・サードプレジデント産駒の募集
≫たくさんの応募ありがとうございました。応募した中から吟味して登場します。また応募した中で作者が閃き、考えた配合相手の産駒も登場しますのでよろしくお願いいたします
・ナインティギア(ウマ娘)が常識人寄りな訳
≫競走馬のナインティギアは気性難だが、ウマ娘のナインティギアが常識人寄りなのには理由があり、それよりも気性難がいるから。
・ダイイチルビーのサフィーちゃん
≫ウマ娘のダイイチルビーの秘密で明らかになった犬の名前だが、元ネタはおそらくウイポのファーストサフィー。このファーストサフィーはダイタクヘリオスとの間に生まれた産駒で、所謂SH枠の架空馬。
「くっ……また逃げられましたか……」
金髪の不審者こと安心沢刺々美がたづなから逃げ切る。
たづなの名誉の為に言っておくがたづなの足が遅い訳ではない。むしろ最強マイラーと呼び声高いタイキシャトルを捕まえられる程度には足が速く、この安心沢が異常なだけである。
「やむを得ません……あの娘に頼みましょう」
苦虫を噛み潰したような表情をし、たづながとある人物に連絡を取り、その場所に向かうとそこにいたのはナインティギアだった。
「たづなさんよ。それでおめおめと私の所に来たということかい?」
「ええ……貴女しかいません」
「そう邪険にしないで欲しいね。その不審者とやらが理事長や理事長秘書である貴女を困らせているとなればありとあらゆる手段でそいつを捕まえてやるさ。理事長に拾われた身だからな」
「ありがとうございます」
「まあ、任せときなって。しかしその不審者はそんなに捕まえられないのか? たづなさん程の脚力なら姉さんクラスのウマ娘でもない限りは逃げるのは無理なはずだ」
「そうなんですが、何故か撒かれてしまうのです。ですからナインティギアさん、貴女にご協力を求めに来た訳です」
たづながナインティギアに依頼した理由、それはナインティギアがレース以外の走り──つまりケイドロ等ならサードプレジデントを超える走りを持っているからだ。その証拠にたづなやサードプレジデントがいくら追っかけてもナインティギアを捕まえることは出来ない上にサードプレジデント自身からも「レース以外の走りなら自分を超えている」と評価している。
「逃げ足のみなら姉さん級のウマ娘か……まあそれなら私に頼るのは無理はないか」
「あの、非常に言いにくいんですがその不審者はウマ娘じゃないんです」
「は?」
「彼女はウマ娘じゃありません。そう言ったんです」
「それは本当なのか?」
不審者こと安心沢刺々美はウマ娘でない。しかし、彼女は不審者であるが故にその素性もほとんど明らかになっておらず人間であること、ビューティー安心沢と姉妹関係にあること、針治療をしていることくらいしかわからない。
「えぇ、彼女の髪の毛を検査して何度も確認しました。彼女は人間ですよ」
「成程……まさかウマ娘以上の身体能力を持つヒト科がウマ娘以外にもいるとはな」
「ちょっとナインティギアさん、私はれっきとした人間ですよ! 私をさり気なくウマ娘にしないで下さい!」
さり気なくウマ娘扱いしたことにたづなが怒るとナインティギアが首を傾げる。
「その証拠は?」
「へっ?」
「貴女が本当にウマ娘ではないという確かな根拠はあるのかい? 例えばDNA鑑定をしたとか」
「いえ、そこまでは……」
「ま、いっか。仮に貴女がウマ娘じゃないとしても理事長秘書である貴女の頼みとあれば断るわけにもいかないし、何よりも貴女がウマ娘であるかどうかなんて今はどうでもいい。今はその不審者の情報を教えて欲しい」
「はい。不審者こと安心沢刺々美は──」
それから安心沢の情報を聞き出し、ナインティギアが携帯を取り出し、電話をかける。
翌日。上座に座ったナインティギアが生徒会や各委員長に告げる
「さて生徒会及び委員長の皆様に集まって貰ったのは他でもない。理事長秘書から不審者情報が挙がってきている」
「不審者?」
「その件については既に調べがついている。まずは昨日の時点での調査結果を発表しようと思う。不審者、安心沢刺々美についてだが、針治療と名目をつけて手当たり次第ウマ娘に針を刺す行為を迫り、刺されたウマ娘が体調不良を訴えている」
ナインティギアがホワイトボードに安心沢の写真を貼り付け、解説する。
「体調不良?」
「身体が脱力感に襲われると言った病状が見られ、被害を受けたウマ娘のトレーナーからトレーニングに失敗しやすくなった、レースに出られなくなったといった後悔する声が多数挙がっている」
「待った、どうしてそれを知っている? 被害者は学園の中でもごく一部の関係者しか知らないはずなのに」
「ふっ、私を誰だと思っている? この程度の調査など造作もないことだ。逆に生徒会長、何故それを掌握している?」
「……私も彼女の針治療を受けた1人だからだ」
苦々しい表情でそう呟くシンボリルドルフ。彼女は五冠を制した後体調不良に陥り、どうにかならないかと悩んでいたところを安心沢に刺され、体調不良から回復しJCや有馬記念を制する。
しかしシンボリルドルフを除きこの発言を聞いた全員が首を傾げる。
「不思議だろう? 何故私だけが針治療を受けて無事なのか。だが私にも分からないんだ」
「なるほど。つまり生徒会はあの不審者の言動を黙認すると?」
「不安に思うのなら止めるように呼びかけるが、私のように針治療で体調が改善されたりする場合がある。もし彼女達が思い悩んだときに選択肢を残しておきたいというのが私の考えだ。絶対に止めろなんてのは私の立場上強く言えない」
「か、会長!?」
「まあ、貴女達に捕まえて貰おうとは思っていない。なんなら治療を受けてもいいくらいだ。だが治療を受けようが受けまいが通報はしてもらう」
「通報?」
「彼女の潜伏先は主に保健室。保健室の所に通報マニュアルをおいているからその手順に従い通報をすることだ。また、このことを各学級委員長やその他の委員長は生徒に通達すること。そして風紀委員は校内見回りの際に彼女の姿を見かけた場合はその場で取り囲み逃げ場をなくす、いいな?」
ナインティギアがそう締めようとすると風紀委員のバンブーメモリーが挙手した。
「待つッス! 何故取り囲むんッスか? 一々そんなことをしなくても取り押さえられますッス!」
「言いたいことはわかる。だが安心沢は逃げ足に関しては最高クラス。たづなさんが捕まえられないレベルまでたどり着いている」
その言葉を聞いた全員が騒然とする。たづなといえばタイキシャトルですら逃げ切ることが出来ないウマ娘顔負けの脚力を保持しており、彼女から逃げられる相手はサードプレジデントとナインティギアしかいないとまで言われている。
そんなたづなが一度も捕まえられない。そんな理解も納得もいかないことが起きていることに動揺を隠せない一同だったが、ナインティギアが手を叩くとすぐに静まる。
「とにかく、彼女の身柄を確保しないことには話にならない。各委員長、並びに生徒会は不審者を見かけたら即刻通報する、またそれを全生徒に徹底すること。それでは解散とする」
その宣言により会議は終了した。
三日後、安心沢がいる保健室を包囲していたのはたづなとナインティギアをはじめとした多くのウマ娘達だった。
「観念しろ、安心沢!」
「待って待って! 流石にこれは安心出来ないわ!」
「問答無用!」
「な〜んてね! 備えあればあんし〜ん!」
安心沢がどこからともなく煙玉を取り出し、煙幕を張ると保健室が煙まみれになり、視界が奪われる。
「くそっ、まさかここまでやるとは……!」
「それじゃウマ娘の皆さん、さようなら〜!」
「絶対に逃さん! 生徒諸君はあいつを校舎内に侵入させないように徹底せよ!」
安心沢が保健室から離れ校庭へと逃げていく。それを追いかけるナインティギアの追いかけっこが始まった。
「必殺っ! V字ターン!」
急激に角度をつけて逆走する安心沢。
安心沢が得意とするのはコーナーや小回りの効く場所である。何故ならウマ娘は急には止まれないが安心沢はそれが出来る。たづなから逃げられるのも急激な方向転換等を駆使した結果のものだった。
「ならばこっちも!」
だがその手はナインティギアも得意で、彼女がたづなに安心沢を捕まえるよう依頼したのもこの部分が大きく、安心沢に迫り、追い詰める。
「ちょっと、何あれ……」
「ええ……」
2人のあまりの人外染みた動きにウマ娘やトレーナー達がドン引きする。確かにナインティギアはウマ娘であり人間ではないのだが、同じウマ娘でもやれと言われたら無理と答えるだろう。少なくとも種族不明のたづなはこんな曲芸じみたことは絶対に真似しないし、出来ないだろう。
「くっ、なんて娘なの……!? こうなっては仕方ないわ。奥義ぃぃっ!」
「そうはさせませんわよ」
いつの間にか近づいたサードプレジデントが安心沢を捕らえ、確保することに成功した。
「これでよろしいですか? ナインティ?」
「助かったよ姉さん、その不審者は私が引き取ろう。ご苦労だった」
「えぇ、お疲れ様です」
「ちょーっと! 離して! あたしはまだ捕まりたくない! まだやりたいことがあるんだからぁ!」
「ガタガタ言わずいくぞ!」
ナインティギアが安心沢を地下牢に幽閉し拘束するも、翌朝には安心沢が地下牢を脱走してしまい、また鬼ごっこが始まってしまう。
「安心沢、今日こそ貴様を逮捕する!」
「捕まったって同じじゃな〜い! どうせ脱獄出来るんだから!」
なお、この騒動で安心沢を捕まえてもすぐに脱走することが判明し、理事長である秋川やよいとその秘書のたづなの胃痛が悪化してしまったのは言うまでもなく、徐々に安心沢も慣れてきて最終的にはナインティギアとサードプレジデントの2人掛かりでなければ捕まえることが出来なくなったのは余談である。
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