≫とりあえずこれから紹介する3頭は史実と大きく異なる動きを見せる可能性がありますので史実の動きで紹介します
・メジロルイス
≫父リアルシャダイ、母シェリルの超良血馬。どのくらい良血というと、母自身仏国のGⅠ、オペラ賞を勝利して引退後は仏国生産会に引き留められる程で、兄弟は受胎率の悪さで有名(生涯産駒19頭)なメジロアサマ産駒の天皇賞秋を制したメジロティターン、メジロライアンを生み出すことになるメジロチエイサーなどがおり、どれだけ優秀かわかるだろう……なお、ダンシングキイやダイナカール一族、華麗なる一族などと比べてはいけない。あれはチートすぎる
≫同父の2年目の産駒であるシャダイカグラが活躍する前からメジロルイスは【メジロルイス>その他メジロ】となるほどの期待され、牧場No.1の評価を受けていた。これは何気に凄くメジロライアンやメジロマックイーンよりも期待されていたことになる
≫しかし評判通りに競馬がいくことはなく、メジロルイスはリアルシャダイ産駒ならではの洗礼を受け、故障。具体的には腰を痛めてしまい、なんとかデビューには間に合ったが評判通りにいくはずもなく惨敗。2レースだけで終わってしまった
≫その後は自らの血統が良かったこともあり種牡馬入りすることに成功するが、そんな上手くいくはずもなく1995年を最後に種牡馬を引退した。ちなみに95年と言えばライスシャワーが予後った年でリアルシャダイはこの年に種牡馬を2頭失ったことになる。まあリアルシャダイの後継種牡馬になり得てもその時にはSS、TB、BTの三強がいたからどのみち無理だったと思われる
・サクラホクトオー
≫トウショウボーイ産駒のサクラチヨノオーの半弟。ホクトボーイとはサイアーライン上は叔父と甥の関係にあたるが、サイアーライン上の血縁は親戚関係に当たらないのでほぼ無関係と言っていい。わかりやすくいうならスペシャルウィークとスマートファルコンくらい関係ない
≫1988年の朝日杯3歳Sを勝利し、翌年クラシックの一角を担うかと思われたがセントライト記念を勝つだけで無冠に終わる。しかし有馬記念でイナリワン、スーパークリークにつぐ3着に粘り、そのまま翌年AJCCを制覇。その後は勝利を飾れず引退した
≫本編の現時点での彼の変更点は朝日杯2着、有馬記念2着と変わっている
・サンデーサイレンス
≫言われずとした大種牡馬で連対率100%GⅠ6勝を誇る米国の競走馬。米国三冠とBCクラシックの4度に渡るイージーゴアとのライバル対決は余りにも有名で、今でも語り継がれている。その後休養し6月に2戦して1勝し、そのまま引退した
≫本編の現時点ではJCに出走しサードプレジデントの2着と破れているが、このあとどうなるかはお楽しみに
・作者の秘密
≫実は作者は実在する人物や団体をモデルにした人物や団体は極力出さない。出したとしても以降は出ない可能性の方が高い。ただし馬は出す
≫名誉毀損など普通にビビり捲くっているだけで特に深い理由はない。
・読者様の競馬知識について
≫にわかレベルから競馬関係者を疑うレベルまで様々。作者がガチ勢過ぎてこの作品を読むのは無理……などと思っている読者の皆様、安心してください。それは大間違いで作者はもっとガチ勢に指摘されていますので実際にはガチ勢とは程遠い存在と言えます
≫因みに間違いがあったらどんどん指摘してください。
・作者が思う良血馬
≫その時代背景によって良血馬は変わるが良血馬は一般に母親の成績、父親の成績、兄弟や従兄弟を含めた母系の成績、ニックス(父系と母系に含まれる牡馬の相性)などの血統背景によるもの。
≫シアトルダンサーを例に上げると半兄シアトルスルー、父ニジンスキーⅡという誰がどう見ても良血馬と言えるが母親は繁殖牝馬としては優秀でも競走馬としては一流と呼べるものではない。しかし父親の成績と母系の成績のみで良血馬として判断されていて種牡馬入りした
≫ウマ娘にもなっているアドマイヤベガは父サンデーサイレンス、母二冠馬ベガという良血馬。これはサンデーサイレンスが種牡馬として絶好調の時に生まれただけでなく、母親自身も競走成績の面でかなり高く評価されていた
・Wiki風辞典について
≫あれを書くと泥沼になり投稿スピードが遅くなる。ストックがストップした、しているのは大体これのせい
有馬記念終了後、サードプレジデントは放牧に出されていた。ナインティギアは厩舎で創也に扱かれて調教されている。
そんなサードプレジデントが見かけたのはある1頭の馬だった。
──お前は誰だ?
──僕かい? 僕は人からクラって呼ばれているよ。最近はクラフトボーイって呼ばれることの方が多いけどね
その馬こそサードプレジデントやナインティギアの半弟に当たるクラフトボーイであり、その馬は少し離れた所にいた。
──クラフトボーイ……お前がそうなのか?
──そうって?
──相棒曰く、俺の弟だとよ。
──わぁっ、それじゃ貴方は僕の兄さんなんだね、えへへ、兄さん、兄さん!
クラフトボーイが人懐っこくサードプレジデントにすり寄る。
──こら、止めろ。鬱陶しい
──あはは! ごめんなさい! でも嬉しいな、兄弟がいたなんて
──まあ、そうだな。俺もナインティ以外に兄弟がいるとは知らなかったからな
サードプレジデントがクラフトボーイのことを知らなかったのには理由がある。サードプレジデントは美亜が作り上げた入厩するまで育成牧場にて育て上げられていた。
その為、兄弟はいても年の近いナインティギア以外に会えなかったのだ。
──それでどうするんだい? これからは一緒に過ごすのかな?
──いいや、ずっとはいられないさ。長期休暇ではあるものの、50日くらいしかいられんからな。
──そっか。寂しくなるね。
──また会えるさ。俺と同じ
サードプレジデントとクラフトボーイが共に笑う。そしてそれからも2頭は会話を続けた。
そんな2頭がほのぼのとしている中、競馬界に衝撃が走る。
【オグリキャップ引退!?】
それはオグリキャップが引退する話が上がってきたからだ。昨年の成績は毎日王冠とマイルCSのみしか勝ち星を上げておらずそれ以外は掲示板に載りことすれど勝つことはなかった。馬の全盛期は通常4〜5歳*1あたりで6歳で少し衰え始め、7歳になった頃には全盛期の力を完全に出せなくなってしまう。そのため、6歳になったオグリキャップはもうピークを過ぎさりつつあると思われていたのだ。
しかしそれに待ったをかけたのは日本中央競馬委員会*2である。オグリキャップを現役続行させるべく、交渉を続けていた。しかし交渉は困難を極めた。それというのもサードプレジデントという新たなスーパースターが生まれ、オグリキャップは過去のものという風潮があったこと、そしてサードプレジデントに圧倒されている事から世間の目も厳しかった。
だがそれでもオグリキャップの陣営は諦めなかった。そして遂には、 【オグリキャップ引退撤回!】というニュースが流れた。
これはサードプレジデントとオグリキャップの出るレースの予定が完全に異なったからである。
サードプレジデントは天皇賞春出走後は海外遠征に行き、オグリキャップは天皇賞春に出走せず安田記念などを始め国内に集中する。これにより、両者の直接対決はなくなったが、勝ち星を増やしたいオグリキャップ陣営からすれば絶好の機会となった。
さらに言えば、出走を予定している大阪杯、安田記念、宝塚記念はオグリキャップの得意なマイル〜中距離であり、特にマイル戦では未だ無敗。その為、大阪杯、安田記念、宝塚記念ともにオグリキャップを大本命にする声が大きかった。
古馬路線にサードプレジデントという怪物がいる中、クラシック路線はというと混戦としか言いようがなかった。まず昨年の最優秀3歳牡馬を受賞したアイネスフウジン。朝日杯3歳Sでマルゼンスキーと同じタイムで駆け抜けて頭角を現した
サードプレジデントの半弟ナインティギア。朝日杯3歳Sで2着であったものの、気性難による失速でそうなっただけであり大人になればアイネスフウジンよりも上とされていた。
他にも連勝を重ね白いハイセイコーで話題を集めているハクタイセイ、名門メジロ牧場から送り出されたメジロルイス、メジロライアン、メジロマックイーンなどがおり誰がクラシックを勝つか全く予想がつかない。そんな状況だった。
そして今回、共同通信杯で相まみえたのはアイネスフウジンとナインティギアの2頭だった。
──なんかまた見覚えのある奴がいるな
「アイネスフウジンか? 自分が負けた相手のことは覚えているのか?」
ナインティギアがアイネスフウジンを見つめると創也が口を挟む。
──負けただと? いや、俺は勝ったね。誰が何と言おうとね
「そりゃゴール板で失速しなかったら勝っていたけどお前はゴール板で失速して負けたんだよ」
──上等じゃねえか、あいつをぶっ潰す。完膚無きまでにな
ナインティギアの闘志に火がつき、アイネスフウジンに殺気を放つとアイネスフウジンが怯え、尻尾が垂れる。
「恐ろしい奴だよお前は」
アイネスフウジンの戦意を喪失させたナインティギアに畏怖しながら創也はそう呟いた。
【さあいよいよ始まります! 共同通信杯4歳S! 今年の注目はやはりアイネスフウジンですが、ナインティギアも侮れません!】
実況の声が響き渡り、ナインティギアがゲートにすんなり入ると場内がどよめく。ゲートの再審査に合格したとはいえナインティギアのゲート嫌いは尋常ではなかった。それが克服している。アイネスフウジンを本命にしている人々からすれば悪夢としか言いようがない。
【さあ各馬一斉にスタートしました! 先頭に立ったのはアイネスフウジン、そしていつもの位置にナインティギア、いやナインティギアが上がっていき、先行勢に混ざっています!】
ナインティギアからしてみればアイネスフウジン以外の馬は格下そのもので、眼中になく、馬群の中に突っ込んでいく。
囲まれたとしてもナインティギアはそれを突破する能力がありアイネスフウジンを差せるだけの力がある。
「(というか、むしろ囲んで貰わないと困るんだよな)」
ナインティギアの気性難は飽きっぽい性格にある。言ってみれば集中力が長続きしないタイプで遊んでしまう傾向にある。ただし一度火がつけば止まらない。新馬戦の時などはナインティギアが出した殺気のせいで他の馬が脅えきってしまい、未だに未勝利を脱出していない。それを知っている騎手からは敬遠されナインティギアを囲もうとする動きはどこにもなかった。
「(それならそれでいい。俺も自由に走れるし、こいつの力を存分に発揮できる)」
そしてレースは進んでいき第3コーナーを回る。逃げるアイネスフウジンに、それをマークするようにナインティギアが走り、その他の馬がそれについていく。
【ここでアイネスフウジンが少し疲れたか!? 先頭はまだアイネスフウジン! しかし残り200mを通過! ここからナインティギアが仕掛けていく!】
「よし、行け!」
そして、ナインティギアが直線に入ると鬼脚が炸裂し、アイネスフウジンをあっという間に差し、並ぶ間もなく突き放す。
【並ばない並ばない、あっという間に突き放す! 3馬身、4馬身、5馬身! これほどまでに強いのか!? ナインティギア圧勝! 2着にアイネスフウジンです】
──けっ、雑魚助め。わかったら二度と逆らうんじゃねえぞ
圧倒的な強さを見せ、ナインティギアは満足げに笑みを浮かべた。
「お前、その気になれば強いじゃん」
──当たり前だ。俺こそ最高にして最強。本気を出せばこんなものよ
「そうか、それはよかった。次のレースも勝ってくれよ。お前が最強だってこと思い知らせてやれ」
──良かろう、この俺にひざまずく馬どもの姿を見せてやろう
創也の言葉に気分が良くなったナインティギアは鼻息荒く返し、2着に負けたアイネスフウジンは不満そうにしていた。
「テキ、これでアイネスフウジンのリベンジは出来ましたが、今後のレースについてはどうしますか?」
創也が旭川にそう尋ねると顎に手を添える。
「こいつの気性難を考えればこのまま皐月賞に直行が望ましいんだが、弥生賞かスプリングSで他の馬の実力を知りたいのもあるし、難しいところだな」
「確かに……」
「今年はアイネスフウジン一強じゃない。ナインティギアが一歩抜けたとはいえ、他の馬はそれ以上かもしれない。特にメジロ牧場最強馬と言われているメジロルイス、先程5連勝を果たしたハクタイセイなんかは強敵だ」
「テキ、ハクタイセイはともかくメジロルイスは強いんですか?」
創也がそう思うのは、無理もなく、メジロルイスはまだデビューすらしていない。それほどまでに騒がれるには理由があるはずだと思い、旭川に尋ねると旭川が頷いた。
「ああ、この目で見てきたがあれは大物だ。うちのサードプレジデントには勝てないだろうがGⅠの一つ二つは楽に取れる。オマケに天皇賞馬メジロティターンの半弟で父はリアルシャダイとかなりの良血だ」
「メジロティターンの半弟って……あの仏国の名牝シェリルの子供ですか!?」
シェリルは現役時代にオペラ賞を勝った名馬で引退後は仏国の生産界の引き留めを押して日本に輸入され、メジロティターンを輩出しメジロ牧場の基礎牝馬の1頭となった。
そんな母を持つメジロルイスはナインティギアにも劣らない良血馬で、その評判はナインティギアよりも高い。
「そのシェリルの子供だよ。だがメジロ牧場の馬はそれだけじゃない。その甥にあたり、ナインティギアと同父のメジロライアンもジュニアCでクラシック路線の一角とまで言われたプリミエールを差し切って3連勝を飾って、クラシックの有力候補に成り上がって弥生賞に出走予定だ」
「……テキ、まずメジロライアンから仕留めましょう。メジロライアンを仕留めないことには話になりません」
「そりゃまたどうしてだ?」
「まずメジロルイスはデビューすらしていません。つまりどんなに早くても皐月賞、ダービーで戦うことになるでしょう。ハクタイセイが弥生賞に出走するかは不明ですが、この馬は弥生賞やスプリングSを回避する理由はあれど皐月賞を回避する理由はない。万一出たとしてもそれはそれで好都合です」
「どういうことだ?」
「ナインティギアは一度負けた相手にはかなり執着します。弥生賞でメジロライアンに負ければ皐月賞で取り返せます。勝てばメジロライアンに勝てる能力があったということでメジロルイスと言った実力を見せていない馬達に集中出来ます」
「なるほどな。まずメジロライアンのいる弥生賞でいくとしよう」
創也の考えに納得した旭川はそう言った。
そして共同通信杯から2週間後、放牧から厩舎に戻ってきたサードプレジデントが見たものは衝撃的なものだった。
──あの愚弟が、マトモに走っているだと……!?
ナインティギアが調教でごく普通に走っていることだ。創也の説得が功を奏し、ようやくまともに走るようになったのだ。
ナインティギアが調教を終え、サードプレジデントに気づき、近づく。
──ふっ、お前が留守にしている間にボスは俺のものになった。てめえの居場所なんざどこにもないんだよ!
──言いたいことはそれだけか? 我が愚弟よ
──あ?
──俺がいない間に随分好き勝手してくれたようだな。だがそれも今日で終わる。貴様の時代は終わり、俺の時代が来る。
──言ってくれるじゃねえか。お兄様よ。だが俺はこの
──果たしてどうかな?
サードプレジデントが足を踏み鳴らすと旭川の厩舎だけでなく、他の厩舎も大騒ぎする。
──な、なんだと!?
──貴様は知らないだろうが、いなくなる奴だっている。しかし俺程の馬なら夏と冬に休みを貰え、一時的に他の場所でリフレッシュするのさ。お前みたいに若いのはお前に心酔するだろうが、俺と同い年かそれ以上のおっさんおばさん連中は違う。ちゃんと一時的に留守にしているのがわかっている
──ということは奴らは俺のことをお前の代理としてしか認めていないってことか?
──そういうことだな。留守番ご苦労だった。これからは俺の指示に従って貰うぞ
──くそがぁっ! こんな展開俺は認めん!
ナインティギアが暴れ逃げ出すとサードプレジデントが笑い、創也に会いにいく。
──久しぶりだな相棒。戻ってきたぞ。
「おかえり、サード。リフレッシュ出来たか?」
──もちろんだ、さあ乗ってくれ。お前を乗せて走るぞ!
サードプレジデントのはしゃぎように創也は苦笑いし、サードプレジデントに騎乗すると苦笑いから満面の笑みへと変わっていく。
「この景色は最高だよ、サード」
──馬鹿なこと言うなよ。最高の景色はレースでしか見られないぞ
サードプレジデントが駆け足になり、そう伝えると創也が笑う。
「そうだな。次は春天*3だ。そこで見させてもらうよ」
サードプレジデントが走りで答え、創也はその背に乗って札幌競馬場を一周して戻ってくるのであった。
弥生賞まで残り一週間を切り、創也は厩舎の自室で競馬新聞を読んでいた。
「ナインティギアが頭一つ抜けているけど他の馬にもチャンス有りか……」
創也の騎乗するナインティギアが本命という評価ではあったものの、そこまで高い評価ではない。
「創也、アイネスフウジンとメジロライアンは要注意だ」
「テキ……」
「確かにナインティギアはアイネスフウジンに余裕で勝った。だからといって油断は出来ないぞ。向こうはレコード勝ちしたGⅠ馬であり、こっちは重賞馬なんだからな。評価がこっちがなんぼ上でも勝鞍や賞金の額は向こうの方が上だ」
「そうですね、ナインティギアが圧勝したからって舐めていました」
「分かればいい。メジロライアンはアイネスフウジンどころかナインティギアよりも実績も劣るが、豊作年と評判高いメジロの2番手だ。この弥生賞で化ける可能性は十分にある」
「ですね……テキ、どちらをマークしますか?」
「そうだな、アイネスが逃げられなかったらメジロライアンをマークする形で出来るか?」
「それ以外はアイネスフウジンマークですね。わかりました」
旭川の指示に従い、創也は弥生賞に向けて調整していった。
弥生賞の前日、厩舎では最後の追い切りが行われようとしていた。
「よし、ナインティ。行くぞ」
旭川が乗るサードプレジデントに、同じくナインティギアに乗る創也。
そして逃げるナインティギアにサードプレジデントが追いかける形を取る。
この追い切りはナインティギアの弥生賞における調整であり、サードプレジデントの初調教でもある。
その為当初はゆっくりだがキツめの15-15*4をベースにし最後の3Fで強めに走らせる調教を行っていた。
「よーしナインティ。サードから逃げ切れよ」
──当然だ、負けてたまるかよ
創也の言葉にリードを取ったナインティギアが答える。すると殺気じみた気配を創也が感じ取り、そちらに振り向くとそこにはサードプレジデントがナインティギアを睨みつけていた。
──おい、愚弟。俺の相棒を奪ったんだ。その覚悟は出来ているんだろうな?
サードプレジデントの豪脚が爆発し、一気に差が縮まり、それに気づいたナインティギアが二の脚を使い、加速すると差を維持していった。
「すげえや、ナインティ。この調子だ!」
サードプレジデントの本気の末脚についていける馬は決して多くなく現状でサンデーサイレンスしかいない。その現状を覆したナインティギアは間違いなくサンデーサイレンス級の素質を秘めており、創也は歓喜せざるを得なかった。
──何であの野郎が相棒に褒められているんだ……? ふざけるな! その笑顔は俺だけのもんなんだよ!
「おい、サード! 落ち着け!」
そんなナインティギアを褒めるサードプレジデントは嫉妬し、荒ぶる。直線に入ると旭川を振り落とさんばかりに加速し、そして蛇行する。
かつてサードプレジデントは皐月賞まで騎手の言う事を聞かずにいた。それというのもサードプレジデントは前半ノロノロと走り、後半になってから一気に加速する超追込型だった。今でこそ創也によって自在脚質になったが、本来の姿はシルキーサリヴァンのようなレーススタイルで創也が騎乗していないことや、今の今まで遅く走っていたこともあり、そのスイッチが入ってしまった。
「サード、落ち着け! 加速する分には構わないが真っ直ぐ走れ!」
旭川もサードプレジデントに必死にしがみつき、なんとかゴールすると唖然としている創也とナインティギアが遅れてゴールする。
──ふっ、相棒の力を借りておいてそれか? 無様な奴め
──ぶち殺す!
「止めろお前ら!」
「どうどう、落ち着け!」
サードプレジデントが挑発するとナインティギアが食ってかかり、創也と旭川が必死に止める。
「創也、こいつらの仲の悪さはなんとかならないのか?」
サードプレジデントをプールに入れ、ナインティギアを厩舎に戻した旭川が創也に相談する。
「難しいですし、何よりもサードあってのナインティですからね。我々が取るべき行動は如何に
「そうだな。とりあえずは喧嘩しないようにしないとな」
「分かりました」
そんなこんなで弥生賞までナインティギアがサードプレジデントと戦う事はなく、2頭の不仲は改善されることは無かった。
このお話をお楽しみ頂けた、あるいはこの小説自体をお楽しみ頂けたならお気に入り登録や高評価、感想の方を宜しくお願いいたします。
また感想は感想に、誤字報告は誤字に、その他聞きたいことがあればメッセージボックスにお願いいたします。
尚、次回更新は明日0時です
番外編は何が見たいか
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サードプレジデント産駒の活躍
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サードプレジデントのその後
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ナインティギアとクラフトボーイの活躍
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ウマ娘サードプレジデント転生者疑惑
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アニメ版ウマ娘世界のサード達
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アプリ版ウマ娘世界のサード達