89式和製ビッグレッド   作:ディア

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・賞金面で出られない
≫いくら実力があろうが賞金が足りないと出られないケースはあり、有名な例だと2001年のクロフネ陣営が天皇賞秋に出走しようとしたが某マイルのダート馬に賞金額で負け阻害されて出られなくなったケースが有名。そのダート馬こそアグネスデジタルでありオペラオーを抑え、批判の声も抑えた
≫因みにその後クロフネはダート重賞武蔵野Sで覚醒し、JCDでも圧勝し史上最強のダート馬として名を馳せることになる
≫ちなみに前回旭川達が賞金面で出られないと慌てていますがナインティギアは共同通信杯、弥生賞を勝っているので賞金額の不足もなく出られないことはないですが物語の都合上そうしています。

・イツセイ
≫名前表記はイツセイだがイッセイと読む。2000m以下のレースならトキノミノル以外に負けなしのアタオカ競走馬。それに4回も勝ったトキノミノルって……

・ミツハタ
≫名前表記通り呼び方もミツハタ。ミッハタではない。2400m以上だと真価を発揮し、7勝のち5回はレコードというこれまたアタオカ競走馬。それに勝ったトキノミノルはやっぱおかしいって……

・トラツクオー
≫名前表記はトラツクオーだが呼び方はトラックオー。鉄の女で知られるイクノディクタスは51戦しかしていないのに対してこいつは71戦以上戦っていて故障なしというアタオカ競走馬。参考までにウマ娘化されている中で最多出走数のハルウララですら70戦いく前に故障している。しかもその過程で菊花賞や天皇賞を勝っているのだから更にぶっ飛んでいる


第29話

 そんなこんなで迎えた天皇賞春。オグリキャップはステイヤーでない為不在だが日本史上最強馬がそこに君臨していた。

 

【単勝1.2倍、サードプレジデント。10戦10勝、未だ無敗の和製ビッグレッド。トキノミノル*1を超え、クリフジ*2に並ぶことが出来るか?】

 

 

 

【今日も人気はサードプレジデント。まあそうでしょうね。対抗を上げるとしたら大阪杯を勝ったスーパークリークくらいしかいませんよ】

 

【スーパークリーク、本日の2番人気ですね。一昨年の菊花賞、昨年の天皇賞秋の覇者で中距離、長距離ともに隙がないステイヤーです。サードプレジデントがいなければ間違いなくこの馬が本命でした】

 

 解説者達が対抗に上げたスーパークリークは昨年の京都大賞典と天皇賞秋、今年の大阪杯と中距離しか制していない為中距離馬のようにみえるが一昨年に菊花賞を制した経験があり、ステイヤーとしても知られている。その為サードプレジデントの対抗に上がった。

 

【サクラホクトオーも人気がないが故に全くのノーマークだと怖いですよ】

 

 サクラホクトオーは前走の大阪杯で7着と惨敗しているが昨年の有馬記念で2着と平成三強達を凌ぎサードプレジデントに最も迫っている。かつての新聞の読む馬として知られたエリモジョージのように大穴であればあるほど力を発揮する可能性を秘めており、穴党からすれば大好物そのものだった。

 

 

 

 実況と解説の言葉を聞きながら、サードプレジデントはゲートに入る。

 

 ──なぁ相棒

 

「なんだ?」

 

 ──これが終わったら俺達他の所に行くんだよな? そこはどんな所なんだ? 

 

「詳しいことはわからねえ、でも米国だったら前に行ったところだし、欧州だったら前とはちょっと違う所だよ」

 

 ──そうなのか。まあ楽しみにしているよ

 

「ああ」

 

 そうしてサードプレジデントはゲートに入り、ファンファーレが鳴り響く。

 

【さあ、各馬一斉にスタートしました。まず控えたのはサードプレジデント、今日は追込でいくか。その他は一団となってショウリテンユウがハナを奪い、ミスターシクレノン2番手──そしてスーパークリークは中団に位置しています。その後ろにナイスナイスナイス、イナリワン。おっと、胤鞍上スーパークリークが中団から上がってまいります】

 

【いい位置取りですね、流石天才ジョッキーと呼ばれるだけのことはあります】

 

【さあ、まず一周目。ここで先頭はショウリテンユウであります。リードは3馬身くらい、ミスターシクレノン2番手、そして外をついてスーパークリークが上がってきています】

 

 

 

 ──前で何やらワチャワチャしているが、どうする? いつでもいけるぞ

 

 その様子を後方から見ていたサードプレジデントが創也に尋ねる。

 

「生憎だが今回はお前の原点に戻る。ゆっくり走って欲しい」

 

 ──良かろう。久しぶりに暴れるのもいいと思ってたんだ。好きにするといい

 

 サードプレジデントはゆったりと走り出し、徐々にペースを落としていくとそれを見た観客や実況、ありとあらゆる関係者が騒然とする。

 

【あーっとサードプレジデント故障発生か!?】

 

【いや違いますね、どうやら脚を溜めるようです。その為にスローにしたようですね。故障ではないようです】

 

 その言葉を聞いて観客達がホッと息を撫で下ろす。皐月賞のナインティギアの落馬事件のように競走中止にならずに済んで安堵していたのだ。

 

 

 

【残り1600mを通過! サードプレジデントはまだ来ないのか?】

 

「おう、行ってこい」

 

 創也の合図と共にサードプレジデントは一気に加速し、コーナーも淀の坂の鉄則を完全に無視して上っていく。

 

 新馬戦、菊花賞、天皇賞春と京都競馬場で淀の坂の鉄則を一度も守らずに走ることになったが創也はこれで良かったと思っている。それというのもサードプレジデントは新馬戦と菊花賞の2度に渡ってまともに京都競馬場を攻略したことがなく力まかせに攻略している。下手に替えようものなら却ってサードプレジデントの力を引き出せないと予測していたからだ。

 

 

 

 サードプレジデントが追込で控えた時点でこのことを予測していたのはこのレースに出走している鞍上の騎手達だ。新馬戦ではノーマーク、菊花賞では完全に包囲、そして今回は差をつけた上での追走と作戦を立てていた。

 

【さあ、サードプレジデント、上り坂を物ともせずに凄い勢いで駆け上がる。先頭との差を縮めていきます】

 

【ここからですよ、本領が発揮されるのは】

 

【ここで先頭はスーパークリーク! スーパークリークに変わりましたがサードプレジデントも追い込んで並んだ並んだ!】

 

【淀の坂を下っていきますが、サードプレジデントの追込に焦ったクリーク鞍上胤、そしてイナリワン鞍上柴太が鞭を振るう! サクラホクトオー古島も粘る!】

 

「まだだ……!」

 

【しかし関係ない! しかし関係ない! サードプレジデントが余裕で突き放す!】

 

【いや、これはすごい。クリーク、イナリワン、共に一杯になったか?】

 

【スーパークリークとの差を広げて、さらに後ろの馬群まで置き去りにして、サードプレジデント1着ゴールイン!!】

 

【圧勝! 完勝! 豪快痛快24馬身! これがサードプレジデント、時計はなんということだ! 3分14秒1!? 昨年イナリワンが出したレコードタイムを4秒以上縮めています!】

 

【2着のスーパークリークも3着のイナリワンも、そして4着のサクラホクトオーも従来のレコードタイムを2秒近く縮めていますし、5着以下にかなりの着差をつけています。しかしサードプレジデントが強い。彼は本当に強いですよ。無敗記録の方もトキノミノルを超えクリフジに並びましたからね】

 

【いやはや素晴らしいレースを見せて貰いました。サードプレジデント、海外遠征に向けて一点の曇りなしといったところです】

 

【そうですね、今日のような競馬を続ければ無敗で凱旋門賞も狙えるでしょう】

 

【さあ、この後は表彰式が行われます】

 

 

 

「おい、相棒。これでよかったのか?」

 

 ──ああ、最高だよ相棒。久しぶりに後方からぶっちぎる感覚は最高だ

 

「全くお前と言う奴は、後で怒られるの俺なんだぞ。無茶するなってな」

 

 ──そん時は俺が弁護してやるさ

 

「そんなこと出来るわけねえだろ」

 

 ──まあいいじゃないか。それよりも早く行こうぜ

 

「ああ」

 

 こうして、この日のレースは終わりを迎えた。

 

 

 

 翌日、新聞にはこう書かれていた。

 

【サードプレジデント、天皇賞春を圧勝!】

 

「おーっほっほっ! 流石ですわ創也さん!」

 

「美亜さん、その笑い声何の真似ですか?」

 

「あら、こういう笑い方がセレブらしいとお聞きしましたのでセレブらしく笑ってみようかと思ったのですが駄目でしたか?」

 

「美亜さんはそんな成金みたいな笑い方じゃなく優しく微笑んでくれる方が可愛らしく美しいです」

 

「……っ! 創也さんは平気でそんな事を言うなんてやっぱり人たらしですわ!」

 

「ええっ!?」

 

「そんな人たらしな創也さんには罰を与えますわ!」

 

 美亜が創也に札束ビンタをし、頬を赤く染めながら言った。

 

「こんな恥ずかしい事をさせないで下さいませ……」

 

「すみません……って恥ずかしいのならやらなければいいのでは?」

 

「もーっ!」

 

 何に怒っているのか理解出来ない創也と、自分の気持ちを察してくれない創也に怒って地団駄を踏む美亜であった。

 

「もう知りません! 罰追加で今度デートに行ってもらいますからね!」

 

「えぇ!?」

 

「嫌とは言わせませんからね」

 

 創也は諦めて了承し、背中を向けた美亜はというと顔を紅潮させて颯爽と去っていった。

 

「(やった! 創也さんとデ、デート!)」

 

 創也は美亜の気持ちに気が付かず、その日は一日悶々と過ごすことになるのだった。

 

 その後美亜とのデートは創也がガチガチの正装であったのに対して美亜がラフという正反対の格好でいた為に意識のズレが起きていた為、延長することになる。

 

 

 

 そして時は流れ、NHK杯当日。クラシック最有力候補のナインティギアとメジロ軍団の一番手メジロルイスが激突しようとしていた。

 

 

 

『サードプレジデント』

・馬主 星崎美亜

・生産牧場 月夜牧場

・調教師 旭川誠

・性別 牡馬

・毛色 栗毛

・年齢 5歳

・戦績 11戦11勝

・朝日杯3歳S、三冠、トラヴァースS、JC、有馬記念、天皇賞春

*1
史上初の無敗の春二冠馬。10戦10勝し、ダービーを終えた17日後に破傷風で死亡。同期に2000m以下のレースで25戦21勝のイツセイや天皇賞馬ミツハタ、菊花賞馬トラツクオーを纏めて蹴散らしたこともあり史上最強の二冠馬、幻の三冠馬とも呼ばれている

*2
中央競馬史上最多無敗記録の11戦11勝の変則三冠馬。牝馬ながらにして日本ダービーと菊花賞を勝っており現在でも史上最強馬候補の一頭に挙げられる




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尚、次回更新は本日18時です

番外編は何が見たいか

  • サードプレジデント産駒の活躍
  • サードプレジデントのその後
  • ナインティギアとクラフトボーイの活躍
  • ウマ娘サードプレジデント転生者疑惑
  • アニメ版ウマ娘世界のサード達
  • アプリ版ウマ娘世界のサード達
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