≫ウマ娘をやっている方ならご存知の名馬。勝ったGⅠ競走は全て3000m以上の超長距離というかなり極端な成績の持ち主。一応ダービーで2着と健闘したりしているが最初の有馬記念や目黒記念、オールカマー、秋天で負けたことが原因で中距離は不得意と認識されている。なんなら中距離適性Bでもおかしくないくらい。有馬記念を勝ったトウカイテイオーが長距離B、宝塚記念を勝ったグラスワンダーの中距離適性もBな訳だし……めちゃくちゃである
≫ウマ娘事情はともかく2回目の春天でライスシャワーは本当にヒーローになったのだがその次の宝塚記念で転倒し、予後ってしまう。同父のメジロルイスが種牡馬引退したこともありリアルシャダイ産駒の種牡馬が2頭消えてしまったと言えるだろう
≫因みに作者のもう一つの競馬作品である【皇帝、帝王、そして大帝】の主人公ことマグナデルミネのモデルはウイポで作ったライスシャワーの全妹とトウカイテイオーの産駒である
≫何故か作者は育成ガチャでライスシャワーをよく引く。天井までやったら必ず一回はライスシャワーを当てる自信はあるくらいには引く。その為育成ガチャを引く時はまずライスシャワーが来ないようにお祈りしてから引く。
「(ついてく、ついてく……)」
ライスシャワーはとにかくメジロマックイーンをマークし、最終直線で一気に突き放し、ナインティギアもリードを使い振り切る作戦でいた。最後方からやってくるナインティギアをライスシャワーの脚でマークしても前で走ることになり仕掛けもその分早くなる。普通の有力馬ならばそれでいいのかもしれないがナインティギアはこの中で最も格上だ。少しでも無駄に体力を消耗を避ける為にもライスシャワーはメジロマックイーンをマークし続ける。
「(ついてく、ついて──っ!?)」
その瞬間、ライスシャワーに凍てつくような殺気が放たれた。
それはナインティギアのものであり、ライスシャワーを完全ロックオンした証だった。
「(っ、関係ない! ライスに出来るのはマックイーンさんをマークし続けることだけ!)」
一瞬の隙も見せずに、ライスシャワーはメジロマックイーンをマークし続ける。
「メジロマックイーンさんにもナインティギアさんにも、渡さない……! この春の盾は……絶対に譲らないっ……!」
それはまさに闘志の塊だった。
その想いが、決意が、覚悟がナインティギアに伝わる。
「(あれで隙を見せないとは、流石に私にナメた態度とっただけのことはある。最初の春天のマックイーンですら動じているのにな。このまま放置するにはいかない以上、潰しておくか)」
物騒なことを考えているナインティギアであるが、ライスシャワーの恐ろしさを誰よりも理解しているのは彼女である。だからこそ、ライスシャワーを脅威とみなし、全力を持って叩きのめすことに決めたのだ。
ナメた奴はシメる、それがナインティギアのモットーだ。
そして二度目の第3コーナー手前、つまり淀の坂の上りでナインティギアがライスシャワーを捉えに向かった。
【ナインティギアがここでスパート! 淀の坂の鉄則を完全無視っ! 早い、仕掛けが早すぎるぞナインティギア!】
ナインティギアが動いた。その動きを見たメジロマックイーンは慌てて自分のペースを上げ、ライスシャワーも更に加速してメジロマックイーンを追う。
「(何故貴女ほどのウマ娘がそのような真似を!?)」
幾度なくナインティギアと共に走ってきたメジロマックイーンが驚き、動揺する。
これまでナインティギアはメジロマックイーンに春天や菊花賞といった長距離のGⅠ競走で敗北してきた。その原因はスタミナかと思われたが違う。むしろスタミナは豊富でメジロマックイーンやクラフトボーイ以上にあった。
ナインティギアが菊花賞や春天で負けた原因は仕掛けの遅さにあった。ナインティギアの脚質は基本的に追込であり、末脚が武器である。その為どこでも急加速出来る能力が求められるが、ゴールするまでに減速しては元も子もない。その為ナインティギアは出来る限り加速後に減速しないように残り800m付近で加速するようにしていた。
だがサードプレジデントとシンボリルドルフの併走をしていくうちに偶々、創也に良いところを見せようとし、かかったサードプレジデントが早仕掛けをし、それに合わせるようにナインティギアが早仕掛けをしたところ、それまでのタイムよりも2秒以上速くなりそれからは残り1000mで仕掛けることにしたところ平均で1.2秒も速くなった。これは偶然ではない。
これはナインティギアにとって嬉しい誤算だった。それまで不利と思われたメジロマックイーンとのスタミナ勝負に自らの脚質がマッチしている。春天に勝ち目が半分以下と思われていたナインティギアに7割以上と創也からお墨付きを貰い、自信を持ってこのレースに出走した。
そんなことを知らないメジロマックイーンからすれば、ナインティギアがただの凡ミスをしたように見えた。
「(ならば、ここは我慢。スイーツが食べられないことに比べればこの程度の焦りなど苦ではありません!)」
メジロマックイーンは坂を上り終えるまで加速を我慢し、坂の下りで一気に加速するとメジロパーマーを捉え、そのままメジロマックイーンとライスシャワーが先頭に立ったまま最後の直線に入る。
そして先頭はメジロマックイーンとライスシャワー。
だがすぐ後ろにナインティギアが迫っていた。
【さあここでメジロマックイーンだ、メジロパーマーはよく頑張った! メジロマックイーンだ、メジロマックイーン先頭ですがライスシャワー、ライスシャワーだ!】
差されても尚粘るメジロパーマー、先頭争いをするメジロマックイーンとライスシャワー、そしてその真後ろにいるナインティギア。この4人の壮絶な叩き合いが予想された。
【いやここで先頭が変わってナインティギア、ナインティギアだ! メジロマックイーン、ライスシャワーが食らいつく!】
「(来ましたわね! それでこそ現役最強!)」
メジロマックイーンが地を這うフォームに切り替え、更に加速しナインティギアに食らいつくとライスシャワーも食らいつく。
「ライスだって負けちゃいない! これがライスの、ヒーローとしての始まりなんだぁぁぁぁっ!」
ライスシャワーが叫び、ラストスパートをかける。
「負けられないっ!」
「負けませんわよ!」
メジロマックイーンとライスシャワーがナインティギアに迫る。
【メジロパーマー脱落、メジロマックイーン、ライスシャワーがナインティギアを差し返す! ライスシャワーが一歩抜けるか!?】
「くっ……!」
メジロパーマーが脱落し、3人の壮絶な叩き合い1着を巡っての熾烈な競り合いが繰り広げられる。
「負けない……! 絶対に、勝たないといけないんだっ!!」
ライスシャワーが半馬身抜けた。そう思った瞬間だった。
「悪いな、お米。この春の盾は一人用なんだ」
黒い刺客が名優をも弾いた弾丸によって弾かれた。
「(まだだ、もっと、もっとだ……!)」
ナインティギアがライスシャワーを差し返すと春天の舞台では決して見られなかった景色が見られる。ナインティギアがゾーンに入った瞬間だった。
【ライスシャワーを差し返して先頭はナインティギア、ナインティギアだ! ライスシャワーが差し返そうとするが先頭はナインティギアだ!】
「ウハハハハッ! 待っていろ世界! これからは私のものだ!」
ゾーンに入った興奮の余り、ナインティギアがそう叫びながら後方のライスシャワーを3馬身、4馬身と突き放していく。
【突き放していくナインティギア、2番手にライスシャワー、3番手にメジロマックイーン。これがナインティギアです! ナインティギア、姉サードプレジデントのレコードタイムを超えて圧勝! 2着にライスシャワー! 3着にメジロマックイーンです!】
ナインティギアが3分13秒4という途轍もない数値を叩き出し、観客は当然、関係者達が唖然とする。それまでのレコードはサードプレジデントの出した3分14秒1というタイムであり、万全を通り越して鬼が宿ったライスシャワーですら3分14秒2という破格のタイムでありサードプレジデントには敵わないことを証明していたが、ナインティギアはそれを超えてしまった。
「そ、そんな……」
「サードプレジデント先輩と走った皆様の気持ちがわかりますわ……」
絶望した表情のライスシャワーとメジロマックイーン。どれだけ万全を期しても勝てない相手というのはいる。それはサードプレジデントのような世界に通用するレベルのウマ娘である。今日のナインティギアもその領域に辿り着いてしまった。
だが、それでも諦められるほどライスシャワーは弱くなかった。
「でも、ライスは、ヒーローだから。どんなに絶望的な状況だろうと、絶対勝つ。それがヒーローの務めだと思うから」
「じゃあヒーローさんよ、早速ヴァンパイアの格好で過ごして貰うぞ」
「えっ?」
「言っただろう、私が勝ったら次のGⅠ勝つまでハロウィン仕様の格好で走ってもらうか舌足らずの口調で話すか好きな方を選べって言っただろう」
「あ、あぁぁぁぁっ!?」
そのことを思い出しライスシャワーが悶絶するがナインティギアは続けて言い放つ。
「死ぬ程恥ずかしいと思うが、私をナメたツケは払って貰おう。それが嫌なら今すぐタイマンするか? それで勝てたらなしにしてやる」
タイマンと聞き、某女傑が騒ぎ、それを抑えるエンターテイメントの姿が見えるがナインティギア達は無視した。
「流石にもう足がガタガタ震えているから無理だよ……」
「よろしい。ではさっさと着替えろ。大丈夫だ、似合うから。きっと可愛いぞ」
「か、かわっ!?」
「照れてんのか? ほら早くしろ、私は忙しいんだよ。これからインタビューやライブがあるんだ、さっさと準備するぞ」
「う、うん……」
その後、春天出走とは違う勝負服でライブに出たライスシャワーはセンターであるナインティギアを差し置いて一面を飾ることになり、ライスシャワーのファンが爆増したのは言うまでもないだろう。
そしてこの日を境にライスシャワーはレースに出る度にハロウィン仕様の勝負服を着ることになりその度に顔を赤くする。特に本来勝負服を着ないでも済むオールカマーで勝負服を着ることになり、恥ずかしさのあまり仕掛けを間違えてしまい3着に破れ、秋天でも掲示板に載れないという珍事態が発生しライスシャワーのファンからナインティギアの呪いと言われることになるが完全に余談である。
・春天の裏話
≫この時点でライスシャワーに春天勝たせるかナインティギアに勝たせるかクッソ悩みました。この時点のライスシャワーはウイポ7で散々やられたこともあるんですがそれ以上に後の春天覇者のサクラローレルとかマヤノトップガンとか持ってきたとしても勝てるかどうか怪しいレベルの強さだった。サクラローレルはともかくマヤノトップガンの方が状況的にもタイム的にも有利だが、それでも……となるのがこのライスシャワー。
≫勿論故障なり鼻血なりして春天を回避する方法も考えたが、本当に納得出来るのか?と思い春天に出走させることを決意。後はどう勝たせるかどうかの決断だった。
≫当初のプロットでは負けさせる予定だった。しかし星崎が余計なことを言ったせいで勝たせざるを得なくなり、ライスシャワーに勝てそうな相手を参照にしようということで資料を探す。追込でかつ春天を勝った英雄がいる……つまりディープインパクトですね。ディープインパクトの春天の走りを参照にし、ライスシャワーがどのくらい食らいつくかを検証した結果が今回の話しとなりました。
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尚、次回更新は未定です