≫おおよそ10年に一度現れ、その年は不作になることが多く、特に顕著なのがコントレイルの20世代で牡馬と牝馬の頂点であるコントレイルやデアリングタクトの古馬GⅠ競走の勝率が悪すぎるせいで弱く見えてしまう
≫例外はミスターシービーの83世代(カツラギエース、ギャロップダイナ)とナリタブライアンの94世代(サクラローレル)、オルフェーヴルの11世代(ロードカナロア、サダムパデック)くらい
・89世代
≫オグリキャップとメジロマックイーンの間の世代であり、海外ではサンデーサイレンスやイージーゴア、ナシュワン等が有名
≫国内のこの世代が強かったかというと全くそんなことはなく古馬GⅠ競走の勝利が宝塚記念のオサイチジョージのみという悲惨な有り様で最弱世代と断言出来てしまう
≫最弱世代候補の00世代は内国産馬が弱かっただけでアグネスデジタルなどの外国産馬がかなり活躍しており、89世代はオサイチジョージの宝塚記念しか勝っていないのだからまだマシと言えてしまう
≫そんな89世代に最強候補に挙がるオリジナル競走馬をぶちこんだらどうなるのかを考えたのがこの小説
・平成三強
≫オグリキャップ、スーパークリーク、イナリワンの三頭の事。平成初期に活躍したのがこの三頭である
≫よく「タマモクロスが入らないのはおかしい」と抗議する声が挙がるが、それはウマ娘のやり過ぎです。確かにオグリキャップの最初のライバルではありましたがタマモクロスが入らない理由は昭和最後の有馬記念で引退した結果平成三強にはなり得ないのが主な理由です
・89式5.56mm小銃
≫通称89式、あるいは89式小銃。89世代をテーマにしたこの小説の名前が決まらなかった時にふと過ったのがこの銃。仕様等は長くなるために割愛するが自衛隊が主に使用するが海上保安庁、警察庁等にも採用されていることから取り扱いが他の銃に比べると簡単な銃であることが理解出来る
≫しかし噂では20式小銃なる物が作成されており、それを自衛隊等では採用予定とのこと
・マオウ
≫作者が書く【青き稲妻の物語】に登場するライバルキャラ。今回の主人公はその劣化版
・系統確立
≫ウイポのシステムの一つで、ある種牡馬が条件を満たすと名種牡馬、大種牡馬と認められ、それぞれ子系統、親系統を確立する。作者が系統確立したのはテスコボーイとミスターシービー、シンボリルドルフ、ラムタラと他の小説で登場したメジロマックイーンの架空産駒のシンキングアルザオで成功している
≫系統確立は史実期間中SS等がいることから一見難しいように見える……が実際はそうでもなく数のごり押しで出来てしまう。というのもデータの関係上史実とは違いどんな種牡馬でも種付け頭数は300頭どころか20頭いくかいかないかであり、所有繁殖牝馬にすべて種付けしてしまえば血統率が上昇し、しかもその中から4頭以上種牡馬入りすれば良いので比較的楽なものとなる
そして時は流れ、話題となったシルキークラフトの子供シルキークラフト86は月夜牧場だけでなく周囲の関係者一同に話題を呼ぶほど有名になっていた。その理由は完璧とも言える馬体に、父セクレタリアトに母父バックパサーの持込馬であったことが主な要因だった。
父は言われずとした名馬セクレタリアト、母父はマルゼンスキーなど数多くの名馬の母父として知られるバックパサー。その二つの要素を兼ね備えている良血馬が馬体まで完璧ときて、話題にならないわけがない。
「キャロは今日も元気いっぱいだね」
キャロとはシルキークラフト86の競走馬としての名前がつけられる間の渾名であり、正式な名前ではないがこのように渾名をつけられる馬は多い。無敗の三冠馬シンボリルドルフがルナと渾名で呼ばれていたのは余りにも有名である。
そんなキャロを創也が世話をしているとある人物が現れる。
「おはようございます。創也さん」
「やぁ、美亜さん。いつもお疲れ様です」
彼女は
「今日も馬のお世話をなさっているんですか?」
「はい。最近になって少し余裕が出てきたんで」
「それは良かったですね。でも無理しないでくださいよ」
「大丈夫ですよ。それにしても相変わらず綺麗だ」
「お世辞お上手ですわね。ところでその栗毛の子馬は?」
「こいつはキャロっていって親父が海外から取り寄せたシルキークラフトの息子なんですよ」
「まあ! そうなんですか!?」
「えぇ。キャロは賢くて可愛い奴なんですよ」
「へー。あの創也さんの口から賢いだなんて言葉が出るようになりましたか……」
「どういう意味ですか?」
「いえ、何でもありません。こいつはいずれセリに出しますのでもし宜しければその時は購入してくださいますようお願いしますね」
「創也さん、貴方の見込みだといくらになると思いますか?」
「わかりませんね。親父が全てセリとかの手続きとかやっていたんでどれだけの値段がつくかなんて予想つきませんが父曰く最高で1億2000万円で売れるとのことです」
「安過ぎますわ」
「え?」
「今から約10年前、マルゼンスキーという馬が走ったのはご存知ですわよね? その馬は史上最強と呼ばれるほどの偉大な馬なのです。父の馬主業を継ぐ為の勉強にマルゼンスキーの馬体を見たことがありますがこのキャロはそれに勝るほどの馬体です……1億2000万円は安いと言いたいくらいですわ」
「はははっ、ありがとうございます。美亜さん」
「創也さん!」
「は、はい!?」
「明日、いや今日の夕方に創也さんのお父様と会うようアポをとって下さる? 私だけでなくお父様も同席しますので」
「分かりました」
そして夕方。月夜牧場の待合室にて牧場長である創也の父と美亜とその父が話し込んでいた。
「美亜、それでどうだった?」
「はい。創也さんが言っていた通り、確かに素晴らしい馬でしたわ。それに気性も穏やかですし調教も問題ないそうです」
「なるほど……。それで創也、お前から見てどうだ?」
「俺は馬体がいいとしか言いようがないぜ。月夜牧場どころかあんな馬は二度とお目にかかれることはないよ」
「そうか……よし分かった。お前に任せる」
「本当かい?」
「ああ。その代わり、騎手になるまではここにいろよ」
「わかってるさ。ありがとうな親父」
「気にするな。それと美亜ちゃんが私達を呼んだということはキャロを売ってくれってことだね?」
「ええ、セリに出さずに私達に高値で売るとデメリットがあるのは承知していますわ」
「そうだねぇ。正直に言えばデメリットはあるだろうね。だがそれを上回るメリットもあるはずだろ?」
「はい。私が思うにはこのキャロを欲しい人は沢山いるはずです。事実、ここに着くまで話題になっていましたわ」
「そんなに話題になっていたのか……」
「話を戻しますけど、もし創也さん達にその気があれば私達が買い取ることも可能です」
「ふむ……」
「何なら俺から親父に言ってもいいぞ」
「創也、お前は黙ってろ。これは大人の会話だ。お前のような小倅が口を挟むんじゃねえ」
「こ、小倅……」
「まあまあ、それを言ったら場長。私などその小倅と同じ年齢の娘に良いようにされているおっさんですよ。馬主の名義こそ私ですがもはや娘が実質的な馬主な所がありますから」
星崎が場長である創也の父を宥めると何故か涙が溢れる。
「話が進まないのでお父様は黙って貰えますか?」
「はい……」
娘の辛辣な言葉に肩を落とす星崎。馬主業をするほどの実力者には到底見えなかった。
「シルキークラフト86ことキャロちゃんを購入することで月夜牧場が受けるデメリット、それは他の馬がセリで売れなくなることですわ」
「その通り。例え3億で売れたとしても他が売れ残ったら処分しなくちゃいけない。それをわかってお嬢様はセリを通さず直接購入したいって言っているんだな?」
創也の父の言葉に美亜は真剣な表情を浮かべながら答える。それはもう覚悟を決めたような顔であった。
「勿論。シルキークラフト86は3億円、その他今年生まれた当歳馬1頭につき1000万円で引き取ります」
「かひゅっ!」
「正気ですか? お嬢様。星崎さんが顔を青くしていますぞ」
「確かに正気の沙汰とは思えないでしょう。しかしキャロちゃんはそれを補えてしまうほど稼いでしまう。私はその可能性を信じて購入したいのですわ」
「確かにその可能性は否定できませんな。わかりました。ただし条件があります」
「何でしょう?」
「そこにいる創也が騎手デビューした際にはキャロの主戦騎手にして貰えないでしょうか?」
「親父!?」
「本来なら名騎手に乗せてキャロを有名にさせるのが一番良いのですが、創也はまだ高校生で未来があります。だから創也の騎手としての素質を見極める為にも素質馬であるキャロを乗せてあげたいのです。どうかお願い出来ませんか?」
「お父様!?」
美亜は驚きの声を上げると創也の父は創也の方を見る。
「創也、お前はどうなんだ? 別に嫌だったら断っても構わない」
「……俺は親父が決めたことに文句を言うつもりはないさ」
「そうか。わかった。じゃあお前が騎手になるのを条件にこの話を受けよう。いいかな? お嬢様」
「……私の方からも条件を加えますわ」
「何でも言ってください。出来る限り応えましょう」
「シリウスシンボリの転厩騒動をご存知ですわね?」
「あの事件か……」
シリウスシンボリの転厩騒動──それはかつてシリウスシンボリの騎手を誰にするかを巡って起きた騒動であり、馬主側は誰もが知る名騎手を乗せるように、厩舎側は新馬戦からの付き合いである騎手に乗せるように主張し、その結果馬主側がシリウスシンボリを転厩させ、厩務員組合がその馬主に対してボイコットした事件だ。最終的に馬主側が謝罪し厩舎側の主張を半分受け入れたことによって解決した。
「あのような騒動があって以降私達の立場は低くなっているんですわ」
「なるほど。つまりお嬢様は名馬に新人騎手を乗せるのに厩舎が納得出来るだけの理由が欲しいということですか?」
「ええ。つまり私の出す条件は創也さん、貴方にかかっていますのよ」
「俺!?」
「そう、創也さんには騎手学校で賞を取ってもらいたいのですわ。そうでもしないと彼らは納得しませんわ」
「……」
「それに貴方が乗るというだけでキャロちゃんの価値が上がりますわ。それだけで価値がある。そういう意味でも創也さんに乗って欲しいですわ」
「創也、お前ならやれるはずだ。親として期待しているぞ」
「勿論、賞を取れなかったらその条件は無効になりますので覚悟して下さい」
「わかってますって!」
「よし、決まりだな。さてお嬢様、今年の当歳馬はキャロを抜かして5頭、合計3億5000万円になります。これでよろしいですね?」
「ええ、構いませんわ。お父様、3億5000万円お借りしますわ。キャロが活躍出来なかったら私を焼くなり煮るなり好きにしてくださいませ」
「仕方ないな……全く私は情けないよ。馬主をやれるほど金を稼いでも肝心の馬を見る目がないのは人の心を表しているようだよ」
そう愚痴りながらも星崎がサインし、美亜が満足げに頷く。
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尚、次回更新は明日0時です
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