≫何故シービースケットとウォーアドミラルを題材にした作品はあるのにサイテーションとヌーアを題材にした作品はないんだ……ウマ娘でもいいから誰か書いてくれ……
・安心沢刺々美
≫サイゲ公認の二人目の身体能力人外キャラ。一人目は桐生院葵。
≫モデルは笹針師やパワプロのダイジョーブ博士と思われる。下の選択肢になるほど成功率は高まり、特に魅力アップや健康な身体はリスクよりもリターンの方が大きいので是非ともやっておくように!
≫笹針の他にも、サイゲ公認で人外扱いしていることや、メイショウドトウの身体が成長しきっていないことを見破ったり、他にもメンタルケアなども行えることからかなりスペックは高く有能なキャラである
≫ただし不審者であるのは事実であり、たづなからは目の敵にされている
無敗三冠がかかったミホノブルボンを菊花賞で破り、ライスシャワーは一人憂いていた。
「皆、ライスが勝つことを望んでいないんだ……」
ライスシャワーがそう呟く理由、それはミホノブルボンの三冠制覇を見に来たファンの心無い言葉に惑わされていた。曰く「三冠の邪魔をするな」や「てめえなんかお呼びじゃないんだ」「ボーガンの逃げに便乗しただけのウマ娘」といったものである。
「だからライスは──」
「ライスはなんだって?」
「ひゃぁぁぁぁっ!?」
立ち上がったライスシャワーの視界に突如ナインティギアが映り込み、ライスシャワーが驚く余り尻もちをついてしまう。
「な、ナインティギアさん。今の聞いていたの?」
「しっかりとな。それよりも今度の春天出ないのはあんたが勝つと皆喜ばないと思っているからなのか?」
「うん……」
「確かにあんたは菊花賞を勝ってヒール扱いされてきただろう。マックイーンの春天三連覇も望まれている。しかし私はそれを阻止したい」
「それは現役最強のナインティギアさんだから望まれることであって、ライスが勝つことを誰も望んでいないよ!」
「お米ェ……なら何故昨年の有馬記念に出走してきたんだ? 秋シニア三冠を2連覇するってのは春天三連覇よりも偉業なはず。それを阻止しようとすれば出来ただろうに何故あんなテイオーにも負けた?」
「あれはナインティギアさんの為を思っていたら力が抜けちゃって──」
「ふざけるな! こっちは弱い者いじめ呼ばわりされてまで春天に出走登録しているんだ! それでよく春天勝てそうだから出ませんなんてふざけたことを抜かせるな?」
「だってライスは──」
「今の貴様は口だけのクソウマ娘だ。ライスシャワーのトレーナーもトレーナーでクソ野郎だ。こんなウマ娘にしてしまったんだからな」
「違う! トレーナーさんは関係ない! いくらライスのことをバカにしてもトレーナーさんをバカにするのは許せない!」
「関係ない? なら今度の春天で証明してみせな」
「それでライスが勝ったら謝って!」
「良いだろう。ただし貴様が負けたらライスシャワー、お前の勝負服を次のGⅠ勝つまでハロウィン仕様にしてもらうか舌足らずの口調で話して貰うかどちらにしてもらうからな。覚悟しておけ!」
「そんな勝手に──」
「ライスシャワー、貴様は勝つんだろう? この私をナメたツケは受け入れろ」
ナインティギアが立ち去り、ライスシャワーは1人考え込む。
「……このままじゃ勝てない」
メジロマックイーンは怪我のこともあり調整が不足しているが、それでも十分な強敵である。大阪杯を勝ちGⅠ競走を4勝しており、歴代でも屈指の強さを持っている。
しかしそれ以上に強敵であるのがナインティギアである。昨年秋天の最後の直線時点で最後方だったがそこから全頭ぶち抜いてみせた末脚は世界に衝撃を与え、かつて欧州に衝撃を与えたウマ娘が【勇者】と呼ばれたことに由来し【極東の勇者】と評されるほどになっていた。勿論スタミナ面でもメジロマックイーンに決して劣らないものである。メジロマックイーンが三度も超長距離で勝てたのは運が良かったとしか言いようがない。
その強さをライスシャワーは有馬記念で間近で見ており、その凄まじさは身に染みて理解していた。
だからこそ勝ちたいと思っていたのだが、どうしても菊花賞で勝った時のネガティブなイメージがちらつく。
「ふっふっふっ、そんな時こそ私の出番よ!」
そんな時突如として現れたのが、安心沢刺々美である。
「あ、安心沢さんだ! 通報しなきゃ……」
「待って待って待ってっ! 本当に通報しないで頂戴! あの二人に来られたらライスシャワーちゃんが不利になるだけよ、だからその携帯を下ろして!」
土下座する勢いで安心沢が頭を下げ、ライスシャワーはとりあえず事情を聞くことにした。
「それで安心沢さん、ライスに何のようなの?」
「それはライスシャワーちゃんのお手伝いがしたくて。私こう見えてライスシャワーちゃんがメイクデビューする前からファンなのよ? そんなライスシャワーちゃんが困っているのよ。助けない訳にはいかないじゃない!」
「でもライスは針治療なんて必要ないよ?」
「そうでしょうね。だから私が併走相手になるわよ! わぉ、あんし〜ん!」
「どこにも安心出来る要素がないよ! それにウマ娘と併走なんて出来るの!?」
「ふっふっふっ、私を誰だと思っているの? 伝説の笹針師(自称)にして、サードプレジデントとナインティギアの二人がかりでしか捕まえられない女(他称)! それこそが私、安心沢刺々美よ! わぉ、あんし〜ん!」
「不安しかないけどライスの為にお願いします……」
「任せておきなさい!」
こうしてライスシャワーと安心沢による併走が行われる。
「ほらほらそんな調子じゃナインティギアちゃんに差されるわよ! ライスシャワーちゃんの今の実力じゃ一瞬でも隙を見せたらダメよ! でないとナインティギアちゃんはおろかメジロマックイーンちゃんにも勝てないんだから!」
「ついてく、ついてく……っ!」
安心沢とライスシャワーの併走トレーニングにより、ライスシャワーに鬼が宿り始め、春天前にミホノブルボンがライスシャワーの様子を見にいくとそこには鬼気迫る表情をしたライスシャワーがいた。
「あ、ブルボンさん」
「あら、ミホノブルボンちゃんじゃない。どうしたの?」
「いえ、ライスさんの様子が心配になりまして。しかし見たところステータス『仕上がり完璧』と判断出来ます」
「そうでしょう! これが笹針効果! そしてライスシャワーちゃんの潜在能力を引き出す私の手腕よ!」
「いや安心沢さんはライスと──」
──併走したんだよ
そうライスシャワーが告げようとすると安心沢がライスシャワーの口に人差し指を立てる。おそらく秘密にしろということだろう。空気を読めないことを嫌うライスシャワーはそれを察して口を噤んだ。
「ミホノブルボンちゃん、あなたの故障もこの安心沢刺々美の手で治してあげるわ! 笹針ならお手のものよ! 大船に乗ったつもりでいてちょうだい!」
「遠慮しておきます。もう私の怪我は笹針でどうこう出来るものではありませんので」
「まあまあいいじゃな〜い!」
「ステータス『危険』を察知。速やかに逃走します」
ミホノブルボンがそう告げると安心沢が笹針を持ち追いかける。
「逃がさないわよ! 安心沢流笹針術の恐ろしさを思い知らせてやるんだから!」
「ステータス『恐怖』を確認。予定より早く加速します」
ミホノブルボンと安心沢がその場から走り去り、唖然とするライスシャワーだが、なんだかんだで春天に向けて良い感じに仕上がっていた。
一方その頃、ナインティギアは2人の無敗の三冠ウマ娘達──シンボリルドルフとサードプレジデントと併走していた。
「流石だな、ナインティギア。既に全盛期の私以上だ。メジロマックイーンが万全だったとしても君に敵うものはいないだろう」
「全盛期の会長以上ってのは春天みたいな長距離じゃなくて有馬記念以下の距離の中長距離だろう?」
「しかしそれでも君は強い。それは認めざるを得ないだろう?」
「今度の春天は世界に飛び出す為にも絶対に負けられないんだ。そんな半端な慰めはいらない。姉さんもだぞ? 私はそんな言葉を求めてこの場に来たんじゃない」
「あのナインティがレースにストイックに……」
「ウマ娘として欠けていたものが今になって補ってきたんだよ。よく言うだろう、大器晩成型のウマ娘は当初冴えないことが多いって」
「確かにな。ただそれを差し引いても君の才覚には驚かされるばかりだよ」
「それはこっちの台詞だ。ドリーム入りしているのに会長も姉さんも今の私と互角と走りをずーっと出来るなんてあり得ない。それができるのはもうバケモノレベルだ」
「私達はそんなに褒められる程強くはないさ。全てトレーナー君の指導の賜物さ」
「その通りですわよ、ナインティ。むしろ全盛期よりも少し落ちていますわ。今のこの状態でKGⅥ&QESに出走してもギリギリ2分25秒切れるかどうか怪しいものですわ」
「いや十分に速いわ!」
サードプレジデントの言葉に思わずツッコミを入れるナインティギア。
「ちっ、まあいいさ。仮想メジロマックイーンと仮想ライスシャワーは会長さんが、そして理想の私は姉さんがやってくれた。それには感謝している。御二方の為にも負ける理由が無くなった。……必ず勝つ」
そう言いながらナインティギアはサードプレジデントとシンボリルドルフとの併走を続ける。
こうしていよいよ迎えた春の天皇賞。
「こうして見るとメジロマックイーンの春天三連覇は濃厚だな。あれならナインティギアも怖くない」
メジロマックイーンは大阪杯時点で仕上がりが不十分であったが、今回の春天では仕上がりは十分であり、不安要素は一切ない状態であった。
「す、凄え……こんな仕上がり二度と拝めねえ……生きていてよかった……」
対するライスシャワーも万全の状態、いや二度とこの仕上がりが出来ないレベルの仕上げであった。
「……」
ナインティギアの余りにも完成されすぎたバ体に観客が静まり返る。
「これは凄いレースになる。少なくとも、あの三人以外が勝つ姿は見えない」
そう呟く記者がいた。
やがてファンファーレが鳴るとメジロマックイーンがゲートに入る。
ライスシャワーはそのメジロマックイーンを睨みつけるように見つめ、ナインティギアはメジロマックイーンとライスシャワーを標的に定める。
【メジロマックイーンがゲートインが遅れましたが各ウマ娘ゲートイン完了しました】
「(どうやらこのレース、メジロマックイーンよりもライスシャワーの方を警戒しておいた方が良さそうだな)」
メジロマックイーンがゲート入りを嫌がる様子を見ていたナインティギアがライスシャワーのみを標的に定める。
【春の天皇賞スタート! 先ずハナに立ったのはメジロパーマー、メジロパーマーがハナに立ちました】
ついに戦いの火蓋が切られた。
「(マックイーンには悪いけど、今回のレースアタシが勝つ! ナインにリベンジするのはアタシだっ!)」
先頭はやはりメジロパーマー。圧倒的な先行力で他のウマ娘を突き放し、そのまま逃げ切るレーススタイルで宝塚記念や有馬記念、そして阪神大賞典でも2着に粘りナインティギアがいなければその覇者になっていただろうウマ娘だ。それだけにリベンジしたい気持ちはメジロマックイーンよりも上である。
【2番手にはメジロマックイーン、そしてその後ろにライスシャワーがいます】
続いてメジロマックイーン、ライスシャワーと続き、最後方にナインティギアが続く展開となった。
「(あれはライスシャワーさん。昨年の菊花賞でミホノブルボンさんを破った強豪。もしナインティギアさんさえいなければ彼女が1番の強敵になっていただろう相手ですが……何故私を?)」
だがメジロマックイーンはすぐ後方にライスシャワーを見て驚いた。まるで鬼のような気迫であり、その瞳には執念のようなものを感じていた。
だがメジロマックイーンも負けてはいない。
「(相変わらずパーマーは大逃げですわね。しかしいつでも捉えられます。問題はライスシャワーさん。何を考えて私の後ろの位置に?)」
前を行くメジロパーマーを見ながら、レースを進めていく。レースを進めていくにつれてメジロマックイーンに重圧がかかる。
「(いえ、ライスシャワーさんが私を警戒するのは当然ですか。一昨年は全員がナインティギアさんに注目し、昨年はナインティギアさんに加えてテイオーやクラフトボーイがいましたが今回は違いますわ。私へのマークがほぼ全員ですわね。ここで私が負ければ3連覇の夢が絶たれる。しかしメジロ家の誇りにかけて負ける訳にはいきませんわ!)」
そんなことを考えているうちに第4コーナーに差しかかる。
このお話をお楽しみ頂けた、あるいはこの小説自体をお楽しみ頂けたならお気に入り登録や高評価、感想の方を宜しくお願いいたします。
また感想は感想に、誤字報告は誤字に、その他聞きたいことがあればメッセージボックスにお願いいたします。
尚、次回更新は明日0時です