異世界の料理本   作:バルバルさん

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宮廷料理の一角 ベアーハンドの煮込み

 見よ! これが王宮料理四天王が一角、フルーティベアーハンドの煮込みだぁ!

 二つ名持ちの強―いフルーティベアーを狩ってきた冒険者諸君に感謝を込めて、冷めない程度にじっくりご賞味あれ。

~~王宮料理人・フラボス~~

 

 フルーツ園最大最強の害獣は何だと聞けば、十中八九、フルーティベアーが挙がるだろう。

 

 剣や弓、最新の武器たる銃すらろくに通じない強靭な肉体。初歩的な攻撃魔法は通じないほどの魔法への耐性。太い木すら一撃でへし折る腕力……狩る時は、命を文字通りかけなければならない。

 

そんな強敵たるフルーティベアーも、狩った後は大切な食肉となる。

 

野趣あふれた赤身、口の中でとろける脂身、ねっとりと吸い付くゼラチン質……その見た目からは想像もつかないほど素晴らしい味で、西方の王宮や東方の宮殿料理のメインを飾ることも多い。

 

 その中でも特に高級なのがベアーハンド。真偽はともかく、フルーツ主体の食事をするフルーティベアーは肉の甘みが強いようだ。

 

 恐ろしく手間のかかる下処理の後には、最高の味覚が待っているだろう。

 

 以下に、フルーティベアーハンドの煮込みの作り方を記す。もし、ベアーハンドを手に入れる機会があったら、換金する前に調理という選択肢を取ってみてはどうだろうか。

 

 

材料:・フルーティベアーの手

   ・パープルヴィネガー

   ・ブルドー酒(レッド)

   ・ハチミツ

   ・フルーティベアーの脂、出汁

   ・乳脂

   ・ルク=ミの油

 

調理法:

・フルーティベアーの手の毛を処理する。熱めの湯に漬け、毛穴を緩めて丁寧に抜く。あるいは、毛が黒焦げになるまで炎であぶった後、こそげ落とし、たっぷりのお湯で数回ゆでる。

毛の処理は恐ろしく手間がかかるが、毛の混じった煮込みを食べたいもの好きはいない。ここで料理人の忍耐力が試される。

 

・フルーティベアーの皮は基本食べられない、なので皮も処理する。たっぷりの水に漬け、その水を沸かし、三~四時間ほど置くことを8日つづける。するとやっと皮を処理しやすくなるので、丁寧にナイフで剥く。表面の皮は防具にも加工できるが、今回の方法だとふやけ切るので向かないのに注意。

 

・五本の指、それぞれにカットする。爪はつけたままの方が、少々危ないが味が出る。それを乳脂と冒涜的な見た目の木の実、ルク=ミの油で弱火でじっくりソテーする。

 

・パープルヴィネガー、ブルドー酒を鍋に入れ、八分の一になるまで煮詰め、ハチミツや、フルーティベアーの骨でとっておいた出汁、ソテーした指の肉を加え、鍋全体を熱する方法で、八~九時間ほど煮込む。その後、冷えた場所で、三日ほどソースごと寝かせる。

 

・再加熱した後、指一本とソースを皿に盛る。十日以上かけただけの味は保証する。

 

 以上。

 この暴力的な動物から、各国の王宮、宮廷の味が出せるのは意外かもしれない。

 ただ、いくら美味しいからと言って無暗にフルーティベアーに挑むのはやめておこう。

 しっかりとした装備と準備、罠などがあって初めて凶暴な生物は狩れるのだ。

 

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