≫星崎父が購入したから馬主は星崎父のように思えますがサードプレジデントの馬主は美亜名義です。そこらへんのエピソードはまた後日書くかもしれません
追記
・事実は小説よりも奇なり
≫「強すぎてつまらん」等と仰る方がいるが、別にそれは良い。ただ「リアリティがない」などという方がこれからいると思われるので記載。
・オーモンド
≫セントサイモンの二世代下の競走馬。16戦16勝、史上初の無敗で英国三冠を制したヤベー奴。セントサイモン(10戦無敗、英国史上最強馬として今でも名前が挙がるが、それ以上に史上最悪の気性難の馬や19世紀代表の大種牡馬として有名)やグラディアトゥール(仏国所属馬史上初の英国三冠馬。こいつのぶっ飛んだエピソードは後述)に比べれば派手さは劣るものの、抜群の安定性、逃げから追込まで全てこなせる自在脚質など競走馬としては完璧な存在である。決して作者が練り上げた最強の競走馬ではないぞ!
≫じゃあ世代が弱かったから無敗で英国三冠を制したんじゃないのか?と言われると首を傾げることになる。日本の98世代は良く最強世代などと言われるが、オーモンドの世代はまさしくその最強世代とも言えるほどの名馬の集まりで、オーモンドの他に名前を挙げるとザバード(23戦21勝23連対のアタオカ、未だに2歳時の16勝無敗はレコード)、ミンティング(12戦9勝12連対、英ダービーを10回走ったら9回は勝っていたと評された素質の持ち主)、サラバンド、ミスジャーミー(英1000ギニー、英オークス制覇)といったアタオカ軍団がいる。
≫ただし種牡馬としてはあまり恵まれず、子孫もオームを通したテディ系しかおらずその子孫も現時点で繁栄しているとは言い難い。しかしその直系の子孫の中に米国三冠馬サイテーションがいたりする
・グラディアトゥール
≫シーバードに並ぶ仏国史上最強馬。仏国史上初の英国三冠馬でこいつもアタオカ。一時100馬身差あったのを詰めただけでなく2着馬に40馬身差をつけて勝利するというとんでもねえ馬。
≫因みにかなり見栄えは悪かったようでグラディアトゥールの噂を聞きつけた人にグラディアトゥールを馬車用の馬と冗談で紹介したらそれを信じてしまい、「そんな見栄えの悪い馬なんかよりもグラディアトゥールを見せてくれ」と言われる有様だった
サードプレジデントの誕生から2年経過し、サードプレジデントのデビュー、つまり新馬戦が10月の月末の日曜日に決まった。その新馬戦目的に見に来ていたのは新馬戦に出走する競走馬の馬主といった関係者か、あるいは別の理由によるものであった。
「美亜さん、サードプレジデントのデビューを何故京都競馬場にしたんですか?」
中央の競馬場で競馬が開催される場所は大まかに関東と関西、そしてローカルの三つの地方に別れる。しかしその三つの地方の中で競馬場はいくつもあり、当日に開催されるのはその地方で原則一つのみである。
その理由は競馬場をローテーションで回すことにより、メンテナンスが可能になりそれまで使用していた開催場所の芝などのものの回復が出来るからだ。
閑話休題
今回関東地方で中央競馬が開催しているのが東京競馬場──それも競馬ブームを現在引き起こしているオグリキャップとタマモクロスの芦毛の二頭が直接対決している天皇賞秋であり、その二つのレースの開催日が重なったのである。
「ふむ、確かに疑問に思うかもしれませんがそれは簡単です。来年の菊花賞を見越しているのですわ」
「ダービーではなく菊花賞?」
「ええ、菊花賞の舞台である京都競馬場の坂はご存知ですよね?」
「はい。京都競馬場はかなり特殊な造りをしていてカーブの途中に坂があります。それ故に坂はゆっくり上ってゆっくり下る。そうしなければカーブを曲がりきれずに大外へ膨らむ、膨らまなくてもスタミナ切れを起こしてしまいます。それが京都競馬場の掟です。その掟を破って勝利したのはミスターシービーくらいしか知りません」
「花丸ですわ創也さん。中山競馬場や東京競馬場は最後の直線に坂がありますがそうではありません。サードプレジデント自身にも京都競馬場の坂を経験することで強くなって欲しいからこそ、このような日程にしたという訳です」
「な、なるほど」
「創也さん、来年の秋以降に関しては貴方がサードプレジデントに騎乗することになります。その時にサードプレジデントが勝つためにはどうすればいいのか、それを考えて調教することこそが真の勝利への道ですわよ」
「はい!」
「本当ならサードプレジデントに皐月賞やダービーの舞台で貴方を乗せたかったのですが、規約上の関係から騎乗させられません。でも貴方なら大丈夫、サードプレジデントのお荷物になることはないことを信じていますわ」
「もちろんです!」
「ならよろしいですわ」
その時、大歓声が京都競馬場で鳴り響く。サードプレジデントの真っ赤な栗毛がゲートに収まり暫くするとゲートが開いた。
サードプレジデントの巨体が災いし、出遅れるがそれをカバーするのが騎手の役目でもあり、美亜はそれを見越してスタートで失敗してもそれをフォロー出来る騎手に騎乗依頼していた。
「行けっ! 行け!」
その言葉と共に首を押すが全くといっていいほど加速せず、結局後方での競馬をすることになったサードプレジデント。だがとうの本馬はのほほんと走っていた。
「何やってるんだ! サードプレジデント! こんなんでいいのか!?」
創也に限らず京都競馬場で怒声が響く。無理もない。何せサードプレジデントの姿を見た観客は勝ちを確信してしまうほどに完璧な馬体の持ち主で直前の動きも良かった。それにも関わらず一頭だけ遅れてのレースをしており怒声するのは最早当たり前だった。
「落ち着いて下さい。創也さん」
「創也君、慌てると負けるぞ」
「そう言われても……」
「父の言う通り焦っても仕方ありませんわ。それにこの程度で諦めるようならそもそもサードプレジデントには乗せてはいませんもの」
「そうなんですか?」
「ええ、サードプレジデントは気性難で乗りこなすのが難しい馬の代名詞です」
「ええっ!? 俺が最後に乗ったときは素直に言うことを聞いてくれたんですが?」
「そう、あの子は貴方がいないと自分でレースをしてしまうほど賢い子なんですわ。だからこそ貴方のような優秀な人でないとその力を100%発揮できない。私はそう考えました。だからわざわざ京都まで連れてきたのです」
「美亜さん……でもこの状況からどうやって勝つんですか? このままだと負けますよ!?」
美亜は微笑みながら言った。
「サードプレジデントはどんな状況になっても必ず勝ってくれます。これは断言できます」
スタートから500mを通過したその瞬間、サードプレジデントが一気に加速し、京都競馬場のタブーも関係なしに素早く上り素早く下っていき、先頭に躍り出て大外に膨らんだ状態でもまだ加速する。
「な、なんだあの馬は……あんなに速く走れるのか!?」
「あれはまるで競走馬の常識を覆しているような走りだ」
「三代目ビッグレッド、日本に到来ってか?」
そんな会話をする人々を無視してサードプレジデントはそのままゴールした。
「嘘だろ、マジかよ」
サードプレジデント、衝撃の18馬身差勝利。
あまりの強さに京都競馬場は静寂に包まれていた。
「お見事ですわ、サードプレジデント。本当におめでとうございます」
美亜はサードプレジデントを抱きしめ、祝福の言葉を送る。
だが一人だけ暗い雰囲気の男がいた。それはサードプレジデントに騎乗していた騎手だった。競走馬の成績は馬の素質7割、人の努力3割とまで言われているが、今回に限ってはサードプレジデントの荷物になることしか出来ずにいた。
「すみません、何も出来ませんでした……僕がやったのはただ必死にしがみついていただけです。もし僕がちゃんとした指示を出していれば、もっと上手くいったはずです」
「そんなことはありませんわ。あなたは最後までサードプレジデントの背中に乗っていました。その事実だけが重要なのですよ」
「そうでしょうか?」
「ええ、そうですわ。彼を確実に制御出来るのはそこにいる月城創也さんただ一人。それ以外だと制御出来ないのがほとんどで落馬する可能性もありますわ。ですから自信を持ってください。貴方はサードプレジデントの騎手として誇りを持ちなさい」
「ありがとうございます」
「では表彰式へ行きましょうか」
「はい」
「最後に一つ質問があるんですが」
「なんですか?」
「どうして美亜さんはこの馬をそこまで信じられたんですか? 確かにこの馬がすごい馬なのは分かりますが、普通ならここまでは信用出来ないと思うんですが」
その言葉を聞いた美亜は少しだけ微笑んでこう答えた。
「だって、私が惚れた馬ですもの」
『サードプレジデント』
・馬主 星崎美亜
・生産牧場 月夜牧場
・調教師 旭川誠
・性別 牡馬
・毛色 栗毛
・年齢 3歳
・戦績 1戦1勝
・新馬戦 京都競馬場
このお話をお楽しみ頂けた、あるいはこの小説自体をお楽しみ頂けたならお気に入り登録や高評価、感想の方を宜しくお願いいたします。
また感想は感想に、誤字報告は誤字に、その他聞きたいことがあればメッセージボックスにお願いいたします。
尚、次回更新は明日0時です
番外編は何が見たいか
-
サードプレジデント産駒の活躍
-
サードプレジデントのその後
-
ナインティギアとクラフトボーイの活躍
-
ウマ娘サードプレジデント転生者疑惑
-
アニメ版ウマ娘世界のサード達
-
アプリ版ウマ娘世界のサード達