89式和製ビッグレッド   作:ディア

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過去一短めです。だって書くことないもの


第15話

 ついにトラヴァースSが行われる日がやってきた。

 

 このレースには7頭の出走馬が登録されており、その中にベルモントSを8馬身差で勝利したイージーゴアの姿もあった。

 

 レースが始まる前にパドックにて馬達が姿を見せると観客達からは拍手が沸き起こる。異国の地とはいえ僅か6戦で伝説と成った名馬が眼の前に現れたのだ。興奮しない方がおかしい。

 

 しかし馬券的にはやはり国内で最強と呼び声高いイージーゴアの方が人気であり、サードプレジデントは生涯初となる2番人気となっていた。

 

「サードプレジデント、どうやら2番人気だってよ? これはヤネの差なのか、それともお前が舐められているのか……どっちにせよ見せつけてやろうぜ」

 

 サードプレジデントにそう声をかけ、サードプレジデントがゲートに入る。そしていよいよスタートとなった。

 

【おおっと、出遅れたか!?】

 

 スタンドがざわつき、慌てて実況が入る。

 

【サードプレジデント、月城騎手に変わってから初めて出遅れました。しかし大丈夫です、まだ先頭集団にいます。1番人気のイージーゴアも出遅れ、最後方に位置しましたがいつものことです】

 

「人気の差はヤネの差のようだな。俺もプレッシャーにやられちまったぜ」

 

 そんな軽口を叩くがサードプレジデントは全く気にせずレースに集中する。

 

【さあ、最初のコーナーに差し掛かります】

 

 序盤のコーナーを抜け、直線に入るとサードプレジデントは少しずつ加速していきそのまま一気に抜け出していく。一方イージーゴアは最後方で待機している。だがその判断がいけなかった。

 

【ここでサードプレジデントが動いて、早々と先頭に立ってレースを引っ張っていきます!】

 

「なっ!?」

 

【後ろのイージーゴアはどうするのか、それともこのままか? 他の馬はまだ動かないのか? ああー、やっぱり動き出した!】

 

 イージーゴア以外の馬がサードプレジデントの加速に煽られ、サードプレジデントと共に加速していくがイージーゴアとそれをマークしている差し馬のみが動かなかった。

 

 

 

「冗談だろ? このままじゃ流石に届かないが……いや行くしかねえか」

 

 イージーゴアの鞍上がそう呟き、加速を指示するとイージーゴアが動き、サードプレジデントのスピードについて来れずスタミナ切れした馬達を撫で切っていった。

 

【さあ最終コーナーを曲がり先頭はサードプレジデント、イージーゴアが他馬を撫で切り既に2番手まで上がっていくが届くか!?】

 

 サードプレジデントまで残り10馬身まで迫り、加速するとサードプレジデントはそれ以上に加速した。

 

【な、なんという強さだ! イージーゴアを置き去りにしていく!】

 

 イージーゴアに一瞬だけ芽生えた感想、それは絶望。サンデーサイレンスと戦った時ですら芽生えなかったその感情がサードプレジデントにより植え付けられ、突き放されていく。

 

 サードプレジデントはそんなことを知るよしもなく、ただ鞍上の創也と共に最高速の景色を味わう。

 

 鞍上とともに最高速のスピードを楽しむサードプレジデント、サードプレジデントに食らいつこうとするイージーゴア。どちらが上が言うまでもなかった。

 

 

 

【先頭はサードプレジデント、後続を引き離してゴールイン! 15馬身差の圧勝だ!】

 

 勝ちタイム1分57秒7。世界レコードでの決着。スペクタキュラービッドの記録をコンマ1秒更新し、2着のイージーゴアですら平均勝ちタイムを超えている

 

「冗談じゃない……あいつの血を調べてみろ。きっと血の代わりにガソリンが流れているぜ」

 

 サードプレジデントの余りの強さに他の陣営がそうぼやく。

 

 

 

 余談だがそれを真に受けた科学者がサードプレジデントを解析した結果、心臓が極めて大きく通常の2倍以上であること、心拍数が通常のサラブレッドが36〜40/分であるのに対してサードプレジデントは19〜20回/分と非常に優れた心臓の持ち主であることがわかる。参考までに天皇賞春を連覇した2頭、テイエムオペラオーが25回/分、メジロマックイーンですら21回/分という結果である。

 

 また骨格の歪みがない上に筋肉量も非常に均等かつ豊富で筋瞬発力の塊であり、それらのおかげで上がり最速を常に出せる加速力を生み出せると研究結果が出ている。

 

 しかし筋瞬発力の塊であるためにスタミナ切れしやすい欠点もあるはずだが、先述した心臓の持ち主であることが幸いし2400m以上のレースでも結果を残せ、競走馬を超えたUMAであると結論つけている。

 

 

 

『サードプレジデント』

・馬主 星崎美亜

・生産牧場 月夜牧場

・調教師 旭川誠

・性別 牡馬

・毛色 栗毛

・年齢 4歳

・戦績 7戦7勝

・朝日杯3歳S、皐月賞、東京優駿、トラヴァースS




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尚、次回更新は明日0時です

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