Liella!〜恋愛物語〜   作:ジャガピー

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#10 ランニングハイ

 

 

 

 

 蒸し返るような暑さに嫌気がさす月曜日。

 学校に登校して待っていたのは、気分の良く無い噂というものだった。

 多く無い中の1人のバレー部の友達に聞いたそれは、心配していた事が起こってしまっていた、というものだった。

 結ヶ丘という女子校の平安奈すみれという女は、色々な男を引っかけてやりまくっている…

だとか、

バレー部の新井先輩にご執心だけど、ちょっと顔がいいからと調子に乗ってお近づきになろうとしたけどこっ酷く振られたから、その辺にいる男を捕まえて乗り換えたビッチ…

だとか、明らかに作られた嘘だと、当事者の僕なら分かるような嫌な噂。

 他校なら、すみれさんの耳に入ることもないかと思っていたけれど、バレー部のグループメッセージ経由で写真も出回ってしまっているらしく、更にトドメには…今日にも結ヶ丘の高校の近くに行って、本人が出てきた所で大勢で揶揄ってやろう、と言うことになっているらしい。

 

 終了のチャイムが鳴ると同時に、僕は小走りに学校を出てすみれさんに電話をかけた。

 

「もしもし」

と、3コールで出た。

 

「すみれさん、今日夕方の予定はどうなってるの?」

 

「練習だけど…、それがどうかした?」

 

「なら良いんだ、出来る限り日が暮れるまで学校から外には出ないでいてくれると助かるんだけど」

 

「なんでよ」

 

「いいから、約束だよ」

 

「あ、ちょっ…」

 

 そう言って電話切る。

 改札に定期をかざしてホームに入ると、僕は息を整えた。

 夏特有の蒸し暑さに、額に大粒の汗が滲む。

 電車が来て、それに乗り込むとひんやりとした冷気が体に染み渡った。

 

 約束通り、すみれさんが日が暮れる時間くらいまでスクールアイドルの練習にかのん達と勤しんでくれれば彼らも諦めるだろうと踏んでいる。

 今まで、竹下通りでスカウトを受けようと夕方に1人で学校から帰ってウロウロしていた時とは違って、日が暮れる時間まで練習して、その後かのん達と一緒に真っ直ぐ帰れば、すみれさんが新井先輩達と鉢合わせる可能性は低い。

 なにより、そんな時間まで結ヶ丘の校門付近で男の人たち大勢で待ち伏せなんてしていたら不審だし、他の結ヶ丘の生徒の目もあるだろうから、長く待ち伏せするという可能性も低いから。

だから僕は、もしもの事があった時のために結ヶ丘高校の近くで待機しようと、今電車に乗って原宿に帰っている訳だ。走って出てきたのは、彼らに先に越されて何かあった時に手遅れになって仕舞えば取り返しがつかなくなるから。

 

 すみれさん、あんな人の前で臆する性格じゃないし、寧ろ逆に突っぱねてやろうって人なんだけれど、今回はお仲間も連れていくみたいだし、もしもの時が怖い。

 握った手のひらにじっとりと汗をかいているのが分かる。

そして僕は、もしもの、本当にもしもの時のために、自分よりも一回りも二回りも大きい人に勝つための方法を頭で考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 初めてきた結ヶ丘高等学校は赤い屋根が特徴の小洒落た校舎が特徴の学校だった。

 かのん達の情報通り女子校ということもあってか、校門から出てくる生徒は皆んな女の人。

 制服が2種類あるのは、音楽科と普通科という二つの科が存在していて、学科によって制服が違うから。

 

 僕はその校門の前を通って少し離れた曲がり角で様子を見る事にした。

 結ヶ丘高校も授業が終わって間もないのか、多くの生徒で賑わっていた。

 無論、僕の立っている曲がり角にも何人かの生徒が通り過ぎている。中には、何してるんだこいつというような目で見てくる人も居たけれど、今はそんな事を気にしている場合ではない。

 何かあった時にすぐに行けるようにと待機しておかなければならないから。

 

 そうこうしているうちに20分ほど経過しただろうか。

 校門の付近の生徒の数も少し落ち着きを見せ始めた。

 あれから、新井先輩らしき人や、僕の高校の制服を着た人もいる気配は無さそうだ。

 ここじゃない所で、待ち合わせしているのかはわからないが、その心配も杞憂に終わりそうだ。

 約束通り、すみれさんは中で練習でもしているのだろう。よし、その調子で日が暮れるまで練習に励むんだと、聞こえもしない胸の声をすみれさんに届けた。

 

 それから10分、新井先輩達もくる気配もなさそうだし、なんとか良い方へと落ち着いたかなと安堵し、水筒のお茶でも飲もうかとカバンを下ろそうとした時に、恐れていた事が起きた。

 

 すみれさんが学校の外に出てきたのだ。

 

「まじかよ」

 

 思わず出た言葉と同時に、すみれさんに向かって走り出す。

 勢いよく走ってくる僕に気がついたのか、すみれさんは驚いた表情をして僕をまじまじと見つめている。

 

「あんた、なにしてるのこんな所で」

 

 それはこっちのセリフだという返し言葉が出そうになったけれど、ぐっと飲み込んだ。

 

「すみれさん、今日は日が暮れるまで練習しててって言ったでしょ」

 

「言ってたけど…」

 

「しかもどうして制服なの?体操着は?制服で練習する訳ないよね」

 

「あっついのよ。私たちの練習場所屋上だから、ちょっと日が落ち着くまで待機してたのよ。ほんっと殺人的な暑さなんだから」

 

 そう言って手で顔を仰ぐと、嫌そうな顔をして空を見た。

 

「どうして出てきたのさ」

 

「クゥクゥが飲み物無くなったからって言うから、ついでに飲み物以外にも何か買おうって、コンビニに行く事になったのよ」

 

「そのクゥクゥさんはどこ」

 

「財布忘れたから先学校出ててくれって言うから出てきたのよ。かのんも一緒に行ったからもうすぐ出てくるとは思うけど。なに、かのんかクゥクゥに用事でもあったの?」

 

「そうじゃないよ」

 

「嵐さん?なら、ダンス部の練習が今日はあるって言ってたけど」

 

 能天気に関係のない話をしている場合ではない。

 もうこの際、学校であった事を伝えようか迷ったけれど、そんな他校での自分の悪い噂なんて聞きたくもないだろうと、うーんと、唸るしかできなかった。

 このまま学校の中に引き返してもらえるとありがたいのだが、どう理由をつけてそうさせようかと考えても、唐突すぎてあまり良い案が思い浮かばない。

 すみれさんも、そんな僕の事を心配そうに見ている。

 

 

 どうしたものか、と考えていると、僕たちの後ろから笑い声が聞こえた。それも、人を嘲笑う様な笑い声。

 咄嗟に振り返ると同時に最悪な事が起きてしまったと理解した。

 

 僕たちの後ろには心証の悪い笑みを浮かべた、僕の高校の5人組が居た。真ん中には新井先輩。

 夏服の襟袖のストライプの色を見るに、全員3年生だという事がわかる。

 

「みろ、こいつだぜ、俺に振られてすぐ次の男に乗り換えるビッチってのは」

 

 そう言って、周りの男達に話しかけている。

 すみれさんは突然の事で目を丸くしている。珍しく動揺しているのが分かった。

 そりゃそうだ、こんな自分よりも大きな男大勢で揶揄いにきたんだ。動揺の一つもする。

 

「で、乗り換えた男がこんなヒョロっこいやつでさぁ」

 

 ケラケラと、人の神経を逆撫でする様な笑い方を下品にも周りに撒き散らしている。

 

「その制服…何だお前、俺と同じ高校かよ」

 

 僕をまじまじと見てそういうと、

 

「お前も可哀想だな。こんな顔だけの女に引っかけられて」

 

 僕の肩に手を置こうとするので、払ってやった。

 

「あ?」

 

 新井先輩の顔が曇る。

 僕を睨みつける様に威圧的な表情でさらに僕の近くへと詰め寄ってきた。

 

 不思議と怖さというものは感じない。

 僕は身体の奥底から苛立ちを感じる。

 真っ赤な熱い苛立ち。

 

「今何したお前」

 

「触んなって意味ですよ、分かりませんでした?」

 

「ふざけんなこらッ!!」

 

 怒声が結ヶ丘高校の前に響き渡ると同時に僕は一回りも大きい年上の男に胸ぐらを掴まれた。

 校門の前ということもあってか、周りには結ヶ丘の生徒達が少し距離を置いて食い入る様に見ていた。中には携帯を掲げるものもいる。

 

「あんま調子乗んなよお前」

 

「お調子なのはお前だろ」

 

「あ?」

 

「自分の思う様に行かないからって、せこい真似して。そんな事してもすみれさんの気は引けないよ」

 

 

 そう言い返すと同時に、力強い拳が僕の顔に直撃した。

 ガンッと、鈍い音が鳴ると同時に思わず僕はヨロけてしまった。

 

 小さな叫び声が聞こえる。

 周りの結ヶ丘の生徒達のものか、それともすみれさんのものか、今は目の奥からくる鈍い痛みで視界もぼやけてそれどころではなかった。

 鼻の奥からツンとくる痛み、血は出ていないけれど、殴られた所の奥からジンジンと脈打つ様な痛みが僕を襲う。

 痛すぎる。というのが本音。

 やっぱり、僕よりも一回りも大きくてガタイもがっしりしている運動部のパンチは途轍も無いものだった。

 

「鈴鹿くん!」

 

 そう言って僕と新井先輩の間に庇う様に入ってきたのはすみれさんだった。

 

 張り詰めた空気が場を支配する。

 異様過ぎるこの状況に固唾を飲むしか周りはできないのだ。

 新井先輩の取り巻き達も動揺していた。まさかここまでの事になるとは想像もしてなかったのだろう。

 

「やめて!あんたいい加減にしなさいよ」

 

 僕の間に入ったすみれさんが新井先輩を睨む。

 僕は咄嗟にすみれさんを僕の後ろへ引っ張り込んだ。

 

 これで尻餅をついて顔を押さえる僕と、それを睨みつけて立つ新井先輩という構図ができる。

 

「大丈夫…?」

 

 そう言ってすみれさんは僕の腕を掴む。

 後ろのすみれさんを見ると、目元に薄らと涙を溜めていた。

 こんな顔、させてしまってたら恋人の役は失格だなぁと、回らない頭で考えて、ゆっくりと立ち上がった。

 

「あ、?まだやんのかよ?」

 

 そう言ってまた一歩僕の方へ踏み出してくる新井先輩は隙だらけだった。

 一回りも大きい男の人に勝つためには…。

 もしもの事があった時にと今日ずっと考えていた時に思い出した。

 昔、心春が小学生の時に、上級生にちょっかいをかけられた時にしたあれ。

 

 余裕綽々と笑いながら近づいてくる隙だらけのそいつに…

 

 僕は股間を蹴り上げた。

 

 

「ウッッ…」

 

 

 という見窄らしい声と同時に中腰の体制になる。

 僕はその隙を逃さずに思いっきりの力を込めて突き飛ばしてやった。

 新井先輩は尻餅をついて、股間の痛みに蹲ってしまう。

 

「おま、え…、何てこと…」

 

 何が1番、こういう輩にとってダメージかを考えた。

 学校という閉鎖的な空間の中で、カーストというものがあって、その中で上に位置する人。

 自分のご機嫌や顔色を伺ってくる環境。さぞいい気持ちなのだろう。僕は別にどうだって良いけど。

 自分の言う事が全て肯定されて、自分より立場の弱い人を貶して笑い物する。

 平然と人前で壊れた蛇口の様に人の悪口を言って、笑って罵って。

ましてや、自分の都合が悪くなると、同調圧力で圧迫して、自分の思うように事を進めて、またその人を貶して深い傷を負わして。そして、その取り巻き達も同じで。

 自分の地位が危うくなるのを恐れて、人を貶すと言う事に加担して、笑いものにする。

 そんな、人間として下劣な輩達に1番効く言葉。

 

 

 

 

 

「カッコ悪ッ」

 

 

 

 

 僕のその言葉に、ぷっと笑いが吹き出す声が結ヶ丘の生徒達でできた野次馬の何処からか聞こえてくる。

 それが聞こえたのか、地面に蹲る新井先輩は顔が真っ赤になっている。股間が痛いだけかもしれないけれど。

 ようやく、周りの注目になっている状態に気づいたのか、取り巻き達もオロオロと慌て始めた。

 

「鈴鹿くん」

 

 僕の袖を引っ張るすみれさんの声は弱々しい。

 この状況に戸惑っているのだろう。

 

 

 

 だから僕はすみれさんの手を取ってその場から駆け出した。

 注目の輪の中から勢いよく飛び出した。

 走って走って、結ヶ丘高校からどんどんと遠ざかる。

 周りを行き来する人たちを掻き分けて、すみれさんと僕は目的もなく走り続けてやった。走って走って走り続けた。

 

 体力の限界が来て、僕とすみれさんは止まった。

 そして、2人で顔を合わせて、思いっきり腹の底から笑った。

 

 

 

 

〜〜

 

 

 

 僕たちは走り続けた後、すぐ近くまで来ていたすみれさんの家もとい僕のあるバイト先の隠田神社のベンチ腰掛けていた。

 あんな事があった手前、学校に戻るわけにもいかず、こうして取り敢えず落ち着く場所に座っているというわけだ。

 

「今日はもう学校戻れないわね」

 

「カバン、どうすの?」

 

「かのん達に言って後で届けてもらうわ」

 

 そのメッセージをしているのか、携帯を操作している。

 

 僕はと言うと、あまりの顔の痛さにちょっとびっくりしている。

 詳しくは左目の横の付近。

 強烈な右フックを喰らった所。

 すみれさんに家から取ってきてもらった保冷剤を押し当てて冷やしているのだ。

 何ともみっともない格好になっている。

 

 どうしてこうなったかの状況は、ここに着くまでにすみれさんには説明はした。

 あんな事があったから、もう隠しても仕方がないと思ったから。

 すみれさんは顔色変えずに聞いて、そう、と言っただけだったけれど。

 すみれさんはやっぱり強いと思った。

 自分がこんな状況に置かれていたと言うのに、そう、の一言で済ませてしまうのだから。

 

「痛む?」

 

 すみれさんは僕の顔を横から覗き込む。

 肩と肩がピッタリとくっついた距離から、僕が押さえていた保冷剤を持つ手を退けると、僕の顔をまじまじと見つめた。

 

「腫れてくると思うわ。病院、行ったほうがいいわね」

 

「大丈夫だよ」

 

「だめよ、行かないなら私が連れて行くから」

 

「えー」

 

「だめよ」

 

「病院きらいなんだよなぁ」

 

「子どもみたいなこと言わないの」

 

 そう言ってすみれさんは、僕の保冷剤を持つ手をもう一度目元に移動させた。

 走っていた時は痛くなかったのに、これがアドレナリンというやつか。

 

「ねぇ」

 

「なに?」

 

「ありがとう」

 

「気にしないで。ほら、一応ふりと言っても恋人なんだし」

 

 そう言うと、すみれさんは前を見た。

 何かを考えているのだろうか。

 僕はジンジンと痛む目の横に強く保冷剤を当てる。

 

「何となく、分かったわ」

 

「なにが?」

 

 少しの間が空いて、すみれさんがポツリと話し始める。

 

「恋人同士ってどう言うものかが」

 

 そう言って僕の右手を握る。

 ここに座ってから、ずっと握り続けている手。

 

「私、守られてるんだなって。抽象的だけど、何と言うか…」

 

 そう言って少しまた口を閉じる。

 そして数秒間を空けてから、

 

「暖かくて、嬉しかった」

 

 そう言って微笑んだ。

 

「僕こそありがとう」

 

「え、」

 

「ほら、殴られて倒れ込んだ時、間に入って庇ってくれたでしょ?」

 

 あんな状況、僕よりも背の小さくて華奢なすみれさんだ。僕よりもあの男が大きくてそれで怖く見えていたに違いないのに。

 すみれさんは倒れる僕を庇ってくれたのだ。

 そんな事、普通の女の人にはできない。

 

「すみれさん、やっぱり君は強いね」

 

 僕の言葉にすみれさんは目を丸くして、そしてまた微笑んだ。

 

「鈴鹿君の方が、強いわよ」

 

「そんな事ないよ」

 

 強かったらこんな事になっていないから。

 

「それより、」

 

「ん?」

 

「今更だけど、大丈夫かしら」

 

「なにが?」

 

「あれで、懲りずにまたって事になったら」

 

「あぁ、それなら大丈夫」

 

 もう、そうならない自信があった。

 

「あれだけ公衆の面前で騒ぎを起こしたんだから、当分は大丈夫だと思う」

 

「そうね」

 

 すみれさんはそう言うと笑って、

 

「今度は私も蹴り入れてやろうかしら」

 

 座りながら片足をピンと上げた。

 楽しそうだ。

 

 でも、何とかすみれさんに危害が及ばずに済んで良かった。

 この前、新井先輩の事調べてたっぽいから一応報告なと、今日の新井先輩達の動きを教えると言うファインプレーをしてくれた友達には、今度昼メシでも奢って感謝しなければならないと思った。

 

 でも、少々目立ちすぎた気がする。

 

「すみれさん」

 

「ん?」

 

「学校で、何か言われるかも。目立っちゃってたし…」

 

「ふふ。大丈夫よそれくらい」

 

「ほんと?」

 

「うん。今は居場所があるし」

 

 かのんとクゥクゥさんのスクールアイドルの事だろう。

 確かに2人なら、すみれさんの事を学校でも気にかけてくれるだろう。

 

「ねえ」

 

 少しまた間が空いて、すみれさんは僕に話しかける。

 

 

「圭太って、呼んで良い?」

 

 ギュッと、ずっと握られている手をまた少し強く握る感触がした。

 

「もちろん」

 

「うん」

 

 嬉しそうにすみれさんは笑う。

 

「ねえ、」

 

「ん?」

 

 また僕に話しかけてきた。

 

「私、何をすれば良い?」

 

 その言葉の意味が分からなかった。

 

「何って、なにが?」

 

「圭太への借り、何を返せばいい?わたしは、貴方に…」

 

 そう言えばそんなことも言ったっけな。と、この話が始まった時のことを思い出した。

 何を言い出すかと思えば、そんな事か。

 

「いいよ、別に」

 

「でも、」

 

 納得いかないと言う顔で僕を見る。

 

「これからも、僕と良い関係でいてくれるだけで十分だよ」

 

 本当にそれで良かった。

 すみれさんとは、これからもバイトやら何やらで長い付き合いになっていきそうだから。

 すみれさんは俯いて、こくりと頷いた。

 納得してくれたようだ。

 

 

 

 空を見た。

 灼熱の太陽が暮れようとしている。

 僕の手に持った保冷剤はその暑さのせいか、貰った時よりもかなりぬるくなってしまっていた。

 

 

 

 

 





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