芦毛のウマ娘は走らない、そう言われていた。地方からやって来た怪物オグリキャップ、白い稲妻タマモクロス、この二人がそれを覆した。
──領域へようこそ、天皇賞秋勝者タマモクロス
シンボリルドルフがタマモクロスへの賛美の言葉とともに笑みを浮かべる。それはシンボリルドルフが強敵と認めた証だった。
【京都レース場に和製ビッグレッド降臨!】
だがこの時彼女達は天皇賞秋などではなく関西で行われていた京都レース場にいくべきだった。天皇賞秋がちっぽけなレースに見えてしまう程衝撃を与えたウマ娘がそこでデビューしていた。
【衝撃の18バ身差勝利! オグリキャップもタマモクロスも不在の京都レース場で名を馳せたのは間違いなくサードプレジデントだ!】
そのウマ娘の名前はサードプレジデント。真っ赤に染まった栗毛、骨の歪みなど一切なく全てが完璧と呼べる体格、そして途中、試合放棄気味に走っていたのに関わらず捲って全てのウマ娘を並ぶ暇もなく差し切っただけでなく大差をつける末脚。まさしくレースをするために生まれてきたウマ娘だった。
「強すぎる……本当にデビュー前のウマ娘なのか?」
「いや上がり3F*1のタイムを見てみろ!」
──上がり3Fがなんだって言うんだ?
そう尋ねようとした瞬間、視界にそのタイムが映る。
「な、何だよあれ……上がり3F29.8ってどういうことだよ? 欧州のダンシングブレーヴの全盛期の時ですら上がり1F10秒8出せるのがやっとなのに、なんでデビューでそれを切れるんだよ!?」
サードプレジデントの圧巻のレースに記者達ですら唖然としてしまう。欧州最強ウマ娘ダンシングブレーヴの末脚はウマ娘史上最高とも言われ、今尚語り継がれている。そのダンシングブレーヴですら上がり1F10秒を切ることは出来ず、サードプレジデントがどれだけ異常か理解出来、発狂してしまう。
そして記者達が取った行動はすぐにサードプレジデントの下に向かい、専属記者の契約を交わすことだった。
「どけ、サードプレジデントの専属記者はうちがなるんだ!」
「いやうちだ!」
なんやわんやと大騒動が引き起こり、URAはこの騒動を納めるべく重賞競走ですらないのにサードプレジデントに対して記者会見を行うようにした。
「それではご質問のある方は挙手して下さいませ」
そうソプラノボイスでサードプレジデントが発言すると一斉に記者達が挙手し、適当に指名した。
「ではそこの方、どうぞ」
指名されたのは白髪が目立つ初老の男性記者だった。彼は興奮冷めぬ様子でサードプレジデントの前に立つと、息を整えて質問をする。
「まずはデビュー戦お疲れ様でしたと言いたいところですが、どうしてあんなに強かったのか教えて貰えませんか?」
「それは単純に走ることが好きだからですわね」
その言葉に誰もが呆気に取られてしまう。こんなに凄まじい走りをしておいて好きというだけであそこまで強くなれるものなのか? そんな疑問が生まれてしまう。
「好きなことをするというのはそれだけでも大きな力になりますわ。それに私の場合少しばかり特殊な環境で育ちましたから余計に力がついてしまったのだと思いますわ」
特殊な環境という言葉を聞いて記者達は少し興味を持ったようで詳しく聞こうとした時だった。突然部屋の扉が開かれ、そこから一人の女性が現れる。
その姿を見て記者達は目を見開き、思わず絶句してしまった。そこにいたの青と白が四角模様が交差しているマスクを装着したウマ娘だったからだ。
「あら、お母様来ていたんですか?」
「えぇ、あなたの活躍を見ていたかったものですかラ」
その光景を見た記者達の心は一つになった。この二人親子だったのかよ!? と。
そして一人の記者がとあることに気がついた。
「もしかして貴女は……!」
「それ以上は言わないで欲しいネ、記者の皆様」
ウマ娘としては大柄かつ均衡の取れた体格、ややカタコト混じりの日本語を話す外国のウマ娘。その正体を記者達はすぐに察することが出来た。
──米国最強の名を冠するウマ娘。それがこの母親の正体だった。
「ほら、行きましょう。積もる話もアルことですし」
「はい、わかりました。そういうことですので今年の最終目標レースは朝日杯を目指しますので応援よろしくお願いいたしますわ」
母親がそう言うと、娘を連れて部屋から出ていった。その姿を誰も止めることが出来ず、ただ呆然と見送るしか出来なかった。
「それデ? キャロ、貴女レースは楽しいノ?」
「はい! 楽しくなければここにはいませんわ」
「ゴメンネー、私が大食らいなばかりに日本デ貧乏暮らしをさせてしまうなんテ」
「いえお母様の責任じゃありません。私自身も大食漢ですし、日本に来たのは日本の料理が旨いからという理由でしたから……」
「オウ、それならスシ、テンプラの他に何かいいフードは知っているの?」
「ふむ……やはりここはラーメンでしょうか」
「ラーメーン! それナライイね、早速食べに行きまショウ」
「えぇ、もちろんですとも」
──その後、二人は某王国の王女にラーメンを勧めた結果ラーメン狂いとなるのだがそれは完全に余談となる。
このお話をお楽しみ頂けた、あるいはこの小説自体をお楽しみ頂けたならお気に入り登録や高評価、感想の方を宜しくお願いいたします。
また感想は感想に、誤字報告は誤字に、その他聞きたいことがあればメッセージボックスにお願いいたします。
尚、次回更新は本日18時です
番外編は何が見たいか
-
サードプレジデント産駒の活躍
-
サードプレジデントのその後
-
ナインティギアとクラフトボーイの活躍
-
ウマ娘サードプレジデント転生者疑惑
-
アニメ版ウマ娘世界のサード達
-
アプリ版ウマ娘世界のサード達