89式和製ビッグレッド   作:ディア

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・番外編仕上げ
≫番外編は作者の仕事の都合により遅くなります。4月に一回は投稿出来れば上出来だと思いますがもしかしたら5月末まで待つことになるかもしれないので御承知下さいますようお願いいたします

・ドバイWCデー
≫2023年の結果を見て記載。ウシュバテーロがドバイWCを、イクイノックスがドバイシーマCを圧勝。どっちも強すぎる……

・カットしたシーン
≫実はナインティギアにGⅠの雰囲気に慣れさせる為に育成牧場で模擬レースを開催するシーンがあったが色々と矛盾点が生まれカット。
≫それどころか今回の菊花賞の下りもほとんど必要ないんじゃね?と思っていた。だってBCクラシックの方が開催が早く、最終回をBCクラシックと予告している以上菊花賞が書けない……いやマジでどーしよ、などと悩んでいた
≫しかしウマ娘で菊花賞回を一時的な措置として書けば全て解決出来ることに気がつき、その後も番外編で書けるのでそれに決めた。

・米国競馬について
≫書いた当初はそこまで米国競馬について興味はなかったが調べていくうちに沼っていって何をトチ狂ったのか【89式和製ビッグレッド】とは別に日本生まれのウマ娘が米国ダートで活躍するというストーリーを考えてしまった。


第43話

 世紀の一戦となった凱旋門賞、サードプレジデントにはレーティング146、サンデーサイレンスにはレーティング138が与えられ、共に歴代の中でもトップクラスの馬と認められた。

 

 そんな最中で日本は天皇賞秋や菊花賞のことなどほとんど話題にすることはなかった。

 

【サードプレジデント歴史的快挙! 3着との馬との差は15馬身差!】

 

【サードプレジデントとサンデーサイレンス、BCクラシックへ!】

 

【サードプレジデントのラストランはBCクラシックか!?】

 

【サンデーサイレンスのラストランはJC! 日本馬危うし!!】

 

「あーあ、見事なまでにウチのナインが京都大賞典で勝ったことが忘れ去られてやがる」

 

 旭川がそう愚痴るのは無理はない。平成三強がそれぞれ一頭に負けたケースは多くあれど平成三強全員に先着した馬はそう多くない。ペイザバトラーとサードプレジデント、サクラホクトオー*1、そしてナインティギアくらいのものだ。しかもナインティギアは4歳の宝塚記念でオグリキャップとイナリワンに先着しており、その価値はあまりにも高い。

 

「まぁ仕方ないんじゃないでしょうか? 間違いなく今年の凱旋門賞は歴史的な名勝負でしたし、しかも日本馬のサードが勝ったんですから」

 

「まあウチの馬だからいいんだが、ナインのことも注目して貰わないとなぁ……」

 

「ええ、ですがナインティもサードに劣らない素質の持ち主ですよ。気性難過ぎて力を引き出せないのが欠点ですが」

 

「確かに気性難なのはそうなんだが。ふと思うんだ、本当はナインはそこまで強くないんじゃないのかって」

 

「何故そう思うんですかテキ?」

 

「サンデーサイレンスは気性難だ。だが米国でGⅠを何勝もしているしサードに迫っている。ナイン──ナインティギアはサードから逃げれてもそれは小回りが効くだけで、実績らしい実績が京都大賞典しかない。もし本当にサードプレジデントに迫る実力があるなら気性難でも無敗で二冠馬になっているはずなんだ」

 

 旭川の言い分ももっともだった。実際ナインティギアは重賞で勝ててもGⅠで何故かソラを使ってしまい勝てない。

 

「……おそらくですがナインティはGⅠの雰囲気を感じ取ってわざとソラを使っているのでは?」

 

 渋々とそう声を絞り出す創也。創也にはナインティギアが何故GⅠで勝てないのか心当たりがあり、それについて説明しようとすると創也にとっての黒歴史──宝塚記念のことを思い出すからだ。

 

「お前がそれを言うのか?」

 

「確かに宝塚記念で負けたのは、自分の騎乗ミスが原因ですしそれは間違いないです。しかしテキの言う通りならその状況でもサードなら勝っていたでしょう。ナインティが勝てないのはGⅠ競走特有の雰囲気にやられて勝てなくなってしまうと思います」

 

「なるほどな。確かに理屈は通っている。だが対策方法はもうどうしようもないぞ。菊花賞を勝つ為に天皇賞秋に出走させる*2なんて論外だからな」

 

「そんな馬鹿なことは提案しませんよ。それに天皇賞秋は来年もありますから」

 

「まあ、来年以降から強くなるのはわかっているんだがどうしても今年中にタイトルの一つは獲らせてやりたいんだ。その為には菊花賞を勝たなきゃいけない」

 

「テキ……わかりました。何とかしてみます」

 

 創也はそう告げるとその場から立ち去り、ナインティギアのところへと向かう。

 

 

 

「よう、元気にしていたか?」

 

 ──何用だニンゲン? もう今日は走らんぞ

 

「そう警戒するな、ナインティ。ほらよお前の大好物のバナナと納豆だ」

 

 ──寄越せニンゲン! 

 

 ナインティギアがバナナと納豆が混じった皿に顔を寄せるが創也がそれを躱す

 

「おっと、そう急くなよ。これを食べたらお前は勝つまでバナナと納豆はなしだ。それがどういう意味かわかるな?」

 

 ──良いから寄越せ! 

 

 ナインティギアがぐいぐいと皿に顔を寄せ、強請る。

 

「わかった、わかったから落ち着け!」

 

 創也がナインティギアの前に皿を置くとナインティギアは勢いよく食べ始める。

 

「食ったな? これでお前は負けられないぞ」

 

 ──負けられないのは当たり前だ。俺とあろうものが2度も仕留めそこねた。だが今度は違う。勝つ為には何でもやってやる

 

「じゃあ俺は戻るとしよう。サードプレジデントで勝って菊花賞でもお前を勝たせてやる」

 

 ──ふん、勝手にしろ。

 

 ナインティギアはそう吐き捨てるように呟くと、再び食事に戻った。

 

 

 

 そして時は流れ創也は米国へと向かう。その渡航目的はBCクラシック出走馬のサードプレジデントに騎乗する為だ。

 

【いよいよBCクラシックです。果たしてどの馬が勝利を掴むのでしょうか】

 

【やはり注目はサードプレジデントですね。前走の凱旋門賞では圧倒的な強さを見せつけてくれました】

 

【そしてもう一頭、地元の英雄サンデーサイレンス。凱旋門賞ではサードプレジデントに敗走しましたがこの馬も後続に15馬身差をつけていて、サードプレジデントにあと僅かというところまで追い詰めています】

 

【サードプレジデントが敗れるとしたら彼以外にいませんね。注目の一頭ですから是非とも勝ちたいものです】

 

【他には今年のケンタッキーダービー馬アンブライドルド。同じく今年のベルモントS馬ゴーアンドゴー、トラヴァースS馬リズム、昨年のJCで超ハイペースを作り出したイブンベイも今年の愛セントレジャーを制してここにいます】

 

【総じてハイレベルですね。しかしやはりサードプレジデント本命、サンデーサイレンスが対抗であることに違いありませんよ】

 

【さあ、各馬ゲートイン完了です。いよいよレースが始まります】

 

 

 

「よし、決まった」

 

 創也の頭の中で勝ち方が見え、手綱を強く握ってそう呟く。

 

 ──相棒、準備はいいか? 

 

「任しておけ。お前の力を引き出してやる」

 

 ──頼むぜ相棒 その声と共に創也は鞭を入れる。

 

 

 

【さあスタートしました。好ダッシュを見せたのサンデーサイレンスがハナを取って独走し、ぐんぐん差を広げていきます】

 

「(やっぱあいつは大逃げだな。親父に何時ぞやに見せて貰ったドクターフェイガーを思い出すよ)」

 

 ドクターフェイガーはサードプレジデントの母父バックパサーの一つ下の世代の競走馬であり、1990年時点でダート1600mの世界記録保持者でもある。しかもその記録は斤量60kg超えで出していたのだから、この記録を破るとしたらドクターフェイガー未満の斤量でしか不可能だろう。そんな彼のレーススタイルはとにかく大逃げ。他の陣営が本命の馬を勝たせる為の逃げ馬つまりラビットを用意しようがお構いなしに逃げる。そのあまりの速さにドクターフェイガーがスピード違反切符を切られたというジョークまで出るほどだ。

 

 創也の父はバックパサー信者なだけありバックパサーの良さを引き出す為にウッドワードSで激突したダマスカスやドクターフェイガーのレースを見て研究していた。その過程で創也も否応なしにドクターフェイガーのことを知っていた。

 

「だが、そっちがドクターフェイガーならこっちは正反対、バックパサーやシルキーサリヴァンだ」

 

 創也はシルキーサリヴァンのことをあまり知らないがあの父がダンシングブレーヴを差し置いて「史上最強の追込馬」と呼ぶほどの末脚の持ち主であることは知っている。実際には創也が想像する以上の末脚の持ち主であり、その上がり3Fは30秒を切っていたとも言われている

 

「(よし、このまま行けば勝てる!)」

 

 そのまま最後方で走り、1000mを通過したところでサードプレジデントが加速し、一気に先行集団を捉える。

 

「よし、行けサード!」

 

 足掻く先行集団、そしてそれに追いつくようにアンブライドルドが上がってくる。

 

 例年であればアンブライドルドもかなりの強豪となった存在だったが、今年は違う。サードプレジデントとサンデーサイレンスの2頭があまりにも強すぎた上に、騎手もフロリダダービーの時の鞍上のD.Pでもなければケンタッキーダービーを勝った時の鞍上でもない。不安要素を抱えた状態で伝説級の力を持つ二頭に敵うはずがなかった。

 

【ここでサードプレジデントの三の脚ーっ! ケンタッキーダービー馬もトラヴァースS馬も無慈悲に突き放す!】

 

 更に加速し、20馬身先にいるサンデーサイレンスを捉えるのみとなった。

 

「さぁここからがお前の真骨頂だ! ぶっちぎれ!」

 

 創也の叫びに応えるかのようにサードプレジデントはさらに加速する。

 

「(これは……予想以上だ)」

 

 創也はサードプレジデントの手応えを感じ、内心ほくそ笑む。

 

「(だが油断はしない。JC、凱旋門賞共にサンデーサイレンスのホームじゃなかった。もしこれがJCとかだったら楽勝だろうが、ここは米国でダートだ。サンデーサイレンスが1番走り慣れている場所でもあり、凱旋門賞よりも走りやすいはずなんだ。それに距離だって2000mしかなく今までの2400mとはわけが違うんだ。だからこそ、俺はここで勝ってサードを最強のサラブレッドにして見せる!)」

 

 創也のその想いはサードプレジデントに届き、さらに加速する。

*1
史実ではスーパークリークとイナリワンに先着していない

*2
当時は天皇賞秋の方が先に行われていた





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尚、次回更新は本日21時です。

番外編は何が見たいか

  • サードプレジデント産駒の活躍
  • サードプレジデントのその後
  • ナインティギアとクラフトボーイの活躍
  • ウマ娘サードプレジデント転生者疑惑
  • アニメ版ウマ娘世界のサード達
  • アプリ版ウマ娘世界のサード達
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