89式和製ビッグレッド   作:ディア

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・番外編のアンケート
≫現在アンケート実施中!番外編で何が見たいか答えて下さい!その中で多かったものを優先的に書き上げます。2023/04/09追記番外編アンケート締め切りました!

・来月以降の更新
≫かなり忙しくなるのでかなり遅くなります。これまで通り3話来月投稿出来たとしても再来月はキツくなるのでじっくりゆっくり読み倒してお待ち下さい

・マスコミの民度の低さ
≫まあお察しの通り低い。近年でも低いが昔に遡るほど低くなっていく……特にオグリキャップ密着取材をしたのは大罪。

・競馬民の民度の低さ
≫これも低い。この小説内で競馬民が暴れたりしているが史実に比べるとまだマシと呼べるくらいには低い
≫感想欄でラガーレグルス事件が紹介されていたので記載。ラガーレグルス事件はラガーレグルスが皐月賞で尻もちをついて、ゲート再審査を受けることになってしまったのだが民度なしの競馬民が騒ぎ立ててラガーレグルスのゲート再審査を妨害した事件。これによりラガーレグルスはダービーには出られなくなってしまった。この事件を引き起こしたのはマスコミではなく競馬民なのだからマスコミも競馬民も五十歩百歩である
≫他にもオグリキャップの馬主に脅迫状が届いたりとかなり過激なものもある
≫またディープインパクトの凱旋門賞で馬券を買い占めたり、騒いだりと仏国まで迷惑をかける有様。あれは素人であるがせめて迷惑にならないようJRAの方で注意するとか対策のしようがあったと思う


第38話

 KGⅥ&QESを圧勝したサードプレジデントがそのまま帰国すると大フィーバー。生ける伝説となったサードプレジデントに人々は熱狂し、競馬界に革命を起こしたとして英雄扱いされた。何せこれまで日本馬は弱いとされてきた。サードプレジデントの先代の三冠馬シンボリルドルフは米国で惨敗し、その次のダービー馬シリウスシンボリは凱旋門賞でダンシングブレーヴに手も足も出ず惨敗。それ以外にもスピードシンボリといった名馬達が海外遠征し敗れ去っている。

 

 だが今年は違う。サードプレジデントが日本と米国だけでなく、欧州にもその名前を響かせ、世界最強馬として認められ有名になった。

 

 

 

「よーし、ここだな」

 

 そのサードプレジデントを密着取材しようとする輩が現れ、無許可で撮影し始めてしまった。当然これに激怒したのは馬主の美亜であり、すぐに抗議。しかしそれでも強行しようとしたため警察沙汰となり、マスコミは撤退した。

 

 だがそれでも諦めないのがマスコミであり、マスゴミでもある。軍隊顔負けの偽装技術を用いて追跡し続けた。その姿勢をもっと別のことに使って貰いたいものである。

 

「ん?」

 

「どうしましたか?」

 

「なんか変な音聞こえなかったか?」

 

「いえ、特に何も……」

 

「気のせいかなぁ……まあいいか」

 

 関係者達の耳には音など一切届いておらず、幻聴ではないかという結論に至った。そんな人間達の目をかいくぐりカメラを取り出す。

 

 

 

 ──貴様ら何用だ? 

 

 そしてマスコミが馬房へと不法侵入し、撮影を始めるとそこにいたのはサードプレジデントではなく、よりによって気性難で知られるナインティギアだった。

 

「ゲェっ!? ナイン!?」

 

 ──さて我々の縄張りに無断で侵入してきたんだ。覚悟してもらおうか

 

「た、助け──うぎゃぁぁぁぁ!!」

 

 その後、マスコミ達はナインティギアが行った暴行に対して訴えたが旭川や星崎は逆に不法侵入したことを訴え、多額の賠償金を請求。そのことを記事にして批判するも名誉毀損で訴訟。結局敗訴してマスコミは撤退せざるを得なくなった。

 

 しかもそれでも諦めないのがマスゴミと呼ばれる所以でもあるのだが、前回の美亜とは異なり星崎はありとあらゆる権力を使い、追い詰める。

 

 まず関わった記者達は借金地獄に陥り、それを雇っていた会社も黒字から大赤字へと変化。最悪倒産するところもあった。

 

 これにより密着取材などする輩は減り馬や競馬関係者達を尊重し、配慮した上での取材をするようになり、オグリキャップといった人気高い競走馬達も被害に遭わずに済むようになる。

 

 

 

 記者達を蹴り飛ばしてより一層艶が増したナインティギアのローテーションは函館記念に決まっていた。

 

 しかしその後のローテーションについて未定であり、そのことについて旭川と創也、馬主の星崎がテーブルを囲み話し合っていた。

 

「星崎さん、お忙しい中わざわざこちらに来て頂きありがとうございます」

 

「いえ、それよりも用件は?」

 

「星崎さんの所有するナインティギアのローテーションについてです」

 

「ナインのローテーション?」

 

「ナインティギアの今後使いたいと思うレースはサードプレジデントの凱旋門賞と同じ日に走らせようと思っています」

 

「なるほど京都大賞典か。確かにあのレースは菊花賞前のステップレースとしてはいいかもしれん。だがそうなると創也君は乗せられないということかね?」

 

「ええ、凱旋門賞と京都大賞典が同日に行われる関係上創也はどちらか片方にしか騎乗出来ません」

 

「先約がある関係上私は凱旋門賞にいきます。しかしそうなると京都大賞典でナインティギアに誰を鞍上にするかということになります」

 

「それなら無理して京都大賞典に出走することはないと思うが。あのレースは賞金額でいえばセントライト記念や神戸新聞杯、京都新聞杯とそう変わらないしな」

 

 星崎が出した3つのレースはいずれも菊花賞トライアルレースであり、4歳馬限定の競走となっている。わざわざ混合レースに出走させるのには理由があるのだろうと思い星崎は突っ込まなかった。

 

「私もそれについては考えましたが、あえて出走させます」

 

「創也君がいないのにか? 無理ではないか?」

 

 ナインティギアを制御出来る人間は限られており星崎の知る限り、騎手の中では創也しかいない。

 

「今のナインティはそこまで制御が難しいという訳では無いんです。胤騎手や柴太騎手なら乗りこなせると思いますが2人がナインティギアに乗る事は難しいでしょう」

 

 創也がそう発言したのには理由があり、胤は京都大賞典に出走するスーパークリークに騎乗する為、柴太も海外で先約があり、物理的にナインティギアに乗れない事情があった。

 

「ではシンボリルドルフの主戦騎手だった刑部騎手はどうだ? シンボリルドルフも気性難と聞くぞ?」

 

 シンボリルドルフの気性難はあまりにも有名で関係者からはライオンと呼ばれ、また創也の父がサードプレジデント達の母親シルキークラフトにシンボリルドルフの種を付けない理由の一つに気性難であるからだ。

 

「そちらも先約があります」

 

 しかしこれも断られる。それもそのはずで日本に数人しかいない三冠ジョッキーであり、超一流騎手の代表格といえた。そんな騎手に依頼しても無理だろう。

 

「ならばシリウスシンボリの主戦騎手だった加東騎手は? 昨年フリーになって手空きのはずだし、何よりもナインティギアの父親は加東騎手が鞍上していたアンバーシャダイだ。アンバーシャダイ産駒のナインティギアを制御するのは容易ではないのか?」

 

「メジロライアンみたいにナインティギアがアンバーシャダイそっくりならそうしますとも。ですがあの気性難はウォーアドミラルかノーザンダンサーかのどちらかでしょう。あんな気性難を加東騎手に渡したら加東騎手の腕が狂います。狂わなかったとしても気性難に取り憑かれて、気性難の馬しか回せなくなると思います」

 

「それはそれで良いと思うが。現状加東騎手はそこまでいい馬を回してもらっていない。なら気性難の馬でも好成績を出せる馬を回した方が良いと思うんだが」

 

 加東はフリーの騎手になって以降、あまり良い馬を回して貰えず、シリウスシンボリのダービー以降GⅠ勝利から遠ざかっていた。

 

「確かに気性難の馬に乗って勝てれば箔がつくのは確かです。ですがそのせいで他の馬に乗りにくくなり、結果自分の首を絞めることになるのは明らかです」

 

「そもそも私達が話したところで本人が納得出来なければ意味がない。本人の意見を聞こうではないか」

 

 星崎の全うな意見に旭川と創也が賛成し、旭川が黒電話を用いて美浦の加東を呼び出す。しかし加東はフリーの騎手でありどこにいるのかわからず呼び出すのにかなりの時間を要した。

 

 

 

 それから数十分後、ようやく電話越しに加東を意見を聞くことになった。

 

「旭川先生、何のご用でしょうか?」

 

「加東騎手、単刀直入に聞こう。ウチのナインティギアに乗ってレースに出てみたいか?」

 

「主戦の月城騎手は?」

 

 加東が創也のことを聞いたのか、それは加東が義理堅く誠実な人間であるからだ。ナインティギアはそれまで創也が鞍上で上手くやっていった。それにも関わらず降ろすということは不誠実そのものであり、シリウスシンボリの転厩騒動以降特に許せるものではなかった。

 

 またその堅さ故に営業がとてつもなく下手くそで加東をよく知る関係者からは「腕の割に勝利数が少なすぎる」と言われている。

 

「質問を質問で返さないでくれ。乗りたいのか乗りたくないのかどちらだ?」

 

「私はシリウスシンボリのことがあって以降、強引に降ろすようなやり方をする方とはお話し出来ません」

 

 明らかな拒絶に旭川が溜息を吐いた。

 

「加東騎手に乗ってもらいたいレースは10月始めのGⅡ、京都大賞典。その日は創也は凱旋門賞にいってナインティギアの鞍上が決まっていない。その日だけ頼めるか?」

 

「そういうことでしたか。わかりました。それと無礼な態度を取って申し訳ございませんでした」

 

「何、気にすることはない。それよりも乗るのか乗らないのかどっちなんだ?」

 

「乗らせて頂きます!!」

 

 謝罪する加東に呆れた口調で旭川が尋ねると、加東は快活に答えた。

 

 加東がナインティギアの鞍上になることが決まり、星崎が安堵の表情を浮かべた。

 

 

 

 それからナインティギアは創也鞍上で函館記念をサッカーボーイの記録にコンマ1秒迫るタイムで圧勝し、菊花賞に向けて好スタートを切った。

 

 ──つまらん、今日の相手はやたら弱かったな? やはり年寄り連中は駄目だな

 

 ナインティギアは普段手抜きをする馬であり、圧勝することは少ない。しかし持ったままにも関わらず今回は圧勝し、観客だけでなく関係者一同驚かせる。

 

「それで参考になりました? 加東さん」

 

「ならないよ、だって強すぎる。しかも制御不能って訳でもない。あれならシリウスシンボリに乗れる騎手なら誰でも勝てる」

 

 ナインティギアの強さを改めて見た加東が頭を抱え、そう告げる。

 

「まぁそうなんですけどね。一応これで制御可能という証明にはなったでしょう」

 

「確かにそうだけど……これじゃあ俺の存在意義が薄まるんだよな」

 

「加東さん、そんなに悲観することないですよ。確かにナインティギアはレースも我も強いんですが、レース中はちゃんと言う事を聞きますし、斜行も意図しない限りはしません。如何に最後の直線でやる気を出させるかに掛かっています」

 

「なるほどそういうタイプの気性難か。わかった、こうも見事な騎乗を見せて貰った以上、真面目にやらないといけないから……旭川さん!」

 

「みなまで言うな。調教をつける時に乗せてくれってことだろ?」

 

「ええ、お願いします」

 

「わかった。何もない状態で乗るよりかはマシになるしな」

 

「ありがとうございます」

 

 こうして創也不在のナインティギアの鞍上は加東に決定した。




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尚、次回更新は本日21時です

番外編は何が見たいか

  • サードプレジデント産駒の活躍
  • サードプレジデントのその後
  • ナインティギアとクラフトボーイの活躍
  • ウマ娘サードプレジデント転生者疑惑
  • アニメ版ウマ娘世界のサード達
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