89式和製ビッグレッド   作:ディア

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・番外編のアンケート
≫現在アンケート実施中!番外編で何が見たいか答えて下さい!その中で多かったものを優先的に書き上げます

・凱旋門賞編
≫実はこの小説1番の見せ場でもあります。気合入れすぎた結果7000文字を超えることになり、2回に分けることになりました。まあ予約投稿時点でまだ次々回どころか次回も書き上げていなかったから負担が楽で良かったんですが。

・これからについて
≫番外編も書き終わったら他の小説を書き上げるか、自分をゴールドシップだと思い込んでいるメジロマックイーン転生者の小説を新しく執筆するか迷っている。

・ナインティギアの渾名
≫裏設定っぽい何か。宝塚記念で【90式スナイパー】と出ましたがアレはナインティギアのあだ名ですね。実際は【シルコレ大将】【気まぐれナイン】とかそんなのばかりでしょうが


第42話

 

 

【さあ偽りの直線に入ってもサンデーサイレンスとの差はまだ縮まらない! 縮まらない!】

 

 コーナーを曲がり切り、偽りの直線に入る。この偽りの直線は最後の直線の前にある直線だがゴール板はその特性上見えず、また他の競馬場と同じようにコーナーを曲がり切ったところでラストスパートをかけるとあまりにも長いラストスパートとなる。つまり終盤の直線であってラストの直線でない。かなり異質な直線といえる。

 

「(どういうことだ? そろそろ息を入れないと流石のサンデーサイレンスもスタミナ切れになるはずだが……何故落ちない?)」

 

 それ故に息を入れるタイミングは偽りの直線の最中に行われると思っていたが予想は外れ、まだ加速し続ける。

 

「(まさか! あいつ、偽りの直線の前のコーナーで息を入れていたのか!?)」

 

 柴太の推理通り、サンデーサイレンスはコーナーを曲がった瞬間に息を入れていた。

 

 サンデーサイレンスの得意なことは小回りが効きコーナーにおいて加速力が増すことだ。その為コーナーで加速しつつも息を入れることが可能であり、それがサンデーサイレンスのスタミナの秘密だった。

 

 

 

【さあ未だに先頭はサンデーサイレンス、10馬身のリードを保てるか!? サードプレジデントは間に合うのか!?】

 

 そしていよいよ残り400メートル。後続との距離は約10馬身、サンデーサイレンスが垂れない限りもう差は例外を除き埋まりようがない。

 

「柴太さん、お先です!」

 

 その例外とはサードプレジデントそのもの。サードプレジデントに騎乗している創也がそう告げるとサードプレジデントはアサティスから1馬身、2馬身とあっという間に差を広げ、射程圏内へと入っていった。

 

「(嘘だろ……こんなことってあるかよ!!)」

 

 柴太が動揺している間にもどんどん差が開いていった。

 

 

 

 

 

【さぁここでサードプレジデントが前へ前へと突き進み、サンデーサイレンス、サンデーサイレンスよく頑張った! 先頭はサードプレジデントだ!】

 

 ──青いの、今回は俺の勝ちだ。そこで大人しく俺の尻でも拝んでおくことだ

 

 ──っざけんな! てめえなんかに負けてたまるか! 

 

 サンデーサイレンスを称えながらもサードプレジデントが無慈悲に加速していくとサンデーサイレンスも食らいつく。

 

【凄い凄い、サンデーサイレンスがまた加速! しかしサードプレジデントがまだ先頭!】

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

「うぁぁぁぁっ!」

 

 創也、そしてD.Pが剛腕を振るい少しでも前へ少しでも加速させようとする。その執念はこのパリロンシャン競馬場だけでなく、テレビ越しでも伝わりサードプレジデントの所属する日本、サンデーサイレンスの所属する米国、そして地元仏国や欧州全体にまで届いていた。

 

【サンデーサイレンスが粘る、サードプレジデント逃げる! 後続を引き離す!】

 

 サンデーサイレンスとサードプレジデントの一騎打ち、2頭の凄まじさに3番手のアサティスですら15馬身離されたところで藻掻くしかなかった。

 

 

 

 ──貴様だけには負けねえ! 俺こそが最強なんだ! 

 

 サンデーサイレンスの叫びはこの場にいる人間達にはわからない。しかしサンデーサイレンスの鞍上であるD.Pのみが知っている。

 

 D.Pはかつてサンデーサイレンスのライバルだったイージーゴアに鞍上していてサンデーサイレンスに乗ることはないだろうと思っていた。しかしJCでサンデーサイレンスに乗った時、彼の運命は変わってしまった。D.Pはサンデーサイレンスの強さを知ってしまったのだ。

 

 気性と見栄えと血統、加速力ならイージーゴアの方に分が上がるがサンデーサイレンスはそれ以外全て勝っている。つまりサンデーサイレンスの方が強く感じ、サードプレジデントに敗れたイージーゴアの仇を討てるのはこの馬以外にいないと感じていた。

 

 それ故にD.Pはサンデーサイレンスを知る為にサンデーサイレンスの過去などありとあらゆる知識を有し、調教、レースを見て研究し、そして今この瞬間にその全てを捧げている。

 

 そしてこのレース、この一戦こそ、D.Pにとって、いやサンデーサイレンス達のダービーなのだ。

 

 

 

「はあああぁぁぁっ!!」

 

 創也が叫ぶ。その声と共にサードプレジデントのスピードが上がり、サンデーサイレンスを引き離す。

 

【おおっと、ここでサードプレジデントが更に加速! サンデーサイレンス、追いすがれず、ゴール! 日本のサードプレジデントがやりました! 2着に惜しくもサンデーサイレンス! 素晴らしい走りでした! 後は離れてアサティスが入りました!】

 

 そのアナウンスの通り、サンデーサイレンスとサードプレジデントの差は少しずつ開き始め、そのままゴール板を通過した。

 

 

 

 それを一部始終瞬きもせず見ていた美亜、そしてアルツが涙を流す。

 

「ミス・ホシザキ。サードプレジデントの優勝おめでとうございます」

 

「アルツ様ありがとうございますわ。お互いに瞬きしませんでしたから涙が止まりませんわね」

 

 美亜とアルツがハンカチを取り出し涙を拭く。しかし涙によって腫れた顔は戻らずにいた。

 

「お陰で目にゴミが入ってしまいましたヨ。ミス・ホシザキ、今度は負けませんよ」

 

「ふふふ、アルツ様。今度もこの勝利の余韻に浸れるよう勝たせて頂きますわ」

 

「では今度は私達のホーム、米国でお会いしましょう」

 

 そう言ってアルツが立ち去ると美亜が創也の元に駆け寄る。

 

 

 

「創也さん、おめでとうございます。そしてありがとうございます」

 

 創也に頭を下げ、礼を言う。

 

「いや、自分はサードプレジデントの力を引き出しただけです。もしサードプレジデント以外の馬でしたら負けていましたよ。それに……まだ終わりじゃありません。これからBCクラシックがありますから」

 

「はい、必ず勝って下さいまし。貴方は私のヒーローですから」

 

「はい、約束します。必ず勝つと」

 

 創也はそう言いながら右手を差し出すと美亜はその手を両手で握りしめ、キスをする。

 

「み、美亜さん!?」

 

「この前のお返しですわ。最後にアレはどうにかなりませんの?」

 

 ──大丈夫か? 

 

 ──ええ、大丈夫ですよ。それよりも貴方、あんな豪快な走り始めてみたけど素敵ですね。もしよろしければグルーミングさせて貰えませんか? 

 

 ──俺で良ければ

 

 美亜の視線の先にあったのはサードプレジデントとサルサビルが互いにグルーミングを始めいちゃついていた場面だった。

 

「いやそうしたいのは山々なんですがサルサビルのオーナーがもう少しこのままでいてほしいと土下座してきましたから流石に無理です……」

 

「サルサビルのオーナーって確かアラブの財務大臣の方でしたわね……確かに創也さんでは荷が重いでしょう。私が説得して──」

 

 美亜がそう告げ説得しようとした時、アラブ財務大臣にアルツが声をかけるとアラブ財務大臣がサルサビルを連れていくように指示し、美亜の方へと近づき声をかける

 

「ヘイ、ミス・ホシザキ。あのサードプレジデントはいい馬だね。ウチのサルサビルも気に入ったようだ」

 

「譲りませんよ?」

 

「ミスターアルツから例え天変地異が起ころうが譲らないと聞いているさ。しかし種に関しては別だともね」

 

「ええ、サードプレジデント自身は譲りませんがその種や産駒はその限りではありませんから……」

 

「もし良ければ優先的にウチのサルサビルに種付けして貰えないだろうか? サルサビルもかなりの名馬だ。何せ牝馬としては90年ぶりの愛ダービー馬。しかし欧州でサルサビルに釣り合う名馬は限られている上にインブリードになりがちだ。そんな時に君達が現れてくれた。これはまさに神の啓示に違いない。どうか頼む!」

 

 アラブ財務大臣が美亜に向かって深く頭を下げる。

 

「わかりましたわ。日本で種付けしたらその後私が所有するか、貴方方が所有するかその時になってから賭けてみましょう」

 

「おお、それはありがたい!」

 

「しかし財務大臣、そちらの所有しているナシュワンに種付けすれば解決するのではないでしょうか?私のサードにつけた場合はプリンスキロの4×5とネアルコ5×5のインブリードがありますがナシュワンにつけた場合クレペロの5×5とネアルコの5×5ですみますわ」

 

「なるほど確かに御尤もだ。だがサードプレジデントという馬の血は早めに取り入れて置きたいというのもあるからね。それにその程度のインブリードなら時間が解決してくれる」

 

 因みにサードプレジデントとサルサビルとの間に生まれた牝馬は美亜が引き取り、無敗で牝馬クラシック二冠を獲得した後屈腱炎により引退し、繁殖牝馬として大活躍することになるが余談である。

 

 

 

 

 

『サードプレジデント』

・馬主 星崎美亜

・生産牧場 月夜牧場

・調教師 旭川誠

・性別 牡馬

・毛色 栗毛

・年齢 5歳

・戦績 13戦13勝

・朝日杯3歳S、三冠、トラヴァースS、JC、有馬記念、天皇賞春、KGⅥ&QES、凱旋門賞

 

 




この話によりこの世界のサルサビルの産駒Firdous(1992年生まれの牝馬)が消え、別の馬になりましたが史実でほとんど活躍出来なかったし大丈夫大丈夫!……大丈夫だよな?

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尚、次回更新は未定です。

番外編は何が見たいか

  • サードプレジデント産駒の活躍
  • サードプレジデントのその後
  • ナインティギアとクラフトボーイの活躍
  • ウマ娘サードプレジデント転生者疑惑
  • アニメ版ウマ娘世界のサード達
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