OVER×OVER ~H×H原作の最新DMMO始めました~   作:砂漠谷

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主人公の念能力は年始から出します。


ホウシュウ×ト×コウシュウ

 3人の前に再度現れたドン=フリークス。彼は3人の前に立ち、言った。

 

「最終試験合格おめでとう!このサーバーのGM統括、ドン=フリークスだ」

 

「あらら、日本語だネ?NPCじゃなかった感ジ?」

 

 キングゥが問う。ドンはそれに答える。

 

「いや、さっきまでは間違いなくNPCだったよ。今GMが入れ替わっただけだ。3人とも、試験をパスせずにクリアした。別の課金アイテムはどうやら使っている人もいるようだが……。試験をパスせずにクリアした人はそれだけで感嘆に値する。ここで、課金額に反比例したレアリティのアイテムをプレゼントしよう。まずキングゥ=オールグリーン。あなたは……おっと、試験中"念"をすでに使っているようだね。それなら1万円分課金と同程度のボーナスになる。『力天使の寵愛』、十枚綴りの軽度除念効果付きのエリクサーだよ。強い制約付きの憑念やジョイント型の憑念の場合は除念できないからそこは注意してね。モモンガ=ナザリックさんは1000円だけ課金してあるから、『座天使の玉座』。先ほど言ったエリクサー効果を10分座っていれば無償で得られるよ。即効性は無いからそこだけ注意してね。ヨシ=イグゾさんは……500円しか課金してない。つまり『智天使の神杖』だ。年に一回しか使用できない代わりに、ほぼ全ての念に対する除念と、ゾバエ病を含むあらゆる病気、そしてどんな怪我も癒せるよ。死んでさえいなければね」

 

 ドンは三人にカード化されたレアアイテムを渡す。

 

 モモンガは、試合に勝って勝負に負けた気がした。課金額で躰道使い、ヨシが自分より下回ってしまったのだ。

 しかし、玉座が手に入ったのはありがたい。ギルメンと会ったらコレを起点にナザリック再建計画を始動させよう。

 だが、気になったことがあるのでモモンガはドンに質問をした。

 

「あの、この『座天使の玉座』ってどれくらいのレアアイテムなんでしょう」

 

「うーん、そうだね。大体……プレイヤーの千人に一人が持っているくらいかな。このサーバーだと君を含めて二人ほど所有者がいる。ちなみに『智天使の神杖』だとサーバー内ではヨシさんしか所有者はいないね。そもそも、プレイ人口のうちハンター試験をやらずにさっさとプレイするという人が半分、走るだけの1次試験を通過した後、二次試験を通過するのをあきらめるのが40パーセント。さらに3次試験で脱落するのが8パーセント。最終試験に到達するプレイヤーは1%にも満たないんだよ。だから、こうやってレアアイテムを手に入れられるプレイヤーは少ないという訳だ。ああ、他の試験で脱落したプレイヤーにもかなりランクは下がるがアイテムはプレゼントするから安心してほしい。直接こうやって手渡すのは君たちだけ、という話だよ。さて……次は、ハンター(ライセンス)だ」

 

(ユグドラシルで言えば、玉座は伝説級、神杖は神器級、といったところか。おそらく最高級の『熾天使の〇〇』は世界級だな)

 

 ドンは懐からさらに三枚のカードを取り出す。これはカード化されたアイテムではないようだ。

 

「これは君たち三人にしか上げられないカード、ハンター(ライセンス)だ。課金の有無にかかわらず、試験をパスせずに合格した人のみに与えられる。ちなみに試験をパスした場合はレプリカを与えている。本物は下手な天使シリーズよりもレアなアイテムだと思ってくれたまえ。ああ、ビートルXに収納できるから収納すると良い」

 

 三人が受け取ったハンター証をビートルXに収納するのを確認して、ドンはさらに話を進める。

 

「さて、初期チュートリアルを覚えているかな。おそらく君たちはそこで『終期キャラクターメイク』という言葉を聞いたと思う。今からそれを行う場所に案内しよう。ここの最上階だ。ついてきてくれたまえ」

 

 階段を上っている途中で、ヨシとキングゥがフレンドコードを交換しているのをモモンガは目にした。モモンガも一瞬、戦友と書いてライバルと読む(と一方的に思っている)相手と交換したいと思ったが、女性に連絡先を聞く真似ができていたらこの年まで童貞ではない。

 

 最上階に着くと、あの幾何学模様つまり神字がびっしりと部屋中に描かれた空間に入った。

 

「ここは……」

 

「そう、ここは初期キャラクターメイクの空間と同じさ。もちろんあっちはコピー、こっちが本体だがね。ここで裏試験を行い、クリアした者には終期キャラクターメイクを行う資格を与えよう。そして……裏試験には二つ種類があってね。確実にクリアできるがゲーム内時間で12日かかる方法と、95%の確率で半日以内でクリアできるが、5%の確率でデスペナとなる方法。前者と後者、どっちを選ぶ?」

 

「「「後者」」」

 三人が口をそろえて答える。

 

「もちろんそうだよね。……って、キングゥはもうすでにクリアしている扱いだろう。では、二人に今から念を流し込む。後ろを向いて」

 

 モモンガとヨシは言う通りにすると、ドンは二人のうなじに手を当てる。そこから、仮想の生命エネルギー、すなわちオーラを流し込んだ。

 

 モモンガは感動する。

(こ、これは……!なんというか、生きる勇気!立ち向かう勇気!的なものを感じる)

 

 ヨシは記憶をたどる。

(リアルでも一回だけ、一瞬だけ、微かに感じたことがある。(タオ)とも気功とも呼ばれるナニカ。それがこんなにもはっきりと持続的に感じられるなんて!)

 

 そのオーラが、自分たちからも強く発せられていることに二人は気づく。

 

「さぁ、モモンガさん、ヨシさん。精孔は開いた。そのオーラを体に留めて、垂れ流しを止めないとすぐに干からびて死んでしまう。何とか押しとどめなさい」

 

 ヨシはリアルでかつて経験した感覚を思い出し、すぐに押しとどめる。モモンガはそれより少し時間がかかったが、それでも押しとどめるように努める。

 

(思い出せ、ヘロヘロさんや餡ころもっちもちさんはどうやって体を動かしていた?流体の肉体を留めて動かす技術、それを話していたはずだ)

 

 スライム種のギルドメンバーらのことを思い出し、何とか留められた。

 

「うん、良いだろう。しばらくそれを維持すれば纏の熟練値は最低レベルには達するはずだ。では、それを維持しながら聞いてくれ」

 

 ドンは二人のオーラ操作を見ながら自分の方を振り返らせる。

 

(これは……迫力だけならワールドエネミー並……)(すごい……オーラを抜きにしてもここまでの迫力、師匠でも出せない……)

 ドンの圧倒的なオーラを目にした二人は一瞬オーラ維持を忘れるが、すぐにコントロールを取り戻す。

 

「そのオーラを服のように纏って垂れ流しにしない技術を"纏"と言う。これが念の第一歩だ。そして、これが」

 

 言葉をいったん区切り、オーラを全く出さないようにするドン。

 

「"絶"オーラや肉体の回復を早める効果がある。そしてこれがオーラを増幅する"練"」

 

 ドンの圧倒的なオーラが、核爆発級の威力で増幅される。キングゥを含めた三人は反射的に目をつむってしまうが、それでもまぶたの上からはっきりと視えてしまう。

 

「そしてこれが……いや、"発"はやめておこうか。さて、ビートルXを確認してくれたまえ。"念"の項目がそろそろ出てきたところだろう?」

 

 "纏"を維持しながら二人はビートルXを確認する。その項目の中には"念"が出てきた。それをタップすると、念の熟練度の数値が出てくる。

 

 一番最初に「潜在オーラ量(POP)」「顕在オーラ量(AOP)」が数値化されている。モモンガのPOPは5万ほど。AOPは1000ほどであった。

 

 四大行"纏""絶""練""発(0/50)"

 そして応用技"周""隠""凝""堅""円""硬""流"

 という項目があり、発はタップするとさらに下部に項目が表れた。

 モモンガの"纏"の熟練度は1であり、その他は全て0であった。

 

「潜在オーラ量とは、使える総オーラ量のこと。他のゲームで言えばHPとMPかな。顕在オーラ量は常に体に纏っているオーラ量。攻撃力と防御力を兼任すると思ってくれて構わない。ああ、この世界ではオーラはAuraではなくOuraだから、そこんところよろしく。裏試験というのは、この"四大行"の"発"以外の熟練度を全て1にすることだ。そうすれば終期キャラクターメイク……つまり、"発"の作成を許可しよう。()()()()()()()()()()、筋が悪くても10時間以内には出来るはずだ。では初め」

 

 "纏"は二人ともすでに出来ているため、次の段階である"絶"に入る。キングゥとドンが交互に行うマンツーマン指導で、特にモモンガは早かった。白骨死体になった自分の体をイメージすれば、2、3分でに熟練度1に到達した。ヨシは30分ほど掛かったようだ。

 "練"はモモンガもヨシもかなり早く、十分ほどで出来た。モモンガは、"絶望のオーラ"を発動させるイメージで、ヨシは裂帛の気合を出すイメージで上手くいった。

 

「ふむ、合計で1時間もかからなかったな。かなり筋が良い。では水見式を行う。キングゥもやるか?」

 

「新アバターだシ、系統変わってるかもしれないしネ」

 

 ドンがカードを懐から三枚取り出し、『ゲイン』と言うと、カードは実体化する。カードは水が入ってその上に葉っぱが浮いた透明なガラスのコップと、それを置く机となった。もちろん三人分だ。

 

 キングゥがコップに両手を当て、"練"を行うと、特に変化が起こらない。だがキングゥがコップに口を付けて飲むと、彼女は口をすぼめて目を細めた。

 

「あリャ~、また変化系ですネ」

 

「まあ、いいじゃないか。プレイヤー自身の内面が変化しない限り、アバターが変わっても大抵系統は変化しないのだから。では二人とも、同じようにやってみてくれ」

 

 二人は言われた通りにコップに手を当てて"練"を行う。モモンガのコップの中の水は一瞬で全て凍り、ヨシのコップは水がどぷどぷと溢れる。

 

(あれ、凍ったのに冷たくない……?)

 

「モモンガさんは明らかに特質系、ヨシさんは強化系だね。モモンガさんは、これは……水を冷やして凍らせたというより凝固点を常温まで上げた感じだね。では、モモンガさんを基準に話を進めよう」

 

 その後のドンの話はかなり長かったが、要約するとこうだ。

 

・念能力のうち、いわゆる『魔法』や『特殊技能』に類するものは"発"と言う。これは自分で考えて作れるが、一度作ると基本的に消すことは出来ない。人の域を完全に超えている能力は通常は作れない。

・"発"には得意不得意がある。最も得意な系統がその人の系統である。

・六相図を見せられる。

・モモンガの場合は"オーラや念能力を直接固形化"するという、具現化系とは似て非なる唯一無二の行為を100%の出力効率で10割まで極められる。このような唯一無二の性質を特質系と呼ぶ。特質系は特質系が最も得意系統の人のみ使える。

・他にも強化系・放出系・変化系・操作系・具現化系の説明をされる。特質系は本来具現化系と操作系の間らしいのだが、ドンの診断曰くモモンガは変化系と具現化系の間の特質系らしい。つまり変化と具現化は80%、強化と操作は60%、放出系40%である。特質系はこういう変則的なことが起こりやすいらしい。 

・"制約と誓約"という、能力に条件や約束事を掛けることで、掛け算のように通常作れる能力より強力な能力が作れる。

・今この場で作ることはお勧めしない。強化系の場合、四大行が全て熟練度8、応用技も全て熟練度4になってから決めるのが一般的に最適とされるタイミングで、強化系から離れるごとに最適なタイミングがそれぞれ1早くなる。

・特質系の場合は、作ろうと思った瞬間にできている場合があるが、プレイヤーはイメージ修行が省略されるだけできちんと内容を決める必要がある。

・"発"には作れる上限があり、それを"容量(メモリ)"と呼ぶ。メモリは複雑で自由度の高い念能力ほど多くを消費する。メモリ自体を増やす方法も、もしかしたらあるかもしれない。

・"発"を作るのに最も重要なことが、フィーリングである。能力が自分の性質に合致しているという感覚がその"発"の性能を底上げする。そのため他人の能力やアイディアを丸々流用するのはやめた方が良い。『影響された』程度なら構わない。

 

「さて、これまでを踏まえて、質問は?」

 

 手を上げて質問するヨシ。

 

「これ、能力自由に作れるってゲームバランス管理は大丈夫なんですか。壊れコンボとか作れるんじゃ」

 

「ああ、それはウチの最強最高のAIが全部管理してるから。ウチの念能力担当AIがOKっていえば何でもOKなんです。それに、100もサーバーあるから三つや四つぶっ壊れ環境があっても問題ないでしょ」

 

(えぇ……)(えぇ……)(えぇ……)

 

 キングゥを含めた三人全員がGMにあるまじき発言に引く。さらにモモンガが質問する。

 

「出来るだけ早く別サーバーにいる友人に会いに行きたいんですが、別サーバーに移動する方法はありますか?」

 

「ああ、それね……本当は地力で見つけてほしいんだけど、攻略wikiにももう載ってるからいいか。『神隠しの祠』、1サーバー内に最大8つまで存在が許されている永続設置型アイテム。アイテム一つに付き一つの別サーバーを指定して、くぐれば指定したサーバーにもう一つの『神暴きの扉』が設置されてそこにたどり着ける。『神暴きの扉』に入れば元のサーバーに戻ることもできる。このサーバーではどちらも今のところプレイヤーには発見や入手はされてないね。新たに『神隠しの祠』を設置するには、ゲーム内ゲームであるグリードアイランドβをクリアして、報酬として『神隠しの祠』を入手しなければならない」

 

 まるでカンペを読んでいるかのように解説するドン。モモンガは恐る恐るさらに尋ねる。

 

「あの……その、グリードアイランドβというのは、クリアにどれくらいかかるんでしょうか」

 

「まずプレイを始めるための難易度がG。サーバー内に100個しかないゲームソフトを用いて()に入る。一つのソフトにつき8人同時に使えるから仲間を探すのが良いだろう。そしてクリアの難易度は、Dと言ったところか。最大800人の中から勝ち残る一人にならなければならない訳だからな。ただ、グリードアイランドプレイヤー(以降グリーダーと呼ぶ)の中には弱いNPCもいるから、彼らを無視すると実際の競合人数は40人から80人だと思ってくれ。もちろんゲーム内ゲームであってもデスペナ(キャラデリ)の可能性はある。他の人が『神隠しの祠』を複数手に入れて、サーバー内のアイテム数が8つになれば、目当てとなるサーバーに直接は行けなくなる。今のところ他の方法で別サーバーに行ける手段を実装する予定はない」

 

 モモンガはそれを聞いて、覚悟を決めた顔をした。仲間に会うためには、思った以上に困難な道のりを進まなければならないようだ。

 

「このサーバーの番号は87。モモンガさんは頑張ってグリードアイランドクリアを目指してくれ。では、こちらから念修行の師匠NPCを斡旋する。今から3人の――」

 

 ドンの話に手を挙げて割り込むモモンガ。

 

「ドンさんを師匠として指定するには、どの程度の課金が必要でしょうか」

 

 ドンはその言葉を聞いて目を細め、口角を上げた。

 

「ふぅん、そこに気づくか。流石は()()モモンガさん。プレイヤーやGMが師匠になることも、システム上は可能だ。だけど、会社の規約上、GMは特定のプレイヤーに肩入れすることは出来ない。だけど……」

 

 そこで、ドンはキングゥをちらりと見る。キングゥはそれに応答してため息をつき、素の口調で答える。

 

「はぁ、分かりました。やればいいんでしょやれば! 休日を使って、()()()()()()()()()()()()()()()私が、王道から裏技まで守秘義務ギリギリのところまで教えつくしてやりましょう。覚悟してください、ゲームだと思って甘く見てたらかなりキツいですよ。このゲーム元々オカルトにハマった軍事企業がマジで超能力開発のために作ったのをゲーム用に改造した奴ですから、法規制ギリギリ、軍学校並みに精神負荷掛けられますからね」

 

 モモンガは「技術の発展は軍事に最初に使われる」という友人(ペロロンチーノ)の言葉を思い出す。だがそれよりも気になることがあった。

 

「何となく察していましたが、キングゥさんやっぱ運営側の人間だったんですか?」

 

「あ、いや、ゲーム運営とは関係なくて、出版部門ね。色々運営の話は聞くけど、ぶっちゃけ内部データレベルのことはそこまで知らない」

 

「そうですか。今後は師匠って呼んだ方が良いですかね」

 

「そうね……そうネ。今後は師匠って呼んで欲しいナ!」

 

 元の口調に戻るキングゥ。それを微笑みながらドンは見つめて続けた。

 

「念の基礎修行については一応教えた。系統修行や応用修行はキングゥ、君が教えるんだ。では、最後に。モモンガさん、どこに送って欲しい?メビウス湖内の一部の場所を除いて大体の都市に転移させることができるが」

 

「いえ、この世界の地理については詳しくないので、キングゥさんにお任せします」

 

 と言ってモモンガはキングゥの方に視線を向ける。

 

「仕方ないわネ。じゃあ、天空闘技場付近! 昇らなくても観戦するだけで眼が養われるのヨ!」

 

「モモンガさんもそれで良いね? じゃあ、飛ばすよ」

 

 ドンはオーラを天井に飛ばすと、部屋の天井が開く。そして『GM Only』と書かれたカードを取りだし、それを消費した。

 

 瞬間、キングゥとモモンガの視界は真っ白になった。

 

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