≫3着までのことを指す言葉。何故3着までを馬券圏内というと馬券は1着の馬を予想する単勝馬券の他に3着以内に来る馬を1頭を予測する複勝、1着と2着の組み合わせを予想する馬連と馬単、1〜3着の組み合わせを予想する3連複と3連単……といったように3着までの馬を基準としている為。
≫換金率が1番高いのはワイドかもしれない。理由としては万が一大穴が来たとしても軸にしている馬達が2着や3着に来る可能性がある上にオッズの高さの割に当たりやすい。もちろん賭け方は人それぞれなので当たるかどうかは別にして互いに尊重しましょう。
≫因みにウイポ7までは本編でもあったが身内に競馬関係者が存在する関係上8以降から9の2021までなくなり資金源が絶たれた。9の2022では本編では馬券要素はないままだがオンラインで馬券を当てるモードが設置され、それに成功し続けているとメイドさんとの結婚条件を満たせるので勝ちパターンが分かれば母親としても優秀なメイドさんと結婚するのが当たり前になる
東京優駿、通称日本ダービーで知られる大レース。最強の4歳馬達が集まり、その頂点を決める戦いが始まろうとしていた。
「ふぅ……」
創也はいつも通り精神統一を行う。緊張からではなく武者震いだった。
「(遂にこの時が来た……昨年はサードプレジデントの圧倒的な能力あってのことだった。あれでは日本ダービーを勝ったとは言えない)」
創也は去年の日本ダービーを思い出す。結果は勝ったが、サードプレジデントの能力が高過ぎたということもあってか自分が勝ったとは言えず如何にサードプレジデントをダービーで圧勝させるかというレースになっていた。
だが今回は違う。ナインティギアは素質こそサードプレジデントに迫るものはあるが気性難が邪魔していた。
またそれだけではない。昨年の3歳王者アイネスフウジン、皐月賞馬ハクタイセイ、メジロ軍団のエース達メジロルイスとメジロライアンがこの場におり、展開次第ではナインティギアをも喰らう。少なくとも創也がそれらの騎手の立場ならナインティギアの悪い所を出して優勝争いから脱落させるのが一番望ましい。
だがそれらが出来ず他に攻略法はあるかと言われれば、皆無。何故ならNHK杯で逃げも出来ることがわかり、戦略性が格段に増したからだ。
逃げ、先行、差し、追込全ての脚質で対応出来てしまう上に能力はこの中で最も高く、ナインティギアを封じる為に包囲しようものならナインティギアが復讐してその馬が今後使えなくなりハイリスクにも程がある。そう考えるとナインティギアは最も厄介な存在なのではないのだろうか?
そんなことを思いながらナインティギアに騎乗すると不思議と緊張は解け、楽に乗れた。
「さてナインティ、出番だ」
──おう
創也はナインティギアを撫でながら声を掛け、ナインティギアもそれに答える。
【さあいよいよ日本ダービーが始まります。注目はやはり1番人気のナインティギアでしょうか】
【いやあどうでしょうね。昨年の最優秀3歳牡馬を受賞したアイネスフウジンやメジロ軍団のホープ、メジロルイスもいます。それに皐月賞を勝って連勝記録を伸ばしているハクタイセイもいますよ】
人気はハクタイセイが2番人気、アイネスフウジンが3番人気、4番人気がメジロルイス、5番人気がメジロライアンと並び、単勝オッズは5番人気まで10倍を切っていたことからかなりの混戦模様であることがわかる。
因みにこれを見て不満に思ったアイネスフウジンの騎手が「借金してでも1番人気にしてやりたい」と呟くがそれは競馬関係者は馬券を買えないので不可能である。
【さあファンファーレです】
会場に響き渡るファンファーレ。ナインティギアは嫌そうな顔をしながら耳を塞ぎ、それを見て創也は苦笑する。
「ほら始まるぞ。今日はお前が主役なんだからしっかりしろよ」
──ったく、うるさい奴だ。ただでさえレースは嫌だというのに喧しいのはどうにかなんねえのか? それが無理ならせめて自由に走らせろってんだ。
ナインティギアが不機嫌そうに耳を閉ざすのにはファンファーレの音だけでない。観客の数にも原因がある。このオグリキャップやイナリワンといった地方からやってきた英雄達、そしてサードプレジデントによって創られた競馬ブームにより競馬ファンは急増している。ましてやナインティギアはその
そんなナインティギアを一目見ようと多くの客が集まった結果東京競馬場の観客数は過去最多となり、その歓声は余りにも大きかった。
【各馬ゲートに収まりました。今、スタートしました!】
──痛っ!?
何故かナインティギアのゲートだけが開かず、ナインティギアがゲートに衝突する。
「おい大丈夫か?」
──問題ない! 俺に構わず進め!!
「いや、ちょっと待ってくれ! カンパイだカンパイ! やり直しだ!」
【あっとナインティギアのゲートが開きませんでした! カンパイ──やり直しですね】
【これはなんとも締まりの無いレースになりそうです。ナインティギア以外の競走馬はすでに200m程走っている訳ですからナインティギアが断然有利になりましたよ】
「ふぅ……」
なんとか仕切り直しになったようで創也は一安心するがナインティギアの様子がおかしいことに気がつく。
──ふざけやがって。ニンゲン共め
ナインティギアの頭の中に占めていたのは紛れもない怒り。耳を絞り込む程の怒りだった。
「おい、ナインティ? あれはお前のせいでもなければ人のせいでもないから落ち着け。あれは事故だ」
──んなこと関係あるかボケ! 抗議するに決まってんだろ!
「バカ止めろ、うわぁっ!?」
ナインティギアが創也を振り落とし、観客席の方へ突っ込む。
──ゲートを動けなくしたのはお前か!? それともお前か!?
ナインティギアが手当たり次第観客席の観客の頭を噛みつき、犯人探しをする。そう、ナインティギアは自分のゲートが開かなかったのを観客達だと思い込んでいたのだ。
実際には事故であり観客どころか誰も悪くないのだがナインティギアの暴走は止まらない。
ナインティギアを捕まえようとしたスタッフはナインティギアに蹴りを入れられ、悶絶。その隙を見計らって逃げて最早手のつけようのない状態になってしまった。
「誰かナインティを止めてくれ!!」
その叫びから5分間ナインティギアは逃げて逃げまくり、日本ダービーに使うはずだったスタミナを使い果たしたと言わんばかりに疲れ切っていた。
「何でだよ、そこで逃げないでくれよ本当……」
頭を抱えながら呟いた創也の愚痴は疲れ切っていたナインティギアに届くことはなく虚空へと消えた。
それから10分後、ナインティギアのスタミナも回復し、元の状態に戻るがそれでも走ってきたことには変わらず精神的な疲労を残した状態でナインティギアがゲートに入る。
本来であればあれだけ暴走したら罰を与えられるのだが暴走したのは競馬場スタッフにも非があり、日本競馬委員会はナインティギアを大外からスタートさせるだけの軽い処罰のみで何も言えずにいた。
【ただいまトラブルもありましたが、なんとか大外ナインティギアゲートに収まりました。それでは改めて日本ダービー、今スタートしました!】
ゲートが開き、ほぼ全員がスタートを決める中ナインティギアは出遅れる。それもそのはずでナインティギアは元々ゲート嫌いであり、今回の出来事で更にゲートが嫌いになってしまった。ゲートがちゃんと開くのを確認してからスタートを切るようになり出遅れ癖がついてしまったのだ。
──くそっ、またかよ……
【さあ先行争いはアイネスフウジンがハナを切ったか! その次に2馬身離れてメジロルイス、4番手から5番手あたりにハクタイセイがいます!】
アイネスフウジンやメジロルイス、ハクタイセイが先行する中メジロライアンは中団の位置、ナインティギアは最後方にいた。
【メジロライアンはいつもの位置、そして大きく離れてナインティギアは最後方にいますがこれは大丈夫なのでしょうか?】
【放馬した上に出遅れましたからねこの位置は妥当でしょう。幸いにもナインティギアの強みは追込でも問題ないというところです。これが逃げ馬のアイネスフウジンだったり、先行馬のハクタイセイだったりするともう買った馬券は捨てた方が良いレベルになりますからね】
解説者のあんまりの言い分だが妙に説得力があり納得してしまう。それもそのはず、特に逃げ損ねた逃げ馬は序盤に作ったリードあっての物であり、それが無くなると駄馬となるからだ。先行の馬でも似たようなことが言え、その馬の勝つ可能性はほぼなくなる。
【なるほど、確かにそうですね。それではここからはレースに集中しましょう! 先頭の3頭が第1コーナーを回りまして各馬が動き始めます。まずは皐月賞のリベンジを果たしたいところアイネスフウジン、その後ろにメジロルイスとハクタイセイ、カムイフジが続いてワイルドファイヤーがいて向こう正面に入っていきます】
向こう正面へ入り、アイネスフウジンが先頭に立ったままレースが進む。
──おい、もっとスピード上げろよ!
「駄目だ。今のお前には先行が出来るだけのスタミナがない。それでもいくなら俺の手綱を無視していけ」
創也がそう切り捨てる。それというのもナインティギアは既に体力を使い果たしていて、今までであればやろうと思えば無理やりにでも前にいけたが今回はそうではない。創也の力で抑えられてしまう程に疲れ切っていたのが疲労の何よりの証拠だった。
──クソっ!
「ほらな。俺の力で抑えられるんだから無理はするな。最後に残しておけ」
──わかったよ。その代わりお前は手綱を離すんじゃねぇぞ!
「わかってるって」
それからはずっと膠着状態が続き、最終コーナーに差し掛かる。
【さあここで最終コーナーにかかってメジロルイス、ハクタイセイ、カムイフジがアイネスフウジンとの差を縮めてきました! メジロライアンは7番手あたりに上がってきた!】
──おい、ここで仕掛けろ!
有力馬達の様子を見てナインティギアが焦り、手綱越しにそう伝わると創也はそれを拒否した。
「まだだ。最後の直線まで待て」
──なんでだよ!
「東京競馬場の特性は直線が長く差しや追込が有利なんだ。ここでまくったら完全にスタミナ切れになる。だからお前の脚を温存するためにも少し待つんだ」
──ちっ、わかったよ
【さあ最後の直線、泣いても笑っても日本ダービー最後の見せ場! 今だにアイネスフウジン先頭、ハクタイセイとメジロルイス、カムイフジが粘っている!】
「よし、じゃあ行くぞ!」
創也はナインティギアの手綱を引き絞り、前に出るように指示を出す。それに呼応するようにナインティギアが駆け出し、一気に加速していく。
【おおっと、ここでナインティギアが動き出した! 大外ナインティギア、メジロライアンも抜け出している!】
ナインティギアとメジロライアンが先団の馬をゴボウ抜きし、アイネスフウジンとメジロルイスを捕らえる。
【残り200mを切ってアイネスフウジンがまだ先頭だ。メジロルイス、メジロライアン、ナインティギアが追い詰める。ハクタイセイとカムイフジは厳しいか!?】
それまで先行争いをしていたハクタイセイとカムイフジが脱落し、メジロルイスのみが先行勢で生き残り、アイネスフウジンに迫り、ナインティギア達に迫られる。
【アイネスフウジンが逃げる! アイネス逃げる! ナインティギア、メジロライアン、メジロルイスが迫る!】
四つ巴の戦い、誰もが1番良い結果を求めて走る中、スピード、スタミナ、瞬発力等といったサラブレッドが生き残るのに必要な総合的な要素は全く互角で残る要素は勝負根性のみとなった。
【さあ残り50m! アイネスフウジンが粘るか、メジロルイスか、メジロライアンが差し切るか、ナインティギアが苦しいか!?】
ナインティギア脱落──そう思われた直後、ナインティギアがラストスパートをかけ、追い抜く寸前だったメジロライアンとメジロルイスを抜き去る。
【ここでナインティギアが追い抜いた! アイネスフウジンかナインティギアかどっちだ!? 3着争いにメジロルイスとメジロライアンです】
──二度とやりたくねえ……しんどい……
ナインティギアがゴール板を通過し、しばらくすると疲労がピークに達したのか気絶したかのように眠りについた。
「よく頑張ったな」
そんな創也の労いの言葉に返事をすることもなく寝息を立てていた。
「お疲れ様」
そう言って創也はナインティギアの頭を撫で、運搬車を呼んでナインティギアを運ぶ。
【ただいまのレースの結果をお知らせします。勝ったのはアイネスフウジン! 勝ちタイムは2分25秒3! ナインティギアは惜しくも敗れました!】
競馬にたらればは存在しない。しかしこの時ほどたらればを語りたくなるレースは存在しない。
「もしゲートが開いていてカンパイすることがなかったら勝っていたのはナインティギアだっただろう」と創也や旭川、星崎といった関係者は勿論ナインティギアのファンや勝ったアイネスフウジン陣営ですらそう語るのだから間違いないだろう。
このお話をお楽しみ頂けた、あるいはこの小説自体をお楽しみ頂けたならお気に入り登録や高評価、感想の方を宜しくお願いいたします。
また感想は感想に、誤字報告は誤字に、その他聞きたいことがあればメッセージボックスにお願いいたします。
尚、次回更新は未定です
番外編は何が見たいか
-
サードプレジデント産駒の活躍
-
サードプレジデントのその後
-
ナインティギアとクラフトボーイの活躍
-
ウマ娘サードプレジデント転生者疑惑
-
アニメ版ウマ娘世界のサード達
-
アプリ版ウマ娘世界のサード達