』や『練』の維持が不安定になる。平衡感覚も不安定になり、嘔吐を堪える。五大明王が自身に武器を振り下ろす幻覚が見える。幻覚だろうがアレをまともに喰らうと気絶は避けられないだろう、と、力を振り絞りコンテナの中から退去しようとする、が。

 

 その腕を、合法ロリ、ぶくぶく茶釜の黒い手で掴まれることで阻まれる。ぶくぶく茶釜が四肢に纏う黒いラバー状のオーラは、弾性の強い固体状の物質であり、強い対刃耐衝撃性を誇る。特筆すべきこととしては、クロロの分析通り摩擦係数が非常に高く、約100となっている。すなわち、1Nの握力で相手を握れば、摩擦力は約100Nであるということだ。これにより、逃れるのが非常に困難になる。

 服を脱ぎ捨てて逃げようとするが、素肌の左腕も握られ、逃れるのが難しくなる。そして、合法ロリはクロロの腹部に掌底を叩き込むと同時に、変化させたある特殊なオーラも叩き込んだ。

「『夢はこの手に(ハートキャッチ)』、やっぱり武御雷の明王コンボの後は浸透しやすいわね!アンタのオーラを『掴める形』にした!これで!」

 

 クロロのオーラが、黒いラバーの手に掴まれ、ずるずると引きずり出される。『盗賊の極意(スキルハンター)』の維持が困難となり、気絶と同時に『盗賊の極意』は消失した。

 

「あんたらのボス、討ち取ったり!殺して欲しくなければ降伏しなさい!……で、いいのよね、モモンガさん」

「あ、はい。大丈夫です。他のメンバーは事前の準備が無ければ木偶の坊なんで、対応してくれて助かりました」

 気絶したクロロに、指輪を嵌める。『骨は語る(ヒューマンヒストリー)』、骨の強度を高める強化系能力だが、絶の状態ではない限り自動発動であり、更に軟骨も硬くしてしまうため、生者が使うと体を動かすたびに関節に激痛が走る。これを拘束用に使用する。

 

 一方、コンテナ外。

「ウボォーとクロロがやられたって……クロロは拘束中だって……無理じゃね?」

 オールバックの青年、フィンクスが呟く。

「まだだ!マチ、ウボォーを治せ!俺とウボォーのコンビで行く!クロロを奪還するぞ!」

「ウボォーは治すけどしばらく安静、激しい運動は厳禁」

 浪人風の細身の剣士、ノブナガが激高するが、くノ一風の少女、マチがそれをなだめる。

「今降伏して失うのは、幻影旅団の無敗伝説だけ。流星街の奴らは口が堅いから、あとはあいつらが黙ってくれれば失うものは何もない。どっちも死人は(ウボォーはこの怪我だけどどうせ死なないだろうし)出てないから、元よりこっちの奇襲が勘違いだったってことにして誤魔化せばいい」

 鼻筋の通った女、パクノダは現状を分析する。

「と、言うのも、希望的観測なんでしょうけど。ウボォーとクロロがやられたってことは、正攻法最強も搦め手最強もやられたってこと。大して準備してない私たちに勝ち目はないわね。降伏した方が良いわ。相手もすぐさまクロロを殺さないだけの理性はあるみたいだし」

「はいはーい、俺の携帯電話でアンテナをそこらのパンピーにぶっ刺して襲撃させるってのは?」

 シャルナークが提案するが、パクノダはこれを拒否する。

「論外。ここは流星街よ?同胞を手に掛ける気?長老が黙ってないわよ。流石に流星街全体と敵対することは出来ないわ」

 流星街の『報復』はパクノダも恐れるところだ。流星街出身であるが故に、その威力としつこさは知っている。

「ごめん、言ってみただけ」

「取り合えず両手を上げてあちらに向かいましょう。纏はいいけど練はしないこと。ただし緊急事態の場合は除く」

「「「了解」」」

 マチとウボォーギン、そしてその護衛のノブナガを残し、パクノダを先頭に幻影旅団の9人はコンテナ内に入っていく。

 

 

 

 

 

 

「うわっ。ミイラだ。動いてる」

 シャルナークがモモンガとタブラを目にし、つい口にしてしまう。

「のっぽのミイラと腕が四本のミイラ?凄いな」

 フィンクスもミイラに反応する。

「いやぁ、どうも。ハハ……」

「どうも、ミイラのタブラです。宜しく」

(ファーストコンタクト成功ですかね?)

(大失敗ですよ、向こうのボスふん縛ってるんですから。営業職の癖にたまにコミュ障になるのやめてください)

 モモンガとタブラが反応を返し、耳打ちで会話し合う。その間に、ジン・フリークスとパクノダが会話をする。

 

「多くの誤解があったようだ。こちらも事前に説明するべきだったという部分は反省している」

「面子上、頭を下げることは出来ないけど、こっちにも反省すべき点はあったわね」

 パクノダは手を差し出して握手を求めるが、ジンはパリストンに握手するように顎で指図する。

「……何ですか、やめてくださいよ」

「特質系ならお前の方が得意だろ」

「僕の発も知らない癖に、適当なこと言うのやめてくれません?まあ比較的得意な方ですけど……」

(っ!?こいつら、私の『記憶弾(メモリーボム)』のことを把握している!?いや、言い分から推測するに、特質系だということを勘か何かの『発』かで読み取っただけか?とにかくマズい、ここから更に戦闘にもつれ込めば(クロロ)が失われる可能性が限りなく高くなる)

 

「も、申し訳ない!普段の癖でつい……握手は不要だ、いや、不要です。可能な限り要求は呑むので、団長クロロを返して頂きたい」

 

「あー……それは、あちらさん次第だな。身柄はあっちが抑えてある。俺は初撃防御しただけだし、この笑顔仮面に至っては何もしてないし」

「邪魔にならないような位置取りを頑張っていたんですよ!」

 

 あちら、と言われてパクノダが視線を向けると、そこには気絶して机の上に横たわっているクロロ・ルシルフルと、それを『写〇ンです』でバシャバシャ撮っている9人の奇人たちがいた。正確には先ほど見かけた二体のミイラと他7人である。

 

 正確に言うと撮っているいるのはぶくぶく茶釜で、他のメンバーが即時現像されたその写真を本人と比較して回し見ているところだった。

「うっわ、マジで二次元以上に顔良いわね。お目目バチバチだし髪もサラサラだし」

「スラム生まれなのにかぁ。毛穴もニキビ跡もシミも皆無、コロニー外じゃ考えられんぞ」

「コロニー内でもよほど美容に金掛けてる上流じゃないとなりませんよこのレベルは」

「そういう念能力でも持ってるんじゃね?」

「てかひろ〇き似って古代SNSで言われてたような気も……」

「「「誰だよひろ〇き」」」

 

(うぉおおおお!よくもクーちゃんの御尊顔をぉおおおお!赤の他人が勝手に撮ってんじゃねぇええええ!パンピーなら問答無用でぶっ殺してるけど相手が正体不明過ぎて何も言えねぇえええ!)

「あ、あのー、その、ウチの団長の身柄について相談させて頂きたいんですけども」

 

「「「ん?」」」

 

 モモンガとタブラを除く、ようやく気付いたという顔の7人は写真撮影をやめてパクノダを見る。ミイラの二人は後ろでちらちらとパクノダや幻影旅団のことは見ていた。

 

「あ、どうも。そちらの団長さんの身柄を拘束させて頂いてる、九人の自殺点(ナインズ・オウン・ゴール)のリーダー、モモンガです」

「ど、どうも。幻影旅団(クモ)の副団長的な立場を任されることが多いです、パクノダと言います」

 

(礼儀正しいのは好印象だな。けっこう美人だし。おっと、交渉事でそういう視線は厳禁だが)

(団長返せ団長返せ団長返せ)

 

 こうして、かなり第一印象のすれ違った幻影旅団長奪還交渉が始まった。

 




"ぬばたまの怪拘束衣(グラップラバー鬼)"
変化系能力、僅かに具現化系要素がある。ぶくぶく茶釜の能力
ラバー型の、限りなく対刃性耐衝撃性に強い黒いゴムにオーラが変化する。このゴムは非念能力者にも見える。このゴムは摩擦係数が100である。耐熱耐火性もそれなりにあるが、薬品類にはめっぽう弱い。
元ネタはグラップラー刃牙 と グラップ(握る)とラバー(ゴム)

"目の玉日記(Ten Gen Two)"
ウルベルトの能力。具現化系。
マスカレードマスクとグラサンの愛の子のような具現化物。オーラとオーラがある存在に対象を限定にすることで、遠視や透視、顕微視が可能。また、録画、投映も出来る。元ネタは小林よしのりの同名エッセイ。

"見つめた鍵穴は風穴(Euphoria)"
ペロロンチーノの放出系能力。
本来は専用の弓が必要。相手を凝視すればするほど矢の速度と威力が上がる。弓が矢のオーラに耐えられず自壊、という事態にさえならなければいくらでもチャージ可能。euphoriaの元ネタ検索は自己責任でお願いします。

"異星の使徒(オルターガイスト)"
クロロが奪った念。変化系のオーラに触れるとそのオーラの性質を転写できる念獣。

"少女初期衝動(SWEET 17 MONSTERS)"
クロロが奪った念。秒速7kmは地震の初期波動(p波)の速度と同じ。17匹の念獣。動物を傷つけることが出来ない。その代わり高性能。元ネタは東京初期衝動というガールズバンド

他はいつか紹介します。
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