≫本編及び番外編の後書きの活動報告のURL(https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=314260&uid=22654)
≫まあここに要望なども記載出来ますのでよろしくお願いします
・今回の話
≫2話を無理矢理1話に纏めていますのでご了承の方お願いします
「あの会長、何故ソワソワとしているのですか?」
「エアグルーヴ、いつもあるものがないと落ち着かないということはないかな?」
生徒会室で作業をしていたシンボリルドルフが、少し落ち着かない様子で生徒会の資料に目を通していた。
ソワソワしていることに違いはないが、普通に生徒会の仕事はこなしているが普段よりも落ち着きがないと言った方がいいだろう。
そんな様子に気付いたエアグルーヴが質問する。するとシンボリルドルフは少し緊張を含んだ声で答える。
「もしやクラフトボーイのことですか?」
エアグルーヴがその答えにたどり着き、シンボリルドルフが頷く。
シンボリルドルフとクラフトボーイは仲が良く、プライベートでもよく会っている。
シンボリルドルフはクラフトボーイのレースを見るために、そしてクラフトボーイはシンボリルドルフに自身のレースを見せるためにとお互いに予定を合わせ、一緒に観戦することが多かった。
そんな2人だが、最近互いに会うことが出来なかった
というのも、クラフトボーイは社交性が異常なまでに高くシンボリルドルフだけでなく、ミスターシービーやマルゼンスキーといったシンボリルドルフの同級生達とも仲が良く彼女達と遊ぶことが多くなり、シンボリルドルフと会う時間が減っていた。
しかし本当に会う時間が減った理由はエアグルーヴがクラフトボーイに対して接触禁止令を出した為である。というのも、クラフトボーイが生徒会室に入り浸るとエアグルーヴ自身もクラフトボーイのペースに引っ張られてしまい作業が終わらなくなる。その結果普段働かないナリタブライアンですら書類担当として動員する羽目になっただけでなくその姉ビワハヤヒデも手伝いに来るようになってしまった。
「どうしても生徒会室に呼べないか?」
「お気持ちは察しますが駄目です。とりあえず作業を終わらせてからにしましょう」
エアグルーヴとしてもクラフトボーイがいることの居心地の良さは理解しているが、本来の生真面目さからクラフトボーイを生徒会室に入れるのは気が引けた。
シンボリルドルフもそれは理解しているが、それでもやはり会いたいという気持ちが強く、ソワソワしてしまうのだった。
「ようやく終わったか……」
「さあ久しぶりに残業しなくて済みます。クラフトボーイに連絡を!」
そして作業が終わり、シンボリルドルフがクラフトボーイに連絡すると、すぐに行くと返事が来た。
「エアグルーヴ、ナリタブライアン、それと助っ人に来てくれたビワハヤヒデ、皆ありがとう。今日はこれで終わりにさせてもらうよ」
シンボリルドルフがそう言って生徒会室を出ていき、続いてエアグルーヴ、ナリタブライアン、ビワハヤヒデがそれぞれ自室へと戻っていった。
そしてシンボリルドルフはクラフトボーイが待つ美浦寮の共有スペースへと向かう。
「〜♪」
「ハイ、ハイ、ハイ! いいぞクリスエス!」
そこにはノリノリで歌うシンボリクリスエスとそれに合わせるクラフトボーイ、そして同じく手を合わせるメジロラモーヌが楽しそうにしていた。
「クラフトボーイ、合いの手──Thanks.感謝する」
「こっちこそいい歌聞かせて貰ったよ! やっぱクリスエスって歌が上手いね!」
「そうか……。ん、ルドルフ。来たのか?」
「ああ、クリスエス、クラフトボーイの言う通りいい歌だったよ」
クラフトボーイの合いの手とシンボリクリスエスの歌が合わさり、とても良い曲になっていた。
シンボリルドルフも思わず聞き入ってしまい、歌が終わった時に拍手を送る。
「それでクラフトボーイ、今日は何をしていたんだ?」
シンボリルドルフがそう聞くとクラフトボーイは満面の笑みで答えた。
「今朝はねマルゼンさんとドライブ、授業が終わったらサー姉とナイン姉、あとトレーナーとでトレーニングとトランプ! そしてトレーニングも終わったらスペとスカイ、あとグラスの併走に付き合ったんだ!」
「い、いろんな生徒と交流があるんだな……」
シンボリルドルフはクラフトボーイの交流の広さに驚きを隠せなかった。だがそれでもまだ驚くのは早く、クラフトボーイがさらに続ける。
「まだまだあるよ、それも終わった後はスカイと一緒に寮に戻ったらラモっちと会ったんだ」
「なるほどそれでここに……ラモーヌ、ありがとうクラフトボーイの面倒を見てくれて」
「構わないわ。この娘物凄く面白いもの。飽きないわ」
クラフトボーイとラモーヌが仲がいいのは知っていたが、まさかここまでとは思っていなかったシンボリルドルフ。そんな彼女にシンボリクリスエスが言った。
「ラモーヌが珍しく絵じゃなく別のことにconcentration──集中していた。それが気になり私は混ぜて貰った」
「なるほど、クリスエスが歌っていたのはラモーヌかクラフトボーイの進言かな?」
「Yes.その通りだ。クラフトボーイの笑顔を見たかったから私が歌ってみた」
「うん、物凄く楽しかったよ!」
キラキラとした目をするクラフトボーイにシンボリクリスエスとシンボリルドルフがほっこりしていると、ラモーヌはシンボリルドルフの方を向いて言う。
「ねえルドルフ」
「ん?」
「貴女も混ざる? 貴女が混ざるならもっと盛り上がるわ」
「それもそうだな。よし、クリスエス、私の十八番の準備を」
「了解した」
そしてシンボリルドルフが歌い始めるとクラフトボーイとシンボリクリスエスが合いの手を打ち、メジロラモーヌが微笑む。
「ふぅ……得点を度外視して歌うのも悪くないな」
合いの手がマイクに拾われてしまい得点はそこまで高くないもののシンボリルドルフが満足げにしていると、シンボリクリスエスが口を開く。
「流石だルドルフ。やはり君の歌は素晴らしい」
「ありがとう、クリスエス。ところで2人は歌わないのかい?」
「勿論歌うよ! マルゼンさんの十八番を歌わせてもらうよ!」
「あっズルいわクラちゃん! 私も歌うわよ!」
クラフトボーイがそう宣言すると曲が流れるともにどこからともなくマルゼンスキーが現れ2人が歌い始める。
「〜♪」
「〜♪」
2人の歌声が合わさり、とても良い曲になっていた。シンボリルドルフはそんな2人を見て思うのだった。
(やはりクラフトボーイには何かを寄せ付けるカリスマがある。これでウマ娘たらしでないのだから天性の性格によるものなのだろうな)2人だけの世界に入るクラフトボーイにシンボリルドルフがそう考えていると、クラフトボーイが歌い終える。
「ふぅ……どうだったルドルフ?」
「ああ、2人共とても良かったよ」
シンボリルドルフは満面の笑みで答える。するとメジロラモーヌが口を開く。
「今度は私が歌うわ」
そしてメジロラモーヌの妖しい歌声が響くと、それを全員が合いの手として支える。
「〜♪」
そして歌い終わるとメジロラモーヌは満足気に言うのだった。
「今回は格別に楽しめたわ」
「ラモちゃんナイスー! ひゅーっ!」
「流石ラモっち!」
「Excellent──同感だ」
「レースだけでなく歌まで完璧にこなせるとはトレセン学園の生徒の模範だな」
「模範、ですと!?」
その言葉を聞いたサクラバクシンオーが乱入し、駆け寄る。
「模範なら私サクラバクシンオーにお任せ下さい! 最速でお届けしますよ!」
それからサクラバクシンオーが大声で歌い、それを注意しにきたヒシアマゾンを逆にクラフトボーイが歌わせるように誘導したことで美浦寮ではカラオケ大会をすることになり、そこから他の生徒も参加し深夜になるまで盛り上がるのだった。
翌日
「ヒシアマ、うちの寮から君の寮に向けて苦情が来ているようだけどこれはどういうことだい?」
「アハハ……言う言葉もないね」
「会長、貴女がいながら何故このようなことになったんですか?」
「不甲斐ない……」
「ラモーヌさん、私のところにも苦情が来ていますのよ。元を正せば貴女が原因だと」
「反省しているわ」
「クリス、日本の文化ってどんちゃん騒ぎを起こして迷惑をかけることなの?」
「Sorry.ファイン、これは私達の失態だ」
「クラフトボーイさん、美浦寮で騒ぎを起こした要因が貴女ですね。反省していますか?」
「もちろんだよイクノ、だから今度は栗東寮でカラオケ大会──モガモガ」
約一名反省点を間違えているがほとんどの美浦寮の生徒が栗東寮の生徒に頭を下げるのだった。
その一方でトレセン学園を不在にしていたサードプレジデントとナインティギアは姉妹水入らずの旅行をしていた。
「こうして姉さんと一緒に旅をするとはな」
「貴女も私も、学園に籠もりがちだもの。偶にはいいでしょ?」
「そうだな。ところで姉さん、この旅行は何処に向かっているんだ?」
ナインティギアがそう聞くとサードプレジデントは少し考え込み言う。
「そうね……とりあえず温泉でも入りましょうか」
「姉さんあんたまさか──」
勘の鋭いナインティギアが何か言おうとしたがサードプレジデントは何も答えずにニッコリと微笑むだけだった。
温泉旅館に着いた2人、チェックインを済ませ部屋に着くや否やナインティギアは頭を抱える。
「まさか姉さんと同じ部屋に泊まることになるとは……」
そんなナインティギアに対し、サードプレジデントは笑いながら言う。
「あら私と創也様とのラブラブイチャイチャシーンを阻止したいのでしょう?」
「それは、そうだが!」
「ナインティ、貴女は創也様のことをどう思っているのかしら?」
「それは……その……」
サードプレジデントの質問にナインティギアが口ごもる。するとサードプレジデントは続けて言う。
「私はね、創也様のことが大好きよ」
「知っている……だからこそ苦しいんだ」
姉の気持ちを知っているからこそナインティギアは苦しむ。そんな妹の様子を見たサードプレジデントはさらに続けた。
「これは創也様を慕うサードプレジデントとしてではなくナインティギアの姉としてアドバイスを送りますわ。ナインティ、貴女は創也様のことをどう思っているのかしら?」
「それは……その……」
またしても口ごもるナインティギアだが、サードプレジデントはそれでも構わず続ける。
「好きという気持ちを伝えるのはとても大切なことよ。それをしなくて後悔するぐらいならやるべきよ」
「かもしれないが……それをしようとして妨害するのは姉さんだろ?」
「それは勿論。創也様は誰にも渡しませんわ。しかし今の貴女のままですと創也様に執着してしまい、いずれ行き遅れてしまう。創也様を忘れさせるにはこれしかありませんのよ」
「なんというか姉さん、悪役令嬢みたいだな」
「ふふふ、令嬢みたいではなく令嬢なんですわ」
「そこじゃねえよ! 全く……まあ創也の兄さんに想いを伝えられないまま過ごしていたら後悔することに違いない。ケジメとして、か」
そしてナインティギアは覚悟を決めた。
それから2人は温泉に入り、浴衣に着替えると旅館内の食事処で夕食を摂る。
するとサードプレジデントが口を開く。
その目は真剣そのもので、いつものおちゃらけた雰囲気はなかった。
「ナインティ、後少しで創也様がいらっしゃいますわ。私は席を外しますので創也様にその想いを伝えるかは任せます」
サードプレジデントがそう告げると席を立ちその場を去る。
ナインティギアは1人になると、創也に想いをどう伝えようか考えていた。
するとそこに創也が現れると目を丸くする。
「ナインティ、どうしてここに?」
「姉さんから何も聞いていないのか?」
「ただミーティングを開きたいって聞いてな。それよりもナインティがここにいるのは?」
「創也の兄さん、私は兄さんのことが好きだ」
サラッとナインティギアがそう告げ、創也は一瞬呆気に取られるがすぐに我に返り言う。
そしてしばらく沈黙が走るとナインティギアは恥ずかしさのあまりに席を立とうとした時だった。
「待て、ナインティ。俺からの返答はまだだろう?」
「聞かなくてもわかる! 私はそれ以上何も聞きたくない!」
ナインティギアが声を荒げ、涙を流しそのまま席を立とうとするが創也に腕を掴まれる。
そしてナインティギアは創也の方を向いた。
すると、そこには真剣な眼差しで見つめる創也の姿があった。
その光景を見た時、思わずナインティギアの胸が高鳴る。
「あ、うぁ……」
「ナインティ、これから俺のいうことに傷がつくが覚悟して聞いてくれ。俺はそれに応えることは出来ない」
「やっぱりそうじゃないか! この身体か!? この貧相な身体がいけないのか!? それとも私の卑屈な性格か!?」
ナインティギアが錯乱し、そう叫ぶと創也はナインティギアの手を握り落ち着かせる。
そして一呼吸置くと再び口を開く。
その目は決意に満ち溢れていた。
そして創也はゆっくりと喋り始める。
「ナインティギア、俺もお前のことは好きだ。だがそれ以上にサードプレジデントが好きだ。俺だってお前を捨てるような真似をしたくない。だけど俺はサードに全てを注ぎたい。ただそれだけなんだ」
「は、はは……なんだよそれ。結局姉さんにまた負けたっていうのか?」
「ナインティ……」
「──さない、絶対に許さない」
「おい、ナインティ?」
「私は負けず嫌いなんだ。それは創也の兄さんも知っているだろう?」
「まあな」
「創也の兄さんが振り向くまで諦めない。だから覚悟しておけ!」
そう告げてナインティギアが部屋から出ていくと、丁度入れ替わるようにサードプレジデントが現れる。
「サード、お前の仕業か?」
「ええ。悪趣味と思いますがあれはあの娘の為を思ってのことですわ。私に遠慮するよりもハングリー精神むき出しにして突っかかる方があの娘のためになるでしょうから」
サードプレジデントがそう告げると創也はため息をつき、言う。
「それでも俺はお前のことが好きだ」
「ふふ、ありがとうございますわ。ナインティ、私という巨大な壁に立ち向かって御覧なさい」
トレセン学園の方へ向かったナインティギアに向けてそう呟くサードプレジデント。その姿は姉とライバルを彷彿とさせる姿そのものであった。
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尚、次回更新は未定です